すぐやることの大切さ

学生を見ていると
色んなことに気付きます。

ああ、こういう行動パターンって…
うまくいくんだなぁ
とか
やっぱりうまくいかないんだなぁ
とか。

目の前でその光景が繰り広げられるのですから
そりゃ良く分かるってものです。

ただ、学生の心の内は
見ているだけでは簡単には分からないので
話したり試したり観察したりして
探ってみる必要があります。

自分の心の内なんて
自分でも良く分かっていないことが多いのです。

今日のネタは
「あとでやろう」は大抵できない
です。

生真面目なタイプは
うまくいかないことが多いなぁ
と思っていて気付きました。

生真面目なビギナーは
「よーく考えて完璧にやろう!失敗しないようにやろう!」
なんて理想があったりするかもしれないけど
できないまま終わることが多いのです。

これ
「よーく考えて(あとで=今はやらずに)完璧にやろう!」
なわけですよ。

すぐにやるわけではない。
すぐやらなければ
大事なことを忘れたりするし

最初の段階で「先送り」にしちゃっているので
その後はいくらでも先送りにできる。

「完璧にやるために」
がそのための言い訳になる。

それに
結局は「完璧に」なんて考えても
経験がないのだから
そもそも大したレベルでできるわけはなくて
ブラッシュアップが必要になります。

そのためには
早期にトライして結果を出して評価して
重要なポイントやノウハウを身に付ける必要がある。

つまり考えることが
トライしたりブラッシュアップするための
時間を消費しちゃっているのです。

「早くやりたいからまずやっちゃう」
というやり方は
失敗も多いのだけど
その分やらないとわからないことが分かる。

「まずやっちゃう」
は行きすぎかもしれないけど
「(ちょっと調べて)まずはやってみる」
「調べながらやってみる」
くらいがちょうど良いのだと思います。

結局は
自分の持っている限られた時間を
どのような配分で使うかが問題。

(やらずに)考えれば考えるほど
「やる」時間が無くなる。

その分、やらないと分からないことが分からなくなる。

その辺に気付いている学生は少ないのではないかなぁ。

あとでやろうと思った瞬間に
それはできなくなる
というお話しでした。

究極の選択になっちゃう理由

でっかいチャレンジをしていると
考えること
やることが
一々ヘビーなことだったりすることがあります。

特に初期段階の戦略を考えているときとか
マシン全体の企画を考えているときとか
他にも色々ありますが

当然、決断を躊躇して
考え込んでしまうシーンも出てきます。

こういう時って
考えようと思ったら
いつまでも考えられたりするのです。

だって正解は無いですから。

特に学生の場合
失敗しないように
よーく考えて一発で正解を出したい
なんて思うことがある
というか
ついつい無意識で
そういうやり方をしちゃうケースが多い。

もちろん、そんなことをすると
決断が遅れるのですが…

決断を遅らせると何が起きるか

最終的には
いわゆる
究極の選択
をするしかなくなります。

しかも一番嫌なときに
です。

究極の選択とは
一番取りたくない選択肢
しか残っていない状況です。

誰しも間違えたくないし
失敗もしたくないだろうし
面倒なことはやりたくない
それらを避けるために
一所懸命考えることに時間を使って
または考えずに
決断や行動を先延ばしにしても
「締め切り」は変わらないので
結果としてトライするための時間が無くなります。

そんな風に
トライする時間が無くなってしまったら
一発で決めるしかないので
ますます真剣に考えて
ますます時間が無くなって

もうどうしようもないところで
究極の選択をせざるを得なくなる

本当は
どうせ正解なんて無いのだから
早く考えてやってみて
その結果をリファインしていく
というやり方自体が
正解と言えば正解なのですが

それって簡単に言うと
早くやって早く失敗する
ということです。

なので、失敗を避けることが
第一優先になっていた場合
非常に取りにくい選択です。

だいたい、小さい頃からそれをやったら
ダメなやり方だと
怒られてきたわけで
いまさらそこに戻れるのかというのが大問題。

でも、良いもの作るにはそれしかない。

これ、学生のうちに
やっておかなければいけないことの一つです。
なかなか機会はありませんが。

やはりキーワードは「勇気」と「スピード」かな。
前提としては「ビジョンの明確化」ですね。

失敗を避けるためにやっちゃダメなのかって?

