勝ったり負けたり

グローバルなビジネスなどは
パイの奪い合い
に例えられますよね。
食べ物のパイですよ。
数が限られた麻雀パイでも良いかもしれないし
ピザでも良いかもしれませんけど。

規模の限られた環境で
ライバルがいる中で何かをやる時は
そんな状況になります。

誰かがいっぱい取ると
他は少ししか取れない
そこには競争原理が働くわけです。
強い者が取る!
というより
優れた者が取る!
と言った方が良いのかな?
微妙な違いだけど。

別にこれは特殊な環境とか
世界規模のマーケットに限られたことではなく
我々の日常にもよく見られるものです。

レースしかり
受験や就活しかりです。

レースは日常じゃないだろうって?
いえいえ、夢工房では日常です。
そのために学生達は日々過ごしてますから。

まぁ、それはともかく
パイの奪い合いみたいな状況を
鳥瞰するように理解しておくのは大事だと思うんです。

そういうのを知らないままで
パイカッター作ってもしょうがないと思うんですよね。
どんなパイを切るのかを決めないと
それに合ったカッター作れないでしょう。

今日は何を思ったかというと
多くの学校って
根本にある大事なことを教えてないんじゃないかな
ということです。
難しい理屈は沢山教えるんでしょうけど
もっと大枠の
我々の現状とか
そもそもの起源とか
そういうのをもっと知っておくと
その後の学びは違ってくるんじゃないかなぁ
と思ったのです。
本学は結構教えているのかな。
学校自体歴史ありますしね。

例えば自動車です。

我が国が世界有数の自動車大国(生産側として)
というのは
皆さん何となく知っているんじゃないかと思います。
でも、何となくですよね。

ところが
我が国の自動車産業は異常に強いわけですよ。
こんなに国土面積が狭いのに
こんなに自動車メーカーがいっぱいある国は無いですよね。
これから統廃合が進む可能性も無きにしも非ずですが
バイクメーカーもあわせれば
トヨタをはじめ
ホンダ
マツダ
日産
三菱
SUBARU
スズキ
ダイハツ
いすゞ
日野
UDトラックス
ヤマハ
カワサキ
(略称&順不同)
という感じで凄い数です。
乗用車もトラックもバイクもスクーターも
なんでも作れます。
で、安くて物が良い。

こんな国無いですよ。

というわけで
日本は自動車に関しては
圧倒的な勝者で
パイ取りまくり
なわけですよね。

自動車本体のみでなく
周辺産業まで含めたらモンスターですよ。

さらにこれは自動車に限らず
造船とか工作機械とか電子系とか材料系とか
他の業種でも似たようなことになっている分野も多いでしょう。
ついでに言うなら
鉄道車両も飛行機もロケットも戦車も潜水艦も作れるんですよ。
作れないものあるの!?

なのにパイの全体像を見ようとしないで
細かいところを学んでるとしたら
大変もったいない気がするんです。

だって、この状況を分かっていれば
夢を持って色々妄想をしながら学べるし
少なくとも誇りを持って学べるんじゃないかと思うのです。
そうしたら、状況は変わってくるんじゃないかな。

国にしても学校にしても
「我々はあそこに行くべきだ!」
という方向性が見えないですよね。

こういうこと言うと
「何やろうと個人の勝手じゃん!」
とか言う人がいますが
そう、勝手なんですけど
大方針として大筋が決まってなければ
みんなバラバラの個人の力でやることになるでしょう?
それで、デッカいパイを取りに来たヤツにどう対処するんですか?
と言いたいのですよ。
巨人に対して個人で闘うんですか?
別に社会主義とか全体主義にしたいわけではないのです。
そんな環境では私は生きていけませんから。

企業は強い方針を持っています。
だから強いし生き残っていけてるんですよね。
社員が
「何やっても勝手じゃん!」
で組織が生き残っていける訳ないです。
何で組織でやってるかというと
一人じゃできないことを皆で力を合わせて達成するためです。
超シンプルです。

何も、ガチガチに縛り付けろ
ということではなく
もうちょっとみんな同じ方を向こうよ
と言いたいのです。
緩くて大きな流れのような感じでも良いから。

世の中の状況は
若者の心を形作る鋳型みたいなものです。

力を合わせることができる若者がいなくなっちゃったら…
レース勝てないじゃんか!!

