バイク考 曲がるお話2

前回は簡単に
どういう原理でバイクは曲がるのか
というお話をしました。

その中で
倒して曲がるのだ
ということを言いましたが
今回は
じゃ、どうやって倒すの?
というお話です。

何か初心者向けバイク講座の様相を呈してきましたよ!
今回も分かりやすくいってみましょう。

方法は2つ
倒したい方向と逆にハンドルを切る
曲がりたい方向に重心を移動する
(しておく)

なのですが!
最近、レース関係者の中でも
このどちらで曲がっているのだ?
どちらで曲がるべきなのだ?
というのがちょっとした論争になっていたりするようです。

先日、元世界GPライダーの上田昇さんと
お話しする機会がありました。
その際、この話が話題に上がったのですが
結局
「どっちもやってるよねー!」
という結論でした。

倒したい方向と逆にハンドルを切る
これは自転車と同じく無意識にやっていることです。
もちろん意識的にもできますが。

自転車もバイクも
ハンドルを切ると逆側に車体が倒れます。

例えば
手のひらの上に箒を逆さに立ててバランスを取っている状態で
手のひらを右に動かせば
箒は左に倒れる
それと同じです。
こういうのを倒立振子(とうりつしんし)といいます。

ハンドルを右に切ると
前輪は右方向に移動しようとする
でもバイクとライダーの重心は
動きたがらないので取り残される
で、バイクが左に倒れる
ってことですね。

そのままじゃ
ハンドル逆向いちゃってるじゃん!

そう。
ハンドルは
車体が倒れた後に
勝手に曲がる方向に切れるんですね。
これを
セルフステア
といいます。

一般的には
コーナリング中はハンドルに入力はしないで
このセルフステアを妨げずに曲がるべきとされています。

ちなみに
コーナリング中にハンドルに入力するとどうなるか?

曲がっている方向に切り増せば
バイクは起きてくるし

曲がっている方向と反対に切れば
バイクはより倒れようとします

曲がりたい方向に重心を移動するでは
曲がる前にライダーの体勢で準備をしておく必要があります。
あらかじめ曲がりたい方向の側に体を移動しておくのです。

何もサーキットを走っているレーサーのように
大きく体をずらさなくても
上体だけで良いですよ。

すると
片側が重くなりますので
そっち側にバイクは倒れようとします。

大抵の場合は
曲がる前は直進の状態なので
その間に準備しておきます。

曲がる直前では不安定になっちゃうので
直線状態でブレーキを掛けているときが良いでしょうね。
ブレーキング中は車体が直進・直立状態で安定しようとするので
体を動かすには好都合なのです。
ハードなブレーキングの場合は
これでは間に合わないこともあるので
もっと早めに準備しておきましょう。

体を動かして準備が完了したら
減速に使っていたフロントブレーキを
放していく
するとバイクが移動した重心側に倒れていきます。

フロントブレーキは
減速の道具でもあり
バイクを倒すタイミングを作る道具
でもあるんですね。

なので
最初は減速するために掛けますが
最後はバイクを寝かすまで
軽く引きずっておく
そうしている間バイクは直立して
安定したがりますから。

倒したい方向と逆にハンドルを切る
曲がりたい方向に重心を移動する

いずれの方法でも
バイクが倒れて
希望の角度になってきたら
アクセルを開けて安定させましょう。
アクセル開けないと
旋回も弱いままなので注意してください。

さてさて
冒頭の方に書いた
上田さんと話した
「どっちもやってるよねー!」
ですが
これはもうちょっと次元の高い話です。
原理的には全く同じですが。

どういうことかというと
サーキットを走っていて
例えば直線の終わりなどで強烈な減速をして
曲がっていくわけですが
そういうときの話です。

教習所では
「直線でブレーキ操作は終えておきましょう」
と教わりますが
それをやっちゃうと曲がるきっかけが掴めないし
レースだとタイムが稼げないので
ハードブレーキング状態から
ブレーキを放していくと同時に
バイクを倒していきます。
減速から連続的に旋回に入るんですね。

ブレーキングの最中は車体が起きようとします。
ブレーキを強く掛けるほど強く起きてきます
で、最近は
車体もタイヤも性能が上がってきているので
結構強くブレーキが掛かっている状態でも
ハンドルを曲がる方向と逆に切って
旋回に入れるんですね。

それとライダーの体重移動の両方を
曲がるきっかけにしてるよね
という話です。

昔は
ハードブレーキングの後半で
ブレーキをリリースすると同時に
スッと旋回に入っていったもんですが
最近だと
結構強引な感じでグリグリいける感じですね。

でもこれは
サーキットの話です。
公道で頑張りすぎると危ないですよ。

バイク考 曲がるお話

以前バイクについての投稿をしました。
他にも自分が気に入ってる
バイクの面白さと難しさについて
書いておきたいと思います。
バイクに乗ったことがない人にも分かるように
簡単に書きますね。

