それでも前に進もう

うまくいかないとき
そんなときにどうするか

これが成長の度合いに
大きな影響を与えているのだな
なんて思っていました。

それこそ
明暗を分ける
というくらいに。

うまくいかないときに
何を見ているか
何を選んでいるか
何をするか

たぶんそういうのは無意識です。

なので
うまくいかないときに
うまくいくようにする
というのは難しいのでしょうね。
自分でコントロールができないから。

夢工房の学生達は
ものを作っているので
うまくいかないときに
なぜうまくいかないかが
とても分かりやすいのです。

例えば
ある部品を設計している
といったシーンで

良いアイデアが出ない
なんて時はどうしているか?

大抵は、良いアイデアを求められている自分の設計領域を
その狭い領域を凄く集中して見ています。

で、悩んでいるのですが
悩めば悩むほど
その領域にフォーカスしていって
考える領域がどんどん狭まってきます。

これは危険。

なぜかというと
今考えている部品は
何かのため
です。

その部品単体では何の意味もありません。

その部品が構成するシステム
そのシステムが構成する全体のためにあるのです。

なので、行き詰まった時に見るべきものは
狭い領域ではなく
全体なのです。

開発しているマシンは
一体何を目指しているのか?

それを考えれば
そのために各部はどうあるべきか?
そんなことは簡単に分かるはずです。

と、説明すれば
大抵の学生は
「なるほど!」
となりますが…

まぁ、そう簡単にうまくいきませんよね。
けど、諦めずに続けないと。

なので、意識的に日々繰り返して
習慣を上書きする必要があるのです。

習慣は簡単には修正できませんが
今の自分に満足できないのなら
変化と努力を続けるしかありません。

狭いところを見ても答えは無くて
むしろ大きいところを見なきゃ
なんてのは組織も一緒で
だからこそ「社是」なんてのがあって
迷走したらそこを見れば良いわけです。

我が大学なら
「技術は人なり」
といったところです。

仕事も「心」なのでした

「できる」ようになるためには「やる」必要があるわけで
そのためには探究心とか好奇心は欠かせませんよね
なんて話を卒業生としていました。

例えば、プレス金型で製品を打つ(金属材料などをプレス機で成形することです)場合、一見やっていることは単純なようですが、実は細かなノウハウがあって、精度の高い製品を作ろうと思ったら、通り一遍の知識ではどうにもならないのです。

実に繊細な条件や調整の結果、設計通りの製品ができあがるわけで、これは単にAIにお任せで何とかなる世界ではないと思います。

「え?そんなところをいじると、そっちが変わっちゃうの?」
みたいなトリッキーな仕事なのです。

そういう繊細な仕事をキッチリ仕上げていくには、「なんでそうなるんだ?」という自発的なアプローチや、「なんで?なんで?…」と突き詰めていく姿勢が必要です。

これは単に勉強ができるとか何とか、そういうものではないのです。

というわけで
探究心とか好奇心とかを持って
やっぱりその仕事を好きにならないと無理だよね。
そういうのを楽しめないとね。
と、そんな話をしていたのです。

で、探究”心”とか好奇”心”とかなんだから
結局は「心」ですよね。
それが無いと仕事できるようになりませんもの。

うん、確かにそうですね。
本当に仕事ができる人を見ても
学生を見ていてもそう思います。

その「心」を土台として
技術やら何やらが乗っかってくるんだなぁ。

うん
技術は人なり
です。

感性と価値観

ものを作るとき
知識とかスキルとかは
その出来映えに大きな影響をもたらすのは当然ですが
「感性」とか「センス」を忘れてはいけません。
これらはオマケではないのです。

そもそも「感性」とは何か?
ものごとを感じ取るセンシング能力ですね。

経験に基づく基準があって
それに対してセンシングしている対象の位置付けを評価する能力
というところまで含んでいる場合もあるでしょう。

そもそもセンシングするだけなら
経験に基づく基準は要らないのかもしれなくて
対象に興味を持てるか否かが大事なのだろうな。
とも思いました。

興味の無いものはセンシングの対象にならないし
評価もできないでしょうから
単にセンシングしているだけじゃ
それは感性とは呼べないでしょうね。

いわゆる「センス」は、ほぼ同じ意味ですが
「センス」は表現されるアウトプットの結果まで含むこともありますね。
なので、センスが良いとか悪いとかいう話になる。

さてさて
感性が評価する基準は
「価値観」ということになるでしょう。

これに基づいてセンシングの対象を
選別したり評価したりしているはず。
当然、興味のないことは対象にならない。

ものづくりに重要な感性を磨くには
当然ながら経験の数とか質が大事になってきます。
五感を使って実際に「やる」ということです。

これは感覚的なことだから
そもそも言葉や文字にして伝えるのは難しくて
定義すること自体が難しい。
もちろん授業では伝えられない
やらないと分からない世界。

もちろん若い方が感性は豊かで敏感なので
始めるのは早い方が良い。

年齢を重ねてから感性を磨くのは…
絶対に無理ではないだろうけど難しい。

特に手を使ってものを作っていくことは
癖が影響するだろうから。

癖は無意識に発動するフィルターだったりもするから
癖が付いてしまってからでは見えなくなるし、分からなくなる。

品質とか美しさは今の授業では学べません。
それを達成するため必要な考え方とか
努力のしかたも分からないでしょう。

下地が無いままで社会に出て
時を逸した後に学んでも限界があるだろうから
大学を出てからでは、色んな意味で無理があるでしょうね。
価値観が固まってしまってからでは遅いのです。

何とかしないとね。