未来に向けて その2

そのネタは
テクノロジーじゃないよ。
たぶん。

なんて刺激的なことを書きましたが
テクノロジーが必要なくなるなんてことはないでしょうね。
そういう二元論的なことを言いたいわけではないのです。

現状の、特に日本はテクノロジーそのものにフォーカスしすぎていて
何のためにそれが必要か
という上位概念の部分が弱いですよね。
だから色々うまくいってなくて
これは行き詰まっちゃうだろうなぁ
と思っています。

テクノロジーは、何かを実現するための手段にすぎませんから
新たな実現手段が登場すれば瞬時に用無しになることもあります。
だから意味ないよ
ということではなく
実現したい「何か」の部分にもっと力を入れるべきでしょう。
今はあまりにその部分が弱いと思います。

「何のため」を考える上位概念は
とても曖昧なイマジネーションの世界ですから
超具体的な技術を見ていても成長できません。
クリエイティビティが必要です。

日本の教育は
正解か不正解か
という超具体的なものばかりです。

イマジネーションが必要なクリエイティブな部分って
点数付けて評価しにくいですからね。

なので
色々学ぶのは良いけど
一番大事な
「何のためなの?」
という部分が無くて
「どうあるべきか」
という部分が決められないということになります。

具体的な答えがあるものばかりの環境でやってると
上位概念を構築するトレーニングは一切できないので
結局、「何のため」は他人に依存することになります。
もしくは、深く考えなくても済むように楽なことをやるか。

一定数の学生を集めてものづくりの授業をやったことがあります。
特定のテーマを決めて
「これやりなさい」
と言えば、そこそこやるんだけど
「何やっても自由だから、ゼロから考えてみよう」
と言うと嬉々として取り組む学生(少数)と
可能な限り楽なことを追求しようとする学生(多数)に分かれます。

そりゃそうでしょうよ。
自由な環境で、自分の意思でやったことがなければ
「どうしろっての?」
ってなるでしょうね。

年長者はそんな現実を見て
「俺たちの子供の頃はなぁ」
とか言いたくなるもんですが
そりゃ無茶な理屈です。

これだけ便利で安心で安全な世の中になったら
余計なことをやらなくても済む
まさにトレードオフです。

日本は
便利で安心で安全な世の中
という物差しで見たら世界一でしょう。
世界のホームラン王ですよ。

色々不十分だった時代は
色々不十分だったがために
色々妄想して
色々やらなきゃいけなくて
だからこそ色々余計な経験ができて
その中からクリエイティビティを育んでいったわけでしょう。
今はそんな必要ないもん。

なので
テクノロジーの力で
便利で安心で安全な世の中
という物差しの目盛りがデッカイ方に振れた今
これからは何かとバランスするように
揺り戻しのような局面に入っていくのではないかな。
もしくは新しい方向に振れていくのか。

幸いにしてレーシングカーとか惑星探査を作りたい連中は
それがやりたくて集まってきているので
経験が無くても何とかしようとします。

そんな連中の気持ちと考え、行動の中に
重要なヒントが隠されています。きっと。

でも、潜在的にそういうワクワクすることをやってみたいという学生は
予想以上にいるのではないかと思います。
1年生に希望を聞くと、彼ら結構夢を持ってますからね。

こういう状況を何とかしようったって
そう簡単に答えは出ないと思いますが
継続して頑張って色々やっていれば
そのうち何か見えてくるんじゃないかな。

これが夢工房のネタの仕込みの一つです。

「何だよ、はっきりしねーな」
とお思いですか?
そりゃそうですよ、上位概念の中の一部ですから(笑)

もうちょっとはっきりした話は後ほど。

超シンプルな うまくいくやり方

どうしたら、ものごとはうまくいくのでしょう?
うまくいかないのはなぜだろう?

これは学生と付き合ってるとよく分かります。
とにかくサンプルが多いですからね。

すぐやる/やらない
時間が経てば熱が冷めるし、初動が遅くなるとできることが減る。
チームで動いている場合
「あとで みんなが揃ってから」
なんてことがよくあるけど、こういうのも大抵はうまくいかない。
まずできることをやってしまわないと。

すぐやればトライできる回数が増える。
能力はトライする回数で決まるので、すぐやって、たくさんやれば伸びる。

逆に、失敗を避けるために長時間考えるとトライできる回数や時間が減る。
つまり能力は向上しない。

やらずに考えていれば、知識は増えるかもしれないけど
それは能力とは関係ない「死んだ知識」
知っていることとできることは別だから。

同じようにありがちなのが
とにかくやってみるできるようになったらやる
やらずにできるようになることはない。
なので「できるようになったらやる」なんてことはありえない。
不十分でも、やらないとできるようにはならない。

これに似たようなところで
自信が無いからポジティブになれない
というのもあります。
ネガティブな考えや行動で
ポジティブな状態に繋がっていくのか
というと、そんなことはないと誰でも分かります。
なので、それは理由になっていない。

じゃぁ、ポジティブな考えや行動をしていれば
ポジティブな状態に繋がっていくのか?
いきますね。
簡単じゃん!

