オーストラリア大陸縦断2023 総括その2 環境編

走行に関する話をしたいところですが、まずは環境のお話しです。オーストラリアと言えば、そこに住む生物たちが興味深いのではないでしょうか。
南半球では、動植物の多くが北半球とは大きく異なります。
かのダーウィンが、祖国に宛てて「オーストラリアには黒い白鳥がいる」と報告したところ「いくら何でもそんな見え透いた嘘つくな!」と言われたのは有名な話です。

野生生物について
カンガルーが飛び出してくるので早朝や夜は走れません。別に走っても良いのですが、やめておいた方が良いです。ヤツらはヘッドライトの光めがけて飛び込んでくる習性があるからです。ピョンピョンと道路脇まで来て立ち止まり、クルマが目の前に来た瞬間に飛び出す!と現地人から聞いたことがあります。
夏はハイウェイに死骸がゴロゴロしています。今回は見かけた死骸が少なかったので、きっと冬はアクティブな時期では無いのでしょう。今回、4,000km以上も走ったのに生きているヤツは一頭も見ませんでした。
走行するなら朝7時以降、夕方は暗くなる前に終了です。

今回は初めてエミューに遭遇しました。路上にたたずんでいて、かなり接近するまで逃げませんでした。これも要注意です。

コアラはいるそうなのですが、走行中に見たことがありません。道路の脇に生えている木は大抵はユーカリですし「コアラに注意」の看板もあるので、いるにはいるのでしょう。動かないから気付きにくいのかもしれません。一度、ブッシュファイアで丸焼けになったコアラの死骸らしきものは見かけましたが、それだけです。
ちなみに、皆さんが想像している大人しくて可愛いコアラは昼の顔です。夜のヤツらは恐ろしいゴリラのような声で木を揺すって威嚇してきます。悪魔です。私はナイトサファリという夜の動物園で確認しました。皆さんは騙されています。

山に行くと、意外と普通にウォンバットがいたりします。場所にもよるでしょうけど。
クルマで衝突すると、まるで岩にぶつかったような衝撃があるそうです。ひきたくありません。恐らくアウトバックにはいません。

ラクダがいます。これはかつて、内陸部の開発をする時に連れてきたものが野生化したそうです。乾期でエサが無い時には、農地を襲撃したりするので嫌われているようです。道路に出てくることもあるようです。恐らくノーザンテリトリーとか北の方にいるような気がします。南の方で出没例は聞きませんから。今回は見ませんでした。

ウサギがいます。これはオーストラリアに移住したイギリス人が、ハンティングのために連れてきたものが野生化して大繁殖したそうです。ヤツらは地面に穴を掘って住むために、農地や灌漑に影響を及ぼしているそうです。ただ、繁殖スピードが早くて今さらどうにもならないとか。意外と都市部の近くで見かけたりします。アメリカと違って、路上に飛び出してくるところに遭遇したことはありません。

トカゲがいます。大きさは20センチ前後のものが多いです。多くは近づくと凄い勢いで逃げます。たぶんひいても何も起きないとは思いますが、気持ちは良くありません。驚いてむやみに進路を変えるのは危ないかもしれません。場所によっては1メートルサイズのものもいますが、路上で見たことはありません。

鳥がギリギリをかすめて飛んでいくことがあります。オーストラリアの野生生物は、日本のものに比べて接近気味です。なかなか逃げません。たまに路上にクルマと衝突した死骸を見ます。突然の遭遇にビックリすることがありますが、大抵はギリギリで上手に避けていきます。
角が生えた鳩がいます。
白目があるカラスがいます。レイヴンと言うそうです。どう見てもカラスです。
白黒のカラスのような鳥、マグパイがいます。鳴き声はR2D2です。
ワライカワセミがいます。ジャングル気分になれます。
オウムやインコがいます。もちろん野生です。群れをなしていることも多いです。綺麗だけどうるさいです。

オーストラリア固有の野犬と言ったら良いのか、ディンゴというヤツがいます。デッカイ柴犬みたいにも見えます。色が赤っぽかったりもします。自転車で旅をしているおじさんが「ヤツらは犬とは違うぞ。気をつけろ」と言っていました。今だ遭遇したことはありません。遭遇しても気付かないかもしれません。

毒蛇がいます。世界一猛毒で、咬まれたら大抵は死んじゃうヤツがオーストラリアにいます。他にも色々いるようで、全てがヤバイヤツでは無いようですが、そんなことも知っておいた方が良いです。

毒虫もいます。有名なのはセアカゴケグモ。レッドバックと呼ばれる背中に赤い模様があるヤツです。
毒アリもいます。巨大な顎を持つ凶暴なヤツもいます。しかもジャンプして飛びかかってきたりします。気をつけましょう。全てが凶暴なわけではありませんが。
サソリもいるそうです。見たことはありません。

