夢工房再起動

我が夢工房はもちろん、大学はまだコロナ禍対応が続いてはいますが、さすがに新学期が始まると、色々と動きが見えてきますね。

新入生は続々と夢工房に来ています。
現状では現役メンバーの説明を受けている段階だけど、この調子だと結構な人数が集まりそうな気がします。

近年は、夢を語る若者が減った感もありましたが、まだまだ捨てたものではありません。

もっとも、力強く夢に向かって進むタイプもいれば、何となくで所属して、そこから頑張るタイプ、やっていく中で夢を見いだしていくメンバーも結構いますね。

いずれにせよ、明確なゴールを決めて頑張るのは良いことです。

ここ数日は、コロナ禍で1年間オンラインだった2年生達が入れ替わりで夢工房に出入りするようになって、いよいよ製作に入っていきそうな雰囲気です。

部屋の人数制限をかけていますので、全員は揃いませんが、それでもかなりやってる感が出てきました。

3、4年生達は、自粛期間中でもできることをできる限り頑張ってただけあって、かなりレベルアップしてます。

今年はイケルかも。

失敗しようぜ!今すぐに!

近年、若者には課題解決能力が求められているって言うじゃないですか。
答えのない問いに対して問い続ける能力
とか言いますよね。
なんか難しい表現だな。

話を簡単にするとこういうことですよ

速いレーシングカーをつくる
これを課題としましょうか。

これに正しい答えがあると考えると
エンジンの馬力を大きくするとか
ウイング付けてダウンフォースをとか
そういう既存のやり方で性能を上げるってことになります。
そういう風にして性能が上がるのだから、それは一つの正しい答え。

でも、実際は
「速い」の実現方法は沢山あるわけです。
だって、前提条件として既存の方法を使えなんて一言も言われてないわけですからね。
今現在、世に無いやり方を考えるなら、それこそ方法は無限にあると言っていい。

さて、そうなると色々アイデアをひねり出す必要があります。
ただし、正解なんて無いのだから、それはダメな方法かもしれない
やってみないと分からない。
それを確認するためにトライ・アンド。エラーを繰り返す必要があるってことですね。

もちろん、その過程ではエラーが発生します。トライとエラーですから。
ダメかもしれないけど仮定してみて確認する。
その結果から、何がダメなのか、どうしてダメなのかを考えて、再度トライする。

さて、ここに現代の問題が露呈します。

ダメなものを出せないのですよ。
だってダメそうだから。

ダメなものを出さなければ、何がダメなのか、どうしてダメなのかは分かりません。
なので、どうしたら良いかは分かりません。

でも今まで、ダメなものを出すと、授業だと点数もらえない。何も得しない。
ヘタすりゃ、怒られたり、否定されたり、バカにされたり…
とにかく、ダメなもの出しちゃダメ!ってトレーニングされてきたものだから、そうしてしまうのは仕方ないのです。

そう、これは本人の責任じゃないんですね。
年長者や環境の影響でそうなってしまってるんです。
とはいえ、誰も責任取ってくれませんが。

なので、夢工房では
ダメでも良いから出そうぜ!すぐ出そうぜ!どんどん出そうぜ!
というふうにやってます。

あと
失敗に対してどうするか?
ですね。

いいじゃん、どんどん失敗すれば。
何で失敗したか?
次はどうしたら良いか?
それを考えて次の行動に繋げることができたら、それはそれで一つの成功ですよ。

チャレンジャーはチャレンジできる必要があります。当たり前だけど。
チャレンジは、リスクを取って、やるってことです。

何でリスクを取れるかというと
その先にあるゴールの魅力の大きさによって、相対的にリスクを最小化できるとか
そもそもリスクをリスクと思わない価値観を持つとか
色々あるでしょうけど
ダメでもいいじゃん!失敗してもいいじゃん!
で、前に進んでいけるのも重要です。

もちろん、考え無しに行動するのは問題ですけどね。
考えすぎて時間を無駄にしちゃダメ。

以前、学生に対して
「社会に出たら失敗は許されないんだよ!」(だから失敗すんな!)
というステキなアドバイスをしてくださったベテランの方がいらっしゃいました。

学生に社会のシビアさを教えてくださるのは大変有り難いのですが
「まぁ、そうなんだろうけど、あんただって若い頃は散々失敗して
その中から学んで成長してきたんじゃないの?」
と思ってしまいました。

かなり腕の立つ方だったので、多くの失敗を経験したはずです。
もし失敗が無いなら、その方から学ぶことはありません。

自分は失敗から学んで
若いコにはそれをさせないというのはずるいですね。

私だって、かつてはさんざん恥ずかしい失敗をして、その中から色々勉強させてもらったクチですので、学生達にはそれを上回る最高に恥ずかしい失敗を…じゃなくて、有意義な失敗を沢山して、その中から学ぶ経験をしてもらいたい。
頑張ってチャレンジしたら、無駄な経験なんて何一つ無いです。

若いっていいですね。
時間をいっぱい持っているわけだから、それだけで大きな可能性を持っているということですものね。
…有意義に使うならね。

チャレンジャーが必要だ

今、どんな若者が求められているのだろうか?と日々考えています。
求められているものは色々あるだろうけど、自分がいる環境をうまく使う前提であれば、やはりチャレンジャーを育てることだろうと思っています。

自分のやりたいことを、「やりたい!」と言って、どうすべきか考えて、試行錯誤する。
転んでも壁にぶつかっても進み続けるためには、やはりお仕着せではなく、自分がやりたいことをやるべきでしょう。

一般的な学校のやり方だと、モチベーションが十分でない学生にも対応するために、やるべきテーマを用意して与えるわけですが、それは捉え方によっては「やらされる」ということになりかねません。
というか、やらせてるんですけどね。
理想的なのはモチベーションの高い学生達に、自身がやりたいことを考えさせることだと思います。

恐らく今超えるべきハードルは、教育は「やらせるものだ」というところから脱却するということではないでしょうか。

小学生に英語やらせるとかプログラムやらせるとか、やらせている限りはたかがしれていると言ったら言い過ぎでしょうか。
高いスキルを身に付けていても、それを使うのは人の心なのですから、そこを伸ばしてあげないとせっかくのスキルは役に立たないのではないかな。

皆にある一定レベルのことをやらせて、それをできるようにするというのは、やはり高度経済成長とか、大量消費に合わせた、低コスト大量生産のための均質なエンジニアを大量に育成する方法だと思うのです。

それに、「やらせる」方法だと、結局は「やりたくない」という気持ちが生まれてしまうのは仕方ない。
なので、多くの学生のゴールが、「短期的に楽に」という方向に向かうのは仕方ないことだと思います。

「やりたくない」ものを「やらされて」、それをできるようにするだけでも大変なのに、さらにイノベーティブにとかクリエイティブにとか、無理言いなさんなという感じでしょう。

大学で好きなものにチャレンジしているはずなのに、いつの間にか「やらされる」やり方をしてしまう学生を見ていると切なくなりますよ。
今までの訓練の成果なのでしょう。10年以上「やらされて」きたのですから、そう簡単には抜けません。

なので、根源の部分を入れ替えてしまう外ないのではないでしょうか。

とはいえ、既存の教育システムを急激に総入れ替えするのは、あまりにリスキーで無理があります。

というわけで、色々なものづくりチャレンジを自発的にやっている学生の成長こそが未来への試金石となるのではないかな、と思っているのです。

今のところ夢工房は、ほぼ順調と言って良いと思います。

初めてA0版のレイアウト図にご対面の2年生
実寸の迫力に驚いてます。