アメリカ遠征 9日目

今日はいよいよ打ち上げ最終日、いつも通り4時半起床で…
と思ったら、コータローが機体を組んでます。
思いのほかトラブル解決に手間取ったようです。

それでも6時30分には出発して、8時30分ごろ砂漠に到着しました。

気温は12度くらいで寒いです。
雲多く砂煙で視界はいまひとつ
視界が悪いと機体をロストしてしまう可能性が高いので、少々心配ではありますが、風は微風でまあまあのコンディション。

さて、現地での最終セッティングを…と思ったら
誘導の鍵であるGPSが不調。

どうやら前回の着地の衝撃でGPSモジュールのコネクターが抜たようです。
通常は抜けるようなものではないので、相当な衝撃がかかった可能性があります。

他にも損傷した部品がありましたが、スペアパーツをふんだんに準備していたので組み替えて完了。

この日は打上げが多く、ロケットの準備が思うように進まなかったようです。
打上げの申し込みをしたのは午前中でしたが、結局は午後3時頃の打上げになりました。

まずはロケットオーナーのところに機体を持っていって搭載してもらいます。

一緒にロケットを担いで発射台まで移動

発射台にセットしたら打上げです。
風もほとんど無く、晴れてきました。

今回は3000m程度の高度に打上げ。
わずか6秒程度でその高度まで上がり、空中で放出された機体はパラシュートで降下・着地。

着地地点に到着。ゴールから訳3..5kmの地点です。
懸案だったパラシュートは無事に切り離されています。
が、動かない?

と思ったら走り始めました。
今回は我々捜索隊が到着してから走行開始するようにプログラムにウエイティングを入れていた模様。
走行開始直後は結構なスピードでしたので、車で追跡。
ただ、駆動系のメカに問題があるようで、動力伝達がうまくいっていないようにも見えます。

何とか1時間10分ほど走行して、ゴール手前100mで停止しました。
写真ではゴールのパイロンが点のように見えます。というか、ほとんど見えませんが。

我々の他にはゴールまで20cmに迫ったチームがいたので、優勝というわけにはいきませんでしたが、ここまでゴールに迫ったチームは今回の参加16チーム中で2チームのみでした。
他の多くは、着地衝撃で故障するなど走行することすらままならなかったようです。
やはりARLISSは厳しい。

理想のゴールと呼ぶには今一歩及ばず、不完全燃焼気味ですが、当チームがARLISSに参加しておおよそ10年間チャレンジしてきた中でも今回の成果は快挙と言って良いでしょう。

例年であれば、この後に閉会式などがあるのですが、今年はCOVIDの影響もあり、各チームが予定をこなした順に終了、解散となりました。

これにて今年のARLISSは全日程を終了しました。
コータローには今後に繋がる大変良い経験となったと思います。

アメリカ遠征 8日目

打上げは今日と明日の2日間。
朝は風が弱いので、打ち上げをするなら朝イチということで、今日も4時半起床の5時出発。

現地には7時くらいに到着。
気温は10度を下回っていました。

早速走行テスト

まあまあ良い感じです。
借りのゴールを設定してのテスト走行では、ちゃんとゴールしました。
では、早速打上げを…
と思ったら

メカニカルな不具合発見。

ロケットに機体を装填して、最後にロケット先端のノーズコーンを取り付けている際に、ロケット内部で機体が動き始めてしまいました。

今回の機体は、気圧センサーを内蔵していて、気圧の変化を読み取って動作スタートとなるのですが、ノーズコーンを装着する際に、ロケット内部の気圧の上昇を地上に着地したものと判断して走行を開始してしまったのです。

よって、機体のプログラムを変更しようとロケットから取り出したら、パラシュート分離装置の不具合を発見。
急いで改修作業を行って、再度ロケットに装填。

早朝は微風でしたが、その頃にはかなり風が強くなっていました。

今度はOKです。
そして射点にロケットを運んで

発射台にセット

記念撮影をして

発射!
約6秒で高度4000mまで上昇、放出

ロケットはあっという間に雲を突き抜けて、さらに視界も悪いし風も強いしで、機体を見失ってしまいましたが、何とか発見

動いていません。

地面をよく見ると、止まった機体の風上側に2カ所ほどバウンドした痕跡があります。
どうやら強風のために凄い勢いで地面に叩きつけられて不具合が発生した模様。

我々の一発目の発射はリタイヤに終わりました。

その後はモーテルに戻って原因の解析と対策。
原因は大体分かりました。

強烈な着地衝撃で、パラシュートの分離機構が締め付けられてしまい、着地後の分離動作の祭に電気的に過負荷が掛かって、セットしておいたマイコンの安全装置が作動して動作が停止したようです。

スマホいじってサボっているわけではありません。
原因解析中のコータロー

明日は最後の打上げ日です。
コータロー、どこまで仕上げられるか。

アメリカ遠征 7日目

エライことになってきました。

今日は朝イチの打ち上げに間に合うルーチンで行動開始するはずだったのですが…
朝4時半に起きてみたら、コータローはまだトラブルシュート中でした。

そうです。トラブルは予想以上に根深いものだったのです。

内容は、長距離走行させてみて初めて分かるものだったので仕方ないものでした。
日本国内では数キロ単位の長距離を走れる場所はそうそうありませんから。
今後はそういったことも考慮して開発する必要があるというです。

トラブルも含めて、こういう「やってみて初めて分かる」ということを経験するのが最も貴重なのです。

担当教員はトラブル解決に付き合わないのか?というご意見もありましょうが
ちょっと言い訳を書いてみましょう。

私は夜は最低限寝ます。コータローを無事に砂漠に送り届けなければならないので。
片側一車線の荒野の道を時速110キロ以上で2時間走り続けるためには睡眠が必要です。

それにトラブルシュートとその解決こそが成長するチャンスなので、本人が自力でやる必要があります。
もちろん内容は適宜確認しますが、教員が必要以上に介入してしまうと、彼らは「やらされる立場」になります。そうなったら得られるものは最小限になってしまいますし、そういう立場からトラブルの根源は見えません。

こういうプロジェクトは何のためにやっているかといえば、未来のためにやっているわけで、今ここで良い成績が取れれば良いわけではありません。
もちろん、良い成績を取るためにベストを尽くすべきですが。

そしてもう一つ。
ここで教員が一緒に徹夜して頑張ると何が起きるか?
冷静に客観的な判断ができる人間がいなくなって、トラブル増大のループに入っていってしまいます。

というわけで、今日の午前の打ち上げのリミットからトラブル対策と現地での動作確認を逆算すると作戦の立て直しが必要になりました。

結果、今日は無理そうなので、明日と明後日の残り2日間の打ち上げに向けたスケジュールにシフトすることにしました。
今日はトラブル解決に充てます。

徹夜明けで延々と考えて試して…

15時ごろ
「あ、わかった!」

どうも使っているマイコンの言語の処理がちょっと特殊で、その辺の見逃しがあったみたいです。
他にも色々と問題はあったようですが。
そこから色々とテストと修正をして、17時には今後の見通しがついてきました。

そして20時

モーテル裏手の空き地はガソリンスタンドに煌々と照らされています

ついに正常走行を確認しました。
まだ油断はできませんけどね。

明日は4時30分起床で5時に砂漠に向かいます。
現地で1時間ほど最終確認して朝イチで打上げの予定。