学生の近未来像

学生達の成長を願って
日々色々やってる
…と言うより
日々色々やってる学生達を見守っているのが正確なところか(笑)

いずれにせよ
これからの世の中に必要とされる若いエンジニア像を想像しながら
学生達に付き合っています。

社会情勢とか
多くの一般的な学生の傾向なんかを見て考えて
そんな日々で見えてきたことを書いてみましょう。

工科系の学生というと
技術に関する勉強が中心なわけです。
当然、限られた領域を深掘りする傾向があります。

ここ数年の傾向と
コロナ禍での変化を併せて
どのような変化をしてきたかというと
限られた領域の深掘りではなく、浅くなってきているな
という気がします。

これ、仕方ないことでもあるのですが
手を動かす機会が減ってきて
さらに
フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの機会が減ったことにより
対人、対物のリアルな感覚や、スキルレベルが下がっているな
という印象を受けます。

なもんで
物を触っても
人と対峙しても
こりゃ、うまくいかんでしょうなぁ
という残念な感じになってきた気がします。

残念な、というより
かなりマズイと言った方が良いかもしれません。

しかし、マズイマズイ言っていても何も変わらないし
私ごときにはこの流れは変えられるはずもないので
当然ですが、自分の守備範囲で可能な限りやらせてもらいますよ
という感じでやってきました。

現時点で、学生達の思い通りに大学には来られないものの
かなり登校の機会が増えているので
以前に比べれば「人」「もの」に触れる機会はともに増大しました。

以前の自粛期間においては
オンラインでかなり深いコミュニケーションを取っていたので
その辺は、夢工房の連中は比較的高いレベルを維持できています。

加えて、オンラインでの設計アドバイスも高頻度でやっていたので
実際に物体に触れずとも、それに代わるものづくりの知識習得や
企画から設計までの経験は積んでいます。

さて、これからどうするか。

短期的には
経験知の習得によって
直観的な判断と
スピーディーなアクションができるように
ものに触れる機会を増やして
スキルの習得を加速させて
とにかく経験の数を増やす。

さらに
チャレンジする心を強化すると同時に
それを支えるチームの体制強化
といったところでしょう。

中期的に考えるなら
技術の深掘り…なんてのはヨソに任せて
ジェネラリストを育成すべきだろうな
と思ってます。

なんと言ってもこれからは少子高齢化ですので
単純に考えてエンジニア一人あたりの守備範囲が広がるはずで
広範囲にわたって色んなものをマネージできる人材が必要になるはず。

もちろん全体的な傾向としては
コミュニケーションが苦手な人が増えてきているので
強いチーム作りに貢献できる人材とか

定型的知識の記憶より、むしろ経験知の習得と利用に強かったり
クリティカルシンキングができて臨機応変の対応ができる人材とか

この辺が目標かと思っています。

もちろん、他に対する競争力
というのもありますが
これで世のお役に立てるはず。

チャレンジする学生達が
海外大会で頑張る!
なんてことをやっていると
この辺のことは大抵手に入るはずです。
もちろん、単に「やっているだけ」ではいけません。

学生達は、より高い成果を残すために
より本気でチャレンジし続けるための工夫を毎日しています。

今日は、午前10時から午後5時まで
20人を超えるメンバーが
これからどうやっていくかというミーティングをしてました。
長い時間話し合えば良いってもんじゃないのは分かっていますが
学生が自発的にこれだけ頑張れるというのは凄いことだな
と思うのです。

メタ認知能力

今更知った新ネタではありませんが
これ、重要だな
と思ったので書いてみます。

簡単に言ってしまうと
何かやってる自分から幽体離脱して
離れたところから
「今の自分はやり方はイケてるのか?」
と見られる
というような能力ということで良いと思います。

単に視野が広いとか狭いとか
というのとちょっと違いますね。

視野と言うより視点(注視対象ではなく原点側)の話です。

一般的に若いうちは
このメタ認知能力が低いと思います。

例えば
何か一所懸命やっていたりするでしょう
目的を達するために。

で、本当に目的を達するためには
時として
「このやり方でいいのかな?」
と全体に対する現状を確認する必要がありますが
それが弱い場合が多いですよね。

なんでそうなのかなー?
と思って色々考えてみました。

若いうちは誰でも未熟なわけで
色々ヘマをやったりします。
経験が少ないのだから当たり前です。
年とってもやるけどね(笑)

他の原因もあるかな、と。

若いコが何かやっていて
それを見ている大人が
彼らに干渉したりすることがあるわけですが
本当は本人が考えて判断すべき事なのに
代わりにやっちゃったり
指示しちゃったりしてることが
原因だったりするのかな
と思うのです。
いわゆる過干渉ってやつですかね。

「あぁー、そうじゃない!」
とかね。

そうすると
当人は別に自分の現状を把握する必要はありません。
そういう能力は必要なくなる。

ついでに
相手が勝手に干渉してくるので
アウトプットの必要もなくなる。

親や先生がそういうのをやっちゃったら
本人はイケてるかどうかを
自身で客観的に判断する必要が無いですもんね。
まぁ、失敗の数は減るとは思うので
面倒なことは減るかもしれませんね。
その時は。

または
単一の評価尺度や行動規範があって
自ら考えるまでもないシステムの中で生活してきたとか。

本人の意思ではなく
外部からの入力に頼って
何かを良くしたいとか成長させたいとかって
結局うまくいってない気がするのです。

大事なのは
事に対峙した時に本人が「どうするか」ということであって
外部からの入力によると
「どうするか」ではなく「どうさせられるか」みたいな
わけ分からないことになっちゃうでしょう?