結局そこかよって?
そうですよ。

まぁ、ウチは何とかしちゃいますけどね。

今年は、F1でレッドブル・ホンダが好調なので大変嬉しいです。
みなさん、頑張ってください。
MotoGPも頑張ってね。

「便利な世の中」は実は面倒なのか?

今後の世の中は今より一層
環境やら効率やらを向上させて行く方向ですね。

しかし、人の生き方に関して言えば
効率を追求するとあまり良いことはないかもしれません。

自分から提供するものを最低限にしておきながら
最大限のものを得ようとしてたりして

そんな効率の良い生き方
ついついやってしまうものです。

最小のアウトプットで
最小のリスクで
最大のゲインを得ようと…
しちゃいますよね!?

横文字並べてみましたが、つまり
「いろいろめんどくせー」
なわけですよ。

でも気持ちは分かります。
誰しもそんな経験はあるものですし

世の中色々便利になっているはずなのに
職場も学校も家庭も
導入されたシステムに手間を掛けなきゃいけない

スマホなんて最たるもので
便利な道具なんだけど
色々できるので色々やらなきゃいけない
今や電話としても機能はオマケみたいなもの?
「スマホ」の「ホ」はオマケなのか?
じゃ「スマ」か!?

財布を見てみましょう。
ナントカポイントカードとか
会員証とかクーポンとか
本当に必要がどうか分からないけど一応持ってる
みたいなものを運ぶための分厚い長財布
お金を入れる機能は果たして主役なのか?

とか考えるのも面白いものですが
かつて、そういう便利なものが無かった頃に比べて
シンプルになってない気がしますね。

若い学生が成長していく過程においては
やるべきことが沢山ある割には
何をどうしたら良いのか良く分からない状態なわけで
そんな中で手数を最低限にしてしまう気持ちも分かります。

でも、その気持ちが大きくなっていくと
長い時間を掛けた割には
得られることは最低限になってしまい
それこそ時間の無駄遣いになりかねません。

というわけで
夢工房の学生は、かなりめんどくさいことを日々やってます。
こういうことからしか学べないことは沢山ありますので。
そういう意味では
面倒なことが沢山ある今がチャンス
とも言えます。

彼らの凄いところは
そんなふうにめんどくさいことをこなしながら
常にポジティブであるところでしょうか。
よくやるわ。
と思いつつ見守っています。

とはいえ、ふと思うことがあります。

昔々の大昔から
こんなにめんどくさいことが沢山あったのでしょうか?と。

どうでも良い(と思ってしまう)ことが
沢山ありすぎるんじゃないの?と。

誰だって好きなことは一所懸命やるわけですが
世の中色々ありすぎて
どうでも良いと思ってしまいたいほど色々ありすぎて
大事なことが見えにくくなっているのかもしれませんね。

まぁ、極端なことを言ってしまえば
そんな状態でも
自分が重要だと信じたことでブチ抜けてしまえば
大抵は何とかなっちゃうと思うんですけどね。

ということは、考え方次第でやり方は
かなりシンプルにできるのかもしれません。

余計なことは、可能な限りノイズとして処理して
視野に入れなければ良いのです。

それができたら苦労しない?
そうですね。
勇気が要るでしょうね。

いや、必要なのは修行か(笑)

昔々の鉄のお話

鉄器について思い付くとちょこちょこ調べてます。
とは言っても、本やネットで趣味的にですけどね。

昔々の鉄器と言えば
武器なんですよね。
刀剣や盾や鉄兜です。
古墳時代の出土品に
リベットで接合した鉄の盾とか
ヘルメットがあるんですよ。
凄いなぁ。
その頃にすでにリベットですよ。

鍛造で接合する鍛接は結構難しいし
もちろん溶接なんてできなかったわけだから
大きい製品とか複雑な形状の物はリベットが良いのでしょうけど
良く思い付いたもんだ。

世界最古の鉄器の遺物は
トルコのアラジャホユック遺跡から出土した短剣なんだそうです。
これは紀元前2300年頃のものです。

これ、材料は隕鉄(いんてつ)ですよ。
鉄の隕石です。

何で隕鉄かどうかが分かるかというと
含有しているニッケル分が多いことで判断できるそうです。

隕鉄を加熱して叩いて成型したのでしょうが
そもそも、何で叩くの?
鉄のハンマーありませんよ。
石のハンマー?
熱した素材はどうやって保持したの?

