実戦 or 実践だ!

レースで良い成績を得たいと思ったら
頑張って練習するのはもちろんですが
沢山レースに出る必要があります。
実戦に勝る経験はありませんから。

どんなに練習しても
何が重要なのか?
なぜそれが重要なのか?
何のために必要なのか?
そのへんを本当に理解するのは難しい。
というか、無理です。

学校の授業は
社会に出る前の練習のようなものです。

「なんでそんなことやるの?」

それは理屈の上では伝えられますが
本当に理解できるかというと難しいでしょうね。
というか、無理です。

在学中に、試しに仕事をできれば良いのですが
なかなかそうもいかないので
インターンシップがありますね。
でも、これも本当の仕事ではありません。
お試しというか、疑似体験のようなものです。

インターンシップで設計のまねごとを短期間やったとしても
別にお客さんや会社の仲間のために頑張る必要はありませんし。
でも、やらないよりは良いかもしれません。

というわけで
学生のうちに実戦を経験するのは大変難しい。

さてさて

学生の
コミュニケーション能力不足などに対して
大学だって危機感を持っているわけで
授業で色々とやっているのです。
恐らく今や相当多くの大学で
色々やっていることと思います。

もちろんその辺は学生だって危機感を持っているわけで
それなりに努力をしてなんとかしようとしています。
何とか就職したいですもの。

そんな授業でも取り組み
当然、やらないよりは遙かにマシなわけですが…

何か気付きました?

授業でやらせている
学生が危機感を感じている

これ、あまり良い結果になるとは思えません。

外発的動機で危機感を伴っているのですから。

でも、学校で取り組むとしたら
授業としてやるとしたら
そうならざるを得ません。

学生は
点数を取るために
危機感を埋めるために
やるでしょう。

知識は身に付くでしょう。
でも、その知識を有効に使えるかは全く別の問題です。

どうせやるなら
学生が本当にやりたいことで
ワクワクする
ポジティブな気持ちを持てる
本格的な何かが良いですね。

それを達成するために
コミュニケーションやチャレンジが
どうしても必要になるもの。

そうしたら
何でコミュニケーションが必要か
何でチャレンジが重要なのか
一発で分かりますよ。
しかも理屈でなく。

そういうのは一度身に付けたら忘れません。

というわけで夢工房では
学生が自発的に
レーシングカーや惑星探査機を作ったりしてるわけです。
実戦に限りなく近い実践ですよ!

夢工房の学生達は
緊急事態宣言下でも、感染対策をしながら
過密にならないようにローテーションを組んで
色々工夫しながら日々頑張ってます。

本人達は思い通りにならなくて
ムラムラ
じゃなくて
イライラすることもあるでしょうね。
「これじゃ勝てねぇ!」
とか。

その度に考えて対策を打って
成果を確認して…
良くやってますよ。

ショボショボになってる者は
意外なほどいません。

彼らを見ていると
あぁ、日々成長しているなぁ
と思うのです。

この状況下での経験も
きっと将来役に立つのでしょうね。

正解とか不正解とか

学生は学校で学んでます。

そもそも学ぶって何だ!?
なんて考え始めると
どんどん深いところに行っちゃうので
これは別の機会に譲りましょう。

学校では
「正解を出せるようになる」
というところでしょうね。

「~ができるようになる」
が理想なのでしょうけど
実践的に何かをやる機会は
そうそう無いので
それはあくまで理想です。

さて
「正解を出せる ようになる」
なんか良さげですね。

でもこれ
すでに存在しているけど隠されている正解
それに対して「合っているか」ってことですね。

なので
正解を覚えているとか
ある特定の方法で正解を導き出す方法を知っている
といった意味です。

怖いのは
正解・不正解
という二元論に走りやすい思考が形づくられる
ということだと思っています。

メカ系の仕事って、一見
合ってるとか間違ってるとか
良いとか悪いとか
そんな世界のように見えるかもしれませんが
そうでもない部分も多いのです。

例えば
同じ役割を果たす
異なるメーカー製の機械が
結構違う設計だったりすることもあります。

そんなことは機械系に限らず
あらゆる製品に言えることですが
結局のところ
基本的な原理とか構造とか材料とか
共通項が多かったとしても
それらをどう料理するかというのは
設計者の考え方次第で
センスとかアイデア次第という部分も多いのですね。

