電動バイクの話

クルマのEV化、思ったほど進みませんね。
まぁ、電動化したところで、エネルギー源である化石燃料から走行までの最終効率は数パーセントしか変わらないし、製造に要するエネルギーや電池のリサイクル、そもそもの電池を巡る問題やらがあって、当初の思惑通りにはいかないってところでしょう。

それはそれとして、実は私、エンジンは好きだけど、別に電動モーターが嫌いなわけでもありません。
まぁ、乗って楽しければ良いかな、とも思いますし、パワーソースが何であれ、それぞれメリットはあるわけで、一概に良いだの悪いだのは言いにくいですから。

とはいえ、趣味のバイクが電動化されていったらどうなんだろうなぁ、なんてことは考えるのですよ。
最近は新しい電動バイクの話も聞かなくなってきましたけどね。
小さいのはあるようですが、それも主に国外の話ですね。

最近は、1日で1000キロ越えのツーリングなんてしてるけど、そういったことはできなくなるんだろうなぁとか、バイク自体重くなるんだろうなぁとか。

以前やったオーストラリア縦断なんてできなくなるでしょうね。
途中でマメに充電するなんてできないでしょうし。
そういうのは寂しいなぁ。

加減速の少ない高速域の連続走行では、回生充電もできないので、大した距離は走れないでしょうしね。

バイクEV化のメリットは何だろう?
静かなことや、獰猛な加速…あとは何かあるかな?
環境負荷は、実は大して変わらないと思うし。

車重もトルクも大きけりゃ、タイヤやブレーキなどの消耗品のライフは短くなるだろうし、重い乗り物は、乗るのが億劫になるんだよなぁ。
そうなったら乗車時間は減るわけで、環境負荷は低減されるとも言えるのか。それは皮肉だ。

全固体電池とか、電池の革命みたいな事が起きて、エネルギー密度が今のリチウムイオン電池の100倍くらいになれば、つまり現状の電池と同体積と重量で、100倍くらいエネルギーが突っ込めれば、エンジンと同じような使い方ができるのでしょうけどね。

充電インフラも気になる点ではあるなぁ。
大型連休など多くが充電を必要とするときに、乗用車と一緒に充電待ちをする絵を思い浮かべると…ちょっと微妙な感じです。

気に入った電動バイクがあるとして、何年も乗った末にバッテリー交換したくなったら
「あぁ、そんな古い型の電池なんて無いよ」
と言われてお終い?
まぁ、そんな頃まで生きてないだろうから気にすることでもないか。

と、今のところデメリットが多いのかなぁとか、そんなことを考えながら、技術の発展も楽しみにしてたりするのです。

やらせるからダメなのだが

かつて我が国には「一億総中流」と呼ばれる時代がありました。

これ、貧富の差が少なく、多くが特別豊かではないが、貧困でもない、という状態だったのです。
それが長いこと当たり前だったわけですが、世界的に見たらとても珍しい状態だったのですね。

そういう状態を支えていたのは、大きく二つの原因があると思っています。

一つは、高度経済成長のベースとなっていた、大量生産体制。
向上で安価で高品質な製品を大量に生産していた。

そしてもう一つは、そのための一定の知識やスキルを持った人材が大量に必要になるわけで、そういったニーズを満たすための教育システムの確立。

そんな状態が長いこと続いてきたのだけど、このやり方は人件費が安くて人口が多いのであれば成立するけど、それらのいずれか一方が維持できなければ継続は難しくなる。

で、人件費が上昇し、人口が減少した現在に至る。

もちろん低コストで大量生産のビジネスモデルはとうに成立しなくなっているのだけど、教育システムの基本形は変化せず。

言われた頃をやるという機械的な能力の重視と、考えることよりも記憶力をベースとした教育という形は変わっていません。

このシステムのトレードオフとして、尖ったヤツが少なくなるということなのですが、だからこそ貧富の差がない、均質的な社会が実現する。

興味深いのは、一億総中流であった頃よりも、むしろ今の方が人は均質化しているような気もすること。
まぁ、教育システムが同じ形で続いているならそうなるのは当然か。

問題は、この先どうしていくべきなのか。
社会の形は変わろうとしている。(すでに変わっている)
教育は未来の社会のためにあるのに、旧来の形のまま。
その形を保てば、かつての一億総中流に戻れるわけでもない。
なので、このままで良いはずは無い。

とはいえ、均質化から脱却して、個性や自発性を重視した自律的な教育に変えていくとどうなるか?

やはり二極化するのかな。
するのかもなぁ。
でも、それ以外の方法があるのだろうか?

その辺を考えるのは恐ろしくも難しくもあるのだけど、きっと避けては通れない道。
何か良い方法があるはずだ。

とか考えていると、やはり新しい時代がやってくるのは必然なのだろうな、と思うのです。
どうせなら、面白くしていかねばなりませんね。

ホンダ主催の講習会見学

今日はホンダ主催の、Formula SAE参加校向け講習会にお邪魔していました。
学生達とともに朝6時に大学を出て、帰ってきたのは夜の9時。
場所はモビリティリゾートもてぎ。旧ツインリンクもてぎです。

講習会は、サスペンションアライメント講座と銘打っていますが、実質的にはレーシングマシンのサスペンションを開発を前提とした、実践的な内容の講義と実技。
講師陣は、元F1マシンの開発者を含め、エキスパート揃いの豪華な布陣。
現在は皆さん現役の開発現場には籍を置いていませんが、リタイヤした後、またはそれなりの地位に就きながら、今回のように次世代の開発者となる若者達に指導されています。

で、今回は、以前お世話になった知人が講師をするということで見学に行ったのでした。
想像以上にレベルの高い、とてもためになる講習会でした。

この講習会に教材として使われていたのが、私がかつて開発に関わらせて頂いた小型レーシングカーのSide by Side。いやぁ、懐かしい。
20数年前にモーターショーでデビューした後、14台ほど生産されましたが、現在はわずか2台を残すのみだそうです。
それらが次世代の開発者を目指す若者の役に立っているのは嬉しい限り。

一通り講習会を見学して思ったのは、教育はこうあるべきだよなぁ、ということ。

大好きなレーシングカーについて、エキスパート陣から少人数に対する指導。
単に言われたことを聞いて覚えるのではなく、自発的に手を動かして頭を使ってコミュニ-ションを取って、本当に欲しいものを取りにいく感覚。

こうやって手に入れたものは、書籍やオンラインでの学びでは得られないものばかり。
ましてゴージャスな顔触れの、本当にトップクラスで活躍していた元開発者と直接対話して貴重な情報を手に入れる。
普通こんな機会はありません。学生達が羨ましい。
こうやって手に入れた知識やスキルは、一生忘れないでしょうね。

この講習、一人の教員から、数十人に対して一方的に講義して、言われたことを覚える・やる、といった、いわゆる学校の授業とは対極だなぁ、と思ったのでした。