ワニもいます。淡水域にも海水域にもいます。
ヤバイ場所には旗が立っていますので、冗談でもそこで泳ぐのはやめましょう。

そして、野生ではありませんが家畜がいます。
牛、羊、馬などです。
ハイウェイの横は牧場になっている事が多く、柵はあるにはあるのですが、ヤツらはたまに路上に出てきます。ノーザンテリトリーでは、ブッシュファイアで柵が破れてしまうのか、実際に牛が路上を歩いており「迷い家畜に注意」のような看板も多く見かけました。

こんな風に色々いますが、そんなに頻繁に遭遇するわけではないので、残念だったり安心だったり。
悪い方に考えるとキリがないという典型例である一方、楽天的に考えると、こんなに面白い場所はあまり無いと思います。

環境編とか言いながら、動物の話に終始してしまいました。
その他は、この後に書いていきましょう。

オーストラリア大陸縦断2023 総括その1 走行パターン

今回の総括は、きっと1回では終わらないと思いますので、あらかじめシリーズ化する気で行きます。

メルボルンからダーウィンまで、総走行距離は4,317kmだったわけですが、これを日数で割ると、平均480kmということになります。
初日が200kmの走行と、かなり短かったのでですが、その後は400kmと600kmの走行を交互に繰り返していました。

こういう環境でのロードトリップは、そこそこ下調べと計画が重要かと思います。
完全な無計画では、燃料を入れられなかったり宿泊できなかったりして、致命的なことにもなる可能性もありますので。
日々の走行距離については、2019年末の前回の経験から、むやみに長距離を走ると、その後数日にわたって影響が出ることも分かっていました。

ゆっくり休みながら走れるほどの日程的な余裕があるなら良いのですが、それほどでもない我々の場合は、「キツいけど頑張り続けられるペース」を見つけるのが重要かと思います。
これ、ツーリングに限らず、自分のパフォーマンスを伸ばすために重要なことですね。
そう、今回の旅は修行ですから。

事前の計画では、10日間での縦断を検討していました。
これは気候が厳しかった場合と、弟子のコンディションを考慮して、最も安全側に振ったプランです。
日々の走行距離をグラフにするとこんな感じ。

実際の縦断に要したのは9日間で、以下のような結果となりました。
これは、予想以上に弟子のパフォーマンスが高かったため、ネット予約できないロードハウスの先まで行けることと、高負荷の走行を繰り返せることが分かったため予定を変更した結果です。

で、そういったツーリングはどうだったのか?
最も印象深かったのは何だったのか?
これは縦断を終えた後に会った人達に良く聞かれた質問です。

その度に答えに窮しました。弟子共々。

確かにエアーズロックは凄いです。
星も素晴らしく綺麗です。

でも、基本的にオーストラリアの内陸部は何も無いのです。
毎日ほぼ同じ景色です。
赤い荒野の中の一本道。大きな空。
最初は「凄い!」と思います。

それを何日も繰り返します。
うんざりを通り越します。
途中でやめるわけにもいきません。
日数を重ねると、いつどこに泊まったかなど、過去が曖昧になってきます。
もちろん「イヤだなー」と思いながら走っているわけではありませんが。

そんな経験をしていること自体が凄いことだと思います。
それを継続するのは凄いことだと思います。
でも、その経験を話したところで伝わらないし、そもそもどう伝えたら良いのか分かりません。

なので、聞かれても困るのです。

前回もそうでしたし、今回も同様なのですが…
少々のやり遂げた感、満足感はあります。
ですが、それは爆発的な喜びとか達成感では無く、なんか自分の中の基準値が少しだけ上がったかな?という感じと言ったら良いのでしょうか。
後になってジワジワ来るのかもしれませんが。

もちろん結構疲れました。
体重は2kg落ちましたね。

オーストラリア大陸縦断2023 帰国

朝の4時半に台湾のホテルを出て、6時45分発の便で台湾の登園空港を発ち、11時過ぎに成田に到着。
ここで弟子とはお別れ。お疲れさまでした。

なんか少し強くなったように見えます。
…疲れてるだけかも。

でも、初めての海外ツーリングで、クルーズコントロールも付いていないバイクで4,000kmを超える走行と、大陸縦断を成し遂げたのですから大したものです。
道中は、弱音を吐かないどころか、ほとんど手がかかりませんでした。
聞けばバイクに乗り始めて3年経っていないとか。参ったね、こりゃ。
彼女は今回の旅で、価値観が大幅にシフトしているはず。将来は間違いなく大物になるでしょう。

今日はさすがに疲れているのでこの辺で。
今後、総括も含めて気づいた点や思い出したネタなどを紹介していく予定です。