強いチームを作りましょう

しょっちゅう組織の理想形を考えたりしてます。
私の場合は夢工房の中のチームについてですが。

当方の学生チームの成り立ちと
その後の彼らの活動内容から考えても
教員の指示に従って
トップダウンで動くのは理想的ではありません。

学生が自発的に動くことの凄さを知っている身としては
今さら「普通のやり方」に軌道修正する選択はありえません。
そんなことするくらいならやめちゃった方が良い
というのは言い過ぎかな。

なので、基本的な方向性はこのまま
より強化・進化していきたいところです。

では、どうしたら良いか

我々はコンパクトな組織なので
大人数で豊かなリソースを持つチームに
真っ向勝負しても玉砕するのがオチです。

何せライバル達は
レーシングカーの実車が入る風洞実験設備とか
カーボンコンポジットの部品製作に特化した環境とか
マシンを組み上げたらすぐにキャンパス内でテスト走行できる駐車場とか
レース経験豊富なドライバーとか
工科系以外の多様な知識を持つメンバーの採用とか
とても我々には持てないリソースを活用して
パワフルな開発をしています。

対して我々の持っているリソースは
普通に考えたら
「それ無かったらダメじゃん」
という環境なのかもしれません。

でも彼ら、諦めたくないそうです。

なので取るべき道は一つ。

物量を生かした消耗戦のようなこと
つまり、通常考えられる常識的な戦略で
パフォーマンスを向上させるのではない。
真っ向勝負を避けることです。

ゲリラ戦が得意な特殊部隊のような感じかな。
食糧が尽きたら蛇を捕まえて食っちゃうような…
いや、それは違う。

風洞実験設備の例などは分かりやすいかもしれませんね。
そういうのを持っている連中は
ウイングなどの空力デバイスを
かなり高いレベルで作り込むことができます。

設備が無いのに
そういった連中が採用する方法に
一歩足を踏み入れたら
負けが決定します。
シミュレーション止まりのチームでは到底敵いません。

なので
ライバル達が心理的に採用しにくい戦略を採用して
優位性を確保する必要があります。

そのためには何が必要か?

カネや物ではなくて
「人」に尽きます。

まずは、常識にとらわれない自由なマインドとか
強烈なチャレンジ精神かな。
この辺があると強いですね。
というか、これらは必須かな。

あとは、もっともっと学生各自の自律性を高めて
それそれが分散して機動力を発揮しながらも
強いネットワークで結ばれているようなチームとか。

いわゆる優秀な大学の強いチームは
形式知を利用した戦略が得意なので
暗黙知の部分を大幅に強化するとか。

あれ?
結局、ゲリラ戦が得意な特殊部隊ですかね。

まあ、そんなのが理想だと思っています。
言うは易しなのですけどね。

こういうネタを学生と話して擦り合わせて
試行して最適化していきたいですね。
彼らも色々考えてネタを持っているでしょうから。

教員からのトップダウンはダメ
学生に丸投げの放置でもダメ
こういう二元論的な選択はうまくいかないと思います。

教員も学生も
互いに未経験の領域に入っていくのですから
力を合わせて頑張らないとね。

まあ結局は
私ができるのはアドバイス程度で
活動自体は彼らが回すんですけどね。

変化を武器に!

なにをもって自分の強みとすべきか
これは自分自身にとっても
学生に対しても重要なことです。

特定の何かを
例えば特定の技術的なことなどが
強みであって良いと思いますし
そういったものがあるべきだと思います。

しかし最も重要なのが

変化できるマインド
を持っていること

これが強みになると思っています。

というのも
人の成長とはつまり
現状から変化することですよね。
もし今のままで変化しないなら
それは成長しているとは言えません。

今現在、これが強みになっていて
それは十分なのか?
と問われれば
決してそんなことはないと思いますが

重要なのは
不十分な現状を把握して
「ではどうするのか」
を決めて実行すること。

それにチャレンジする人にとって大事なのは
スピード感だと思っています。
チャレンジするということは
失敗のリスクを含んだ
「やってみないと分からないこと」
をやるということですよね。

