はじめての海外ツーリング 第5話 Ride day 1 Brisbane to Roma

2019年12月29日(日) 走行初日

ホテルのレストランで朝食は24オーストラリアドルで別途…だったはずが、やはり営業していなかったので、前の晩に買ったビーフジャーキーと水で朝食とした。
朝も空腹感は無い。
それにしても24ドルは高い。

9:00にホテルからUberにてバイクレンタルのデポに移動。
現地人ドライバーのロバート、前日にも同じデポにお客を乗せていったとのこと。
バイクのレンタル料金について話したら、「良いビジネスだなぁ!」と。
でも、レンタルバイクも結構大変な仕事だと思うんだけど。整備とかトラブル対応とか。

デポには5分程度で到着。
デポとは言っても住宅地にある普通の家で、自分のガレージにレンタルバイクと自分の趣味のバイクを詰め込んでいる。
どうやら最も人気があるのはアドベンチャーツアラーのR1200GSのようで、何台も並んでいた。

エージェントのジョーは、ガレージの横でR1200RTの準備をしていた。
あらかじめ国際免許や日本の免許、パスポートなど、必要な情報は送っておいたので、バイクの説明の他、オーストラリアを旅する際のアドバイスをもらう。
これが面白いと言うか、興味深い。

  • ヘルメットは地べたに置いてはいけない。アリが多いし、毒グモやサソリもいる。(サソリがいるのは知らなかった!)
  • バッグなど、地面に置いた荷物は手前を持ち上げるのではなく、向こう側から持ち上げるべき。下に蛇がいて飛びかかってくるかもしれないから。
  • 木の下にバイクを停めるな。上から蛇や虫が落ちてくるかもしれない。
  • 川にも海にもクロコダイルがいる。加えて海ではサメやに気を付けること。遊泳可能なエリアの両端には旗が立っているから、その間で泳げ。ライフガードがいないところでは泳ぐな。

などなど。

借りたR1200RTは、キーレスライド、クルーズコントロール、シフトアシストなどフル装備。さらにパニアケースと純正ナビが付く。
この純正ナビ、走行している道路の最高速度を表示して、現在の走行速度と比較してオーバーしていたら警告が表示されたり、スピードカメラの警告が表示されたりと便利。

初めて乗ったR1200RTは、車重は重いものの、想像以上に軽快。見た目通りの重厚な走行感覚ではない。
特に左右にバンクする際の軽快感は直列4気筒では不可能だろう。
水平対向2気筒の縦置きクランクシャフト、つまりBMWのRシリーズの持ち味はまさにこれなのだなといった感じ。
ただ、結構な車重があるので加速はそこそこ。
とはいえ、速度制限の厳しいこの国では全く問題は無いどころか十分。
法定速度を超えて飛ばすことなど無いのだから。

走り出しはここ、ブリスベンの郊外からスタートして西に500kmのローマを目指す
この先、遙か彼方のメルボルンに着くまでは大きな町は無いので、ブリスベンが都会の見納めとなる。
いかにも都市の郊外といった感じの片側3車線以上の高速道路から、丘陵地帯を縫いつつ、西に行くにしたがって道が狭くなっていく。
法定速度は80~100km/h。ただ、町に近づくと徐々に速度は下がっていき、町中は40~50km/hとなる。

昼食は考えるのが面倒…と言うより、早く先に進みたかったので、2時間ほど走った郊外の町トゥーンバ(Toowoomba)のスーパーColesでナッツ入りでサイコロ状のエナジーバーと飲み物を買って、駐車場で昼食を済ませる。
気温はは35度を超える程度。まぁ暑いと言えば暑いが、日陰にいれば大したことはない。
ハエはほとんどいない。
スーパーの駐車場には屋根があったので、日陰でエナジーバーをかじっていると、バイク好きそうなおじさんが話しかけてきた。
「いいバイク乗ってるなー!速いんだろ、これ?」
フレンドリーでいいねー。

スーパーの巨大な屋根付き駐車場

道路は郊外に行くにしたがって、片側2車線、片側1車線+時々追い越し車線、その後は片側1車線と徐々に狭くなる。
事前にGoogleマップで見ておいた道路の印象より、実際に走ると3倍は寂れた感じを受ける。
いいぞ!この感じを待っていたのだよ!

