2023種子島遠征 第2日

機体にトラブル発生!

搭載した通信モジュールが動作しません。
コータローは朝から対策に追われていました。

通常なら難なく動作するはずのものが動作せず
あいにくスペアパーツも無し

ずっと宿の部屋に籠もりっきりで、延々とトラブルシュートを続けます

昼は近所のコンビニに買い出しに行きました。
ここ、南種子町には1件しかコンビニがありません。
唯一のコンビニはファミリーマートなのですが、かつてここはエブリワンという九州のコンビニチェーンのお店がありました。
弁当とか店内で焼いているパンが秀逸で、大好きだったのですが、いつの間にやらファミリーマートになってしまいました。
でも、弁当やパンは変わらずに残っていたので、ちょっと安心。

巨大な「ばくだんおむすび」
島内で作っています

そもそも種子島にはコンビニエンスストアがあまりありません。
島内で記憶に残っているのは3件くらい。

調べてみたところファミリーマートが4軒ありますね。
他は種子島ローカルのお店が数件あります。

では不便なのか?というと決してそんなことは感じません。
来る度に「こんなもんでいいんじゃないかな」と思います。
いかに日頃、あらゆるものが過剰な環境で生活しているのかが、ここに来ると実感できます。

ここには昭和な雑貨屋がいまだに沢山残っているわけですが、そういうお店に行くと思うのです。
「こんにちはー!」
とお店に入って、買い物ついでに雑談したりして、これが望ましい本来の姿だよな、と。

便利さと引き換えに人間性を失う、なんて言ったら大げさかもしれませんが、でもここに来て気付くのはそういうことです。

本来であれば、今日はテスト走行をして機体の最適化をするはずでしたので、コータローと一緒に車で近所の公園に行くはずでしたが、日中は本を読んだり…

宿にある南国の盆栽
何というか…迫力がありますね

夕方6時ごろ

「やりました!分かりました!!」

ついにトラブル解決です。
おお、良かったよかった。

原因は、基本的な部分に関するもので、いわゆる凡ミスですが、こういうトラブルがなかなか解決しないのは良くある話です。

「こんなところが間違っているはずは無い」

と思って(「思いもせずに」かもしれません)、視野の外に出してしまったものは意識することができませんから。

人間は間違えるものです。
なので、トラブルシュートの基本は、間違えるはずが無いと思っているところから順に確認することです。
本来、今回やっている作業も含めて、大学で済ませておくべきことなのですが、それも含めて良い経験になっていると思います。

こういうことは、あらかじめ口頭で教えておいたり、マニュアル化することもできますが、単に受け身で知識として知ったことと、自分で身をもって知ったことは大きく異なります。

コータロー、良い経験してます。

ちょうど機体が分解されているので写真を上げておきましょう。

左から駆動機構が組まれた下部ボディ、上部ボディ、内部基板
本当は、この機体は上も下も無い設計です
基板上には複数のマイコン、GPSアンテナ、各種センサーを搭載
この四角いのが今回の新ネタ、レーザー測距センサー

2023種子島遠征 第1日

突然ですが
今日はコータローと種子島に来ています。

昨年の夏に、ネバダ州で実施された惑星探査機のイベントの日本版のようなものに参加するためです。

大会は「種子島ロケットコンテスト」というだけあって小型のロケットを打ち上げる大会なのですが、我々が参加するのは惑星探査機の「CanSat(カンサット)部門」です。

この大会では、ネバダのときのようにロケットで機体を打ち上げるわけではなく、クレーンからの投下ですが、同様に自律走行でゴールを目指します。

会場はなんと!

世界一美しいロケット発射場と言われる
JAXA種子島宇宙センターです!

そう、あのH3ロケットを打ち上げるのは、まさにココ。
その敷地の一角が今回の大会会場なのです。

競技を含むイベントの開催期間は3月2日から6日までで、我々の遠征としては3月8日の朝までは種子島にいるので、運が良ければH3ロケットの打上げが見られるかもしれませんね。
何せ予備期間は3月10日までらしいので。

