まずはマインドの解放から

恐らく今年中に日本では
ワクチン接種が進むし
集団免疫を獲得するでしょう

というわけで
そろそろコロナ明けのための
具体的な動きをしていく必要がありそうですね。
皆さんは準備ができてますか?

我々の夢工房では
ものづくりは人づくりなわけで
やはりマインド面の構築と強化がポイントになってくると思います。
そうしないと良いもの作れませんから。

最終的にはどういったものを作る必要があるかというところが
ビジョンでありゴールとなるのですが
性能やら成績は、ライバル達をベンチマークとして
これをベースに決めればいい話です。
これはチャチャッと解析すればOKでしょう。

その次に必要になるのは戦略です。

やはりマシンを作って闘うのですから
どうやって勝つの?
というところですね。

その次は
じゃ、どういうマシンにするの?
です。

この辺を考えるために重要なのは
当然ながらクリエイティビティです。

この戦略に関しては計算やら何やらで決まるものではなりません。
もちろん、広い視野で現状を把握するのは重要です。

ここで慌てちゃうと
ライバル達と同じ戦略で性能を強化すれば…
とかいう
やる前から負けることが確定しているような戦術
をとってしまいます。
この点は要注意。

戦略と戦術が決まると
それに伴って難しいことや面倒なことが色々必要になるのですが
それは大丈夫。

彼らは、それが必要と分かれば
まるでスポンジが水を吸い込むように吸収していきますから。
多少のアドバイスは必要でしょうが
大抵のことは自ら手に入れようとします。

とまぁ、こんなこと書いてきましたが
私が気にしないといけないのは
具体的な戦略や戦術ではないのです。

だってそれは、学生達自身が決めることだから。

なので、学生達がイケてる戦略を立てられるようにすることが重要
ということになります。

学生がイケてる戦略を立てられるようにするには
一体何が必要なのか
そのためにどうしたら良いのか。

やはりマインドの面がものを言うでしょう。

どうしてもイケてる戦略を立てたい!
どうしてもイケてるマシンを作りたい!
という強烈なパッションを持てるマインドをセットすることです。

というのも
心が小さくなっちゃっていて
視野が狭いと
どうしても初動の時点から小さいことにとらわれてしまいます。

今知っている具体的なこと
現時点でできそうなこと
そんなことをやろうとします。
手段を決めてから目標・目的を決めようとします。

そんなことを考えている時って
失敗したくない
とか
苦労したくない
なんていう、個人的な損得勘定がベースになっていて
それがゴールとすり替えられているんですよ。
でも本人は気付いていませんけどね。

まぁ気持ちは分かります
というか
なぜそうなってしまうのかは想像が付きます。

多くの場合は
今まで目標設定する時に
突飛なゴールを設定すると
怒られたり笑われたりして
それによって自分のゴールを持てなかったからです。
ずっと他人が設定したゴールに向かって
動かされてきたからです。

彼らは
さんざんつまらない思いをしてきて
もうそんなんじゃ嫌だ!
もっとデカイことをやるんだ!
ってことで、今ここにいるのでしょう。

なので
そんなちっちゃい箱に 入っちゃっているような
マインドを解放するのが第一歩です。

もちろんこれは
自らでしかできません。
私は、お手伝いくらいはできます。
というか、手伝うことくらいしかできない。
いや、チームみんなで手伝えば
すごいことが起きるはずだぞ!

そんなふうにして
マインドが解放された学生がどうなるか

過去に例があります。
何人も見てきました。
実は彼らは奇跡のような凄いことができるんです。

今回は、ちょっと(?)やり方を変えて再チャレンジです。

凄いことになるぞ!

流れを変えるぞ

学生がレーシングカーを作って海外の大会に挑戦する
Formula SAEの活動を開始して
ざっくり20年が経ちました。
やるからには、もちろん目標は優勝です。

総合4位までは行きましたし
部門賞も取りました。
発祥の地、アメリカの大会の歴史には
Formula SAEの流れを変えたとして
当チームの名前が刻まれています。
でも、未だに勝てていません。

