勇気を持ってすぐやろう

皆と同じようになりたい?
それとも違うようになりたいのか?
好きなことをやるべきか?
無難な方向に行くべきか?
多くの学生達は
色々な狭間で揺れています。

やりたいこと
好きなことはある
でも
自信がなかったり

独自のものに価値がある
そんなことはなんとなく分かっている

価値があるのもは独自性がある
と言うべきかもしれないけど

じゃぁ
独自の道を行くかと問われれば
それはそれで怖かったり

損得勘定が働いたり
群れから外れることを恐れたり

迷いの正体は
恐怖であることが多い気がします。
というか
恐怖が原動力になって何かをするというケース
思いのほか多いものです。

他にも
面倒だから
というのもあるかもしれないけど
そういうケースはここでは論外。

失敗するかもしれないけど
やりたいことを一生懸命やったり
人と違うことをやる
というのは勇気が要ることなのかもしれませんね。

真面目な良い子だったりすると
そこそこ成績が良かったりするケースも多いでしょうから
変わったものを目指さないで
無難に真面目に勉強した方が得かな
とか思っちゃうのかもしれませんね。

でも
もし迷っているとしたら
勇気を持ってチャレンジして欲しい。

チャレンジすると失敗するかもしれない
というか
間違いなく何かしら失敗はするでしょう
でも
失敗しないことが成功ではありません。

諦めないでトップエンドを狙っていれば
そこで得た経験は決して無駄にはなりません。
やらないと分からないことがたくさん手に入ります。

自分の経験上でも
今まで見てきた学生の実績でも
これは間違いないです。

恐怖に目を向けて
迷っている暇があったら
理想に向かって動いた方がいいですよ。

怖いからってコーナーの外を見てると
そこに行っちゃうのだよ。
コーナーの出口を見てスロットル開けないとね!

そのうちやる?気持ちの整理が付いたら?
「そのうち」なんて来ないよ。

「できるようになったらやる」って変だよね

ゼロかイチか
もしくは
ゼロかヒャクか
どちらも一緒ですが
ゼロか完璧か
みたいな極端な考え方
ありますよね。

若い頃は多くの人がそういう考え方をする傾向なのかな?

自身はどうだったかと言われれば
そうだった気もします。
いや
きっとそうだったな。

子供って
生物としては弱いのでしょうから
そういう思考によって少しでも生き残るチャンスを得ている
ということなのかもしれませんね。

そうやってリスクを回避するという。

今回何をお話ししたいかというと
新しいことにチャレンジする時の考え方についてです。

凄く奇妙なんですが
意外と多い気がします

「できるようになったらやる」
みたいな考え方

「今は完璧にできないからやらないんだ」
みたいな考え方です。

そんなふうに口には出さないかもしれませんが。

こういうのって
やらない言い訳に使われることが多い気がしますね。
気が進まないことに対してはありがちかも(笑)

そもそも理屈としておかしいですよね
「できるようになったらやる」
って。

最初はうまくいかないかもしれないけど
やるから
できるようになるんでしょう?

やらずに
何かを待っていたり
考えていても
経験を積むことによってできるようになることは
いつになってもできるわけないですもんね。

世の中には
こういうやり方したらきっと良くなる
とか
こういう考え方をしたらきっと良くなる
ってこと
ありますよね。

まぁ物事って多面性がありますから
一概にそうも言い切れないことも多いとは思いますが
理想ってのはあるわけで。

いえね
何でこんなこと言ってるかというと
コンペティションでチャレンジすべき立場にいる学生達も
ついついそういう思考・行動をしちゃうことがあるんですよ
ってことなんです。

好きなら
とにかくやってみて
ダメでも失敗しても
何度でも挑戦すればいいのにね。

それまで生きてきた環境とか
色々事情はあるんでしょう。

無意識にそういうやり方が発動しちゃうんです。
本人だって理屈では分かってると思うんですよ。
壁にぶつかりながら
ダメでもチャレンジする必要があるんだって。

でもたぶん
過去にあったんでしょうね
チャレンジして結果が出なかったり
失敗したりすると
怒られたり
バカにされたり

もしくはそもそも
失敗しそうだとチャレンジさせてもらえなかったり


理屈は分かっているけど
気持ちの部分がそれを許さないので
そういうリスクを回避する癖が付いているだけ
なんだと思います。
別に同情はしませんけどね。

リスクを取っても欲しいものを手に入れるか
欲しいものを諦めてリスクを回避するか
という二択で
リスク回避を選択してきただけだから。
深層心理による自動的な選択でしょう。

でも本人がその状況をなんとかしたいと望むのなら
背中を押して
困難にもめげず
チャレンジし続ける
変態の馬鹿野郎に変身する手助けをしたいな
と思っております。

トップエンドでいこう

コロナウイルスが再び猛威を振るい出しました。
皆さんお気を付けください。

でも
くれぐれも心配しすぎて
ネガティブな心にとらわれないでくださいね。

かといって
コロナなんて恐れる必要ないから
普段通りガンガンいけ!
なんて言うつもりはありません。
ちゃんと感染予防はしましょうね。

さてさて
今回は
どのように未来に向かっていくか
というお話をしましょう。

教員やって20年くらいになりますので
学生を見て
「あぁ、こいつはうまくいくな」
という勘はずいぶん磨かれてきました。

学生を見ていて
彼らから学ぶことって
凄くいっぱいあります。
教員は教えるのが仕事ですが
実は
学生から多くのことを教えてもらっている
と思ってます。

ほんの一例ですが
一人の学生の例をお話しましょう。

ずいぶん前に
私の研究室から巣立っていった男の話です。
そいつは今、MotoGPマシンの設計者です。
どこのチームに所属しているとか
具体的に何をやっているとか
すべて機密事項なので
そういったことは一切記しませんが。

