正解とか不正解とか 2

仕事が教育なもんで
教育について考えちゃうのは当然なのですが
こんなこと考えても1円にもならないのが現実。
でも考えちゃうのは、この仕事が好きだからなのかな。

学校が今のようなスタイルで教育するようになって
150年くらいでしょうか?

もちろん、その利点もあるけど
欠点もあるわけで
これがベストだ!
なんて答えはいまだに無いわけですが

最近の傾向として懸念しているのは

正解・不正解

みたいに、二元論的な考え方が蔓延していることです。

蔓延というより、そればっかり。

これ、学校に限ったことではないでしょうけどね。
学校がそうなっているってことは
社会もそうなっているわけで
その逆もしかりでしょう。

確かに、学校で机の上での勉強をしている限り
正解とか不正解とか
そんな風にバッサリやっちゃった方が
色々都合が良いでしょうね。

これが正しくて
これが間違ってるんだ
とやった方が面倒が無くて評価しやすいし
学生にとっても
正解を覚えれば良いのだから楽ですよ。
それ以上考える必要は無いですから。

ただ、これをやると
「正しいのかどうか良く分からない」
そんなことについて考えなくなります。

もちろん良く分からないことについては
興味を持つことは無くなる傾向になるでしょうね。

だって、そんなの考えても
何一つ良いこと起きませんから。

つまり
未知なものに対する興味を失うってことかな。

あれ?
それって、学びの根源にある
大事なものを失うってことじゃないのか?

あら、これは大変!

とはいうものの
そんなの授業でどうやってやるんだ?
ということになるでしょう。

そういうわけで
夢工房では学生が興味を持つものを
一所懸命やるわけです。

で、もちろん
うまくいかないことは山ほど出てきますが
そんなのを見ながら
「これが問題なのか?」
「こうすると良くなるのでは?」
というネタを発見して
学生達と色々試しているわけです。

技術的なことに日々向き合いながら
焦点を合わせているのは
主に考え方やメンタル面です。
それによって「もの」が作られるのですから。

これ、言うほど簡単ではありません。
人間はロボットではないですからね。
言ったらできる訳ではないし
言われたことをやるだけでは
そもそも価値がありません。
皆が同じになってしまっても
価値が無いし面白くありません。

もちろん、簡単ではないだけに
面白さとか、やり甲斐があったりするわけです。

チャレンジできる環境が重要です

若者に
「チャレンジしろ」
と言ったところで
なかなかそうもいかんのよ。

というのは
本人も含めて何とかしたいところでしょうけど
まぁ難しいですね。

原因の一つは
失敗は悪いことだ
のような価値観がガッチリ根付いている
というのがあって
そんなリスクを取りたくない
ということでしょう。

もう一つはルールとの付き合い方にあるのかな
なんて思っています。

ここにも書きましたが
何とかするのは言うほど簡単ではないかもしれません。

物事は大抵がそうですが
そもそもの最初は
ルールなんて無かったか
ユルユルだったはずです。

そんな中で目標を達成するために
思い付く限り色々やるわけですが
そこに徐々に規制が入ってきて
そのうちルールが複雑化してきます。

で、ルールありき
みたいにになってしまう。

産業界はもちろん
スポーツだってそうでしょう?
訳わかんないもの多いですよね。

そうなると
「まずやってみよう!」
のようなことは難しくなってきて
何かをやるには
まずルールを理解しなければならない
となって
複雑化したルールとのお付き合いが始まるわけですが
やりたいことをやっているのか
ルールにやらされてるのか
訳分からないことになったり
面倒だからルールなんてそもそも見ない
みたいなことになったり。

とか、色々あって
「言われたようにやれば良い」
のようになっちゃうのではないかな。

他にも色々あるのだろうけど
今日はこんなことを考えていました。
後期の授業も近づいていますので
そのネタを考えていますと
この辺を考える必要があるのです。

失敗は不安だし
ルールを守れないのも不安に繋がるでしょう。

成長していけば
いずれはゴッツい不安と向き合う時が来るでしょうけど
ビギナーのうちは
まずは面白い領域に入っていくことが重要なわけで
不安感は邪魔になります。

学生がレーシングカーを作って運用するなんてのは
色んな意味でリスクだらけです。

考えて、作って、壊して
そういう学びですから。
だからこそ大きく成長するのです。

そんなチャレンジは彼らにとっては冒険なわけで
不安はあって当然です。
なので、冒険ができるようにするためのセーフベースが必要なのですね。

そのためには、不安の要因になるもの
失敗などを受け入れることができる環境・風土が必要なのですね。

幸いなことに、本学は校風として良い風土を持っていると思います。
あとは、指導者の度量の大きさが鍵になるのでしょうね。

いやー、参っちゃうな、こりゃ。

というのも
教え過ぎや放置は、そもそも学びにならないし
モノがモノだけに危険も伴います。
そのへんのさじ加減というか
バランス感覚は難しいところです。

ま、四の五の言ってないで頑張ろう!
やりながら自分も学んでいくのです。

デカイ壁が見えてきた

夏もこの時期になると
夢工房内のプロジェクト活動も大詰めを迎えます。
授業が始まると活動時間が
めっきり減ってしまいますからね。
今のうちに進めておかないと。

でも、今年はコロナ禍の影響もあり
十分な活動ができているとは言えない状態です。
思った通りには行っていません。

反面、欧米では様々なアクティビティが再始動しており
日本もボチボチ復活か…
というところで、今回の感染拡大。

世界的に非常に微妙な状態になっています。

大会はやるのか、やらないのか微妙な状態。
そして
自分達の活動は思ったように進んでいない。

ちなみに
レーシングカーではFormula SAEのオーストラリア大会は
現在、12月に開催する方向で動いています。
しかし、オーストラリア国内でロックダウンに対するデモがあったりして
これまた微妙な状態です。
しかし、世界最大規模のドイツ大会は開催されました。
日本大会は、車を走らせるイベントはキャンセルの方向ですね。

模擬惑星探査機は、アメリカの大会が中止。
代わりに9月に静岡でイベントが開催されますが
これも感染拡大の状況次第。

エコランは、開催クラスを絞って10月に実施。

何度も言いますが
学生達の準備は十分ではありません。

この状況に対して
私がどう思っているかというと…

チャンスだと思ってます。

勝てるチャンス
と言う意味ではなく
彼らが成長するチャンス
ということです。

こんな難しい状況は
そうそうあるものではありません。

思い通りに行かなかったのは
今年に限ったことではありません。
去年も同様です。

なので、技術的には長期間停滞していた
ということです。
さらに、人材育成や継承も停滞していました。
もちろん、困難な状況下で頑張ったのですが
そんなのは十分とは言えません。

ひょっとすると
本当の困難は、この後に来るのかもしれませんし。

でも、このでっかい壁を乗り越えて
次の成長に繋いでいけたら
きっと凄いことができると思っています。
試されてますね。

おかげさまで、私は大事なことが色々見えた貴重な期間でした。