「安定」は危険 ストレスは「敵」ではない その2

成長するにはストレスは欠かせない、重要な要素なのですよ
というのが今回のお話し。

「ストレスフリーな社会を…」
とか聞いたことありませんか?

ストレスなく、安定した社会を目指したところで
必ず「想定外」がやってきます。
そんなのは歴史を紐解いても簡単に分かることです。

仮に我々の社会が理想の状態になったとしても
いつかは自然災害や、何かしらの外乱にさらされます。

その時に何とかする力が無ければお終いです。

その「力」は、ストレスフリーで安定した環境で、どうやって手に入れるのでしょう?

たぶん無理です。
だって「想定外」だから。
事前に想定できないのが「想定外」で、想定できないものに対しては準備なんてできません。

後になって、ああだこうだ言うことはできます。
「あの時、こうしておけば良かったのだ!」
なんて。

「反脆弱性」に、分かりやすい事例が提示されています。
※以下も原文ママではありません。要約です。

タイタニックは沈没した。
しかし、そこから得られた知見によって、船はより安全になった。

今まで何機もの航空機が墜落している。
しかし、それによって航空機はより安全になっている。

こういった事故によって多くが犠牲になったが、そこで得た経験によって、その何倍もの人を救っているといえる。

なるほど。これは分かりやすい。
それぞれの事例では何が起きているかというと…

  • 巨大で豪華な旅客船「タイタニック」を作って運用してみた
  • 空飛ぶ機械「飛行機」を作って、沢山の人を乗せて飛んでみた

というチャレンジをした。
当然、作って運用する段階で、そんなトラブルが起きるなんて想定していなかった。
そして、「想定外」が発生した。
起きたことは、外部から見れば「失敗」ということ。
これがストレスです。

そこでの知見を使って、より安全な構造の実現や運用が可能になる。
そうやって、進化、成長、強化されていく。

しかし、いつか必ず新たな「想定外」という名のストレスが発生する。
しかし、ストレスに抗って対応する度に成長する。

大事なのは、発生するストレスが、母体を崩壊させるほどのインパクトを持たないようにしていくことでしょう。

すぐに対処せず放置すると、ストレスは長期的に蓄積して解決不可能となり、より大きなものを破壊して崩壊してしまいます。
なので「先送り」(すぐやらない)は、想像以上に破壊力を持っています。

例えば、事故後に対処しなければ
飛行機や船なんて、何が起きるか分からないのだから、運用すべきでない
とかなりますよね。

うん。乗り物の例は分かりやすいですね。
いつの世も、クルマも飛行機も船も、絶対安全で完璧なものなんて無いのです。
常にストレスと対峙して成長してきました。

大事なのは、チャレンジして、失敗して、その経験を活かすループを回し続けること。

失敗もストレスも、決して悪いものでは無く、成長のためには欠かせない要素です。
チャレンジの際のリスクは、排除するのではなく、対処可能なレベルにコントロールするべきものです。

チャレンジしない「安定した状態」では、リスクに対応できない状態になって、いずれ絶滅する運命となるのは、生物の進化を見ても明らかでしょう。

「安定」は、思いのほか危険で
「ストレス」は、思いのほか重要なのです。

「安定」は危険 ストレスは「敵」ではない その1

今読んでいる「反脆弱性」に

機械などの非複雑系は安定はすなわち「安定」だが
有機体などの複雑系にとって安定は死を意味する

といったようなことが書いてありました。
これ、どういうことかというと

機械などは、動作し続けると消耗していき、安定から遠ざかっていくが、人を含む生きものは、細胞レベルまで見て、安定しているということは死んでいることだし、完全に安定して変化しない状態は、死んで組織が分解しきった状態だったりするわけで、それはまさに究極的な安定である「死」だ。

ということ。
※原文ママではありません。

そんなことを考えていると、良く多くが目指す
将来の安定
は、決して良い事ではないのだな
と思うのです。

だって安定した状態を目指す生き方は、想定外の出来事には対応できなくなっていくというこでしょう。
それは、より弱く、脆弱に、そして無価値になる道ではなかろうか。

で、そこから脱するためには何が必要か?

それはストレスでしょう!
ということなのです。

そのストレスの正体は
変動性や変化、想定外の出来事やいわゆる失敗など
一般的にはリスクに分類され、避けるべきものとされます。

次回は、その辺の考え方を展開してみましょう。

アンチフラジャイルという考え方

以前から
「失敗からしか学べない」
なんてことをさんざん言ってきたわけですが…

その本質が分かる面白い本を見つけました。

ナシム・ニコラス・タレブの著作、「反脆弱性」(原題:Antifragile: Things That Gain from Disorder)これは上下構成の上巻。
2017年に出版された本なので、すでに出版から9年経っています。

私のネット上での検索結果やら、見ているサイトの履歴やらを元に、この本についての情報が提供されたのだとは思います。
最近考えていることに対して、ドンピシャの内容。

簡単に言うと、不確実性や混乱、ストレスから“利益を得る”ものの性質を説明した本です。
分かりにくい?

普段、私がブログのネタにしている「失敗」についての考え方が分かりやすいのだけど…

失敗という出来事に対して脆弱なのは「脆い」(フラジャイル Fragile)ということ。
失敗の衝撃や不確実性で壊れる。

それに絶えられるのは「頑健」(ロバスト Robust)ということ。
失敗の衝撃に耐える強さはあるが、変化で強くはならない。

大抵は、この二つの物差しでものごとを測るのだけど、ここに「アンチフラジャイル」(Antifragile)という概念を持ち込みます。
ちなみにAntifragileは著者の造語です。

これは、ストレスや失敗、不確実性によって進化する(強くなる)といった考え方。
例えるなら、筋肉みたいなものです。
高負荷で筋組織が破壊され、筋肉痛になるけど、その後は強くなる
というような感じ。

現在、50ページを超える長い目次とプロローグを読み終えて、やっと本編に入ったところではあるけど、「なるほど。そうだよなぁ」と思うことしきり。
新たな発見と言うより、確認作業みたいになっていますが、もちろん私より遙かに博識な著者が書いているので、大変勉強になります。

よく「小さな成功体験が大事」とは言われます。
確かにその通りとも思うけど、どこかに違和感を感じていました。

だって、成功は気持ち良いけど、そこから学ぶものはほとんど無いのですよ。

失敗しないための行動や、リスクの排除、知識の習得のみに専念することが、いかに人の成長に貢献せず、脆弱にしてしまうか。

言ってみれば
「小さな成功体験」よりむしろ
「小さな挫折体験」が大事で
そこから何を学び、どうするかが成長の鍵だな
なんて思いながら読み進めています。