荒野の一本道は、法定速度100~110km/h。
たまにトレーラーを2~3両牽いたロード・トレインとすれ違う。
すれ違いきった瞬間に衝撃が!
噂には聞いていたけど、実際にヤツらの巻き起こす風圧は凄い。
すれ違いきった瞬間にドーン!とくるってことは、後方の乱流が凄いってことだな。側面じゃなく。

巡航速度イコール法定速度。みんな法定速度を守る。
罰金は高いし、スピードカメラがシビアだからね。
日本では誰も法定速度を守らない先進国とは思えない走り方をしていることを再認識。
日本はアジア的なのだ。まぁ、色々理由はあるんだろうけど興味深いところではある。

轢かれたカンガルーが道端に沢山死んでいる。
最初はたまに見かける程度だったけど、内陸部に入っていくほど増えてくる。

300kmちょっと走ったガソリンスタンドで休憩をかねて給油。ジンジャービアを飲む。ショウガがたっぷり入ったコイツは、ビアというもののアルコールは入っていない。濃くて甘いジンジャーエールって感じ。オーストラリアでのお気に入り。

ガソリンスタンドでの給油方法は、各国システムが変わっていて興味深いところ。
オーストラリアでは、全てセルフ。
基本的には、先に給油して、その後にオフィスで代金を払うスタイル。
ガソリンは、レギュラーとハイオクの2種類のところが多い。たまに3種類あったり、レギュラーしかなかったりするけど。
呼び名は、ガソリンスタンドではなく、ペトロール・ステーションです。

ローマ到着時に給油して小さなモーテルに投宿。

部屋の天井にはシーリングファン。
この気温だと、とても快適。

夜は宿近くのレストランでステーキ。
もうこの際、朝と昼は適当な食事で済ませて、夜は毎晩ステーキ食ってやるか!なんて考えていた。

田舎の小さなレストランは先払いのところが多い気がする。ここもそう。
まずカウンターで注文して、お金を払ったら席で待つ。
ガソリンスタンドにしてもレストランにしても、支払いのタイミングが国によって違うのは面白い。

レストランの裏手には鉄道の駅
胴の太いボトルツリー、初めて見た

明日はいよいよ海岸から最も遠い町、エロマンガ(Eromanga)に行く。エロ漫画ではない。
距離は600km程度。今日の走行距離プラス100kmなのでさほど問題ないだろう。

この日から、目的地に到着したらその晩のうちに翌日の走行距離を決めて、スマホのアプリで目的地の宿を予約することをルーチンにした。翌日の予定は、ちゃんと頭が動いているうちに即決しよう。
迷って後回しにするとろくなことはないし、即断即決なら失敗しても後悔しない。

実は当初は、走行の休憩中に予約すれば良いかな、なんて考えていたが、暑すぎて頭が回らない。そもそも休憩らしい休憩はしない。
観光地とは言わないまでも、景色の良さそうなところで凝った写真を撮ったり余計なことはできるだけせずに走りきることに集中しよう。

寝る前に石鹸で洗濯。朝には乾いているだろう。

500km走行 Roma Starlight Motor Inn泊

はじめての海外ツーリング 第4話 移動日 Melbourne to Brisbane

2019年12月28日(土) メルボルン到着 ブリスベンへ移動

あまり写真を撮っていないので文中にGoogleマップのリンクを貼りました。
ストリートビューでも現地の雰囲気が掴めると思います。

10:00 メルボルン国際空港着 Terminal 2
実は同月にFormula SAEのオーストラリア大会で来ているので、新鮮味は無い。
けど、何度来てもオーストラリアは良い。
メルボルンでは5時間の待機。

メルボルン国際空港
「何でこんな写真撮ったんだろ?」っていうのありますよね

国内移動のジェットブルー(Virgin Australia)はLCCなのでTerminal 3に移動。
ここでもビジネスを利用したので、ラウンジで昼食。もちろん無料。

15:00 メルボルン発 ジェットブルーVA333
国内線LCCのビジネスだけど、ジェットスターの国際線よりサービスが良かった。
隣の席はクロコダイル・ダンディーみたいなワイルドな風貌の人。クッキーくれたり良い人だった。
フレンドリーな人が多くて良い国だ。

16:10 ブリスベン空港

空港の目の前に駅があります
これも「何で撮ったんだろ?」

空港からホテルはUberで移動
オーストラリアのタクシードライバーは移民の人が多くて、ぼったくろうとしているのか本当に道を知らないのか、遠回りして料金が高くなることが多い。その点Uberなら安心。
日本をはじめ、多くの国ではタクシーは後部座席に乗るけど、オーストラリアでは助手席がスタンダード。この方がコミュニケーションが取れて面白い。

モンゴル人ドライバーのエフゲニーはフレンドリーで、速度取り締まりのスピードカメラの情報とか、違反切符の罰金はすぐに払わないと次々に追徴金が課されるなど色々教えてくれた。モンゴルでの生活や馬での旅とかも。

オーストラリアはスピードカメラの設定が非常にシビアで、わずか数キロオーバーで反応する。先進国は大抵そうかもしれないけど。
それは前から知っていたけど、そのカメラがどのように隠されているかはエフゲニーに教わった。
ところでエフゲニーってロシア系の名前じゃないかな。モンゴルってロシアに近いからそんな感じなのか。

