良い環境を作らねば

地球の環境のことではありません。あしからず。

良い環境で学生を成長させたい

これは全ての学校で考えられていることです。
たぶん。

ここで問題です。

「良い環境」
って何だ!?

これはホントに問題ですよ。

夢工房でやっているような活動の場合
ものをつくることが活動内容なので
プロセスを分解すると

企画
設計
製作
テスト
改善

という感じになって、それぞれに色々なリソースが必要になります。

では、それらがあらかじめ揃っていると良いのか
というと
そりゃあった方が良いのかもしれませんが
そうでもないとも言えます。

強烈な希望があって満たされていない時は
既存のリソースの有無にかかわらず
学生達は凄いことをやります。

場合によっては
自分でリソースを作ったりしてしまいます。

しかし
弱々しい希望と十分な施設
これでは大したことは起きません。

例えば
凄い施設があっても
それだけで学生が頑張るわけではない
ということです。

では
いわゆる優秀な学生がいて
凄い施設があったらどうか?

たぶん、これもそれだけで学生が成長するとは限りません。
「凄い施設」を「知識のリソースとしての教員」
と置き換えても同様でしょう。

回りくどいですね。
結局は、何かが「ある」だけでは何も起きないのです。

どう考えて
どうやるか

ここがポイントでしょう。

過去を振り返れば分かることですが
偉大な成功者達は
幼少の頃から豊富なリソースに恵まれて
優秀な教師に師事してきたとは限りません。

むしろそうでないケースが多いのではないでしょうか。

もちろん優秀な教師に師事して
素晴らしい学業成績を収めて
その後成功した人達もいますが
本質的に重要なのは
「本人の熱意」です。

この場合の「本人」は
学生はもちろん
教員側も含みます。

何でも揃っている恵まれた環境にいて
何かを「やらされて」いたのであれば
本人の熱意は関係なくて
積極性や主体性は縮小していくでしょう。

むしろ
本人の希望に対して
乗り越えるべき壁があり
それらを克服しながら成長し続けていける環境が
「良い環境」
なのですが
そのためには「チャレンジしたい」という内発的な動機が必要です。
もちろん「チャレンジしろ!」という外発的な動機ではダメです。

チャレンジするに当たって
自動的に心に火が付く場合もありますが
心に火を付ける何かしらのきっかけも重要です。

それは、レーシングカーや惑星探査機の
実機だったり
動画だったり
教員や経験者の話だったり

しかし、それだけで十分かと言われると
たぶん十分ではないですね。

そもそも入学してくる学生は色々です。
大学以前の環境がかなり効いています。

夢工房では、学生の滞在時間がかなり長いので
時間を掛けて学生自身が価値観を構築していって
それ以前の環境の影響を
自身である程度書き換えることができます。
もちろん在学中に思い通りにならない場合もあると思いますが
何も無いよりははるかにマシでしょう。
というか、結構いい線行く場合が多いです。

しかし!
大学だけで何とかなる問題でもないとも思っています。

近年では、Formula SAEをやるために入学してくる学生も
一定数いて、大変嬉しいのですが
もっともっとチャレンジできる下地を作って入学してくれると
もっともっと楽しくなるんですよね
というのも発信する必要があると思っています。

何も難しいことではありません。
チャレンジさせられた経験ではなく
チャレンジした経験が重要だということです。
小さなことでも良いのです。
継続できれば良い下地ができるはずです。

もちろん夢工房では
良い環境を作るべく
今後も努力と工夫を継続していきます。

と、こういうことについて
ずーっと考えてきました。
これからも考えていくでしょうけど…

実はこれ、永遠のテーマですね。

まず変な人になりましょう

今日は学生と「武器の持ち方」について話をしていました。
と言っても、銃や刃物ではなく
自分の強み「売り」になることです。

学生が学校で勉強していって得意な科目ができたりしますよね。
まぁ、そういうのでも良いのですが
なにも特定の科目のようなものでなくても良いよね
という話です。

例えば
仕事の早さとか、精度とか
諦めないとかでも良いでしょうね。

近年では個性を認めて多様化を…
という世の中になっているはずですが
本当にそうなっているのかな?

意外と
皆が同じようなことをやろうとしているように
見えなくもない。
そんな気がしています。

もちろん、むやみに人と異なることをやれば良い
というわけではないのですが
もうちょっと色々あっても良い気がするんです。

人と異なる意見を持っていることを知られたくないとか
人と異なる行動を取りたくないとか
そういうのは私が子供の頃に比べて強くなっている気がします。

今や授業の最後に質問なんてする学生はいませんからね。
皆の前で自分だけけが理解できないことが公開されているような気がするのかな。

と思ったので
早速学生に聞いてみたところ
「興味がないから」
だそうです。
身も蓋もないですね。
まぁ、そんなもんでしょうね(笑)
これは先生が反省すべきです。
もちろん私もです。

とまぁ、色々と気になることはあるのですが
ここで愚痴を言いたいわけではないのです。

みんな同じようなことをやってるなら
人と違ったことをやったら目立って良いじゃん!

