バイクの話 エンジンオイル選定の末に

今回はバイク関係のテクニカルな話題です。

前々から気になって色々と試してきたバイクのエンジンオイル問題。
一度に1,000kmくらい、もしくはそれを越えるような距離を走る長距離ツーリングをすると劣化してしまい、シフトフィールが悪化して、シリンダーヘッド周りからのメカニカルノイズが増えるといったもの。
一度そうなってしまうと、冷間時は多少マシですが、基本的にはオイル交換するまで戻りません。
なので、もうちょっと耐久性のあるオイルは無いか、純正指定からレーシンググレードまで、様々なものを試してきました。…とはいえ、たかが知れた数ですが。

メカニカルノイズに関しては、パワーフィール自体は悪化していないので、性能面ではさほど不満はありません。
まるでOHVのエンジンのプッシュロッドのノイズのような音がするので気にはなりますが。
いや、それは問題あるだろ、という話でもあるのですが、それは置いておきましょう。

問題はシフトフィールです。
長距離を走る終盤で疲れていると、特に気になるポイントなのです。

シフトフィールの悪化は、何と言ったら良いでしょうか。変速しにくいのですが、単に「渋い」といった感じではなく、シフトペダルの動作初期に不自然な渋さというか硬さというか、これまで乗ってきたバイクには無かった違和感があります。
官能評価であり感覚の問題なので表現が難しいですが、バイクのトランスミッションで変速が行われるときは…

シフトペダルでシフトスピンドルを回し
シフトスピンドルがシフトドラムを回し
回るシフトドラムの溝に沿ってシフトフォークが動き
シフトフォークが歯車を移動させ
隣り合う歯車同士のドグが噛み合う

というプロセスがあるのですが、今回のケースはどれも違うな、と思っています。
動作時の手応え(足応え?)が違うと言っています。
全て内部の構成部品なので、実際に分解しないことには確かなことは言えないのですが、入力の上流の方、つまりシフトペダルに近いあたりが怪しいフィーリングなのです。

シフトスピンドルは回ってしまえば渋さは無い。
シフトドラムも渋さを感じない。
恐らくシフトフォークの動きも問題なし。
歯車やドグも違和感は感じない。

じゃぁ、問題無いじゃん!
となりそうなものですが、BMWの水平対向エンジンは他に問題がありそうだ、と思ってきました。

一般の、というのも変ですが、多くのバイクのエンジンは、クランクシャフトの方向は進行方向に対して横置きです。

そこから歯車やクラッチを介してトランスミッションのメインシャフト、カウンターシャフトも平行に、横置きになっています。
当然ながら、シフトドラムやシフトフォークのシャフト、シフトペダルが組み付くシフトスピンドルも全て横置きで、これらの間の力の伝達は、歯車やレバーなど、比較的シンプルな関係になっていて、力の伝達方向はラジアル平面、つまり軸に対する垂直面上で行われます。

ところが、BMWの水平対向エンジンは、クランクシャフトが進行方向に向く縦置きで、トランスミッションの各シャフトやシフトドラムも縦置きです。
しかし、シフトスピンドルだけはシフトペダルの動作の都合上、横置きなのです。
となると、シフトスピンドルとシフトドラムの間は、力の伝達方向を90度変える必要があるわけです。

そこにある部品はコレ。

2番の部品がシフトスピンドル(BMWではギアシフトシャフトが呼称)です。これがシフトペダルによって回転します。
6番はBMWではポール(紛らわしいのでスペルのPawlからここではパウルと呼びます)と呼ばれるシフトドラムを回転させるためのの部品で、通常の横置きクランクのエンジンでは、これがシフトスピンドルの先端に溶接されて一体になっています。
パウルの図に回転軸がありますが、そこにシフトスピンドルが溶接されるのが一般的。
対してこのエンジンでは別体になっており、しかも向きが90度ひねった関係になっています。

この場合は、シフトスピンドルから生えた短いロッドが、図にある線で結ばれた関係で組み合わされてパウルをこじるようにして回転させています。
つまり、動作の向きを変えていることに加えて、動作部品が1個多いわけです。

