「思い」を出せるか

「思い出せるか?」
ではないですよ。

本学は理工系で
私がいるのは機械系です。
卒業生達の多くはエンジニアとして巣立っていきますので
彼らには良いエンジニアになって欲しいわけです。

で、エンジニアとは言っても色々あるのですが
ここでは開発者ということで話を進めてみましょう。

新しいものを作る
という仕事です。

これは一体どういうことかというと
頭の中にあるアイデアを形にする
ということです。

そういう機会があると
多くの学生はこんなふうに考えて
実行しようとします。

頭の中で「正解」を構築して
それを出そう、と。
一発で決めよう、と。

これ、何度か記事にしましたが
無理なんです。

そもそも正解なんて無いし

十分に経験があったとしても
いきなり頭から出して
一発で決めるなんて難しいのだから
当然ながらビギナーには無理です。

頭の中にあるアイデアなんて
ボンヤリしていて明確ではありません。

そんなアイデアの完成度を上げていくとか
しかも、複数を同時に、となったらなおさら難しい。
メカとかについて考えるなら
大抵は複数の要素で構成されていますからね。

ボンヤリしていることが頭で考えることの特徴でもあって
それを利用するのはアリなのですが。
ここでは置いておきましょう。

じゃ、どうしたら良いかというと
とにかく頭の中から出してみて
見えるようにして確認するとか、比べるとか
他に対して発信してみて反応を見るとか、評価してもらうとか
そうやって磨いていったりする必要があります。

そうやって、アイデアを改善したり最適化したりして
良いものにする必要があります。

そんなことをしていれば
稚拙な、ヘボいアイデアだって
良くすることはできます。

大事なのは
思いを頭の外に出すこと。
頭の外に出してしまえば
「やる」ことができます。

そう、頭の中では
「やらないと分からないこと」が
分からないままなのです。

加えて、チームでやっているなら
各人の頭の中のものを出しまくって
ぶつけて磨いて改善や最適化が可能になります。

ここで迎合とか妥協とかを
むやみにしていたら本末転倒ですが。

時間をかければ良いものが作れるとは言いませんが
良いものを作るには、ある程度の時間が必要です。
なので

早く沢山出す

これが超重要ということです。

今回は
自分の「思い」を外に出す
という話でしたが

果たしてそれができるか?
というのが、そもそも大問題だったりします。

恐らく多くは十分にはできていません。
私も人のことは言えないかもしれません。
でも言います。
多くにとっての明確な課題だし
これで良いものを作れるのは間違い無いと思っています。
ある意味正解です。

自分が作り出すものは
自分の「思い」による
それは当然です。

ものを作るというのは
「思い」を頭から出すことの延長線上にあります。
なので、その出発点は超重要なのです。

でもこれ、いわゆる「良い子」には難しいんだろうなぁ。

何が欲しいの? では、どうする?

欲しいものがあるのなら
手に入れるためには支払いが必要です。

自分の要求・欲求を満たしたいから払う
これは最低限必要なことです。

払わないけど手に入れたい
ってのはおかしいですものね。

商品を買うのであれば
お会計して、はいおしまい
なのですが

欲しいものは、商品に限らず
支払うのは、お金に限らず
お買い物じゃなければどうしましょう?
ってなわけなのですが。

将来的な目標とか
そのためのチャンスとか
それ以外でも
感情的なものであれば
幸福感とか
まぁ色々あるでしょう。

知識が欲しい
それも一般的なものとなれば
書籍やネットなどで得られるので
代金を支払えば何とかなる世界です。
でも、これらはそうはいきません。

なぜかというと
他人が関係してくるからです。

お金を払っても手に入るとは限らないし
むしろお金で手に入る程度のものだと
中身はたかがしれていたりします。
見えるものとか形あるものに限られることが多いから。

他人が関係してくる場合
自分が認められて受け入れてもらえないと
何も始まりません。

これ、いわゆる「頭が良い」とか「勉学の成績が良い」とか
そういうことだけではどうにもなりません。

そのためには必要なものは明確化しにくいと思います。
少なくとも、定量化、つまり数値化はできないでしょう。
それができるなら学校で教えてますから。

大事なことって色々あるのでしょうけど
一つは「チャンスを手渡してもらえる」ということでしょう。
「これ、やってみろよ」
って。

もしくは、やりたいことに対して
ゴーサインを出してもらえるとか。
これもチャンスをもらえるってことですが。

では、チャンスをもらえる人ってどんな人なのでしょうね?
期待できる人ですよね。

これまた色々あるとは思うのですが、一つは
貢献とか、リスクを取るとか
そんなことを交えながらチャレンジできる人
だと思います。

そういう姿勢で努力を先払いできる人
つまり、日頃からそういうポリシーで動いている人
ではないでしょうか。

この「先払い」というところがポイントで
まぁ、日頃からそうやっている
ということなのですが…

そんなの当たり前だと思うでしょう?

でも、意外と多くが
「チャンスが来たら自分だって…」
と思って出し惜しみしてたりしませんか?

商品が目の前に来たら払うよ
みたいな感じで。

でも、チャンスを手渡す方にしてみたら
何も無いところにチャンスを放る
なんてことはしたくないのですよ。

なので先払いが必要なのです。
とは言っても
我欲にまみれた先払いだと
そんなのはいずれバレるし
自身もすぐに限界がくるでしょう。

何と言ったら良いのかな
古い言葉だと「陰徳を積む」
というような感じになるかと思うのですが。

あとは
「コイツにやらせたら面白いことになるだろうな」
と思ってもらえるということかな。
期待値ですよね。

この「面白いことに…」というのは
その本人にとって、では無いですよ。当たり前ですが。

とまぁ、こんな感じで語ってみましたが
これは私が前職で、部下の面倒を見ながら思っていたことです。
まぁ、今も基本的には変わりませんが。
他にも色々とあると思うのですけど
パッと思い付くのはこんな感じです。

これ、分かってはいても難しいことかもしれません。

私は、いまだに難しいと思っていて
まだまだ納得がいくレベルになりません。
たぶん一生ならないと思いますが、それが人生ってものでしょう。

隅田川花火大会

今日は、本学の自動車工学研究室の卒業生達が、恩師である佐野彰一先生のご自宅にお招き頂いて、隅田川の花火大会を見ながら宴会するというイベントでした。
以前は毎年実施していたのですが、コロナ禍によって中断していたので、実に4年ぶりの開催です。

自動車工学研究室は、私のお師匠様の佐野先生が立ち上げて、ご退職後は私が引き継いでいます。
佐野先生ご退職後、私の研究室となった自動車工学研究室では、卒業記念行事として食事会をするのが恒例なのですが、その席には佐野先生にお越し頂いていたり、佐野先生のお誕生日会をしたりしていますので、この花火大会を含めると、卒業生達は年に3回、佐野先生にお目にかかれるのですね。
日本で初めてF1マシンを設計した開発者と年に3回も会えるなんて、何と幸運なことでしょう!

今年は卒業生達が子供を連れてきたりして、なかなか賑やかな宴となりました。
各業界の動向とか課題なんかも聞けて収穫もありました。

皆さんお元気そうで何よりです。