アメリカのEV事情 というかカントリーエリアの車事情

もちろん最近はアメリカに行っていませんが
2019年までは学生の遠征のお付き合いで毎年行ってました。

とは言っても、いつも行くところは決まっていて
ネバダ州の北部にあるリノという都市から
北東に行った荒野なんですけどね。

アメリカというと
多くの人が思い浮かべるのは
ニューヨークとかカリフォルニアとかの都市部かもしれませんが
広大な国土の大半は荒野とか農地なのです。
そういう所に小規模な町が点在しています。

話を戻して
ネバダの北部なのですが
2019年までは
ハイブリッドを含む電動車両は
ほとんど見かけませんでした。
2年経った現在では
かつてより増えているとは思いますが
それでもそんなに多くはないのではないかな。

今やアメリカと言えばテスラなわけで
EVがバンバン走っているかと言えば
そうでもないです。

プリウスは
たまーに見ます。
でも、とても小さくて
日本での軽自動車みたいな感じに見えます。
で、恐らく比較的高額なのではないかな。

テスラもプリウスも
たぶん都市部には結構いると思いますが
荒野が多いところではあまり見かけませんでした。

実際に現地を走るとその理由が何となく分かります。

一つは
荒野の一本道を走っていて
路肩に止めたとしましょう。
路肩の空き地でに良いのですが
うかつに未舗装部に停めると
車高の低い二輪駆動では脱出できなかったりします。

人がいる土地なら誰かに脱出を手伝ってもらうこともできるでしょうけど
人がいなくて携帯の電波が届かないとなるとお手上げになります。
ヘタすると命に関わるでしょう。

EVは二駆が多いですし
未舗装路を走るのには
あまり向いていない形状のクルマが多いですからね。
そもそも車高が低くて
すぐに腹がつかえちゃう。
田舎に住む人には向いていないと思います。

その辺を考えると
四駆のピックアップトラックがよく売れるのも分かります。
(もちろん税金が安いのが大きな理由の一つですが
実用的でもあります)
アメリカでSUBARUのクルマが売れるのは分かる気がします。
アレは良いです。
見た目以上にオフロードに強いですから。
ドデカイピックアップトラック以外で
どこに行っても安心な車の筆頭ではないでしょうか。

あともう一つ

これはあまり気持ちの良い話ではないのですが
夜の荒野を走ると
出るんですよ。

野生生物が。

走行中の車の前に飛び出してきます。
ネバダ北部の荒野だとウサギが多いです。

片側一車線の細い道でも
時速110kmくらいのスピードで走っているので
避けたら危険です。
横転しちゃうかもしれません。
行っちゃうしかありません。

そんな時は
アイアンバンパーのゴツイ車なら安心です。

樹脂バンパーで車高の低い車だったら…
あまり結果を考えたくないですね。

私は何度も牽きました。
アイアンバンパーのゴッツいバンで。
避けることもできないし
ブレーキかけても間に合わないのだから仕方ない。

気持ちは良くないですよ、もちろん。
「あぁ、こりゃ良い死に方できねぇなぁ」
って感じですよ。

一度、牛が目の前に出てきた事があって
それを避けられた時は
本当にホッとしました。

自動車の性能評価に
「エルクテスト」
というのがあって
高速走行時に目の前に鹿が飛び出してきたことを想定して
急ハンドルで避けて
元の車線に復帰する
というシナリオなのですが
まさにそれでした。

その時乗っていたのはミニバンで
結構なスピードで急ハンドル切ってもスピンや横転はしなかったので
きっとスタビリティコントロールが効いていたのでしょうね。
テクノロジーって凄いです(笑)

経験の数はあまりありませんが
機会があれば他の国の事情もお話ししましょう。

電気の時代がやってくる バイク編

クルマやバイクの電動化は
今や既定路線…ですかね。
将来的にどうなるかは分かりませんが
少なくともそのように見えますね。

バイク業界には数年前から
新興メーカーが色々なモデルを投入していますし
既存の大御所も電動化をやっていたり
計画していたりという状況です。

このままバイクが電動化の方向に進むと
何が変わってくるでしょうか?

クルマみたいに
そもそも大きくて重い乗り物であれば
エネルギー密度の低いバッテリーを
たんまり積んでもさほど問題はないのかもしれませんが
バイクとなるとどうなのでしょう?

