最近のバイク CRF450Rその3

その1その2に続き、またまたCRFです。

ぱっと見て気になった点のひとつ。  

シートレール後端の溶接部品。
MIG溶接が多少モコモコしてるのはご愛嬌。
注目したのは溶接されてる後端の部材です。

角パイプがV字に収束したところからシートの取付部まで伸ばした部材だけど、従来であればシートレールの上側の水平パイプを延長するかプレス部品を溶接するのではないかな。

これ、一見削り出しのように見えるけど型材ですね。
トラス断面になるような押し出し型を作って、ムニューっと長い材料を押し出した後にスライスしていく。
で、溶接。

パイプだと強度出しにくいし、もしプレス部品のモナカ合わせなんかにすると型の点数が増えるし溶接の工数も増える。

押し出しの型って、意外とコストかからないのですよね。
まぁ、スライスするのに多少時間がかかるけど、トータルで見たら良いやり方なんでしょうね。
カッコ良いし。

このバイク、まだまだ驚く点がありますよ。
また紹介します。

ゴール志向で行こう

「指向」かもしれませんが、「志向」の方が相応しい気がしますね。
「志」(こころざし)が入っていますので。

大学でものづくりを教えていると気になることがあります。
本当はいっぱいありますが、今回はひとつだけ。
「ゴール志向」のお話しです。

例えば、学生が何かの部品を設計しているとします。
その過程で、どうした良いか分からなくなることがあります。
まぁ、良くあります。

そんな時、彼らが何を考えているか…
否、何を見ているかというと、その部品だけしか視野に入っていないことがあります。
で、それをどうしたら良いか分からない、と。

そりゃ、その部品が使われる製品全体を見ないと、その部品単体をどうしたら良いかは分からないですよね。
その部品は「何かのため」に存在するのですから。
でも、製品全体はできていない。

そりゃそうですよ。
まだ部品を設計している段階なのですから。

とはいえ、最終的にどんな製品にしたいのかを決めておかないと部分は決められない。
困った。
端的に言うと、設計しているうちに「何のためにそれやってるの?」というのが曖昧になっちゃうのですね。

このケース、いわゆる真面目な学生ほどハマってます。

2020年の新人君たち きっと彼らもハマる

では、どうしたらいいか。

答えは、テキトーでいいので最終的にどうしたいかを決めておく。
ちょっと聞こえが悪くて受け入れにくいかな。

じゃぁ、出来る限りで良いので、どうしたいかを決めておく。
これなら受け入れられるかな。

本当の、業務としての製品設計なら、製品のあるべき姿を企画段階で決めているので、技術的な達成手法はともかく、方向性で迷うことは少ないですよね。

でも、経験の少ない学生は、製品のあるべき姿なんて、そうそう明確に決められなかったりするわけですよね。

だったら、多少の曖昧さを含んでも良いので、暫定で良いので決めてしまいましょう。
で、早くやってみましょう。

すると、やった結果が見えますね。
ダメなら直しましょう。

「ダメ」で「直す」のがイヤ?

何言ってんですか。
経験が少ないのだから、ダメでも直すことになっても良いんですよ。
そんなの失敗のうちに入らないから気にしちゃダメ。

本当の失敗は、「ダメで直すのがイヤだからやらない」ことです。

ダメでもいいから結果を出すこと、それを認めて直すこと自体が良い経験なんですよ。
そうやって経験の数を増やして良い技術者になって下さい。

ゴールを決めて、そのために必要なことをやる。
簡単なロジックですね。

でも、それって工科系の学生に限らず多くの人が似たようなことになってるかもしれませんね。

最終的にどうしたいかを決められない。
ゴールを設定できない。
だから、今どうすべきかが分からない。

夢を持てないというのも似たようなところがあるかもしれません。

何のためにやっているか分からない…では、どうしたら良いかなんて分かるはずないですよね。

ダメでもいいので、とりあえずどうしたいかを決めてやってみたらいいんじゃないですか。
それが結構難しい?

だったらそこに価値がるってことです。

Formula SAE Australasia 2004の表彰式 総合4位獲得

最近のバイク CRF450Rその2

前回の続きでまたまたCRFです。

なんとモトクロッサーにスターターモーターが付いてます。

今どきのモトクロッサーはスターターモーター付いてるのが当たり前なのか?
と思って調べたら

ホンダ あり

ヤマハ あり

スズキ なし

カワサキ あり

という結果でした。

装備が増えるのは、競技車両として最も大事な要素のひとつである車重に効いてくると思いきや、あまり変わりませんね。
コストもしかり。

モトクロスはスプリントレースなので、何かイレギュラーが起きない限りエンジンの再スタートはないと思うのですが、それでもスターターモーターがあった方が良いんですね。
まぁ、高圧縮の大排気量単気筒はエンジン掛けるの大変ですからね。
温間でエンストしたときの再始動なんてうんざりしますからね。

もちろん、車重もコストも大幅に変わらないのは設計的には凄く頑張った結果だと思うんですが、それにしても凄い時代になってきたなぁ。

ハンドル右側には

スタータースイッチ

なのですが、これがスタータースイッチ以外に、スタート時に使うローンチコントロールのモード切替スイッチも兼ねています。
エンジンスタート後に長押しで3段階に切り替えできます。

そして左側には

2つのスイッチボックス

グリップ側のスイッチボックスの赤いボタンはキルスイッチで、青いのはエンジンモードの切替スイッチです。
モードは3種類のレスポンスを選択可能。

そして右に見える緑のボタンはトルク特性の切り替えスイッチ。路面コンディションに合わせて3種類から選択可能。

いやー、凄いですね。

私が昔エンデューロやってた1990年頃はキルスイッチしか付いてませんでしたからね。

その当時は、XR600Rという空冷単気筒のバケモノみたいなマシン(あくまでも当時は)でレースに出たりしてましたが、このCRF450Rは、はるかに上を行く性能なのでしょうね。

そうそう!キャブレターだった頃のCRFはちょっとだけ乗ったことがあるのでした。
現行はもちろんフューエルインジェクションですが。

あれはあれで凄かったなぁ。