FSAEオーストラリア大会 イベント初日 車検

日本は3時だよなぁ、と思いながら5時に起床。気温は16度。
いよいよ今日からイベントがスタート。
今日は丸一日をかけて車検です。

まずはテック・インスペクション。これは車体の構造、スペアタイヤやドライバーの装備など、技術的な内容を検査します。
Formula SAEの車両規則は結構シビアで、多くのチームがこの検査でつまずきます。
そうなると、その後のイベントに次々と影響が出てくるのです。

その後は燃料を給油して、ティルト・テーブルといって、台に載せたマシンを傾斜させて擬似的にコーナリング時の状態を作り、燃料などの漏れや、横転限界の確認。


最後に車重を測定して本日のスケジュールは終了。

車体に貼られたステッカーが車検の通過状況を表すのですが、イエロー、グリーン、オレンジ各色のステッカーが並べば今日の車検は終了。
上の大きな白いステッカーの右端にある手書きの数字が車検通過時の車重です。
160.5kgは参加車中最軽量でしょうね。

当チームは、4年生、3年生、2年生が1名ずつ。他の6名は1年生と、1年生主体のチームの割には素晴らしいペースで車検をこなしていきました。

これまで何度か記事にしましたが、当チームは過去の技術継承がうまくいったとは言えない状態ですので、色々と懸案があったのですが、今大会では全てのメンバーが積極的な動きを見せ、予想外の展開となりました。良い意味で予想を裏切ってくれましたね。

車検は18時までオープンしていましたが、我々は2時半には本日の予定を消化。
残りの時間を明日以降の準備のために使えることになりました。

明日は車検の残りの項目である、ブレーキ・テストと、排気騒音チェックのノイズ・テスト。これが終われば会場内でのテスト走行が可能になります。

また、それらと並行して、スタティック・イベントと呼ばれるマシンを走らせない、プレゼンテーション、デザイン、コストの3つのイベントが行われます。

ちなみに、今回の参加国は、地元オーストラリア、インド、インドネシア、台湾と、我々日本の合計5ヶ国です。

最近の傾向を踏まえた戦略

コロナ禍は、ほぼ落ち着いた…と思ってますが、どうでしょう。
現状では、まだそうは言い切れないのかもしれませんが、遅かれ早かれ落ち着くときが来るのは間違いないでしょう。

学校に勤める身として気になるのは、このコロナ自粛期間の影響が学生達にどのような影響を及ぼしているのか?彼らはどうなっちゃっているのか?ということです。

それはもう、環境によってそれぞれなのだとは思いますが、色んな所からの情報を得て、何となく全体的な傾向は掴めているとは思っています。

で、一体どうなっているのでしょう。

コロナ禍前には、全体的に大人しく真面目な傾向になっているな、と感じていました。
恐らく、親も先生も扱いやすく、管理しやすくなっているな、と。
これ、あまり良い傾向だとは思っていませんでしたが。

そしてコロナ自粛がやってきて、その傾向がますます強まった気がしています。
ますます大人しくなった。

オンライン授業やら、諸々の自粛によって、コミュニケーションスキルが低下して、受け身で守りに入る傾向で、そもそも経験の数が増やせませんでした。

そりゃ仕方ないと思います。
これは学生に限ったことでは無いでしょうけど。

行動を抑制される時期が続けば、基本的には抑制された状態が習慣化してしまうでしょう。それが3年とか4年も続いたのですから当然です。
もちろん、その反動が出ることもあるでしょうけど、全体で見れば大したことはありません。

こういった状態は、あまり好ましいことではありません。
こと、開発職を目指して頑張るような環境では大問題です。というか、ものを作る環境で、皆が受け身で守りに入るってのは致命的です。

で、これは確かに問題ではあるのですが、以前から言っているようにチャンスでもあります。
ただし、そこに気付いている者だけにとってですが。

差別化とか希少性とか、そういったアドバンテージを作ると、相対的に優位性を作りやすいからです。
ただし、実際にやるとなると、身に付いてしまった習慣を破っていく必要があるので、勇気とかモチベーションとかは必要になりますが、裏を返せば、今まで高い評価を得てきたいわゆる優等生の持っていた価値が低下して、アクティブなヤツが大きな優位性を得られるチャンスだと言うことです。

これは、ウチだけが抜け駆け的にうまいことやっちゃおう、と考えているわけではなく…いや、ちょっと考えていますが、これからはそういった人材が求められるのは、ほぼ間違いないでしょう、ということです。

だって、そういう人材は常に必要なのに、今は極めて少なくなっているはずなのですから。
なので、うまいことそういう流れを作れれば、多くのチャンスを得られる可能性が高いわけです。

重要なキーワードは何でしょう。
スピードとか、パワーとか、粘り強さとかですかね。あと、広い視野とか高い視座。
シンプルで泥臭くて当たり前かもしれませんが、恐らくその辺はコロナ禍の自粛環境下で抑制されたり、求められなかったりしたものなので、多くが失っているはずです。

これらが外れていても責任は取れませんが、いずれにせよ、そういったことは時代を問わず重要なことです。今は特にそれが求められていると思います。

ARLISS 2023 帰国

お陰様で今回も無事に帰国しました。
成田へは定刻より1時間も早く着きました。気流の影響でしょうか。
とはいえ、飛行機でアメリカに行くってのは、半日近くもイスに座ってじっとしてなきゃいけないわけで、いくら飛行機好きでもそこそこ堪えるものがありますけどね。

今年の成績は4位で、ゴールまでの到達距離は昨年の2倍と、それだけを見れば残念な結果かもしれません。しかし設計上の限界距離の5kmも走行できたことや、さまざまな課題が明確になったのは大きな収穫でした。

結局のところ、「技術的な課題」に限らず、各種の課題や問題なんてのは、その多くが「思い」や「考え方」に基いているわけで、やはり人間的な成長が重要なんだよなぁ、なんてことを今回も実感したわけです。もちろんそういったことは、学生に限らず自分にも言えることですが。

でも、そんなこともやってみないと分からないことだらけなわけで、こういう海外遠征なんてのは、そういったことを一気に浮き彫りにする良い機会なのです。

それに出場各校のレベルが向上しているのも確かです。コロナ禍後の大会で、再び盛り上がりの兆しが見えているのは大変良いことだと思います。

さて、コータロー率いるTDU Space Project、次は3月の種子島ロケットコンテストがターゲットです。果たして何をどこまでできるかお手並み拝見ってとこです。