それって、当人の将来のためのやり方ではなく
関わる人の現在が面倒なことにならないためのやり方で
ダメなことをやらせないためのシステムになってるんじゃないかな。
もしくは
関わる人が失敗させたくないと思っていて
その願いを叶えるシステムか。

まぁ、いろいろ可能性はあるでしょうが
そんなの本人にとっては
全部過去のことだからどうにもなりません。

じゃ、どうしたらいいのか?

もっと色々やって
ダメなこともやって
なぜ、何がダメなのか
それでどうすべきなのか
その辺を本人の意思で
俯瞰して自己評価できると良いのでしょうね。

言うは易しです。
それができたら苦労しない。

これ、本人に対して
ダメ出しをしたところで
あまりうまくいきません。

本人が「そうしたい」と思わない限りは
そうはなりません。

そのためには何が必要か?

色々とテクニカルな対処法はあるようです。
もちろんそういうのも利用すれば良いと思います。

でも、当事者だけにフォーカスする方法でなく
チームまるごと良い方向に行く方法は無いのかな
と思うのです。

個人単位で勝手に良くしろ!
そんなの個人の責任じゃ!
みたいなやり方
もうダメだと思ってます。

そんなのでうまくいくなら
今の世の中もっと良くなってます。

メタ認知能力が低い場合
相手が視野に入っていないことが多いです。
なので、相手のためを思った行動ができないし
チームワークが機能しないことが多い。

なので
ゴールへの強力な推進力を持つ良いチームを作って
共有するゴール到達のために行動したい
という意欲をメンバー相互で成長させるようなことができると良いのかな
と思ってます。

もちろん教員が「やれ!」と言ったところで
できるもんじゃありません。

さて
色々と新しい施策が必要な時が来たようです。

利他の心で行こう

アメリカ前大統領のトランプさんは
アメリカ・ファースト
アメリカ第一主義
と言っていました。

「まぁ、そりゃそうなんじゃないの」

と言いたいところかもしれません。
自国の国益最優先なのは当然です。
でも、もし他国に向けてこれを言ってしまうと

「それを言っちゃぁお終いよ」

となります。
なんで?

そりゃぁ
「ウチは他国よりも自分のトコ最優先で行くぜ!」
と言ってしまえば
他国は
「あ、そうなの。ウチのことは考えてくれないのね。
じゃ、ウチもおたくのことを考えるのやめましょう」
となって、良い関係は築けません。

今回、別に政治の話をしたいわけでも
他国の批判をしたいわけでもないのです。
例に引きたかっただけです。

じゃ、我が国はどうなの?
日本人はどうなの?
という話です。
別に人種は関係ないかもしれませんが。

世のため人のために
なんて言うと
皆さんどう思いますか?
そのために何かやっている人をどう思いますか?

世のため人のためじゃなくても
会社のために
学校のために
でもいいです。

帰属する組織のためにとか
社会のためにとか

一番良いのは
自分以外の何かのために
というのと
自分のやりたいことが合致してる事だと思うんです。

車が好きなら
自動車を通じて社会のために…
とかね。

レースの世界で
みんなを感動させたっていいと思うんです。

そういうの偽善っぽいですか?

そう思う人、多いかもなぁ。

でも
そう思ってる人だって就活の時なんかは
どうせ似たようなこと言ってるんじゃないのかな?
そんなこと言えば選ばれると思って
本心で思ってもいないのに。

もしそんなこと言う事にメリットがあるなら
本気で本心で、の方がいいですよね。
そのためにこんなことをやってきた
って、証拠を見せられたらいいですよね。

偽善に見えようが何だろうが
それを本気で考えて頑張っているなら
そこに価値があるはず。

自分のことばかり考えて
色々やってもらうよりも
他人のことを考えて何とかしようとして
色々やってあげる人のほうが
そりゃ価値がありますよ。

今や当たり前のように
皆が自分のことばかり考えて
「自分ファースト」が当たり前

なので
チームで何かやろうったって
なかなかうまくいかないのが
当たり前になってきてる気がします。
本気で相手のことを考えられないとか。

恐らく本来は
自分を守るための「自分ファースト」だったはずだけど
社会性のある生きものである人間は
自分で自分を守れないわけだから
他に対する価値を発揮して生かしてもらう必要があるわけで
「自分ファースト」の思考のために
結果として自分を守れなくなってしまうという皮肉。

利己的な人なんて
誰も守らないし
誰もチャンスあげませんよね。

これ、学生に対して愚痴を言ってるわけではありません。
自分もそういう傾向になってきているんじゃないか
まだまだ相手のことを考えられるはずだ
そのために
何かやろうとか
何とかしてみよう
なんて思っているのです。

学生達と力を合わせて頑張れば
きっと凄いことができるはず。