下がったときに試される

何かものごとに取り組むときに、面白かったり困難に遭遇したり、色々あります。大抵は。
面白いことばかりで、困難なんて一切無いことなんて、そもそも大して面白くもならないものです。
何より自分が磨かれないので成長しませんし。
結局、やり甲斐は生まれません。

面白い時なんてのは、うまくいっちゃってるので別に問題にはなりません。
大事なのは、うまくいかないときの過ごし方にあるのでしょうね。
何をやってもダメだ、みたいな時はあるもんですが、それでも逃げずに続けていれば、大抵はなんとかなるもんです。継続は力なりってヤツですね。

昨夜のお誕生日会では、卒業生達とそんな話もしていました。
彼ら、夢工房では夢を追いかけながらも、かなりタフな日々を過ごしていたわけですが、逃げずに踏みとどまっていたからこそ、今は面白い仕事ができている、というような話題が結構出てきていました。

同時に話題に上がったのは、最近は何かキツいことがあると、すぐに「ハラスメントだ」とかそんなことになっちゃうようで、普通にやってたらタフな状況を乗り越えて成長するなんて機会はかなり減ってるようですね。
面白い仕事なんて、大抵は何かしらのキツさとセットになってるもので、だからこそやり切ったときの満足感とか充実感があるのだし。

キツいこととか難しい状況とか、そういうのに遭遇すると「自分には向いていない」とか、何か他のもののせいにしちゃうなんてのは、昨今に限らず良くある話なのですが、そこでの考え方とか選択が自分の未来を決定的にしているのだなぁ、そういうのも才能ななんだよなぁ、なんて思って彼らの話を聞いていました。

ところで、ウチの卒業生達は、機密度の高い研究開発なんかをやって連中が多いもので、仕事の具体的な内容や細部は一切聞けませんし、私もそういうのは聞かないってのが癖になっています。

彼らの話を聞くときに大事なのは、関わっている細部ではなく、どういう気持ちで仕事に向き合っているのか、というところです。
彼らの表情を見たり話を聞いていたりすると、エンジニアって良い仕事だよなぁ、なんて思うのです。

で、彼らの羨ましいところは、自分の現状を一通り話したところで、「佐野先生の頃はどうだったんですか?」なんて聞けるところです。
量産開発はもちろん、運動性能や安全技術、果てはF1マシンの開発まで経験した、世界的に有名な方に、そんな風に気軽に話を聞けるなんて…ねぇ。