バイクの面白さと難しさって
表裏一体だと思うんです。
まぁ、何でもそういうもんだとは思いますが。

誰でも同じようなことをして
同じような結果が簡単に得られるなら
恐らくバイクに乗ってない気もします。

まず難しくて面白い筆頭にあげるのは
コーナリング
曲がるときです。

バイクの曲がる原理は
「キャンバースラスト」
ってヤツです。

別にそんなに難しいことではなくて
例えば
バイクのタイヤをコロコロって転がします
まっすぐ立って転がっているときは
まちろんまっすぐの軌跡で転がっていくのですが

いったん倒れ始めると
倒れた方に曲がっていきますよね。
アレが原理です。

ということは
バイクは倒さないと曲がらないのですよ。

でも
タイヤが2個しかない乗り物だから
不安定で転倒が怖いわけです。
でも倒さないと曲がらない。

心理的に抵抗ありますよね。
難しいってことです。

バイクに乗って
カーブに向かっていくとします。

曲がるためにはバイクを倒す必要があります。
でも転倒が怖いので倒さないと…
曲がらずにカーブに突っ込んで
もっと怖い結果になります。

ほら、どうですか?
人生みたいでしょう(笑)

怖いからとか
面倒だから
なんて理由で
やるべきことをやらないと
ソイツは恐ろしいモンスターに成長して
あなたに襲いかかってくるわけです。

でも
蛮勇をふるって
無茶なアプローチをすると痛い目にあいます。

でもまぁ、そういうのは勉強ってことで。
限界って目に見えないので
やらないと分かりませんから。

まずはイメージして
適切(と思った)タイミングで
迷わずにスパッと決める。
うまく決まれば気持ちいいですよー。

2007 NSF100 HRC Trophy MOTEGI Round 1 優勝

最後に選手権(シリーズ戦)に出てたのはもう13年も前になるんですねー。
最後はミニバイクでした。写真のゼッケン6です。
このときは雨のレースでで優勝!
雨のレース、好きなんですよ。
このお話も機会があったらさせてもらいましょう。

バイク考

趣味は何ですか?

と聞かれたら
バイクです。

クルマも大好きで趣味にしたいけど
今はバイクかな。

16歳の誕生日に免許取ってから
ずっと乗ってます。

レースもやりました
メカニックとしても
ライダーとしても。

飽きないですねぇ。

あんな危ないもの乗って
バカなんじゃないの?
って言われたら
返す言葉もありません。

いや、返す言葉はありますね
「たぶんバカなんでしょうね」
かな。

と、そんな自虐的なことを言いたいわけではなく
何でバイク乗ってんの?
ということなんですが

これには理由があります。

面白いからです。

初めてバイクに乗ったとき
面白すぎて笑ってしまいました。
「こんな面白い乗り物が世の中にあるんか!」
と。

右手一つで
むき出しの体が凄いスピードで思った通りに移動する感覚
実際は50ccなので凄いスピードではなく
さらに初心者なので全く思った通りでもないのですが
そのときはそう感じたのです。

それからいろいろ経験して
痛い思いもしましたが
やはり面白い。

面白さの一つは
自身をコントロールしている感覚です。
道具としてのバイクをコントロールする面白さもありますけどね。

バイクは危険な乗り物なので
死なない領域に常にとどめて
その中でいろいろコントロールする必要がある
ってところです。
自分自身を自分自身で。

あれ?
これこそが自由だ!!

いろいろチャレンジもしますが
死なない領域にちゃんと留めておくのは前提
そしてイメージを描いて
それを実現するように操作することの繰り返し

で、
思った通りになったり
ならなかったり

「完璧」という感覚は得られないので
常に色々トライしている感じです。
やってもやっても先がある。

修行僧ですね(笑)

なので
バイクでツーリングなんかすると
景色見たり
おいしいもの食べたり
温泉入ったり
という楽しみよりむしろ
走っていること自体が楽しいのです。

最近で言うと
住んでいる埼玉から出て
24時間以内に
北海道最北端の宗谷岬まで
1500km走ったり

真夏のオーストラリアで
1週間で3700km
途中では気温45度の砂漠を数日走って
死にそうになる(ちゃんと危機回避はしてます)

とか変なチャレンジしてるんですが
これは快楽的なお楽しみ要素はほとんど無いです。
でも楽しいです。

山に登る人とか
マラソンしている人もこんな感じではないのかな?

「そんなバカなことやってる人間と一緒にすんな!」
と言われたら謝るしかないですけどね。

「脳トレ」で有名な川島先生が仰ってますよね。
「バイクに乗ると脳が活性化する」って。

あれ、本当ですよ。
バイクで通勤すると
朝から脳みそギンギンで仕事できますもん。

あ!そうか!
最近クルマで通勤してるから頭悪いんだな!!
いや、それは生まれつきだわ。