最後に
アウトプットする/しない
アウトプットしない者の考えや行動は磨かれることがない。
アウトプットに対する評価は
それを受け止めた他者の反応や結果によって分かります。
なので、出さないと磨かれない。
どんなに頭の中で考え続けていても、それは実現しないし、誰も賛同しない。

おっとまだあった!
本当に最後に
素直な心/頑なな心
ものごとを素直に受け止めるのは勇気が要りますね。
特にうまくいっていない時はなおさらです。
相手の意見や、今の状況など、これらを受け止めて認めないと
これからどうすべきかは見えてきません。

それを受け止めず、認めなければ何も変える必要はありません。

こんなふうに、ちょっと考えれば当たり前のことをやっていけば
うまくいきそうなことは誰でも分かります。
自分で書いていても耳が痛い(笑)

でも、なかなか行動に結びつきませんよね。
なんでだろう?

…おっと、理由を考えちゃう?
そんな必要ないでしょう。

夢工房はこうして回っている

夢工房でやっているプロジェクト活動

一言で言えば
ものづくり
なんですが
こう書くとゴリゴリ工作ばっかりやってるようなイメージがありませんか?
なのでちょっと抵抗があるんですよね。
ものづくり
って書くの。

何かもっとカッコいい呼び方ないかなぁ。

学生達は日々頑張っていますが
一体なぜ、こんなふうに頑張り続けられるのか。
いままでもチラホラ書いていますがまた書きます。
日々気付いたことや考えが整理できたこともありますので。

学生達がどれくらい頑張るのか
言葉にするのは難しいですが、例えば
夢工房に数週間泊まり続けて
盆も正月も無く朝から晩まで設計したり作ったり
これを卒業まで続ける。
と言えば多少は雰囲気を理解してもらえるでしょうか。

「正月くらい帰ろうよ」
と言うと
残念そうな顔します。

これ、別に私が強制的にやらせているわけではないのですが
外部からは無理矢理閉じ込められて
キツいことをやらされているように見えることもあるようです。

はっきり言いましょう。
そんなの無理です。

自発的な行動でなければ、こんなに継続的に頑張り続けることなんて不可能です。
無理矢理やらせていたら暴動起きますよ。

なのでいつも
「コイツら、すげぇな」
と思っています。
はっきり言って化け物ですよ。
好きなことを一所懸命やるって凄い威力です。

なので、できる限り「天井」を外して
好きなだけ、納得いくまでやらせてあげたい。
もちろん、今はコロナ禍の影響で今はできませんが。

ちなみに、これを「無理矢理やらされている」と思っている誤解を解こうとは思いません。
どうせそんなこと言っても信じられないだろうから。
それに、人は見たいものを見たいようにしか見られませんので
実情を説明しても、見方は変わらないでしょうね。
分かってくれる人は分かってくれます。

話を戻しましょう。

まず取り組むテーマは自分発である必要があります。
動機は自分達がやりたいこと、好きなことでないといけません。

その第一のメリットはモチベーションですね。
チャレンジするのに、他人から与えられたゴールを目指すのでは限界があるでしょう。
困難にぶつかったときに、簡単に自分自身に言い訳して諦めることができます。
「どうせ、やりたかったわけではない」って。

人は困難を乗り越えることによって成長するので
その時に簡単に諦められない環境が必要です。
自分達がやりたいこと、好きなことをやっている環境は
自発的に壁を越える原動力となります。

喜びを共有できる人達の存在も重要です。

彼らの活動には資金をはじめ、色々なリソースが必要になります。
それをあらかじめ用意してお膳立てするのは、一見良さそうに見えます。
でも、そのような状態では、頑張っても頑張らなくても良いということになりがちです。

自分達がやりたいこと、好きなことをやるために
魅力的な高い目標を設定して
大学の内外の人達の理解を得てサポートしてもらう。
そうすると、もし困難に遭遇しても簡単に諦めるわけにはいかないので
学生達は次々にハードルを乗り越えて、みるみる成長していきます。
もちろん、サポートしてくれる人達に喜んでもらわないと活動は継続できなくなります。
皆が喜んでくれるような成果を得られれば自分たちもハッピーで周囲もハッピー。

大会の成績は波があります。
うまくいったりいかなかったりするのは当然のことです。

でも、勝つために諦めずに頑張り続けています。
卒業までに、その願いは叶わないかもしれません。
でも、それは卒業で終わってしまうわけではなく
そこから始まる「本番」のためでもあるのだから良いのです。

こんなことを継続していれば
もちろん、就職でも必要以上に悩むようなことはありません。
多くが希望通りの就職をしますし
職場でも、かなり早い時期に戦力になれるでしょう。

そんな一連の流れを目の前で見続けている後輩達も
「夢は叶うんだ」

ということを理解しています。
なので頑張る。

夢工房では、日々そんなループが回っています。

このループ、そもそもの始まりが学生達の「やりたい!」だったのです。
それが20年も継続するって凄いことです。
私は、そんな活動を支え続けている我が東京電機大学は凄いと思います。
日本最古の技術者を育成するための学校というのは伊達ではないってことです。