こんな風に、力を軸のラジアル面以外に伝達すると、スラスト方向(軸方向)への分力が発生して、大抵は何かしらの抵抗が発生します。

想像するに、シフトスピンドルから生えたロッドがパウルを動かす動作、これがあまり好ましくない関係に感じます。
力の伝達にリニアリティが無さそうだし、あちこちで摩擦が生じざるを得ない関係になっていそうです。
あまり良い設計じゃ無い気がするけど、頑張った結果がコレなのでしょうね。コストの都合もあるでしょうし。
BMWの水平対向は歴史が長いので、長年苦労しているポイントなのではないかと想像します。

どうもシフトフィール悪化の原因はココではないかな。

じゃぁどうしましょう?

バラして構造を確認した上でリファインする?
それは面倒だなぁ。けど、時間があればやりたいところではあります。
やったら確実に良くなりそうだ。

でも、オイル交換した直後は問題無いと言うことは、構造上、潤滑にシビアなのでしょうね。
では、こういった機構に適したオイルを使うのが最善なのかな。
そんなのあるのか?
と思いつつ、引き続き色々試してみましょう。

そもそも、この推測自体が外れている可能性もなきにしもあらずなのですが、それはそれ。
こういうのを想像して手を打っていくって面白いじゃないですか。

今回の初詣ツーリングについて

今回はお陰様で無事に帰宅したわけなのですが、温暖化しているとはいえ、この時期にこんな長距離を走る人もそうそういないと思うので思い付くままに書いてみましょうか、というのが今回のネタです。

まず走行時の気温です。

スタートは埼玉を夜の0時に出て、まずは高速道路で和歌山の熊野本宮大社まで行きました。到着は7時ごろ。距離はちょうど600kmくらい。
この区間の気温は、5度前後で変化していました。
高速道路を時速100kmで走行すると、体感気温は10度ほど低くなります。
なので、体感はマイナス5度くらいでしょう。
その環境で7時間走り続ける感じです。
約、途中で止まったのは2回の給油のみ。
熊野本宮大社は山間部にあるので、そのあたりは日が出ていても気温がさらに下がって3度程度。

参拝後は、山間部を抜けて和歌山港に向かいました。
時間は8時ちょっと前に熊野本宮大社を出て、現地には10時頃。距離は120km程度。
気温は山間部では3度前後で、港に下りた時には10度を下回る程度だったと思います。
この区間は一般道で、コンディションが悪いときは凍結しているそうです。

その後、フェリーで徳島港に渡って、四国を松山市まで横断。距離は220kmほど。
期待ほど気温は上がらず、8度前後で推移していた気がします。

恐らくちょっとやそっとの防寒装備では、短時間はともかく7時間は大変厳しい。
というわけで、1 Dayチャレンジでよく使用している電熱服の出番です。
バッテリーから直接電源を取るタイプで、ジャケット、パンツ、グローブ、ブーツのインソールが電熱装備一式です。

良くある電熱服は、ジャケットやパンツの下にインナーレイヤーかミッドレイヤーとして着用するものが多いと思うのですが、それだと体の動きが拘束されて危険だと思っています。
なので使用しているのはアウターのジャケットと、オーバーパンツタイプです。
でも、もっとも外側は走行風を受けるので効率は悪いと思います。
ここは快適性と安全性(機動性)のトレードオフです。

そしてアウタータイプのメリットは、その下は普段着で良かったりするところですね。
今回は、下はジーンズで、上はTシャツと夏用のライディングシャツと言ったら良いのか、すぐに乾くヤツです。
この「すぐ乾くヤツ」は、夏は涼しくて良いのですが、冬は水分を含まないので意外と暖かいのです。
人体は思いのほか水分を放出しているので、それが停滞してしまうと冷えます。
なので、アウターに向けて水分を発散すると、皮膚の近くは乾燥した状態になって冷たさを感じないのです。