オーストラリアと言えばハエなのだが、ここブリスベンの都市部には全くと言って良いほどいない。メルボルンもそうだけど、都市部にはあまりいないんだな。当たり前か。

現地1泊目のホテルにチェックイン。
ここは、今回のツーリングでは唯一のまともなホテル。
バイクを受け取るデポに最も近い宿だったので早めに予約しておいた。
こんなちゃんとしたホテルはオーストラリアで利用したことが無いかもしれない。

年末で利用者が少ないからか、ホテル併設のレストランは営業していなかった。
あまり腹が減っていなかったので、ホテル併設のドライブスルーのボトルショップ(酒屋)で買った、ビールとポテトチップス、ビーフジャーキーで済ます。
移動中はほとんど動かずに食ってばかりだったからなぁ。そりゃ腹減らん。

翌日バイクをピックアップするデポのジョーにメッセージを送っておく。
電話でも良いのだが、現地に着いたばかりで環境になじむ前の電話は難しい。
携帯の番号が分かっていたのでショートメッセージで翌日は時間通りに行けそうだということを伝えると、”R1200RTが待ってるぜ!”と返事あり。
デポまでは歩けない距離ではないが、荷物が重いので翌朝のUberを8:50~9:00で予約しておいた。Uberは予約もできるんだね。

荷物をひっくり返してバイク移動用にパッキングし直し。

翌日は500km西のローマ(Roma)まで行く事に決めてスマホのアプリで宿を予約しておく。
初回の距離はこんなもんだろう。

スタート前夜 Brisbane Alexandra Hills Hotel Suites泊

はじめての海外ツーリング 第3話 出国

2019年12月27日、いよいよ出発の日。

駅まで卒業生の車で送ってもらい(朝5時に!ありがたいことです)、埼玉の坂戸駅から朝05:25発の高速バスで成田へ。
08:00 成田空港第2ターミナル着、中国東方航空チェックイン。
今回は全てのフライトはこれまで貯めたデルタ航空のマイレージで。
行きは何とビジネスクラス!初のビジネス!
ジェットスターのなんちゃってビジネスはアップグレードして乗ったことあるけど、ちゃんとしたのは初めて。
帰りはエコノミーだけど。

ツーリングギア一式を収めた荷物は結構重くて、持って歩くとヨロヨロする。キャスター付きのスーツケースって凄いんだなぁと改めて思う。
成田空港の出発フロアの混雑はそこそこだったが、年末のため、出国ゲートが非常に混んでいた。2列で数十メートル。100m近くあったかも。
しかし、ビジネスクラスだったので、プライオリティの列でセキュリティを通過。待ち無しだった。素晴らしい!
朝食はラウンジで摂った。

10:55 成田発 中国東方航空MU272便
上海浦東空港までの所要時間は3時間55分。
成田から上海までの間は、なぜかあまり記憶に残っていない。なぜだろう。
上海の空港は浦東と虹橋の2カ所あって、トランジットで双方を移動する必要がある場合もある。今回はその必要は無し。

13:45 上海浦東空港着 Terminal 1
乗り継ぎ地の上海-浦東で6時間待ち。なんと6時間だ!

曇って見えるのはPM2.5の影響だろうか

中国東方航空を利用したトランジットなら入国審査は自動化ゲートだった。
ただし、自動化の意味あるの?ってくらいパスポートの読み取り感度が悪くて、結局係員が次々に手動で機械を操作していた。
長い待ち時間は、中国東方航空ラウンジで本を読んで時間を潰した。
6時間もあれば上海の街中をブラブラできたかもしれないけど、今回は余計なことはしないと決めたのだ。
なので、ずっとラウンジに留まっていた。6時間も。
夕食は機内で出るので、ラウンジでは軽く。
なんてったってビジネスだからね!

この空港で驚いたことがある。
トイレに行って用を足し、手を洗うために洗面台に近付いたら清掃員が壁にもたれかかってスマホをいじっていたのだが、こちらの姿を見るなり「ハッ」とした感じでペーパータオルを取って手渡そうとした。
「大丈夫だよ」って感じでそれを制したんだけど、これには正直衝撃を受けた。
サボってスマホいじってたのを見られてバツが悪かったのだろうか。
にしても、利用者にペーパータオルを差し出そうとする清掃員なんて見たことない。
日本はもちろん、たぶん世界中どこに行ってもそんな人はいないだろう。
ちなみに、ラウンジ内のトイレではなく、普通の出発フロアでの出来事です。

19:45 上海浦東空港発 中国東方航空MU737便
メルボルンまでの所要時間は11時間15分。
ビジネスは信じがたいほど快適。
果たして残りの人生で自腹で乗ることがあるだろうか。

つづく