これですよ。

自己顕示欲も満たされるし…いや、それは別にいいかな。

人と違ったことをやるのは勇気が要るかもしれません。
でも、それをやるとしたら
逆に得することが多いでしょう。
独自性は価値に繋がる可能性が高いし
場合によってはチャンスを独り占め。

中途半端ではなく突き抜けてしまえば
それが武器になります。

仮にやるだけやって
うまくいかなかったとしても
長期的に見れば損はしません。
やったからこそ色々分かることはあるし
継続したことによる自信が付きますしね。

夢工房にいる学生達は
いずれもコンペティションをやっています。

なので、そもそも人と同じことをやっていたら価値が無いのです。
同じことやって勝てるはずないですから。

特に技術的なコンペティションの場合は
先行者と同じやり方をするのは極めて不利です。
相手は多くのノウハウを持っているのに加え
パイオニアならではの
外からは見えない本質を持っています。

何でそうなってんの?
何でそれを始めたの?

その根源の所は
始めた者にしか分からない何かがあったりして
それは追走している者からは見えないのです。
追走している者から見えるのは
外観だけ、うわべだけです。

最初にF1マシンにウイングが付いた時とか
ボディの下面を利用してダウンフォースを得たグランドエフェクトカーなんかは
まさにそういった感じだったのではないでしょうか。

効果が分かるとあっという間に広まったりしますが
それまでは圧倒的な強者でいられます。

ただ、パイオニアの宿命として
始めたら凄い勢いでやり切らないと
そのうち賢い追走者にやられちゃうんですけどね。

なので
勇気を持って頑張って
何かを掴んだら
ダッシュで逃げろ!
ってことですよ。

日頃から
皆と同じように目立たない行動を意識的に取りながら
人と違ったことをやって成果をあげる
なんてのは矛盾してますので
気を付けてくださいね。

之を楽しむ者に如かず ですよ

論語にこんなのがあります。

之を知る者は、之を好む者に如かず
之を好む者は、之を楽しむ者に如かず

知っていることは、好むことには及ばない。
好むことは、楽しむことには及ばない。
という意味です。

そりゃそうだよなぁ
と思いますが
これ、実践されてませんよね。

日本に論語が入ってきたのは1700年くらい前。
論語が書籍として普及したのは600年以上前です。

なので、こういったことは
かなり以前からこういうことを知っていたはずなんですね。
でも、真に受けて実践していたかは別ですかね。

大学の研究者は好きなことを研究しているので
概ねこんな感じになっているかなと思います。

学生はどうかな?

うーん
どうもそうはなっていないように見えますね。

まぁ最近は
親が大学に行けって言うから
みんな行くから
という理由で進学する傾向が多いので
特にやりたいことが無いとか
という学生も増えていると思います。

とはいえ
色々話していくと
何かしらやりたいことがあったりするんですけどね。
色んな理由でそれを押さえ込んでいたりすることが多いです。

何でもいいからやればいいのにね。

「勉強」というと
本当はやりたくもないけど我慢してやらなければならない
みたいな風潮がありませんか?

義務教育なんかは
最低限知っておかないといけないことが中心ですから
四の五の言わんで憶えとけ
みたいな部分があっても仕方ないのかもしれませんが。

あ、勘違いして欲しくないのは
難しいことなんて学ぶ必要ない
と言いたいわけではないのです。

学ぶにしても、もっと良い方法があるんじゃないかな?
そのための努力や工夫がされているのかな?
ということなのです。

学ぶべき内容は
それなりに難しいことなので
必要性を感じられないまま
「これを覚えろ」
「これをできるようになれ」
ではなく

ワクワクしながら
いろいろ挑戦して
必要性が実感できるような授業に変えていけたら良いな
と思っています。

あ、そうか!
チャレンジが無いんだな。
なるほどなるほど。

今は少しずつ試しているのですが
そのうちレーシングカーを作っている連中が
自主的に新しいことを学んでいるような
そんな仕組みの授業ができたら
大学ももっと楽しくなると思います。

うまく工夫しないと
授業にした途端に楽しくなくなる
なんてことも起こりえるんですけどね。

その辺はこれから色々試してみましょう。