ダメですね。

だって、失敗しないことが成功じゃないから。

冒険して成長しよう

人は冒険することによって成長する
と思っています。

冒険のイメージそのまま
大自然の中で
アドベンチャーするのも良いでしょう。

でも、学校にいても冒険はできます。
新たなチャレンジは
ちょっと視野を広げて
自分のセンサーの感度を上げてあげれば
いくらでも見つかります。
あとは行動するために
ちょっぴりの勇気が必要かな。

チャレンジする中では
失敗も成功も経験するでしょうし
色んな意味での我慢とか
自身のコントロールも必要です。

そんな中で
自信とか勇気とか
引き際とか
リスクの正体とか回避方法とか
色んなことを学べます。

でも今の世の中は
あまり冒険を許容しないようにも見えますね。

何かあると
すぐ突き上げられちゃう…のではないか?
そんな恐れがあるのかな。
文句言われたり
ネットで拡散されちゃうとか。

そいうのがあったりして
失敗したくないとか
大変なことを回避したいとか
そういうのも強いと思います。

そういう感覚って
失敗とかリスクは「悪」だという概念というか
価値観を長い年数で刷り込まれている
というのもあるでしょうし

その価値観が
チャレンジの先にある
ワクワクする何かに対して
圧倒的に優勢になっている
ということなのでしょうね。

そうなっちゃうと
チャレンジそのものが
「悪」みたいなものなので
残念ながら
デッカイ喜びには到達できないのでしょうけど
そもそもそんなものを望んでない
と言われてしまえばそれまでです。

なので、安全と安心に帰結したがる。
こりゃ面白くないですね。
というか、もったいないなぁと思います。

例えば
自動車マニアの学生が
クルマの構造とかを
ネットや本で知ったりするのと
実際に考えて作るのは大違い。

知ってれば作れるか?
というと
もちろんそんなことは無いわけで

知るのとできるのは全く違うことだ
というのは
実際にやってみて初めて明確に分かります。

例えば
何かを固定するための
小さい部品を一つ作ってみても
たったそれだけの経験で分かることは
膨大にあります。

そこからどのくらい突っ込んでいくか
それは本人次第ですが
今や学生が実際にレーシングカーを作って
海外で戦うこともできるし
惑星探査機を作って
ロケットで打ち上げることもできます。

もちろんそういうチャレンジをするということは
相応のリスクを背負うということなのですが
腹を決めてしまえばば経験できる世界です。

近年では
レーシングカーを作って競う
フォーミュラSAEの海外大会に出ているのは
日本全国でも我々、夢工房の学生達だけ
ということになっています。

もちろん海外の大会に行くなんてことになると
クルマを作るだけではなく
色々な苦労があって
何倍も努力が必要だと思います。

でも、その先にしか無い
面白さや達成感もあるわけで
もっと多くの学生達に
それを味わって成長して欲しい
そんな風に思っています。

そうしたら
本人も、周囲の人達も
もっと面白いことになるはずです。

毎年海外大会に出ている夢工房の学生達
もちろん、うまく行かないことも多いのですが
それでも彼らは
「行って良かった」
と言います。

「行かなきゃ良かった」
という声は聞いた覚えがありません。

学生が
自分の力でマシンを作って
海外のレースで戦うなんてことは
大冒険に違いありません。

「日本でも良いんじゃない?」

はい。
国内でやっても
チャレンジだと思います。
でも
”大”冒険にしたらもっと面白いんですよ。