PBL

最近、というか
ちょっと前から教育界はPBLが大流行。

大流行ってほどではないか。
学校の学びに導入したいけど、なかなか難しいってところなのかな。

PBLとは
Project Based Learningの略で、問題解決型学習ってヤツです。

学生主体で、テーマを決めてやっつけるヤツです。
なにもいわゆる「問題」を解決するばかりでなく
チームで主体的に工夫しながら目標を達成するというようなイメージで良いと思います。
工科系の大学などなら、ものづくりがテーマになることが多いですね。
皆で工夫しながら何か作るとか。

何でこれが大事なのかというと
学校での学びは、大抵があらかじめ答えが決まっていて
その正解を導き出すという形ですよね。
基本的な知識の習得という面では、そういうのは大事なのですが
でも、実際に世の中に出てやることって
そもそも答えがないものをどうするか
ということばかり。

開発業務なんかはその最たるものです。
どんな製品をつくったらお客さんが喜ぶかなんて誰にも分からないし、確証はどこにもない。
さらに、「新しい製品」は、世に無いから新しいわけで
誰もやったことが無いことをやるのは当然で
当然ながら、どうしたら良いかを教えられる人はいない。
それを何とかするのが仕事です。

学校でいくら学んでも、結局はこういう壁にぶつかっちゃうので
PBLで学びましょうってなわけです。

まぁそうですよね。
確かにそういうのをやるべきですよ。

で、夢工房でやっているFormula SAEとかCanSatは、まさにPBLなんです。授業ではないですけど。
これらは、ずいぶん昔からあるイベントで、PBLとか言い始める前からあるんだと思いますけどね。
何せFormula SAEは40年も前から、CanSatにしても20年くらいは歴史がある。
それだけ長く続いてきたのは、やはりイベントそのものに魅力があって、その効果が大きいからなのでしょうね。

これらのイベントの威力ったらないです。

だって、Formula SAEの卒業生達は、今やレース界はもちろん、世界中の自動車業界の担い手になっている。

そりゃそうでしょう。
だって、学生のうちから小型のレーシングカーとはいえど、クルマ作ってるんですから。
授業で得る知識だけでは作れませんもの。
それを自ら学んでやってしまう。

それを運用する戦略とかはもちろん、品質とか信頼性とか、人間工学的なものとか、授業では全く教えなかったり、教えたとしても実践への適用の機会がないことができるようになっちゃう。

昔は、1台の新車を作ると2年間はイベントに出られたけど、今はレギュレーションの改定に伴って、毎年新車を作らないといけない。
つまり、学部の在学中に4台もクルマ作ってるわけです。
これで会社に入って使い物にならなかったら、お前一体何してたんだ?ってな話しです。
海外の大会に行けば、本物のレーシングカーの開発者や、メーカーの技術者と話ができて、ヘタすりゃ、そういうプロフェッショナル達に技術を教える人達とも繋がりを持てる。

CanSatにしても同様です。
考えに考え抜いた惑星探査機を作って、厳しい審査を通過して、ネバダ州の砂漠まで持って行ってロケットで打ち上げ!
その後は英語でプレゼンテーション。
経験者はJAXAを含む航空宇宙産業で働くケースも結構あります。NASAで仕事している経験者もいたのではなかったかな?
夢工房の卒業生も、飛行機関係の仕事をしたり、某社で本物のロケットの設計をしてたりします。

これらの活動を経験して、何も自動車業界とか航空宇宙業界に行くことが全てでは無いのです。
その他の業界でも、みんな元気に良い仕事してます。
きっと、こういう活動していく中で、「やれば何とかなる!」って気付くんでしょうね。

さて、この手のPBLですが
教える方はどうしたら良いのでしょうね?
これが教育界の抱えている問題なのだと思います。

というのも先日、工業教育についての集まりで、お呼ばれで講演させてもらったのですが、やはり皆さん、その点の問題を抱えてらっしゃることが分かりました。

私なんぞが、そういうエキスパートの皆さんにお話しさせてもらうなんて、おこがましい感じなのですが、そこで分かったのは、こういうのって教えようとすればするほどうまくいかなくなるってことです。