ただ、電熱装備のうち、グローブのヒーターの性能が今ひとつなのでした。
乗っているバイク、BMWのR1200RSはグリップヒーターまで付いていますが、あまり気温が低いとグリップヒーターも役に立ちません。無いよりはマシなのですが。
なので指先が冷たい。

たかが指先とバカにしてはいけません。
人の手は、表面積が広いので熱交換の効率が高いのです。
指は冷却フィンのようなものです。
手を冷やすと血液の温度が下がってしまう。
まぁこれは、熱中症の対策などに有効なのですが、冬はいただけませんね。
でも、こればかりはどうしようもありませんでした。

2日目には、松山市から宇和島の紫電改展示館に移動するわけですが、四国の南部に行くのだから気温は上がるだろうと見込んでいました。
ところが山間部で気温はマイナス1度まで下がるわけです。
まぁ寒いのは仕方ないにしても、高速道路での路面凍結ということになったら困ったことになるな、と思っていました。
幸い凍結はありませんでしたが。この間は130km程度。

そして宇和島から北上して佐田岬半島へ。
半島の区間は10度前後だったでしょうか。
あまり苦痛は感じませんでした。
距離は130km。

そして、九州に渡った後は、日中は快適。
この辺になると疲れが蓄積して記憶が多少曖昧なのですが、気温は恐らく10度を超えていません。
というのも、トンネル内で一時的に気温が15度程度に上がって驚いたことが何度もあったので、驚くと言うことはそれなりの温度差があったはず。
なので一桁台の気温だったはずです。恐らく8度くらい。
最初に立ち寄った宇佐神宮まで85km。

宇佐神宮参拝中に夜になりました。
ここから途中スーパー銭湯によって、新門司のフェリーターミナルに向かう際は、気温は5~6度。
距離は84km。

3日目は横須賀港から埼玉の自宅まで130km。
気温は6度くらいから徐々に下がって3度。

以上、忘れる前に思い付くままに書き殴った感がありますが、取り急ぎ記録を残してみました。


2025初詣 3日目

本日は、夜までずっと船内で過ごします。
ヒマです。でも、それが良い。

今回の船室はステートAツインという個室。広いです。
ツインベッドで洗面台とトイレ付き。

今回は復路のみ長距離フェリーなので、ちょっと贅沢してみました。
一人静かに過ごす時間は貴重なのです。

インサイドのお部屋なので残念ながら窓無し…と思ったら…

窓あるじゃん!と思ったら…

船体中央部の吹き抜け?

まぁ、無いよりはかなり気分が違うし昼間は明るいので、良いアイデアだと思います。
この吹き抜けに面した各部屋には同様の窓があるのですが、相互に覗けないような配置になっています。工夫してますね。

テレビもあります。
地上波は陸が近ければ入るでしょうけど、BS放送なんかは航海を通して受信状況が良いはずです。見ないけど。
あ、でも現在位置の表示は見ます。アレは便利です。

紀伊半島付近はやはり多少荒れるようです。
今回も結構揺れました。

ちなみに、携帯の電波は船と陸の距離によって、入ったり入らなかったりします。
なので、陸側の舷側は携帯を使う人に人気です。

朝昼晩と、食事は船内。
多くのフェリーのレストランは、いわゆるバイキング形式が多いですが、東京九州フェリーはタブレットで注文すると料理を持ってきてくれます。

会計は、自分で伝票を機械でスキャンして支払うセルフレジです。何と多くの船では不可能なクレジットカード決済も可能です。ハイテクです。

この「すずらん」には、一般の食堂の他にグリルと呼ばれる貴族のための食堂があります。
事前に予約をしておけばコース料理が楽しめます。

途中、夕陽が見られたり、富士山が見えたりしますが、時速50キロで進む高速船なので、外に出られるのは船尾のデッキだけだったりします。ここなら直接風を受けませんから。

予定の20時45分よりちょっと早く横須賀到着後。その後は陸路を走るだけ。
家までざっと130km。気温は6度くらいからどんどん下がっていきます。

で、帰宅したら1486km。気温は3度。
よく走りました。