開発のこれからの方向性

私は日頃、ウクライナとかイランの動向をチェックしています。
別にミリオタではないし
軍事関連の開発をしようってわけでもありません。

目的は、技術の動向と変化のスピードのチェックです。
そこから彼らがどういう開発をしているのかを想像するのです。

ドローンの構造はどうなっているのか
はなぜ、あのようなドローンを、あのようなペースで製造できるのか
そして、それらを迎撃するための技術は、開発のスピードはどうなっているのか
もちろん詳細は分かりませんが
おおよその想像は付きます。

技術の世界に民生と軍用の明確な境界線なんてありません。
多くの技術はデュアルユースでもあるから。

航空宇宙や防衛関係のテクノロジーは
あらゆる意味で最先端であって
それらは遅かれ早かれ民生技術として
我々の手元に落ちてきます。

そして、そのスピードとレベルは
年々向上しています。

当然ながら、将来のエンジニアたる学生達は
そういった動向に適合する必要があります。

一般の学生がそういった環境に適合できるようにするのは
正直難しいでしょう。
教育のシステムがそうなっていないし
変化させるための切迫した事情もありませんから。

なので、せめて夢工房の学生達は
未来に適合できるようになって欲しいと思っています。

近年の動向は
アジャイル(agile)
ですね。
「機敏な」という意味です。

開発手法としても、組織文化としても
そういう方向でしょう。

なので、必要なのは
アジリティ(agility)です。
変化に対して、素早く、賢く、方向転換できる力ですね。

素早くやって
素早く最適化・改善していく
というところでしょう。

勇気もパワーも必要です。

我々は戦争のような切迫した環境にいるわけではないので
何を動機とするかが難しいところなのですが…

レースは最適なのですよ。

「価値をつくる」という価値

そう、彼らは
「価値をつくり出せる」
という価値を身に付けるために
日々頑張っているわけです。

で、その価値を形づくるものは何なのか?

エンジニアリングをするなら
他に提供する「もの」です。
それは物体かもしれないし
ソフトウェアのような
形の無いものかもしれない。

「もの」
と、平仮名で書くのはそういうことです。
物体とは限らないってこと。

ともかく
良い「もの」を提供できるように頑張るのだけど

実は、相手が求めるものは「もの」そのものではなく
それを受け取った時の「感情」だったりします。
それを得るために「もの」を求める。

とまぁ、その辺の細かいところはともかく
要点は
相手が求めるもの
相手が感じること
その辺を想像できないと
何をどうしたら良いか分からないということ。

ということは
想像力とか
視座とか
そんなことが大事なのだということです。

知識やらスキルやら
さらに言うなら
メンタルとかマインドは
それを実現するために必要な手段です。

もちろんそれらは
実践しながら得られるなら
それが一番。

やってみて
不足を感じて
そのギャップを埋める
それが学びではないかな。

彼らは、なぜものを作るのか

夢工房の学生たちは何をしているかというと

企画する
設計する
加工する
組み立てる
走らせる
壊す
直す
また走らせる
そして遠征に行き、競い、帰ってくる

そんなことの繰り返しです。
それは何のためなのか。

クルマを完成させるためなのか
大会で勝つためなのか

技術を身につけるためなのか

就職に役立てるためなのか

それらは全部正しい。

でも、もっと先にある
メンバー共通のゴールは
自身の価値を向上させること。

日々ものを作るのは
そのための手段です。

恐らく学生に
自身の価値を問う
みたいなことは
普通はアンタッチャブルなのかもしれません。
アプローチによっては
人格否定みたいな捉え方をされるかもしれない。

でも、それはとても大事なことなのです。
だって、そもそも彼らは
自身の価値を高めるために大学に来ているのですから。

難しい理論を理解したり覚えたり
問題を解けるようになったり
それは数ある「手段」のごく一部であって
本質ではないのです。

やっていることは
何のためなのか
誰のためなのか
価値があるか無いか
それはどれだけのものなのか

そういったことは
定量化はできませんが
ものを作るなら

見れば分かる
触れば分かる
走らせれば分かる

それによって何が起きるか
誰がどれだけ驚き、喜ぶか
勝つか、負けるか

そんな結果の中に
彼らの価値の断片が現れるのです。

なので、「もの」を作ること本質ではない。
作られた「もの」も本質ではない。
その「もの」がもたらす価値
いかにその価値を作り出せるようになるか
それこそが本質なのです。