考え方が逆だぞ

ものをつくる学生の面倒を見ていると
なかなかやっかいな…
というか
これ、何とかならないかなぁ
と思うことがあります。
というか、毎年あります。
新入生は、ほぼ100%
このケースに当てはまります。

それは
考え方が逆だぞ
ということ。

今まで何度か記事にしていますが
きっと今後もこの内容の記事を書くでしょう。

ものごとを考えるとき
「結局どうしたいのか」
というゴールから考えずに
手元から考えたりするのは
逆です。

未来から逆算して
そのために何が必要かを考えて
今、どうすべきかを決めるのです。

特に、ものをつくるとき
このアプローチは重要です。

どんなものが欲しいか
とか
今、何をすべきか

それで何をしたいかとか
どういう成果が得たいかとか
いつ、どのような完成形が欲しいか

という「ゴール」によって決まります。

いつ、何をすべきかという日程は
今現在を起点として
未来に向けて組み立てるのではありません。

いつ、最終的な形になっている必要があるのか
で決まります。
そのためにどうするかを
未来から逆算して
現在まで遡って決めていくのです。

一つの小さな部品は
どのような完成形が欲しいのか
で決まります。

なので
「とりあえず今、この小さな部品を作ってみよう」
なんて考え方、やり方はあり得ないのです。

だって考えてみて下さい。

期限も最終形も決めないのに
最小単位の部品を作ってみて
それを繰り返したら
一体どうなりますか?

いつ完成するか分からないし
一体どんな完成形ができるか分からないでしょう?

もう一つ問題があります。

現状の能力をベースに
最小単位の部品を作って、作って、作って…

その部品達は、全て現状の能力なりの性能しか持っていません。
今、知っていることをベースに
今、できることを繰り返しただけです。

いくらやっても自分の能力は向上しませんし
大して良いものにはなっていきません。

よく
「まずは、今できることから」
と言います。

時と場合によって
また、解釈によっては間違いではありません。

「今できる最大限のゴールをセットするなら」
という意味であれば。

「今できること、今知っていることでやってみよう」
は危険です。

成長過程においてチャレンジをすべき時に
それをやっちゃうと
労力の割に報われない結果になって
成長が最低限になります。

いつまでに、どのようにする必要があるから
こういうものが、知識が、経験が必要だ
となれば
今現在持っていないものを手に入れる必要が生じるわけで
そのための努力をするから
能力が身に付いて成長するのです。

未来の計画を立てるとき
今現在持っているものだけで構成すると
一生同じことしかできません。

違いますか?

「頑張った割に、なにか形になってこないなぁ」
という感覚を持っている場合
今回言っているような
「考え方が逆」
になっている可能性があります。

と、こんなことを毎年1年生に説明する必要があるのですが
そろそろ何とかならないかなぁ
と思うのです。

こんなことは、もの(物体に限らず)を作る仕事をしている人なら
ごく当たり前のことだと思うのですけど
学校では、そういうことは教えませんものね。
しょうがないのでしょうか。

なんでもルール化すればいいってもんじゃない

我々はルールの中で生きています。
生まれたときからルールがありました。

やっちゃいけないことを決めておけば
不快な思いや危険な思いをしなくて済んだりしますし
やるべきことを決めておけば
皆に都合が良かったりします。

ずっと時を遡って
縄文時代までいったら
明文化された法律みたいなものは無いにしても
きっとルールはあったでしょう。
村の掟
みたいな感じで。

本当は、そんなものが無くても
皆が気持ちよく過ごせれば良いのでしょうね。
皆が他を慮って。

モラル(道徳)で対処できれば
それが一番良いのでしょうけど
なかなかそうもいきません。
人は皆異なる価値観を持っていますから。

さて、仕事ともなると
業務内容をルーチン化することによって
効率が向上するもんだから
マニュアルが登場します。

それにしたがってやれば良い、と。

危険な作業を伴う業務などは
ルールやマニュアルに従うことで
ある程度はリスクを回避できたりしますし
ノウハウをマニュアル化することで
業務の内容が向上したりします。

反面
ルールやマニュアルがあると考えなくなる
という側面もあって
こうなると業務内容の向上は難しくなります。

「言われたことをやればいい」
みたいな感じになるのですね。

これは、行動が問題になるというより
そういうマインドが定着することが問題なのです。

「言われたことをやればいい」
というのは
「人が決めたことをやる」
ということです。

自分では決めない
ということです。

つまり
自由ではなくなる
ということです。

「自由」とは
自分に由る(よる)
ということで
自分で決める
ということですから。

なので、言われたことや決められたことを真面目にやる人が
アイデアを出せなかったりするのは
その辺が理由だったりします。

というわけで
言われたことをやるのが苦手な人は
アイデアで勝負する方向で頑張ってみたらどうですか?

そのために必要なのは
やはり「引き出し」ですね。

なので、とにかく手数(てかず)を増やして
経験の数からアイデアを導き出しましょう。
それしか無いです。たぶん。

変えなければそのままだ

「現状に満足しているか?」
と自分にそう問いかけて

満足しているなら
この先は読む必要はありません。

満足していないなら、次は
「今のままで大丈夫か?」
です。

現状のやり方や方向性でいいなら
そのままハードにプッシュしましょう。

ダメなら何かを変える必要があります。

「やり方や方向性がダメだ」
となったら
そのままハードにプッシュしたら
ダメな方に行っちゃいますから。

当たり前でしょう?

当たり前なのですが
これがなかなか難しいのです。

そもそもの話ですが
自分の現状に対して
疑いを持ったり確認したりなんて
意外とやらないものです。

自分が「普通」にやっていることに対して
危機感を持ったり
問題意識を持ったりなんて
なかなか難しいことなのです。

「普通」を意識するのは難しいのです。

だから
視座を変えて、自分を客観的に見るのが大事だよ
なんて言うのです。

もし、すでにやってるなら
あなたは偉い!

そして
現状の確認なんてしちゃったら
大抵は満足いってないことに気付いちゃいますから
何かをやらなきゃいけないのです。

その何かは「変化」です。

これも難しいですよ。
多くは変化を嫌いますから。

だからなおさら
現状の確認なんてしたくなかったりします。

さて、こういうのも
「能力」と言っても良いのかもしれません。

そういう能力を早くから身に付けている人もいれば
全くそういう見方、考え方ができない人もいるでしょう。

あと、現状の認識ができても
果たして実行ができるのか
という話もありますね。

そういうことができるようになりたいなら
工夫して頑張ってみればいいと思います。

新しいものを作り出す仕事をしたいのであれば
きっと役に立ちます。
というか必須ですから。

「そんなの当たり前だろ」
という話なのですが、結構忘れがちなので記事にしてみました。