漂流記からの気付き 2

なぜ万次郎や彦蔵は
仲間達と同じように救助されながら
特別な経験ができたのか

そこには現在も通用する大事なものがある
と気付いたのが前回

今回は
特別な経験ができたのだから
運が良いのは違いありませんが
その運は、彼らの持つ資質が引き寄せていたのでしょう
というお話しです。

万次郎も彦蔵も
船に乗っていた中では最年少であって
しかも、たまたまちょっと乗ってみた時に難破してしまいました。
よって、知識や経験は仲間の中で最も乏しかったはずです。
なので、実力うんぬんという話ではありません。

彼らの信じるもの、感じることに従って心が動き
その行動の結果が幸運となり
特別な経験になったのでしょうね。

二人とも親のように面倒を見てくれるメンターとの出会いがありますが
そのような巡り合わせも自身の持つ精神とか心に起因しているはずです。

二人の漂流記を読んでいると
結構、共通するところがあります。

例えば
「一緒にアメリカに行くか?」
のような、ひょっとすると将来を
大きく変えてしまうような問いに対しても
「行く!」
と即答するようなシーンが何度も見られます。
特にアメリカ行きを決める時には
十分に言葉を理解できない状態で
身振り手振りでの意思疎通の段階で決めています。

即決は何事もうまくいかせるものですが
好奇心の強さが未知の恐れに勝っているということでしょう。

現地では色々とうまくいかないことがあったり
やりたいことが出てきたりしますが
その際も即決して行動しています。

もちろん失敗したり利用されたり
ひどい扱いをされることもありましたが
決してめげずに頑張っていると
援助者が現れたりして、最終的には何とかなっている。

素直さと行動力に長けているわけですが
即断即決で即行動するからこそ
成長が早く、現地の環境にも順応できたのでしょうね。

度々出てくるのが、周囲からの親切を実に敏感に感じ取っていることです。
もちろんそれに恩義を感じてその後の行動を取るわけですが
この義理堅さに相手も応えることになるわけで
こういう行動が強力な人間関係を形づくることになったのでしょう。
なので、本当に困ったときには
必ず誰かかが手を差し伸べてくれる。

鎖国の時代は、日本人のステータスなど全く無かった時代ですので
少年である万次郎や彦蔵の持つ「徳」が
彼らの特別な境遇を形づくったということになります。

と、今回はこの辺で。

漂流記からの気付き

ジョン万次郎の漂流記は今まで何冊か読んでいて
今は浜田彦蔵の「アメリカ彦蔵自伝」を読んでいます。

万次郎は14才で難破して渡米
彦蔵は13才で同じく難破して渡米
なんとほとんど同じ年齢なのですね。

そして二人とも
アメリカで親のように面倒を見てくれる人があり
教育を受けて働いています。
もちろん、その内容はかなり異なりますが。

彼らは、仲間と共に遭難しているところを救助されていますが
特別な経験をするのはその中の一人だけでした。
他の仲間達は、万次郎や彦蔵のような
言ってみればディープな経験はしていません。
(とはいえ、数年間を異国で生き抜くわけですから
全く普通の経験ではなく、むしろディープなのですが
ここでは相対的にということです)

彼らの漂流記を読んでいて思うのは
一体何がその違いをつくるのだろうか
ということです。

二人は漁師の倅だったり船乗りの倅だったりするわけで
日本では特別な教育を受けていたわけではありません。
それは同時に遭難した仲間達も同様です。

となると、やはりマインドとか
心のありかたがポイントになりそうです。
というか、それは間違いないと思います。

そしてそれは、150年以上経った今でも十分通用するどころか
むしろ今の日本人が失いかけている大事なものなのではないかな
と思っています。

うん、何か見えてきましたよ。

知恵って何だ

知恵って何でしょう?

辞書を引くと色々出てきますけど
どうやら単なる知識のことでは無さそうです。

色々と経験した末に
それらを利用して得られる知識とか工夫とか
そんなニュアンスですかね。

あと、頭脳だけでなく
心の働きも関係しているような感じです。

そもそもは仏教用語らしいですが。

どんなときに知恵を絞る必要があるか

それはたぶん
心の働きがあるときではないかと思うのです。
特に強烈に心が動いていなくても
ちょっとした時に発動することもあるでしょうけど。

平穏無事なときは
知恵は必要とされません。

多くの知恵を働かせることができる人は
多くの経験を持っていることでしょう。

熱意を持って行動していて
壁にぶつかったとき
そんな時は知恵を絞る必要があるわけで

そんな経験を沢山していけば
知恵の引き出しが増えるのでしょうね。
単に知識が増えるのとは
ちょっと違います。

なので、頑張るエンジニアで
失敗経験の多い人は
知恵の引き出しをたくさん持っています。

困難や失敗を避けるための知恵もあっていいと思います。

でも、どうしても避けられない困難や
絶対にリカバリーしなければならない失敗を
乗り越えるために身に付けた知恵は
実践からしか身に付かないのです。

なので、学生には
リスクがあったり
困難や失敗があったりしたら
ザリガニみたいに猛烈にバックするような
そんな生き方はしないで欲しいな
と思っています。

そんなの面白くないし格好良くもないですもんね。