お誕生日会@銀座

今日は銀座で、お師匠さまの佐野先生のお誕生日会でした。
本当は10月だったのですが、諸事情により今日でした。
私も誕生日が同月なので、ついでに祝ってもらいました。
以前は毎年実施していたのですが、コロナ禍により3年ぶりの開催です。

その前に、あちこちブラブラしてましたが。

超絶技工展なんてのに行ってみたりして…

月下美人の花は、鹿の角と木からの削り出しだったり、スルメも一本の木からの削り出しだったり、工具は漆器だったりします。実に超絶でした。

銀ブラなんてのは、私の世代でも死語ですが…

で、お誕生日会です。

私の自動車工学研究室は、佐野先生時代から引き継いだものなので、若い衆も集まりました。

佐野先生、お元気そうで何よりです。

そうそう!
佐野先生、日本の自動車殿堂入りをされたのです。
正式な祝賀パーティーは改めて実施する予定ですが、そのお祝いもできて良かったです。

卒業生達は、揃って驚くような立派な仕事をしていて大変ハッピー。
お陰様で、大変良い夜を過ごせました。

再起動のカギ その3

さて、ではアウトプットをどうすれば良いかというお話しです。
内容は一般論のつもりで書きますが、かなり夢工房寄りかもしれません。

問題は2つあると思っています。

1つめは「面倒だから」アウトプットしたくない。
これまで長い期間、授業と言えば画面を見ているだけで良かった環境から、自分から発信しなければ何も起きない環境に移行したのだけど、今までの習慣が抜けないってのはあるでしょう。

2つめは、価値観の問題です。
ここで言うアウトプットは、発言するとか何かを作るとか、そういったもの全般を指しています。
で、ビギナーがチャレンジしている環境でのアウトプットなんて、大抵はうまくいかないものです。知識も経験も不十分なのだから当然です。
当人もそれはよく分かっていて、うまくいかなさそうなものはアウトプットしたくない。
気持ちは分かります。
なので、うまくいきそうになるまで考え続けるわけです。
でも、「自分の中」にはうまくいくためのネタは無い。だからこそ考え続けるのですが、無いものは無いわけです。
そんなことをやっている限り、どんなに考えても思考や行動は磨かれずに時間切れになります。
これが良くあるケースです。

ここでちょっと考えてみましょう。

「うまくいく」ってのは何でしょうか?

夢工房の場合なら、イベントでの優勝とかそういうことなのですが、大抵は「時間内に欲しいものが手に入る」ということで、レースのスタート時に、必要なマシンの性能、ドライバーやクルーの技量などが欲しいレベルに到達していることです。

そうなれば準備段階は「うまくいった」ということになります。
それによって優勝したら、トータルで「うまくいった」ということで、ゴール到達です。
なので、そのための各作業なども「時間内に望んだ状態になる」ということが必要です。

しかし、ビギナーはそのためのパフォーマンスが不足しているわけです。
なので、早急にレベルを上げる必要があるのですが、そこで問題になるのが価値観です。

こういう活動を始めたビギナーの価値観は、2つがせめぎ合っています。

  • 早くレベルを上げたいとか、優勝したいとか、ポジティブ側のもの
  • 間違えたくないとか、怒られたくないとか、ネガティブ側のもの

この後者が強力なのですね。
今までの生活で身に付けた、この価値観が足を引っ張ります。

  • 正解以外は言ってはいけない
  • 失敗はダメなことだ

この価値観がある限り、正解を出せるようになるまでは、報告も連絡もできません。
不完全な状態を理由に相談するなんてもってのほか。
失敗するかもしれないことをやるなんて、とんでもない!

でも、不十分だろうが、勘違いだろうが、ダメな現状だろうが、それをアウトプットして評価を受ければ、どれくらい不足があるのかとか、何がどれくらいダメなのかは明確になるわけで、それをベースにどうしたら良いのかという戦略は立てられます。

「数打ちゃ当たる」という言葉もありますが、ダメでもとにかく数を打っていれば分かってくることがあります。

特に、何をするとダメなことが起きるのかなんてのは、とても貴重な情報で、まさにこれが経験知の重要な一部となります。

まだありますよ。
これも今までの生活で身に付けた価値観の一つで、恐らく無意識下で発動していると思うのですが…

失敗したら、「うつむいて反省(悲しそうな顔を)しなければならない」と思っていませんか?
そうなりたくないから失敗をアウトプットするわけにはいかない、と。

学校で言われたでしょう?
「お前!反省してんのか!?」
なんて。

そんなの反省じゃないですから。
うつむいたって、悲しそうな顔で過去を振り返ったって、何も良いことは起きません。
そもそも、悲しい思いでなんて、未来に活かすことはできません。

