オーストラリア大陸縦断2023 Ride day 4 Pimba to Marla

やはり朝は寒いです。
朝7時に起きたら7度。バイクは夜露でびっしょりでした。
今日は600km北のマーラ(Marla)に行きます。
弟子バイクのライセンスプレートの補修を確認して出発です。
ちょっと頼りない気もするのですが、振動で割れたわけなので、こういうのはむやみにガッチリ固定しないのが正解かもしれません。

道は、途中のエアーズロックに行く以外は、スチュアートハイウェイをひたすら北上するのみ。
走行速度は法定速度の110km/h。
道は片側一車線で、多少のカーブやアップダウンはあるものの、ひたすら真っ直ぐと言っても良いでしょう。
でも、皆がほぼ法定速度で走ってます。
都市部の近くであれば、プラス5キロくらいの速度で走っている車も多いのですが、ここでは法定速度プラスマイナス数キロの車はいるものの、むやみに飛ばしている車は全く見ません。

よって、そもそも走行台数が少ない上に、皆が似たような速度で走っているため、滅多に追いついたり追い抜かれたりってのもありません。とても走りやすい。

理由は走ってみてよく分かりました。
頑張る労力に見合わないからです。たぶん。

頑張って飛ばせば確かに目的地には早く着くでしょう。
けどそれは、300km先の町?それとも、さらにその先400kmの町?

100km/hを超える速度域では、ちょっと速度を上げると燃料の消費が大きく増します。
加えて、給油可能な場所が頻繁にあるわけではありません。
ヘタすると300km以上離れていたりするのです。

ちなみに、野生生物にも注意が必要です。
今日はエミューを轢きそうになりました。
数メートル手前で逃げてくれましたが。

たまに遭遇するロードトレインにも要注意。トレーラーを何両も繋いだヤツです。
すれ違う際の風圧も凄いし、追い越す時も相手が長いので対向車の有無が確認がしづらいのです。
以前は4、5両連結したロードトレインを見た記憶がありますが、今回は3両牽いているのが今のところ見た最大です。すれ違いざまの風圧も以前ほどでは無くなった気もします。これは乗っているバイクの違いかな?

ロードトレインに加えてもう一つ注意があります。
Over Size Vehicleです。そう、オーバーサイズなヤツです。
どれくらいオーバーサイズなのかというと、今回見た最大のヤツは「家」です。「家」がトレーラーに載って走っていました。時速100キロで。
その幅はゆうに1.5車線ほど。
なので、対向車は路肩に避けるしかありません。気付かずに正面衝突したら死にます。
何せ相手100キロ+自車110キロの相対速度210キロで接近しますから。中央分離帯が無いってのはスリリングなものです。
もっとも注意を促す先導車がいますので、それに気付いてあらかじめ減速して回避するとか、路肩に停めるとかすれば大丈夫です。

とまぁ、その辺をトータルで考えると、あんまり頑張っても意味が無くて、そもそもそんなに長時間頑張ってどうすんの?ってことです。

出発して100kmほど走ったグレンダンボ(Glendambo)で早めの給油。
この後の給油ポイントを調整するためです。

ワイルドな景色です。

給油したり食事したりする際に、いろんな人と話をするのですが、今日はまた一つ勉強になりました。
カンガルーのアクティブな時間帯についてです。
ヤツら、車のライト目掛けて飛び込んでくる習性があるので、結構な数の死骸が路上にあって、鳥さんたちのご馳走になってたりするのです。
でも、どうやら日中はあまり心配要らないようです。

バイクを見て話しかけてきた人に
「朝は何時に走り始めるんだい?」
と聞かれたので
「8時くらい」
と答えると
「それはいい判断だ。7時より前だとカンガルーが飛び出してくるからな」
とのこと。
これが分かっただけでもだいぶ安心。
ちなみに、この辺の日の出は7時くらいです。

出発時はそこそこ寒かったけど、徐々に気温が上がってきて、結構暖かくなったなと思ったら…

アダプティブクルーズコントロールの距離センサーが異常を示しました。
まだ半分も走ってないのに、クルーズコントロール無しはキツイなぁ、と思って走りながら色々やっていたら、どうやらアダプティブ機能(前車との距離調節機能)をキャンセルできることを発見。これでただのクルーズコントロールが使えるようになりました。良かった良かった。

最初の給油から200kmほど行ったレストエリアで弟子バイク給油。
これで次の給油ポイントまで行けます。
ちなみに、レストエリアとは退避レーンのようなただの駐車場所で、運が良ければ屋根とテーブルとイスがあります。さらに運が良ければトイレも。

出発から370kmほど行ったクーバーペディ(Coober Pedy)は、オパール採掘の町。
近づくにつれて、地面にポコポコ小山が増えてきます。地面を掘った際の土砂を積み上げたものです。
道路沿いには、「むやみに歩くと穴に落ちるぞ!」といった看板があったりします。