で、やってダメなら
その経験を活かして
何かを変えた上で再チャレンジすることになります。
だって、何も変えずにもう一回やっても
同じ結果が出るだけですから。

限られた時間内で成果を得るには
トライの数を増やすしかありません。

そのためにスピードが必要なのです。

以前にも投稿しましたが
じっくり考えて一発で決める
というわけには行かないのです。
だって「やらないとわからない」から。

十分できているというわけではない私が言うのもなんですが
若い頃はこういうのが難しかったりします。

生存本能に根ざす
無意識に変化を避ける行動をしてしまう
ということが原因なのだと思います。

いかにこれを
変化したい!
にスイッチするか
これがここ最近のテーマです。

良い環境を作らねば

地球の環境のことではありません。あしからず。

良い環境で学生を成長させたい

これは全ての学校で考えられていることです。
たぶん。

ここで問題です。

「良い環境」
って何だ!?

これはホントに問題ですよ。

夢工房でやっているような活動の場合
ものをつくることが活動内容なので
プロセスを分解すると

企画
設計
製作
テスト
改善

という感じになって、それぞれに色々なリソースが必要になります。

では、それらがあらかじめ揃っていると良いのか
というと
そりゃあった方が良いのかもしれませんが
そうでもないとも言えます。

強烈な希望があって満たされていない時は
既存のリソースの有無にかかわらず
学生達は凄いことをやります。

場合によっては
自分でリソースを作ったりしてしまいます。

しかし
弱々しい希望と十分な施設
これでは大したことは起きません。

例えば
凄い施設があっても
それだけで学生が頑張るわけではない
ということです。

では
いわゆる優秀な学生がいて
凄い施設があったらどうか?

たぶん、これもそれだけで学生が成長するとは限りません。
「凄い施設」を「知識のリソースとしての教員」
と置き換えても同様でしょう。

回りくどいですね。
結局は、何かが「ある」だけでは何も起きないのです。

どう考えて
どうやるか

ここがポイントでしょう。

過去を振り返れば分かることですが
偉大な成功者達は
幼少の頃から豊富なリソースに恵まれて
優秀な教師に師事してきたとは限りません。

むしろそうでないケースが多いのではないでしょうか。

もちろん優秀な教師に師事して
素晴らしい学業成績を収めて
その後成功した人達もいますが
本質的に重要なのは
「本人の熱意」です。

この場合の「本人」は
学生はもちろん
教員側も含みます。

何でも揃っている恵まれた環境にいて
何かを「やらされて」いたのであれば
本人の熱意は関係なくて
積極性や主体性は縮小していくでしょう。

むしろ
本人の希望に対して
乗り越えるべき壁があり
それらを克服しながら成長し続けていける環境が
「良い環境」
なのですが
そのためには「チャレンジしたい」という内発的な動機が必要です。
もちろん「チャレンジしろ!」という外発的な動機ではダメです。

チャレンジするに当たって
自動的に心に火が付く場合もありますが
心に火を付ける何かしらのきっかけも重要です。

それは、レーシングカーや惑星探査機の
実機だったり
動画だったり
教員や経験者の話だったり

しかし、それだけで十分かと言われると
たぶん十分ではないですね。

そもそも入学してくる学生は色々です。
大学以前の環境がかなり効いています。

夢工房では、学生の滞在時間がかなり長いので
時間を掛けて学生自身が価値観を構築していって
それ以前の環境の影響を
自身である程度書き換えることができます。
もちろん在学中に思い通りにならない場合もあると思いますが
何も無いよりははるかにマシでしょう。
というか、結構いい線行く場合が多いです。

しかし!
大学だけで何とかなる問題でもないとも思っています。

近年では、Formula SAEをやるために入学してくる学生も
一定数いて、大変嬉しいのですが
もっともっとチャレンジできる下地を作って入学してくれると
もっともっと楽しくなるんですよね
というのも発信する必要があると思っています。

何も難しいことではありません。
チャレンジさせられた経験ではなく
チャレンジした経験が重要だということです。
小さなことでも良いのです。
継続できれば良い下地ができるはずです。

もちろん夢工房では
良い環境を作るべく
今後も努力と工夫を継続していきます。

と、こういうことについて
ずーっと考えてきました。
これからも考えていくでしょうけど…

実はこれ、永遠のテーマですね。