今、成長しましょうよ

在学中にどんな学生が成長するかは大変興味あるところです。
色んな意味での成長があるのですが
こと、ものづくりの面での成長とすると
私はこの辺が重要かなと思っています。

まずは元気と明るさ
これ無しではどうにもなりません。
なぜか?

元気が無くて
明るくも無く
パワーも感じられない
アクションが無くてリアクションすら無い

そんな人と力を合わせて何かに取り組んだり
期待をしてチャンスをあげたり
そんなことをする人はまずいません。

元来の性格の問題があるかもしれません。
それを何とかしたいと思っているのなら
ぜひ頑張って工夫して欲しい。
きっと報われる時が来るから。

代わりの何かでも良いかも。
「異常なパワフルさや執着心」なんか良いかもしれません。
とにかく、他者がそれらを感じられることが大事です。

どうしてもこれらを何とかしたいと思うなら
思い込みや勘違いからのスタートでも良いのかもしれません。

極端な言い方ですが
最初は嘘っぱちでも
それで迷惑する人はいないでしょう。
そして継続していけば
いずれはそれらが身に付いて
本物になります。

そんなことを前提にして
続けていってみましょう。

やはり、アウトプットの数は重要です。
つまりスピードと継続ということになるでしょうか。
在学中という限られた期間で成長するには
やはり経験の数がものを言います。
磨かれる機会が多ければ
輝きを増すのは当然です。
その際の「研磨の質」は本人次第ですが。

アウトプットの質はどうなのか?
これを向上するには他者からの評価が重要です。
それによって現状を把握して
次はどうすべきかということを考えられますからね。
逆に、これ無しでは、これからどうすべきかは決められなくて
迷走します。
仮にうまくいっても「お山の大将」です。
いわゆる
報・連・相
ができる学生は伸びます。

これに関して注意すべきことがあります。
失敗したくない
ダメ出しされたくない
という気持ちが起きるのは仕方ないと思いますが
大事なのは
失敗しないことでもダメ出しされないことでもないのです。
自身が成長することです。
どうせ経験が少ないうちは不十分なのです。
大事なのは、何がどのように不十分で
どうしたら良いのかが分かることです。
それらは失敗とかダメ出しの中にしかありません。

とはいえ
最初のうちは受け入れるのが難しいかもしれませんね。

年齢を重ねると
周囲はあなたにダメ出ししにくくなります。
つまり、ダメなところを教えてくれないということです。
なので、今がチャンスなのです。

そのうち何とかしたいと思ってるって?
先送りはダメです。
すぐ5年とか10年とか経っちゃいますよ。
今、頑張りましょう。

知識とか技術はどうなんだって?

それはゴール達成の手段に過ぎません。
いわば「道具」です。
必要が無いわけはなくて
もちろん重要なのですが
それがあれば何とかなるわけではない。
事前に学ぶのも大事ですが
それだけでなく
色々やる中で手に入れていきましょう。

知識が完璧になったら動こうなんて思ってはいけません。
その頃には、頭も心もカチカチになって動かないかもしれませんし
現実とか現物は大事です。
そのための知識です。
知識と経験を両輪としたバランスは重要ですね。

偉そうにこんなことを書いてみましたが
こういうのって、一生継続するものだと思っています。
完璧になんてなりませんから。
さあ、明日も頑張ろう!

禁断の領域 超フロー状態へ…行け!

学生は色々苦悩しますね。
まあ、若者はそういうものですけどね。

夢工房の活動では分かりやすいです。
どう考えても、やり甲斐のある大きなチャレンジで
全力でやり切れば、絶対に成長することは分かっている。

けど、やり切る前に自身がブレーキを掛けてしまって
本当に重要な「美味しい領域」の一歩手前まで来ているのに
全身全霊でのめり込むことができなかったりすることがあります。

そういう状況では
本人も何かしら違和感を感じていると思いますが
なかなか打開できない。

現状でも一所懸命やっている
でも、もう一歩踏み込まなければいけないような気がしている。
そんな時、心に「自動ブレーキ」が掛かる。
そして現状維持になる。

心は
「勝ちたい」

「このやり方では勝てない」
の間をウロウロします。

もちろん
こういう状態を軽々とぶち破る学生もいます。
でも、そういうのは全体の2割以下だと思います。
多くは「自動ブレーキ」が標準装備されています。
それは自分の意思とは無関係に
本能によるものであったり
今までの環境によって作られたりしたものだったりします。