バッテリーの容量はもちろん
充電時間も気になるところです。

例えば、夏休みともなれば
日本中で多くのライダーがツーリングを
楽しんだりするわけですが
同時に帰省の時期でもあって
高速道路の充電施設は満員御礼になるでしょう。
その中にバイクが入り込む余地があるのか?
特にグループでツーリングなんかしてたらどうなのかな?
何てことも気になります。

これはバイクに限ったことではなくてクルマも同様ですよね。
エネルギーのチャージに時間が掛かる乗り物が
一カ所に集結する際に起こりえる問題を
どう解決するかは課題でしょうね。

まぁ、こういう問題は考えれば誰でも分かることなので
きっと解決差を考えている人がいると思いますが。

あと、今回の佐多岬への走行中に考えていたのは
こんな走り方はEVじゃ無理かもしれないなぁ
ということです。

満充電での走行郷里が短くて
チャージのたびに数十分掛かってしまうとなると
1日で長距離を走るのは難しくなってくるのは当然ですから。
それが高い速度域だとなおさらです。

とまぁ、これから何かが変わる
となると、往々にしてデメリットばかり
考えてしまうものですが
当然メリットもあるはず。

電動モーターならではの
グイグイくる加速なんかはEV独特で
あれはあれで楽しいかもしれません。

あとは静かですしね。
意外と「音疲れ」ってあるのです。
エンジンの排気音は、アドレナリンの源ですが
疲労の源でもあります(笑)

電動で制御が使い勝手や乗り味に
及ぼす影響が大きくなるとすると
今、テスラがやっているような
制御プログラムのアップデートによる
機能の更新や変更なんかは楽しいかもしれませんね。

量産効果や技術の進歩に伴って
車体価格の大半を占める
バッテリーのコストが下がれば
車体価格は当然下がるでしょうね。

でも、世の中あれもこれも電動化
って事になってくると
現在も問題ではありますが
「銅」の価格が高騰したりして
今とは別のコスト問題が浮上するかもしれませんが。

維持費などはどうなのでしょう。
でっかいEVバイク、確か車検が無かったりしますよね。
油脂類なんかは当然負担が小さくなるでしょう。
回生ブレーキを上手に効かせれば
ブレーキの負担も小さいでしょう。

大して、EVならではの負担は?
重い車体に大きな低速トルクによるタイヤの消耗?
タイヤの技術も進化するでしょうから
一概には言えないと思いますが、どうなのでしょうね。

バッテリーの消耗に伴う交換費用は結構な
出費になるかもしれません。
同様の理由で
下取り価格が大きく下がる
なんてことは考えられるかもしれませんね。
買い手のいない乗り物は
ゴミになってしまいます。

色々興味深いところではありますが
昔からちょっと気になっていることがあります。

自動車であれば、物にもよりますが
クラッシックカーにはプレミアムが付いていたり
好んで所有や走行を楽しむ人達がいますよね。
古くても、というか、古いからこそ
価値があるようなところがあります。

それに対して
電気で動くものって
博物的な価値がある場合もありますが
時間が経つと実用に耐えなくなる場合が
多いのではないでしょうか。
世に登場した初期の頃のパソコンやラジオを
好んで使い続ける人はあまりいないでしょう?

真空管オーディオなどは
独特の味があって
それこそが価値ですから
時が経っても価値を維持していますが
本当に古い製品はどうなのでしょうね。

乗り物になってくると
その辺がどうなるかは見ものです。

環境に優しい
とか言いながら
耐用年数が短くなったりしたら
本末転倒です。

お気に入りのEVを乗り続けるために
メーカー欠品のバッテリーユニットや
制御回路を自分でレストアしたり
そんな人が登場するのでしょうか?