当大学では
4年生から研究室に所属するのですが
そいつは3年生の春に私のところに相談に来ました。

「雑誌主催の最高速を競うイベントに出たいんです。
速いバイクを作るにはどうしたらいいですか?」
というのがそのときの彼の質問。

確か125ccくらいの小排気量のバイクを改造したい
という話だったと思います。

まぁ相手が3年生で
ボチボチ就職とかも考えた方が良さそうな時期ですから
聞いてみました。

「そんな小さいバイクの改造くらいでいいの?
本当は何やりたいの?
どれくらい速いバイク作ってみたいの?」

今にして思えば
正しい教員の返答は
「そんなこと言ってないで勉強しろ」
とか
「就職のこと考えろ」
とかなんでしょうけど。
残念ながら私はそういう思考回路を持っていません。

彼は
「本当は世界一速いバイクを作りたい」
と言いました。

正しい教員の答えは
「そんなのできるはずないだろ」
とか
「そんなこと言ってないで勉強しろ」
とか
「就職のこと考えろ」
なのかもしれませんが
残念ながら私はそういう思考回路を持っていません。
本当に残念なことです。

正しい答えを言えない私は
「ふーん。じゃ、世界一速いマシンを見に行く必要があるね」
と言って
アメリカのユタ州にある
ボンネビル・ソルトフラッツという広大な乾塩湖で開催される
最高速競技を見に行けと言ってしまいました。
映画なんかでも有名ですね。
私も一度見に行きました。
凄いイベントです。

そのとき彼には
本気で行く気があるなら
どうやって現地に行ったら良いかなど
具体的なアドバイスをする
と言う話をして分かれました。

私が行ったのは2009年です

そしたら後日来ましたよ。
なので
どんな飛行機に乗って
どこに行けば良いかとか
具体的な話になりました。

その流れで
「ところで英語は大丈夫なんかね?」
と聞いてみたら
「全然ダメっす」

「お金はどうすんの?
イベント中の近所の宿は3倍レートになってるから高いよ」
と言ったら
「金は全然無いのでこれからバイトして貯めます」

そりゃもう当然
「お前、そんなんで大丈夫かよ。
行くだけ行っても
宿に泊まれないんじゃ野宿?
金なかったら飯も食えないじゃん。
そもそも英語全然ダメってどうすんだよ」
と言う話になりますよね。
そしたらヤツは熱く語りました。

「先生、そんなこと心配しても何の解決にもならないんですよ。
風呂入れなくて臭くなっちゃうとか
メシ食えなかったらどうしようとか
そんなこと死ぬほど悩んでも何も解決しないんです。

問題は、どうしたらトップチームのリーダーに
俺を必要としてもらえるかなんです。
それができたら、そもそもそんなレベルの低い心配しなくていいんですよ」

なんと
こいつは最速チームのリーダーに面倒を見てもらうつもりなのでした。

アメリカにはジェット戦闘機の翼を外したようなマシンで
音速を狙ってるチームがあります。
そのマシンはボンネビルのイベントを走るわけではないのですが
マシンのオーナーが持っているチームは参加するので
そのチームに入れてもらうと。

こりゃ参りました。

何が参ったかって
大層大胆なことを考えているのは
参っちゃうっちゃぁ参っちゃうのですが

最上位の
トップエンドのゴールを設定したら
そもそも
最悪の
ボトムエンドの心配なんかしなくていいのだ
という理論ですよ。

これは凄いですよ。
まさにその通り!

そいつはその後どうしたか

高所恐怖症なのに一人飛行機に乗って渡米し

ホームレスのたむろするストリートを抜けて
キャンプ場にたどり着き
(ソルトレイクシティの空港は、徒歩で出られない構造なので
途中でおまわりさんに捕まったりしながら)

金がないので友達になったドイツ人のキャンパー一家に飯を食わせてもらい
(ご主人はF1マシンのメカニックだったそうな)

SNSで連絡を取ったトップチームのオーナーご本人に車で迎えに来てもらい
チームに入れてもらって
1週間チームクルーとして働きました。

最初は
言葉もできない外国人なので
全く信用されずに
荷物運びだったそうです。

でも最後には
マシン停止用のパラシュートを畳む
という役割をもらったそうです。
(パラシュートを畳むということは
ドライバーの命を預かるということなので
かなり重要な役割)

私が行ったときの写真なので、この話に出てくるマシンではありませんが
こんな風に後端の円筒形の部分にパラシュートが入っています

それで終わりかと思いきや

その後に開催された
バイク専門の最高速イベントにも
チームを紹介してもらってクルーとして参加

結局
1ヶ月半ほどアメリカにいました。
キャンプしたり
チームクルーのアパートに泊まったりして。

彼は高校生の時はラグビーしかしていなかったので
脳ミソが筋肉でできているような男でしたが
その後は私の研究室で
複雑なバイクの運動解析なんかをやってました。

結局、卒業前に
色々な意味で
世界一速いバイクを作るにはどうしたら良いか
という答えを手に入れたというお話です。

そんなの誰でもできることじゃないだろって?

いやいや、それ決めるの自分でしょ。

おまけ

スタート地点
右端のお方は、私のお師匠様 1960年代のホンダF1マシンの設計者 佐野彰一先生
ヤマハのRZ(現地ではRDですね)も走る
ホンダのZ? ライフ? オーナーは「解体屋で拾ってきた」と言ってました