隕鉄製の短剣は確かエジプトからも出土していたはず。

日本で出土した最古の鉄剣は
埼玉(さきたま)古墳群の稲荷山古墳から出土した金錯銘鉄剣ですね。
これ、見に行きましたよ。

金象眼の文字が刻まれていたことで有名です。
象眼というのは、物の表面に凹みを作っておいて
そこに別の材料をはめ込む技法です。
この剣の場合は、文字を彫刻しておいて
その凹みに金を埋め込んでいます。
なんとこれ、日本で確認できる最古の漢字だそうです。
つまり日本最古の文字ですね。

この剣は、西暦471年のものとされていて
日本最古の書籍である古事記が編纂されたのが712年ですから
それより200年以上古いんですね。

古墳に埋葬されていた副葬品ですから
実用的な武器というより
権威を象徴する物なのでしょう。

個人的には
この最古の鉄剣に
文字が彫刻されていて
さらに金象眼だった
というのが驚きです。

天皇の名が刻まれていたので
細工は国内でやったのでしょうね。
で、金象眼?

技術的には
製鉄技術にはじまり
鍛造などの成形技術
熱処理とその後の研ぎ
そして彫刻
さらに金象眼!

もちろん
それらの作業のための道具も必要です。

金槌、ヤットコ、ヤスリ、砥石、タガネ
素人が考えてもこれくらい思い付きます。

いったいどうしたんでしょうね。
国内で製作したのか
はたまた刀剣自体は輸入して
象眼の金は国内で採れていたのでしょうか。

こういう疑問に対しては
大陸から伝わった
で済んでしまいそうなものですが
材料も道具も人も、そんなに沢山入ってきたのでしょうか?
埼玉にも?

まぁそれはそれとして
実は最も興味があるのは
鉄器の製法だったりするのです。

どういうことかというと
そもそも融点が高い鉄を使おうなんて
どうやったら思い付くんだ!?
とか疑問だらけ。

そもそも
紀元前3500年頃に
隕鉄や
地表に露出した鉄鉱石が山火事によって変化した鉄を発見した
とされているそうですが…
そもそもそれを見て製鉄をやろうなんて思うところが凄いですよ。
(引用元はこちら 鉄が好きな人?はぜひ見てみてください
この文献のおかげで色々分かりました)

鉄鉱石は酸化鉄が含まれていて
加熱しただけでは利用価値がある鉄は得られないでしょうから
かなりレアな条件が整っていたのでしょうか。

ヒッタイト帝国で製鉄が始まったのは
紀元前1500年頃と言われているそうです。

で、日本に鉄器が伝わったのは紀元前200年頃の弥生時代で
青銅器と同時だったそうです。

出雲では大量の銅剣が出土しています。
出雲大社隣接の博物館に展示されていますが
それはそれは壮観です。

これ、鉄剣の威力を知った時の権力者が
あまりに銅剣の性能が低いのを知って
「こんな使えない剣は埋めてしまえ!」
とかやったんですかね?

日本の製鉄法の「たたら製鉄」の語源はタタール族ですって。
新疆ウイグルのあたりですね。
日本発の製法ではなかったのは残念ですが
いまだにやっているのは日本だけでしょう。

たたら製鉄では
砂鉄と木炭を使うのですが
砂状の熱容量の小さい形状の材料と
木材がふんだんな国土を利用した賢い方法ですよね。

ちなみに、先の参考文献によると
ヒッタイトは森林枯渇が原因で滅びてしまったそうです。

我が国は森林資源が豊富なので
刀剣とか火縄銃を大量に生産しても滅びなかったのではないかな
と思ったりしてます。

たたら製鉄をはじめ、日本刀もいまだに作っていますし
今上天皇陛下は126代で皇室は2000年の歴史があるし
日本って訳が分かりませんね。
新しもの好きの反面
継続とか継承にめっぽう強いのでしょうか。
自分たちのことって、良く分からないものですね。
いやぁ、面白い。