色々興味は尽きませんが
こういう大きな時代の変化点に自分がいる
というのは大変結構なことだとも思っています。

想像と現実のズレ (副題:フラフラとゲロゲロの話)

あなたは自動車酔いをしやすいタイプですか?
私は子供の頃、自動車酔いに悩まされました。
なのに後に自動車の開発を仕事にするなんて
今考えてみるとおかしいですね。
クルマの好き嫌いと
酔う酔わないは別だったのでしょうね。
もっとも、自分で運転するようになってからは
酔うことはなくなりました。

さて、なぜ自動車酔いをするのか
探せば色々な専門的な説明が出てくるとは思いますが
前職で仕事をする中で気付いたことを書いてみますね。

ある時、ドライビングシミュレーターを開発していて
気付いたことがあります。

この時のシミュレーターは
映像を投影する大きなスクリーンと
ドライバーにGを感じさせるために動作する
コックピットで構成されていました。

ドライバーが運転操作を入力すると
コンピューターで演算された結果が
スクリーンの映像と
ドライバーへの物理的なフィードバック
(操縦系統への反力やコックピットの動作)となって現れます。

しかし、コンピューターの演算能力や装置の動作の遅れが原因で
ドライバーからの入力に対する反応の遅れや
スクリーンの映像と動作のズレが生じます。
これがごく微少な時間でも
ドライバーは違和感を感じて
「酔い」が発生することが分かりました。
というか、自ら実際に経験しました。

利用者は、視覚から得る情報から
「次はこうなるだろうな」と想像しながら運転するのですが
この想像と実際(体感)にズレが生じると酔いやすいのです。

シミュレーターではなく
実際のクルマで起きる現象も興味深いですよ。
ちょっと一例を挙げてみましょう。

普通に自動車を運転している時
特に直進時に、自分がどのようにハンドル操作をしているか知っていますか?

運転初心者であれば、ほとんどの操作が意識的なので覚えているかもしれませんが
経験者の場合は反射的に、無意識にしている動作ですので
「知っているか」と言われても覚えていない可能性が大きいです。

多くの人は
恐らく無意識のうちにハンドルに微少な動作を入力しています。
例えば、ごく小さな路面の凹凸や
うねりを感じたりした時に
反射的に微少な修正舵を当てていたりします。

それがクルマの動きを修正するために
本当に必要な操作の量と速度であれば
乱れた動きは修正されますが
そうでないことも多い。

その結果、クルマの動きに現れてくるのは
フラフラする動き
「振動」です。

面白いのは
修正と思ってやった入力が
本当に必要な操作とは限らず
安定を乱していることがあるってことです。

こういうのを
PIO (Pilot Induced Oscillation:パイロット誘導振動)
と言います。

そもそもは飛行機の用語で
パイロットの入力に対して
機体の反応が遅れることによって
パイロット自らが引き起こす振動
という意味です。

MIO (Monkey Induced Oscillation:サルでも起こせる振動)
というのもありますが
これは、またの機会にお話ししましょう。

こんな例があります。

直進走行中に、ちょっとした路面の凹凸を感じて
反射的に修正舵の入力をした。

ただ、この入力は
本当に必要な量とスピードではなく
そもそも必要でもなかったかもしれない。

いずれにせよ
その操作はクルマの動きに現れます。

「フラッ」とします。

もちろん、ドライバーはこの動きに反応します。
「フラッ」と した動きに対する修正舵を入力します。

この修正舵も
入力量とスピードが適切でなかったとしたら
今後は逆側に「フラッ」と します。

もちろんドライバーは
この動きに対しても修正舵を入力…

それによって
クルマはフラフラした動きを続けます。
もちろん、修正入力と車体の動きが小さい場合は
微少にフラフラするってことになります。

ドライバー本人は
そんな入力をしていることも
クルマがフラフラしていることも
あまり意識していないことが多かったりします。

もちろん同乗者は
その意味の無い動きに違和感を感じることがあるでしょう。
シミュレーターの時と同様に
「予想」に対する「実際」のズレが違和感の正体です。
意識はしていなくても
体は違和感を感じていたりしていて
それが原因で酔ってしまうケースは多いと思います。

このフラフラは
ハンドル操作による横方向の動きですが
アクセルとブレーキによる前後方向の動きでも
似たようなことが起きます。

予測しにくいハンドル操作に
予測しにくい加速や減速が加わると
これはなかなかのものですよ。

予測しにくいものに対して
人は違和感を感じる

こういうのってクルマだけではなく
何か他のことにも通じていそうで面白いですね。

もう一つ。

この話を知ってしまったあなたは
誰かの助手席に乗ると
「フラフラ」したハンドル操作が気になるはずです。
そこから何かを発見するかもしれません。
楽しみですね。