町にはオパールを採掘した後の穴をホテルにした施設があって、結構人気のようです。
そういえば、昨夜泊まったロードハウスの向かいの部屋の人も、さっきカンガルー情報をくれた人もクーバーペディに行くって言ってました。
ここで昼食と給油とします。人気の観光地だけあって、ロードハウスは綺麗で立派です。

あと230km程度で目的地のマーラです。

日差しが強烈なこともあり、気温が20度を超えるとかなり暑く感じます。
途中のレストエリアで、弟子バイク給油のついでにグローブを夏用に替えたり、インナーの枚数調整をしたり。
このくらいの気温になると、途端にハエが増え出します。かなり鬱陶しい。けど、オーストラリアに来た気がするのも事実。

レストエリアのテーブルの上に小説が。なぜだ?

レストエリアは、イスがあってテーブルと屋根があったら上等なわけですが、時には、その屋根を利用して雨水を貯める巨大なタンクがあったりします。「飲むなら自己責任だぞ」と注意書きがありますが。
これらはいずれも、居眠り運転や極度の暑さから命を守るための施設です。
こういうのがオーストラリアの内陸部には沢山あります。
スチュアート・ハイウェイでは50~100kmに一箇所くらいはあると思います。

水タンク、空でしたが。
左の雨樋は屋根から繋がっています。

17時ごろにマーラ到着。気温は26度。かなり暑く感じます。日本の皆さん26度くらいで暑いとか言ってすみません、って感じですが。
このロードハウスは、キャンプ場併設で設備がかなり充実してます。野菜やら果物やら何でも売ってる感じです。部屋も結構綺麗です。

オーストラリアは星がビックリするくらい綺麗なのです。
曇ってて残念、とか思ったら天の川だったりします。
最近はスマホでもボチボチ撮れるんですね。

明日はスチュアート・ハイウェイを北上の後、エアーズロック方面に向かって、カーティン・スプリングス(Curtin Springs)まで415kmの走行です。

オーストラリア大陸縦断2023 Ride day 3 Adelaide to Pimba

アデレードを出て、道はオーストラリア大陸を縦に貫くスチュアートハイウェイに入りました。ここからは、ひたすら3,000kmの北上が始まります。大きな都市はゴールのダーウィンまでありません。
本日の目的地は、約500km行ったピンバです。

途中、休憩に停まったら、何やらピンクの湖が。

ピンク・レイクと呼ばれていますが、正式名称はバンブンガ湖(Lake Bimbunga)という塩湖。
ネッシーみたいのがいました。

出発してから190kmほど行ったレッドヒル(Redhill)のロードハウスで給油して昼食。
ロードハウスとは、給油と食事と宿泊ができて、オーストラリアの特に内陸部や長距離移動に欠かせない施設です。場所によっては宿泊ができなかったりもしますが、その点は注意が必要です。

道中気になったのは、沢山の巨大な風力発電の中に何やら光が…

見づらい上にちょっとピントが甘いですが、写真の中央ちょっと左の光の点です。恐らくこれは太陽熱発電ではないかと。
巨大なタワーの上部に集光して、太陽熱で発電するという。
確かに周囲には鏡が沢山ありました。
これ、ポートオーガスタにあるのですが、数十キロ彼方から見えます。

ポートオーガスタを過ぎると、いよいよ赤い大地、アウトバックに突入します。
アウトバックとは、オーストラリア大陸内陸部に広がる赤い土と岩の荒野です。

道は片側一車線で、制限速度は110km/hと今までと大差ないのですが、地面が徐々に赤くなってきました。

給油がままならない区間では、今朝購入した携行缶から給油したりして走行を続けます。

本日、約500km走行の後にピンバのロードハウスに到着。
まずは何はともあれ給油です。バイクはもちろん携行缶にも。ちなみにこの缶は5リッターです。
弟子バイクは110km/hの法定速度巡航では、1リッターあたり20kmも走らないそうです。満タンでおおよそ230km走れるとのこと。でも、その距離以内で給油できるとは限りませんので、携行缶で何とかしのいでます。

で、併設の宿にチェックインしたら…

ナンバープレート割れてました。脱落しなくて良かったです。仮に脱落しても行っちゃうしかないと思いますが。
これは明日、補修しましょうかね。

宿はこんな感じです。

夜の星は素晴らしく綺麗です。

夜のロードハウスの外観はこんな感じ。
砂漠の中のオアシスですね。

ところで、今日の宿泊地ピンバのすぐ近くには、ウーメラ(Woomera)という場所があります。
何か聞き覚えありませんか?