まずは羽田空港から鹿児島空港まで

手前のヤツに乗ります
ボーイングの787だっけな?
富士山が見えました

鹿児島空港からはターボプロップ機で種子島空港に到着

ATR72というターボプロップ機です
ATRというメーカーなんて知らなかった
この手の機体は意外と加速が良くて気持ちいいのです

種子島空港からはレンタカーで
遠征の拠点となる種子島南端の南種子町まで移動しました。
JAXA種子島宇宙センターも同町内にあります。

今回お世話になる、わかさ荘

いつも通りレンタカーは軽のバンです
宿の前は広大な景色

2019年までお世話になっていた宿は、ロケット開発の関係者で満室だそうで、今回は別の宿になりました。

南種子町には結構な数の宿があるのですが、面白いのは、ロケット関係の各社それぞれに御用達の宿があることです。

それぞれの宿の食堂とか廊下には、各社それぞれのポスターとか、社名が入った打ち上げ時の写真が飾ってあったりして、どの会社の人の常宿になっているかが想像つきます。

食堂の壁
ここは…三菱重工ですね

宿に入ったら早速機体の整備です。
今回の機体、基本構造はネバダと同じですが、レーザーの測距センサーを搭載して、ゴールのパイロンに0mタッチするそうです。
見ものですね。

早速やってます

今夜は機体の整備とチェックを済ませて、明日はテスト走行です!
とコータローが申しております。

実はレーザーの測距センサーは、まだ実走でテストしていないのです。
CanSatでの採用例は聞いたことがないので、うまくいけば注目度は高いのではないかな。
明日と明後日でうまくセッティングできるといいのですが。

AIが来るその先は

ちらほらAIをネタにしてますけど
今回もAIネタにしてみます。

ChatGPT使ってみましたか?
どのように使いましたか?

最初は検索エンジンのような使い方とかですかね。

そもそも検索エンジンをなぜ使うかというと
知りたいことがあって
その答えを知る糸口として
検索してみて
その結果に表示されたサイトを開いてみて
そこから答えを見つける
とういったことがしたいわけですよね。

で、ChatGPTを使ったりすると
知りたいことを聞けば
直球で教えてくれるので
表示される関連サイトを開いて
探すような手間が省けますよね。

そうなってくると
「聞き方」が重要になります。
ちゃんと聞かないと
ちゃんと答えてくれませんから。

まぁ、さすがにAIなので
ある程度は質問の意図を汲み取ってくれる
ようなところはあるようです。

さてさて
ここですでに問題の核心に迫っています。

「ちゃんと聞かないと」
です。

つまり、ゴールの設定をちゃんと指示してあげないと
そのために必要なことは構成できないってことです。

「なんでもいいから適当にやっておいてよ」
みたいのには対応できませんよ
ってことです。
結果は指示次第です。

残念だったな、のび太君!

なので、AIが面倒なことや難しいことをやってくれて
楽ちんなのかもしれませんが
ヤツらに高度なことをやらせるためには
指示者がそれなりに分かっていないとダメだよね
ということです。

そういうのは設計の環境なんかでもあるのです。

AIではありませんが
3Dの設計ソフトで
強度解析やら機構解析やら
色々凄いことができるソフトウェアは
ずいぶん前からあるのですが
凄いことをやらせようとするなら
基本的にその条件設定とか
考え方がちゃんとしていないと
ちゃんと動かないのです。

マニュアル読んで
使い方を理解しておけばいい
って話ではないですよ。

(どうしたらいいかを
何かを見たり人から聞いたりして
それをやればいい
ということではないということ)

まぁ、原理原則は分かっていないと
話にならないよね
ということです。

それさえ分かっていれば
今まで手描き計算でゴリゴリやって
頭痛くなっちゃうようなプロセスはPCにお任せして
より高度な設計ができたり
その先に行けるってことです。

これも勘違いしちゃいけないのは
やりたいことがはっきりしていないのに
PCが勝手にやってくれる
なんてことは無いってことです。

今回ネタにしたかったことはそういうことです。

ちゃんとゴールを設定できることが重要になるよ
ということです。
もちろんそれは、自発的に、内発的にです。
「夢を見られる」と言っても良いかもしれません。

自由であることが重要という言い方もできるかな。
自由って「自らに由る」で
「自分で決める」ということですからね。

それができれば
あとはAIなどのツールや環境を使って
より具体的な手段にスピーディーに落とし込めます。
そうしたら、あとはやるだけ
形にするだけです。

そんな将来は近いうちにやってくるのでしょうけど
そういう環境に合わせて労働環境は
再構築されていくかもしれませんね。

AIに向かって指示を出す人

AIの出した答えを実行する人

そんなふうに。
これはすでに皆さん想像が付いているかと思います。

もちろん、どちらも必要で重要なのですが
どちらをやるかはその人次第です。

あと興味深いところでは
専門領域を飛び越えて
より広い範囲に関われる可能性もあるのかな
とも思っています。

最初は専門領域の壁というか
既得権益の壁みたいのが立ちはだかるかもしれませんが
そのうちそいつは破壊されてしまうかもしれません。

だって
弁護士が要らなくなるかもしれない
とかいう話ですから
エンジニアリングの世界も相当変わりますよ。

この件も引き続き検討が必要ですね。