ARLISS 2023 大会2日目 開会式

今日は全チームが砂漠に集合して、開会式からスタートです。

本来であれば、開会式終了直後に打上げしたかったのですが、機体の設定で一つ忘れていたことがあって、急遽宿に引き上げます。

その後は、明日こそ打ち上げるべく、部屋で延々と確認と設定作業。

今回の機体は、パラシュート降下終盤の着地寸前にパラシュートの切り離しを行う仕様です。これは当チーム独自の工夫で、そうすることによって即座に走行を開始すると、パラシュートが機体に覆い被さって走行が布可能になるというローバーの致命的なトラブルを回避することができるのです。
パラシュートが覆い被さるのをメカとか構造によって回避することも可能ですが、そうなると重量が増加したり、気候の増加によって信頼性が低下したりします。

その着地寸前の空中分離には、センサーやらプログラムやら、様々な工夫がされているのですが、どうも設定が詰められてなかった模様。

明日は5時に宿を出て、今度こそ朝一番の打上げを狙います。
何で朝イチに拘るかというと、朝早い時間帯は風が弱いからです。
日中、気温が上がってくると上昇気流が発生して、それによって風が起きるのではないかと思っています。
上空4,000mから機体をパラシュート降下させるので、風が強いと遠くに流されてしまってゴールが遠くなってしまう可能性があります。ヘタすると数キロも彼方へ行ってしまうこともあるのです。
ただ、朝イチの打ち上げを可能にするためには、その時点でキッチリ準備が完了している必要があります。大抵は打ち上げ直前にドタバタしてしまって、なんだかんだで遅くなってしまうものです。
何かしらの不具合があった場合、砂漠に残って作業を続けることも可能で、その場合は打上げが続く現地の様子を見ながらの作業となって、それはそれで良いのですが、やはり基本的に過酷な環境にいるわけで、作業の効率は低下しますし、体力は奪われます。なので、何か問題があるときは、早期に決断して作業に敵した場所に移動してしまうのが吉。

大会日程は全4日。この間に最低でも2回の打ち上げができます。
残すチャンスは、あと3日。

ARLISS 2023 大会初日 会場設営

今日からイベントがスタートします。
通い慣れた荒野の一本道を160km北上してブラックロックデザートへ。

初日は会場の砂漠で設営作業。参加者全員でテントの設置です。

あとはゴール地点の設定。打上げ地点からは2kmほどでしょうか。
この三角コーンの座標を各チームがそれぞれの機体に設定して、着地視点からゴールへの到達距離を競います。

コータローは、ゴールまで来たついでに、この辺の地面での走行を試します。

毎年このARLISSの前の週には、かの有名なバーニングマンというイベントが開催されているのですが、彼らは雨によって泥沼になった砂漠からの脱出に苦労したようです。その模様はニュースにもなっていました。何せ7万人も参加しているので、そりゃぁもう大変だったことでしょう。

我々のように、地上を走行するタイプの機体はローバーと呼ばれますが、毎回気になるのは地面のコンディションです。
特に当チームの機体のように高速で走行する場合、地面のコンディションが走行に大きな影響を及ぼします。

一口に砂漠とは言っても、年によって、さらに場所によってかなりコンディションが異なります。これ、凄く不思議なのですが。

今年はかなり硬く締まった状態です。クルマのタイヤの轍などが残りにくいため、なかなか良好です。
ただ、場所によって地表の状態は結構異なっていて、奇妙な凹凸が見られる場所も。

どうですか?
分かりますか?この違い。

一体何が原因で違いが出るのか良く分かりません。
地表は、そこそこ均一の高さの表面なのですが、ひょっとすると、この砂の層の下の層は凹凸があったり水分を含んでいたり、外観では分からない違いがあるのかもしれません。

とりあえず、今回のコンディションであればさほど問題無い。とコータローが申しております。

一通りやることが済んだら日没前に砂漠から撤収です。
暗くなると、本当に何も見えなくなりますから。

さぁ、いよいよ明日は打ち上げ初日です。
コータローは、とある戦術上の理由から、朝一番の打上げを狙っています。
さて、どうなることやらお楽しみ。

ARLISS 2023 準備その3

ARLISSは「アーリス」と呼びます。
A Rocket Launch for International Student Satellitesの略です。

「Satellites」とあるので、そもそもは人工衛星のイベントなのですが、その派生として惑星探査機のコンペティションがあるわけです。

開催場所は、ネバダ州のブラックロックデザートと呼ばれる砂漠です。
バーニングマンというイベントが行われることで有名な場所です。
デザートなので砂漠なのですが、ここは冬には浅い湖になっていて、夏になると干上がる乾湖なのです。

ここで、AEROPACというアメリカのロケット愛好家達の手作りロケットに、大学生が作った惑星探査機を搭載してもらい、地上4000mまで打ち上げて放出。
パラシュートで着地後は、自動であらかじめ定められた酷評に向かう、とそんなイベントです。

ロケットに搭載できる大きさと重量を守ることができれば形態は比較的自由なため、各チーム工夫を凝らした機体でチャレンジしています。
ただ、事前に振動や衝撃に耐えることを証明するための各種テストをクリアする必要があって、実際に打上げや着地で加わる衝撃や、厳しい自然の環境の中での長距離走行などを考えると、なかなかレベルの高いイベントです。

当チームの機体は、カーボンファイバー製の四輪駆動。これはかつての学生達が考案して作り上げた高性能な機体をベースとして、コータローが電子制御を作り直したものです。


機体の上にちょこんと乗っている四角いセンサーがGPSのモジュールです。その背後にある白い長方形が情報を発信するためのアンテナ。これらは電波系の部品なので、カーボンファイバー製の機体の外に取り付けてあります。この機体は上下がなく、どちら向きに着地しても、仮に走行中に横転しても問題ありません。今までは、センサーが地面側に来てしまったときに感度が落ちるという問題があったので、今回は機体の上下それぞれにに配置してあります。これで送受信の性能は格段に上がりました。あまりスマートではありませんが、その辺は今後の課題ということで。

昨日買った「ヌードル」も装着済み。

で、今日は、より本番に近いコンディションでテスト。
まぁまぁうまく行きました。

イベントは明日からスタートします。
まずは砂漠に参加チームが集合して、会場の設営。
明後日から打上げが開始されます。