「良い」って何?

ありがちな話なのだけど…

ものをつくるには企画が必要です。
レーシングカーを作るのであれば
どうやって勝つのか
ということになるのですが。

そのための戦略を考えるのが企画です。

マシンの設計を始めるということは
どうやって勝つのか
という戦略が決定された後
ということになります。

というのも
設計をするということは
勝つための方法を実現するための
具体的な手段を決定していく
ということだからです。

マシンを構成する部品は
戦略実現のための手段を形にしたものです。

設計段階においては
「何のために」
が明確化されていないと
何のためかよく分からない部品になります。

単品ではイケていても
マシンのコンセプトに合致していなければ意味がありません。

なので
「まず設計してみようか」
なんてことはあり得ません。

また、一般的に言われる
「良い部品」
を寄せ集めても
良いマシンにはなりません。

なぜかというと
その「良い」が
マシンの戦略やコンセプトに合致しているのか
というのが問題で
コンセプトと異なる方向の「良い」では
マシンにとっての「良い」では無いからです。

たぶん、この辺はビギナーにとっては
理解しにくいところではないかな。

自動車マニアな新入生なんかも
こういうところでハマります。

ヘタに色々知っていると
一般的に「良い」と言われるものも知っていて
そういうものを使えば「良いマシン」になる
と思いがちだから。

これ、人間も同様で
「あいつは頭いい」
とか言うけど
「何のために?」
が明確化されていなければ
あまり意味は無いのではないかな。

と、そんなことを
久々に行ったバイク用品屋さんで
ハイクオリティな部品を眺めながら思っていました。

伸びきった先に

成長曲線を上り詰めている時は
色んなことが足りないので
凄いパワーで頑張れます。
ハングリーな状態です。

明治や戦後の日本は
マズローの欲求5段階説の
底辺に相当する生理的欲求から
最上位の自己実現まで
一気に突き抜けて全て手に入れた状態ですね。

しかし、ひとたび生活に不安や不足が無くなれば
そりゃぁおなかいっぱいで
ハングリーにはなれません。

満足した状態が基準(普通)になると
それらを失うことによって
現状が変化することを恐れる。

残念なことに
失うことを防ぐためのことは
マイナスになることを防ぐためのことであって
プラス側に延ばしていくのとは違います。

レベルの低い状況で
凄い勢いで色んな事をやって
色んなことを手に入れている時って
望むものが手に入った喜びや
成長した喜びがあったり
集団で力を合わせなければならない側面もあるわけで
色々大変な反面
色々良いこともあったと思います。

ただ、人の欲というのは際限が無いので
もっと欲しくなる。

けれど、成長曲線を上り詰めている時のような
勢いはありません。
基本的なところは満足しているから。

そんな状態での欲求は
個人的な欲求に片寄りがちなのでしょうね。
皆で力を合わせて乗り越えるべきことも少ない。

モチベーションもクリエイティビティも低下して
分断・分裂していって
小さいことしかできなくなっていく。

今の日本のことです。

なので、満足したら下がっていきます。落ちます。
そんなの当然です。

色々とネガティブなことを並べてみましたが
どうやってこの状態から脱出するかが問題です。

これは行くところまで行っちゃうしかないのか?
なんて思っていましたが

よくよく考えてみたら
マズイ状態というのは満足できない状態なわけで
再度、成長曲線を昇っていけるのではないでしょうか。

かつて「立ち上がった」経験(歴史)を持つのであれば
それを参考にすることもできるし
先人にできたのだから、自分達にもできる
と思えるでしょうし。

こんなの嫌だ
満足できない

でも、何とかできるんじゃないかな
じゃ、やってみようかな

と思えば再起動ってところではないかな。

果たして、そう思えるかどうか
というのが大問題なのかもしれませんが。

夢工房は再起動しましたよ。

システムは幸せにしてくれない

この時期になると学生に
「この業界は(この会社は)将来性あると思いますか?」
なんてことを聞かれることがあります。

ちなみに夢工房の学生ではありません。
彼らはそういう迷いはありませんから。

そういうことを聞きたくなる気持ちは分からなくもない。
たぶん多くは、そんなことが気になっているでしょう。

でも、この疑問
全く意味が無いかもしれません。

だって、今の状況が未来永劫続く保証なんて無いし
むしろそんなことはあり得ませんから。

世の中のトレンドなんて
いつ変わるか分からないし

昨日まで日の目を見なかったものが
突如、脚光を浴びる
そんなこともあり得ます。

その根源にあるのは

ですね。
常に。
間違いなく。

つまり
その業界を、会社を
支えていったり変えていったりするのは君なんじゃないの?
と言いたいのです。

業界や会社が盛り上がるには
何かトリガーが必要なわけですが
それを作るのは
その業界、その会社にいる人間でしょう。

そもそも、今現在大きな会社だって
創業時は小さな会社だったわけで
その業界だって小さかったはず。

なので
業界が
とか
会社が
なんて気にする必要は無くて
自分が信じていることを
一所懸命やればいいのではないかと
そう思います。

勤め先がどうであろうと
それをどうするかは自分次第ですよ。

なので、自分が好きなことを仕事にして
「自分が大好きなコレで盛り上げてやる!」
「いいものつくって皆を驚かせてやる!」
そんなつもりでやれば良いだけ。

どうせ未来のことなんか分からないし
そんなふうに考えて一所懸命やれば
大抵は良いことが起きるし成長します。

全く別の業界・業種に転職したとしても
その経験は活きるわけで
きっとうまくいくでしょう。

なので全く心配無し。
心配なんかしている暇があったら
どうやったら良い仕事ができるかとか
良いものがをつくれるか
なんてことを
考えたり試したりしていた方がいいですよ。

イケてる会社
イケてる業界に入ったところで
お金とか休みとか福利厚生とか安定とか
恩恵を受けることが目的なら
そのシステムは君を幸せにはしてくれません。

最低限の労働の提供で
人一倍おいしいところを貰おうって
そんな人間が集まってきちゃったら
組織は存続できません。

その「おいしいところ」のリソースは誰がつくるのさ?

そりゃ、君だろ。