ARLISS 2024 大会6日目 閉会式

今日はイベント最後の日。技術交流会と閉会式があります。
7時に宿をチェックアウトして砂漠に向かいます。

片道160kmの砂漠通勤も、今回はこれが最後。

到着後、まずは結果を見てみましょう。
今回の参加は19チームで、ゴールしたのは4チーム。うち2チームが0mゴールです。
表では、右の欄の”Results”参照。

まずは技術交流会。
砂漠のテントで各チームが自チームの機体を説明します。

うちのチームにも、多くのチームが興味を示してくれたようで何よりです。
彼らはコスタリカだったかな?

続いて閉会式。
現地のロケット愛好家AEROPACの皆さんには大変お世話になりました。
あと、大会の運営してくれた学生達、そう!学生が運営してるんですよ!!
彼らは良くやってくれました。期間中、ずっと砂漠にいて、ずっと仕事してますからね。タフな連中です。
しかも、年々大会のグレードを上げているという、本当に凄い奴らです。

終了後は、砂漠でいつものサンドイッチで昼食。

イベント中は、こんな感じにクルマの後部が配膳台。
この写真だと、左からの流れ作業でサンドイッチが完成するようになっています。
具材は、マヨネーズ、野菜、ハム、スライスチーズ、ピクルスで、期間中はずっとコレでした。不思議と飽きません。というか、食にこだわる状況ではなかった?

食事が終わったら、ファーンリーに戻って洗車しましょう。
何せこんな状態ですから。

ここの砂漠の砂は砂粒が感じられるようなものではなく、まさに粉状で、車体の隅々まで入り込んでいます。
このままの状態で車を返すと洗車料金を取られてしまうのです。

洗車終了後は、リノに向かって、これまた最安値レベルのモーテルに宿泊。
今日はここで一泊して、明日の早朝にはロサンゼルスに移動。
明後日の便で帰国します。

ARLISS 2024 大会5日目 打ち上げ最終日

早くも今日が打ち上げ最終日です。
当チームにとっては、まさにラストチャンス。
何とかコンディションの良い朝一番に打ち上げたいところです。

5時に宿を出発して、6時半に日の出と同時に射点到着。
無風で気温は7度。寒いが絶好のコンディション。

まずは機体の確認と最終セットアップから開始。

その後バッテリーを充電して11時に打ち上げ。

今回打ち上げるロケットのオーナーは、昨年もお世話になったデイブ。ロッキードマーチンをリタイアした元エンジニア。

ヒロヨシのノリノリのアナウンスで、いざ打ち上げ!と思ったら、点火しません。

その後、デイブがロケットモーターの点火ヒューズを交換してくれて、無事に打ち上げ成功!

風が弱いので、機体の捜索は楽かと思いきや、結構手間取った末に、射点から1.4km北東の地点で発見。

まだ動いていない状態なので、パラシュートも近くにあるはずが、前回同様付近に見当たりません。

近寄ってみると…

機体が歪んでる?
車輪を中心に大きく損傷しています。またもフリーフォールです。

現地で機体を分解して、損傷の度合いと記録されている制御の履歴をチェックしてみます。

ホイールは4本中2本が破損、内部構造も場所によっては粉砕しています。
しかし、機体本体は損傷が無く、強靭さを物語っています。

原因はプログラムのミスで、降下中に着地の判断をしてしまい、パラシュートを切り離してしまったとのこと。
前回と似たような原因です。

ともあれ、コータローにとってはこれが最後のARLISS。
思い残すこともあるでしょうが、その分多くを学んだはずです。

彼にとっては、卒業してからが本番です。
この経験をどれだけ本番で活かせるかが本当の勝負になります。

ARLISS 2024 大会3日目

今日が打上げの2日目です。

ロケットで3,000mまで打ち上げて放出し、パラシュートで降下するので、風はとても重要なパラメーターです。

目指すべきゴールは、射点から2km程度のところに設定されていますが、風が強いとゴールの反対側に5km以上流されたりもします。
運が良ければゴール側に流されることもあります。

なので、どの方向にどの程度流されるかはとても重要なのですが、上空と地表では風向きも強さも異なっていたりもして、それらを読むのは難しい。

で、結局は風が無い時に打ち上げるのが最善ということになります。

砂漠に限ったことでは無いのかもしれませんが、朝の気温が低いうちは風は弱く、気温が上がるにつれて強くなってきます。
なので、打ち上げるなら朝イチがベストです。

というわけで、7時に砂漠到着。気温は12度。

打上げは8時半頃準備完了。
ロケットに搭載します。
今回のロケットのオーナーはジョンさん。アメリカロケット協会の偉い人みたいです。

機体島最後は、発射台に運んで…

発射準備完了。

ヒロヨシの熱いアナウンス(英語)の後、カウントダウンで、発射!

その後、機体を捜索するのですが、なかなか見付かりません。
打ち上げたロケットは、上空で分解して3つのピースで、それぞれのパラシュートで降下します。それらは、それぞれが異なるスピードで降下してくるので、3つがほぼ直線状に着地します。

走り始める前に見つけないと、我々の機体の走行速度は速いので、機体が先にゴールに向かってしまうかもしれません。
そうなったら、小さな機体を見つけるのはより困難になるので、着地点のデータが取れないどころか、感動的な走行シーンも見られない。

我々の機体は、ロケットに比べて降下速度が早くなるように設計されているので、大抵はロケットの着地点を結ぶ直線の風上側に着地するはずなのですが…

無い?

その後、想定外のエリアで機体を発見。射点から北東へ3.3kmのところです。
この際、距離はどうでも良いのですが、パラシュートが見当たらず、機体が動作するタイミングになっても停止したまま。

何か変です。
良く見ると、機体は損傷しているし、地面には強いインパクトの跡が残っています。
で、パラシュートが周辺に無いということは…

そう、フリーフォール(自由落下)です。
恐らく損傷の度合いからして、ロケット放出直後では無いと思います。
その場合、時速300kmくらいの落下速度になるでしょうから。こんなものでは済まないでしょう。
恐らく、途中までは正常に降下していて、何かしらの原因でパラシュート分離の制御が入ってしまった模様。

現地で簡単に検証してみたところ、ホイールの破損、駆動系の破損、制御基板上の部品の破損などは確認できました。
カーボンファイバー製のホイールが損傷したということは、やはりかなりの衝撃を伴って着地したことが分かります。
でも、カーボンファイバー製のホイールだったからこそ、機体の損傷がこの程度で済んだということでもあります。

ちなみに、昨年優勝したSuper NOVAという最強のチームがいるのですが、本日の打上げでは、ロケットが数百メートル上昇した時点で爆発してしまったそうです。
機体は無事に降下して、爆発の衝撃で正常に動作しなくなってしまったとのこと。

我々も過去には、機体がロケットから放出されずに、パラシュートも開かずに、時速300kmで地面に激突して木っ端みじんになったことがあります。
が、ロケットが爆発ってのは、聞いたことがありません、

おっと!
とにかく宿に帰って修復を急ぎ、原因究明と対策をしなければなりません。

宿での詳細な検証の結果、機体は何とか修復できそうです。
また、機体の制御ログの解析の結果、空中でのパラシュート分離は確かに起きていて、プログラム上のエラーが原因であることも分かりました。

さて、これらの問題を解決して、明日も朝イチの打上げを目指しますよ。