「先生」なんだから、「教えなければいけない」ってやっちゃう気持ちは分かります。
でも、そうすると身も蓋も無くなっちゃうんじゃないでしょうか。

だって、教えたらゴールが定まっちゃうでしょ。
答えが決まっちゃう。
そもそも、その答えを作り出すのが学生達の役目なのに。

恐らく、お題目を先生が決めた時点で破綻しちゃってるんじゃないかな。
何をしたいかは、やる本人が考えて、自身の口から出ないと意味が無いと思うんですよ。
そうしないと、ゴールに到達するパワーは生まれてこないでしょ。
「どうしてもやりたいんだ!」ってならないとね。
人から与えられたものでは限度がありますよ。

というわけで
Formula SAEやりたい!
CanSatやりたい!
という学生は偉いなぁ。
というお話でした。

あれ?違った?

他にも
「先生!オレ、これやってみたい!」
という学生が次々に現れると盛り上がるだろうなぁ。
色んな意味で今がチャンスなんですけどね。

初動と現状

ど根性ガエルのヒロシの先生は、「教師生活25年」だっけ?
あと5年だ!
若いコは知らんか(笑)

大学に来て、Formula SAEをやる学生達と付き合い始めた当初からは、色々考え方ややり方が変わりました。

最初の頃はよく怒ってたなぁ
と思います。

怒ってた理由は
学生に対する期待と現実のズレが原因でした。

始まりは彼らの
「勝ちたい!」
という一言から。

とは言うものの
経験が無いのだから、そのために何が必要か、どうしたら良いかは分からないのは当然で、そこに期待と現実のズレが生じます。

こっちは学生のやったことを評価する立ち位置なので、ああしろこうしろというよりは、「勝ちたいって言って始めたんだから勝てるようにやろうぜ!」という感じなんですけどね。

でも、学生達は精一杯やってくれました。
全く何も無い環境で彼らがやったことは奇跡的でした。
おかげで彼らは伝説的な成果を残せたと思っています。

そして、ありえない奇跡が今日まで続いてます。

他からどう見えるかは分かりませんが
私はそう思ってます。

最初の頃は、限られた時間内で現実離れした成果を絶対に残すことにフォーカスしていたので
かなり厳しい状況だったと思います。

でも、活動立ち上げの時期の創設メンバーってのは、モチベーションが高いのでそういう状況でも耐えていける。

その彼らが大きな遺産を残してくれて、おかげで後輩たちが高いところを自然と目指し続ける環境ができたのだと思います。

初動は大事なんですね。

でも、そんなチームのバックグラウンドをある程度知っている後輩たちは、失敗をせずに効率よく高いところに行けないか、という至って普通な欲求を持ちます。

そんなの無理です。

だって経験無いんだから。

でも、彼らの在学中に、ある程度納得できるところまで行って欲しい。
入学時には経験がなかった新しいメンバーを、先輩たちより高いところに行けるようにするにはどうしたら良いのか。

在学期間は4年と限定されているので、普通に考えたら無理なのかもしれませんが、それでは納得できませんよね。本人は。

でも、第三者が色々とやることを強制してレベルを上げようとしたら、年々キツいことになってパンクするでしょう。

本人の成長を加速させて、自発的に学ぶようにならないとどうになりません。

幸運なことに、時が経つにしたがって学生達は色々と工夫して頑張るようになってきています。

おそらく今年はコロナも終息して活動に勢いがつくでしょう。
この春からの新1年生の加入にも期待できます。
どこまでいけるかお楽しみ!

再始動!

ここ数日、学生達が夢工房に戻ってきています。
よかったよかった!

まずは卒業研究をやっている新4年生の登校がOKになりました。
ただし事前申請が必要ですけどね。

やはり人がいると違いますね。当たり前だけど。

彼らは早速ゴリゴリやってます。

設計、製作、メーカーさんとの調整、オンラインでの後輩の指導、などなど。

そうそう、就活もやってますよ。
オンラインで。

今まで在宅でオンラインだったので、工房に戻ってきても動けるようになるまで時間掛かるかな?と思っていたのですが、杞憂にすぎませんでした。
いきなりロケットスタートです。

部屋には入れる人数は制限されているので、4月になって授業開始になっても3年生以下の全メンバーが同時には作業できないものの、4年生が作業の段取りをしながら効率よく作業が進むようにシフトを組んでいるようです。

こりゃ4月以降が楽しくなりそうですよ。