2024種子島遠征 第2日 機体整備

昨日、種子島に着いたときからポツポツ雨が振り出しましたが、今日は朝から振りっぱなしでした。
とはいえ、チームは宿で機体整備をしているので、特に問題はありません。

今回も基本設計は従来通りの四輪駆動で、機体はもちろんカーボンファイバー製ですが、新たに作り直しました。

今回の目玉の一つ、AIを使った画像認識システム。
AIは今回が初挑戦ですが、今までのテストは概ね順調。
今回で、これまでのアピールポイントだったカーボンの強靱な体に加え、知能と目玉を手に入れたことになります。

そして、今回から無線システムもグレードアップ。
指向性の八木アンテナは、ツノダクンの手作り。
これで機体の方向を探りつつ、詳細な情報を入手しようという作戦です。
もちろん、種子島はフィールドが狭いので機体を目視できるのですが、アメリカのイベントに向けての先行研究という位置付けです。
なのでアンテナは、やや小ぶりに作ってあります。

こんな感じで作業してます。
手前にいるのはカーボン部品をはじめとするハードウェア担当のリッキー。
そしておなじみのコータローと、市場の国いるのがツノダクン。

今日で二日目なのですが、布団は綺麗に折りたたまれたまま…ということは…うん、頑張ってますね。

コータロー曰く、「明日からはテスト走行はじめます」とのこと。
期待しましょう。

天気が良かったらイベント会場となる「世界一美しいロケット発射場」JAXA種子島宇宙センターに行ってみましょう。

2024種子島遠征 第1日 種子島到着

今年もやって参りました、種子島ロケットコンテストです。
学生が作った惑星探査機を上空から投下して、ゴールまでの到達を競うイベントです。

朝5時半に大学を出て、羽田空港へ。
そこからは飛行機で鹿児島経由で種子島の宿に着いたのは夕方の5時くらい。

今回は、おなじみのコータローに加え、2名の新規メンバーを加えた3名態勢での参戦です。
新加入メンバー、早速、羽田空港でチェックインに手こずったりしてますが。

イベント期間は3月7日の木曜日から3月11日の月曜まで。
実際に機体を動作させるのは、9日の土曜日と10日の日曜日。
その前後に審査とかプレゼンテーションとかワークショップとか、諸々のイベントがあります。

今回も例によって3日ほど前に現地入りしています。
現地でのセッティングは大事なので。

とりあえず今日は移動日で、夜は宿で機体の整備です。
チームリーダーのコータローは、やり残した箇所もあるので、3日後にテスト走行を開始すると言っています。

クルマの電気のお話し

何でこんなネタにしようかと思ったかというと、最近テスラのサイバートラックがユーザーの手元に届き始めて、少しずつ情報が入ってきたからです。

別にEVに乗り換えたいとかそういうことではなくて、やはり専門が自動車ですからね、色々気になるわけですよ。

凄い形してるな、とか
デカいな、とか
重いな、とか

あのクルマ、何から何まで変わっていて興味深いのですが、EVなわけなので、電気の話でもしてみようかなと思ったのです。

当然、電気で動いているのですが、気になったのは駆動力を発生させる方ではなくて、補器類など、その他諸々を動かしているバッテリーの電圧です。

一般的なEVは、走行用バッテリーの他に、12ボルトのバッテリーを積んでいます。
それで、ライトとかオーディオとか、走行とは関係ない物を動かしています。搭載しているバッテリーの役目は、大まかに言ってエンジンのクルマと一緒です。

で、どうもサイバートラックは、この補器用バッテリーの電圧が48ボルトなんですね。
一般的なクルマの4倍ですよ。
ちなみに、既存の大型トラックなんかは24ボルトです。

さて、なぜ高電圧化するのでしょうか?
というのが今回のネタです。

理由は以下の2つだと思います。

一つは、サイバートラックは、ステア・バイ・ワイヤを採用しているので、あのデッカイタイヤを強力なモーターで転舵する必要があります。当然、消費電力は大きい。
そのためには高電圧が都合が良いのでしょうね。

二つ目は、高電圧にすると細いワイヤーハーネス(電線のこと)を使えるということです。

え?そんなこと?
と思うかもしれませんが、多分これもメリットとしては大きいと思っています。

恐らくあのクルマ、制御だらけで電線だらけのはずです。
ワイヤーハーネスだけでも相当な重さになるでしょう。電線の導体は銅ですから。

そして、束ねられたワイヤーハーネスが車体のあちこちに這い回ることになるわけですが、それが細いということになると、設計の自由度がかなり向上するはずです。

近年は銅のコストが上がっているので、使用量が減ればハッピーでしょうしね。

そうそう、何で高電圧にすると電線の径を下げられるかという理屈なのですが、電線の径は、流れる電流値によって決まります。電圧ではなく。

電気をたくさん食う物を動かそうとして大きな電流を流すと、電線が発熱します。
電気エネルギーが熱エネルギーに変換してしまって、ロスが大きくなります。
つまりシステムの効率が低いということになります。
発熱すると、被覆が溶けてショートしちゃったり、最悪の場合は火災が発生したりもします。
なので、そういう場合は電線径を大きくする必要があるのです。

電力の式は
P=VI
です。
Pは電力、Pは電圧、Iは電流です。

Pをデッカイやつにしたとき、Vを大きくできるならIを大きくしなくて済むのです。
Vが大きくて、Iが小さいなら、電線を太くする必要はありません。
だから高電圧で効率が良いシステムにしたいわけですね。

これ、我々の身の回りも同様です。

発電所から出てくる送電線は、30万~80万ボルト、変電所を通過して、我々の家の前までは6600ボルトと高電圧です。
これでも電圧を大きく、電流を小さくして、送電のロスを減らして電線の径も小さくしようと、そうということです。

ただ、良い事ばかりではなく、やはり高電圧は危険だったりもするわけで、あとは高い電圧を低い電圧に変換して使うところも多いでしょうから、そこに使われる部品のコストとか信頼性とか、そういったこともあるでしょう。

ちょっと専門的なことになっちゃって申し訳ありませんが…

電装システムの考え方としては、従来のように、電源線、信号線と大量のワイヤーハーネスを隅々にまで這わせるのでは無い、新しいやり方をしているのではないかと予想しています。

車体のあちこちに、最小限の電源とネットワークの線を伸ばしておいて、末端のデバイスで処理させれば、ワイヤーハーネスの回路自体はもの凄く単純化できるはずで、クルマの仕様が変更になったりしても容易に対応できます。
そんな新しいことをやってるんじゃないかな、と見ているのですが、その辺は今後の上方を楽しみに待ってみましょう。

というわけでサイバートラック、見た目だけじゃ無く、色々チャレンジしているようです。