その後は停滞したり
少々浮き上がってきたり

でも、このままのやり方を継続しても勝てない。
だって前回は勝っていないんだから
そのやり方ではダメなんです。
当たり前だ。

この活動は、学生が主体的に取り組んでいるので
基本的には彼らの意思でものごとが決まります。

彼らは4年で卒業してしまうものだから
どうしても継承が難しくなります。
知識や技術はもちろん、もっとも大事なのは
チームとしてのモチベーションの維持・継承です。
でも、そんなのはライバル達も同じはず。
何かが足りない。

面倒を見ている教員として言わせてもらえば
20年も継続的に海外大会に出ていること自体凄いことだと思います。
車を作り続けること一つとっても大変なのに
技術的な情報をまとめたり
輸出入の手続きをはじめとする事務仕事
現地での各種オペレーションとか
スポンサーを見付けたり
何もかもが大変です。
よくやるな、と思います。

でも、目標は海外大会優勝なんです。

このところ
メンバー達の心に火が付いたように思います。
このままじゃダメだってことは分かってる。
どうにかしたいという具体的な動きが見えてきました。

すでに色々な新しいチャレンジを始めていて
経験の数も増えてきています。

日本は世界に誇る自動車大国ではありますが
今や海外の大会で戦い続けている日本のチームは彼らしかいません。
ですが、彼らが成果を出せれば
きっと色々なことが変わり始めるはずです。

海外参戦をやめた他大学のチームも
再び動き始めるかもしれません。
俺たちにもできるはずだ!って。

そういうのは
きっと高校生以下にも伝播していくはず。
日本人は凄いことできるんだぞ!
という希望を持って欲しい。

Formula SAEは
海外ではいまだに大会内容と規模の拡大を続けています。
日本のチームがこのまま大人しくしていて良いはずがありません。

きっとできるぞ!

ビジョンありき

日々学生と付き合っていると
考え方が大事
ということがよく分かります。

車を作るうえでは
色んなパートに分かれて仕事をするわけです。

そのパートを担当している設計者は
車の一部を設計することになるのですよね。当然ながら。

なので、小さな一つの部品を設計したりするわけですが
何も無いところから
突然、ある一つの部品の形を決めるわけではありません。

自分の担当パートの全体を見て
周辺部品との関係などを決めるのは当然ですが
それこそ車全体を見て
車のコンセプトに沿った設計をする必要があるわけです。

こういったことは
スキルと言えなくもないですが
どちらかというと
考え方の部類かと思います。

コンセプトに準じた設計をするためにどうするか
なんてことはまさに考え方でしょう。

仏像を作るのに
いきなり目から彫ったり手から彫ったりしないでしょう。
各部の造形ができるなら、全体が作れるわけではない。
知識やスキルがあれば、全てできるわけでもない。

仏像を彫るには
まずは材料をよく見て
その中に埋まっている仏様を取り出すように彫っていくのだ
というような話を聞いたことがあります。

理想的な仏様の姿形はすでに決まっていて(決めていて)
その実現のために彫るのだよ
という感じですかね。

こういう匠レベルの話は行き過ぎかもしれませんが
ものをつくるというのは総じてこんなふうに
全体のビジョンがあって
そこからブレークダウンして細部が決まるものです。

という考え方があってはじめて
必要な知識やスキルが明確化されていくわけですよね。
そりゃもちろん
ある程度の基本的なことは知っておく必要がありますので
相応の事前の学習は必要でしょう。

しかし
勘違いしてはいけないのは
基礎をどんどんやっていったり
その応用をやったりしていけば
最終的な製品に行き着くかというと
決してそんなことはないということです。

良い仏像を作るには
もちろん考える経験が必要で
作ってみる経験も必要でしょう。

しかし
最初にビジョンを思い描いて
その具現化のために努力をして
やっと作った仏像を眺めて…

「うおおお!こんなんじゃなーい!!」

と斧で叩き割る。

あれ?
こんな話をしたかったんだっけ?

ともかく
出来不出来はともかく
理想を実現するために
理想を描いて
その実現のために
細部をどうするか決める
というようなプロセスをグルグル経験して欲しいのです。

そして
苦労して作った車を走らせて

「うおおお!こんなんじゃなーい!!」

と叫んで
ヒーヒー改善して欲しいのです。

なので
経験が浅い学生が
小さい部品一つを設計するのに
どうしたら良いか分からなくて
手が止まっているのを見ると

「わははは。お前もか!」

と思う反面
「なるほど。これを何とかするのが自分の使命なのかもな」
とも思うのです。