経験をネガティブなものに分類してしまったら、それは再利用不可能です。
これ、以前も記事にしましたが。

失敗だろうが何だろうか、何か新しいことを経験して知ったわけですから、「おぉ、なるほど!」とでも言っちゃえば良いじゃないですか。

そもそもパフォーマンスを上げるには何が必要なのかという話なのですが、簡単に言っちゃうと、それは現状からの変化です。
不十分な自分からの変化、できない自分からの変化です。

そう、「変化したくない」が無意識下で発動しています。
「変化しないままで、望んだものが手に入らないか」という、訳の分からないことになっています。

これが「変化したい!」に、変化すると最強なんですけどね。

再起動のカギ その2

前回では、アウトプットのスキルに着目しました。
今回は、コレが問題の本質の一つであり、解決のカギともなるだろうというお話です。
夢工房でものづくりをする学生達をモデルケースとして話を進めます。

彼らは、狙ったゴールへの到達することが目的な訳ですが、到達したことのないゴールなのだから、どうしたらいいか分からないわけです。

なので、どうしたら良いか考える・実行する、というのを繰り返すわけです。
ゴールに到達するまで。

ゴールに至るまでは、選択の連続です。まるで木の根のように、根幹から次々と枝分かれして、その先端に向かいます。

その過程にあるのは、選択と実行なのですが、そのいずれも知識やスキル、想像力などの要素というか、能力が要求されます。

当然、それらを磨いていかないと先端へは向かうことはできません。
スタート時点に持っている能力では、ゴールへは到達不可能です。
不足している能力をどうするかという問題が発生します。
チャレンジって、そういうものですけどね。

不足が発生したらどうしましょう?
考えてダメなら「調べてみる」ですね。
自分の頭の中で解決できなければ、当然やるべきことでしょう。

ここで、自分の外側のリソースに向かって手を伸ばすわけです。

まずはどうしましょう?
もちろん最初は「ネットで」ですかね。

まぁ、それも良いでしょう。
でも、ネットにあるのは誰かの過去の経験の一部だけ。しかもいわゆる形式知に限定されています。
さらに言うなら、情報の正確性やレベルもよく分からなかったりするかもしれませんね。

じゃぁ、書籍か?
それも良いですね。ある程度、情報の確度は高いでしょうし。
そんなふうに頑張って調べるのは大事です。

チームの仲間に聞く?
それも大事かもしれませんが、自分と同等の経験しか持っていない者に聞いて、求めるレベルの情報が得られるのでしょうか?

ここまででも選択肢の数としては、そこそこあるわけですが、それでも分からなかったり解決しなかったりすることも多いはずです。

さぁ、どうする?

どうなるとおもいます?

そのまま密かにレベルの低いことをやって黙っている。
そして締め切りを向かえる。時間切れです。

そういうケースが増えてきています。
本人はベストを尽くしたつもりかもしれませんが、これ、何度繰り返しても大してレベルは上がりません。
「自分的に」今できることをやっただけだから。

これ、どういうことになっているかというと、木の根で例えるなら、根幹からあさっての方向に向かっていることに気付かずに、次々に楽な選択肢を選んだ結果、遠いとおい所にたどり着いちゃった、というような状況です。
もう「振り出し」にもどる時間も残っていません。

では、どうするべきだったのか?

とにかくアウトプットしまくれば良かったのです。
思っていること、決めたこと、やっている現状などなど。
企業で言うところの、いわゆる報連相です。

それができていれば、仮にあさっての方向を向いたとしても、すぐに修正の必要性に気付けるでしょうし、選択肢が出現した際の選択のセンスも磨けたでしょう。

相手はチームでも良いでしょうし、開発者として活躍している卒業生でも良いでしょう。
それに、私はそういう時のためのアドバイザーなのです。

でも、それができずに到達したのが今の状態です。

ただでさえ学校ではインプット専門の訓練をされていることに加えて、コロナ禍の自粛でそれが強化されたために、アウトプットする能力はかなり低下していると思います。
私自身も、それを感知する能力が低下している気がしています。
これを何とかしなければなりません。

正直なところを言っておくと、この「アウトプット能力の不足」は、ずいぶん前から気付いていました。
でも、手を付けにくいところなのです。

この状況に対して「指示してやらせる」をやってしまうと、彼らは「言われたことをする人」になります。
これは避けたかった。

なので、彼らのやり方でやらせてみて、結果がどうなるかを実感して、そこから再起動して欲しかったのです。
そうこうしていたら、そこにコロナがストライクしたわけです。

続く