そういう世界を
正解とか不正解とか
そういう判断基準で括っちゃうと
発想が貧困な製品ばかりになって
つまらない世の中になっちゃうのではないかと思います。

経験の浅い学生などは
部品を設計して図面を描くと
私のところに持ってきて

「これ、どうですか?」

って聞くんですよ。

これ、「合ってますか?」という意味です。

たぶん、先輩達は
それを横目で見ながら
「あ~、それ、やっちゃダメなヤツだ~」
と思っていることでしょう(笑)

図面を描く授業なら
それでも評価できるかもしれません。

でも
彼らがやっているのは実践なわけで
部品単品の図面を見せて
合ってる間違ってるも
良いも悪いも無いのです。

どういう役割を果たす部品で
周囲との関係がどうなっていて
どういうつもりで形づくったのか
それが良否を決めるわけで
単品で良いだの悪いだのってことは決まりません。

でも、そういう経験しか無いなら仕方ないんです。
条件反射みたいなものです。

こういう風に「おかしなやり方」が露呈するということは
そんな風に考えてしまっていることが分かったということで
決して悪いことではないのです。

だって、それを元に
やり方を、どう変えたら良いか分かるわけですからね。

とはいえ、自分のやり方や考え方を変えるというのは
結構難しいことかもしれません。
特に気持ちがネガティブになっているときなんかは。

なので、部屋の風土作りが大事になってくるのです。
いかにポジティブな空気感を作るか。

気持ちがポジティブになっていないと
今の自分の状況を受け入れて
先に進むなんてできませんから。

気持ちがポジティブなら
いくら失敗したって良いんですよ。
全部成長する材料になるから。

まぁ、そんな理想はあるのですが
彼らも私も人間なわけで
言うほど簡単ではありません。

だからこそ頑張るのですよ。
それこそ正解なんて無いのでしょうけど。

絶滅危惧種を救え!

マジメ君や良い子ちゃんは
ダメな部分を直そうとします。
だって昔からそう言われてきたから。

好きなこととか
得意なことがあっても
ダメな部分を突っ込まれてきたからでしょう。

なので
ダメ出しされるのを嫌がるし
ダメな部分を何とかしようとします。

そうすると
「良くなる」
と信じています。

ダメなところを良くする
つまり
ダメなところを無くそう
とういうのが行動原理だったりします。
どちらかというと
恐怖が動機になりやすい。

何かアイデアを出したり
設計したりするときには
いわゆる「成立性」を求める傾向が強い。

「形にはなってんだけど
セールスポイントが無いねぇ」

こんな結果になりやすくて
やることに時間を掛けます。
なぜって
恐怖が動機になっているので
恐怖から逃れるために
キッチリやる傾向が強いのです。

なので
うまくいっても、こうなることが多い。

「形にはなってんだけど
セールスポイントが無いねぇ。
でも、もう時間が無いからこれで行くか」

残念ながら
やることに時間を掛けちゃうものだから
経験の数が増えなくて
恐怖から逃れる手立ても分からないまま
ということが多いので
恐怖のループから脱出できない。

もちろん
「やらされ感」が強いので
萎縮して視野が狭まって
アイデアは出にくい傾向です。

でも、うまく成長すると
決められたことを
キッチリやるエンジニアになるかもしれませんね。

面白いんか?それ。

余計なお世話ですね。

ところが馬鹿野郎は
どうせ全部キッチリなんてできやしない
と思っていたり
そんなもんでは勝負できない
と思っているフシがあって
人と違うことで勝負したがります。

なので
「ずるい」
と言われることをあまり気にしないというか
むしろそう言われることが快感だったりします。
(卑怯といわれるのは嫌だったりしますが)
たちが悪いです。

どうせ出来が悪くて
周囲から褒められる事なんてないので
皆をを驚かせてやろう!
なんて思ってます。
しょうもないです。

当然怒られることは多いですが
盛り上がることも多いです。

「バカみたいだけど
面白そうだからやってみっか!」

で、もちろんうまく行かないことも多いのですが
そんなのは改善すれば良い話なので
色々やって、色々経験することになります。

「やらなければいけないこと」
よりも
「やりたいこと」
にフォーカスするので
手数が増える傾向があって
必然的に経験の数は増えていって
余計なことをいっぱい知っています。

もちろん世の中には
前者も後者もいていいのです。
というか
両方いないと困るのですが

学校では後者は全く評価されないので
絶対数が少なすぎる。
今や絶滅危惧種です。

夢工房は
そんな絶滅危惧種のワンダーランドでありたい。

技術は人なり…?