先にある「美味しい領域」は
禁断の領域かもしれません。

そこに入り込んでやり切れば
凄い成果が出ます。
それは「自動ブレーキ」が装備されていなかった
もしくは解除してしまった
卒業生達の実績を見れば分かります。

しかし
そこに入ると
今までの自分から
色々なことが大幅に変わってしまいます。

もちろん
トレードオフのレベルは一段上がります。
より多くを手放さないと
その先のものは手に入りません。

その先にあるものは
頭も心も体も激しく消耗するけど
ライバル達を驚愕させる
超フロー状態での開発です。
神様が降りてきます。
もちろんこれは
自身が経験したから言っています。

私は30代で経験しましたが
これが20歳前後で手に入ったら最強です。

でもこれは教員が何とかできることではありません。
自力でないと入っていけないし
仮に他力によって入っても耐えられないので
本人が自力で入り込んでいくしかありません。

私は
まるでブランコのように
「勝ちたい」

「このやり方では勝てない」
の間で揺れている彼らの心が
「勝ちたい」
の側に振れた時に背中を押す
これを続けることくらいしかできない。

大変歯がゆいですが
そういう立ち位置にいるのは
光栄なことでもあります。

強いチームを作りましょう

しょっちゅう組織の理想形を考えたりしてます。
私の場合は夢工房の中のチームについてですが。

当方の学生チームの成り立ちと
その後の彼らの活動内容から考えても
教員の指示に従って
トップダウンで動くのは理想的ではありません。

学生が自発的に動くことの凄さを知っている身としては
今さら「普通のやり方」に軌道修正する選択はありえません。
そんなことするくらいならやめちゃった方が良い
というのは言い過ぎかな。

なので、基本的な方向性はこのまま
より強化・進化していきたいところです。

では、どうしたら良いか

我々はコンパクトな組織なので
大人数で豊かなリソースを持つチームに
真っ向勝負しても玉砕するのがオチです。

何せライバル達は
レーシングカーの実車が入る風洞実験設備とか
カーボンコンポジットの部品製作に特化した環境とか
マシンを組み上げたらすぐにキャンパス内でテスト走行できる駐車場とか
レース経験豊富なドライバーとか
工科系以外の多様な知識を持つメンバーの採用とか
とても我々には持てないリソースを活用して
パワフルな開発をしています。

対して我々の持っているリソースは
普通に考えたら
「それ無かったらダメじゃん」
という環境なのかもしれません。

でも彼ら、諦めたくないそうです。

なので取るべき道は一つ。

物量を生かした消耗戦のようなこと
つまり、通常考えられる常識的な戦略で
パフォーマンスを向上させるのではない。
真っ向勝負を避けることです。

ゲリラ戦が得意な特殊部隊のような感じかな。
食糧が尽きたら蛇を捕まえて食っちゃうような…
いや、それは違う。

風洞実験設備の例などは分かりやすいかもしれませんね。
そういうのを持っている連中は
ウイングなどの空力デバイスを
かなり高いレベルで作り込むことができます。

設備が無いのに
そういった連中が採用する方法に
一歩足を踏み入れたら
負けが決定します。
シミュレーション止まりのチームでは到底敵いません。

なので
ライバル達が心理的に採用しにくい戦略を採用して
優位性を確保する必要があります。

そのためには何が必要か?

カネや物ではなくて
「人」に尽きます。

まずは、常識にとらわれない自由なマインドとか
強烈なチャレンジ精神かな。
この辺があると強いですね。
というか、これらは必須かな。

あとは、もっともっと学生各自の自律性を高めて
それそれが分散して機動力を発揮しながらも
強いネットワークで結ばれているようなチームとか。

いわゆる優秀な大学の強いチームは
形式知を利用した戦略が得意なので
暗黙知の部分を大幅に強化するとか。

あれ?
結局、ゲリラ戦が得意な特殊部隊ですかね。

まあ、そんなのが理想だと思っています。
言うは易しなのですけどね。

こういうネタを学生と話して擦り合わせて
試行して最適化していきたいですね。
彼らも色々考えてネタを持っているでしょうから。

教員からのトップダウンはダメ
学生に丸投げの放置でもダメ
こういう二元論的な選択はうまくいかないと思います。

教員も学生も
互いに未経験の領域に入っていくのですから
力を合わせて頑張らないとね。

まあ結局は
私ができるのはアドバイス程度で
活動自体は彼らが回すんですけどね。