ここには、オーストラリア空軍が使用する世界で最も広い射撃場があります。ミサイル撃ったりするようです。
ここにJAXAが小惑星のサンプルリターンをした惑星探査機「はやぶさ」と「はやぶさ2」のカプセルを落としたのです。
もちろん、軍の兵器試験場でもあるため一般の立ち入りはできません。

ちなみに、オーストラリア空軍は「Royal Australian Air Force」王立オーストラリア空軍です。
オーストラリアはイギリス連邦の一国であり、国家元首はイギリスの君主、つまりイギリスの王様です。
現在の国王陛下であるチャールズ3世はオーストラリアが大好きだそうで、かつてはオーストラリアの王様になるのではないかと言われたこともあったそうです。

いよいよ明日はスチュアートハイウェイで、ますます本格的なアウトバックに突入していきます。
次の目的地マーラ(Marla)まで、ちょうど600kmです。

オーストラリア大陸縦断2023 Ride day 2 Stawell to Adelaide

今日は490kmほど走ってサウスオーストラリア州の州都、アデレードまで行きます。
アデレードはメルボルンほどではありませんが大きな都市です。
ここを過ぎたら目的地のダーウィンまで都市は存在しません。でも、途中にあるポートオーガスタとアリススプリングスはちょっと大きな街ですかね。

メルボルンがあるヴィクトリア州との州境を越えると時差があり30分巻き戻ります。さすが大陸ですね。

縦断中の1日の平均走行距離は430km前後になると思います。
とはいえ、毎日同じような距離ではなく、結構バラつくとは思います。何せ泊まれるところが少ないので。

さて、朝起きてみたらバイクに霜が…
標高が高いので寒いとは聞いていたけど気温は4度くらいあります。氷点下ではないのになぜ?風のせいでしょうか。

出発の8時で気温は6度程度。
アデレードまでの道中の1/3程度は気温10度をちょっと下回るくらい。
その後、20度くらいまで上昇して、結構暖かくなりました。

ちょっと走ったところで問題発生。
弟子のバイク、不調です。100km/h以上速度が出ません。

急遽レストエリアにて確認。
原因はチョークレバーが完全に戻っていなかったと判明。2気筒のうち一方がかぶって片肺になっていました。
まぁ、最近のバイクはチョーク付いてませんものね。
その後、チョークを戻して全開で走ったら直りました。

弟子のバイクはヤマハの650ccクルーザー。法定速度110km/h巡行は、風圧が強くてかなりキツイそうです。試しにちょっと乗ってみたけど、本当にキツイ。
そりゃもちろん、その程度の速度は出ますが、それで巡航して、400~600kmの走行を毎日繰り返すとなると話は別です。

乗った時のボリューム感はこんな感じです。

個人的には、いわゆるアメリカンタイプでの高速長距離移動はお勧めしません。拘りがあるなら別ですが。今回、弟子は選択の余地がなかったのでコレになりました。
でも100km/h以下ならそれほど問題にならないかな。どうだろう。
空気抵抗は速度の2乗で効いてきますからね。この領域では、たかが10キロ、されど10キロです。
ハーレーでカウルが付いているヤツありますよね。あれはかなりハードコアな長距離ランナーな予感がします。
でも結局は、乗りたいのに乗れば良いと思うのですけどね。

同レストエリアにあったゴミ箱。なぜそこにそんなことを書く?
こういうセンスは嫌いではありません。

昼食は給油ついでにペトロールステーションで。こっちではガソリンスタンドをそう呼びます。
多くのペトロールステーションは、食事ができたり、ちょっとした自動車用品を売っていたりします。燃料だけってのは記憶にありません。その辺はアメリカと同じですね。
燃料を入れる際は、まずポンプ前に停めて給油して、完了後に店内で利用したポンプナンバーを告げて支払いします。内陸部では、ポンプのノズルが南京錠でロックされていて、お店の人に言って解錠してもらうところもあります。

アデレードまでの道。
延々と、山を越えながら、ゆーっくり下っていきます。時速110キロで。
道路の脇には大抵ユーカリ。その外は、大抵牧場。牛と羊がいます。

その後、弟子はアデレードの街中でガス欠。再始動できずに慌てましたが、これも燃料コックをリザーブに切り替えて解決。
最近のバイクは燃料コック付いてませんものね。その代わりに燃料計は付いてるけど。このバイクには燃料計はありません。

彼女には初めてで驚くことばかりだったでしょうけど、まぁ良い経験です。
その後は給油毎のトリップメーター確認とリセット、燃費の変化の確認などをしっかりやるようになりました。
この後に走る荒野で立ち往生は致命的ですから。

アデレードの宿は海沿いで、素晴らしいロケーションなのに激安でした。
目の前が砂浜です。

なんでそんなに安いのかな?と思ったら、宿の中にはカジノとビストロとバーがあって、お客さんはそっちでお金を落とすようですね。
まぁ、我々には関係ありませんでしたが。

というわけで、夕食は近所のベトナム料理にしました。
こっちは激安。

明日は500km先のピンバ(Pimba)に向かいます。