技術の発展とのトレードオフ

科学技術に限らず
技術は人の暮らしを
より良くするために発展してきました。

そもそも
「より良く」
って何なんでしょう?

まぁ、現状よりも「良く」ってことなのでしょうけど
それはどういう方向性なのでしょうね?

技術発展の歴史を紐解くと
根源的には人が生きることに
強く結びついているのが分かります。

技術が発展すると
人口が増えるのです。

もちろんこれは
特に先進国に言えることで
分かりやすいところで言うと
新生児や子供の死亡率が減るなんてのがあります。
環境が厳しいと
真っ先に子供が影響を受けますから。
もちろん高齢者についても同様のことが言えます。

医療や衛生、環境に関する技術が発展すると
生存環境が改善されるってことですね。

その他は
生産性の向上とか
労働環境の改善とか
日常生活の環境改善とか
色んなことを便利にするような方向性が分かりやすいですね。

「便利」って何?

少ない労力で
今までと同様の
もしくはそれ以上の結果を得るってことです。

要は
今までの労力では得られなかった成果を得るために
何かしらのリソースを使って
ブーストを掛けてるんですね。

昔々は
デッカイ事をやろうとすると
パワーが必要なので
工夫が必要でした。

まずは人間以外のパワーです。
農耕や運搬に牛や馬を利用しました。

これは大変便利だったのですが
ヤツらは人間様の言う事を理解してくれませんので
難しい事ができません。

それでは
ということで大人数を動員したりしました。

ガレー船(ウィキペディア)などは分かりやすいかもしれません。
古代のギリシア・ローマで使われていた船艦です。
多くのこぎ手を乗せて、船体の横にズラッとオールが出ているヤツです。

当初はこのように
人や動物を使って大パワーを得ていたわけですが
生き物は色々面倒なので
そのうち産業革命で
人工動力を使うようになります。
ボイラーとかエンジンですね。
それらから得たパワーを使った機械が登場すると
発展はますます加速します。

この人工動力を動かすために必要なのは
石炭、ガス、石油など
主に化石燃料です。

これらを地中から引っ張り出して
燃やして動力に変換すると
凄いパワーが得られるわけです。

おかげで色々便利で
快適な暮らしを送れるようになりました。

が!

ものごとは良い事ばかりではありません。

それら化石燃料を燃やすと
色々出ちゃうわけです。

まずは環境汚染
続いてCO2
便利で快適のパワーソースは
自然環境とのトレードオフだったのですね。
そもそも化石燃料の埋蔵量だって有限なわけで。

CO2の話しも
埋蔵量の話しも
ビジネスや政治的な側面もあって
何がどれくらい本当なのかってのもありますが
とにかく今のままで
どこまでも行けるわけではないようです。

便利で快適な暮らし
豊かさを得るための生産性の向上には
必ずエネルギーが必要なわけで
色々と大量に使って
人間の欲望を満たす方向に進み続けるには
限界があるってことでしょうか。

クルマをEVにすれば良いとか
太陽光とか風力で発電だ
なんてのは本質的な解決策にはならないでしょうから
これから生活が大きく変化せざるを得ないのかもしれません。

我々が「生存」を取るために
一体何を捨てるのか。
そういうトレードオフが始まるのか

それとも何か新しい
ブレークスルーがあるのか
まぁ、それにも何かしらのトレードオフがあるはずですが。

「持続可能な…」
なんて言っても
それはどの程度の長さの時間を指しているのか
その辺も興味深いところです。

色々書いてみましたが
実はあまり悲観しているわけではなく
大きな変化を楽しめると良いな
なんて楽天的に考えているのですけどね。

さて、一体どうなるんでしょうねー。

狭くて深いか広くて浅いか

大学で学ぶと専門性が高められます。
そのために学んでいます。

工科系の大学ならもちろん
工学系の勉強をするわけですが
どんどん専門性を高めていくと
それはすなわち領域が狭くなる
ということです。

その代わり
より深掘りしていくことになります。

ただ、物事の本質は
分野が違ってもそれほど変わらない
という言い方もありますので
あまり問題にはならなかったりすることもあるでしょうね。
その辺は本人の考え方にも大きく左右されると思います。

さて
では、夢工房の学生はどうかというと

クルマ作ったり惑星探査機作ったりしていて
チームで動いているのですが
そんなに大人数でやっているわけではないので
各人が部品1個作れば良いなんてことはなくて
色々やることになります。

最低でも、1つのシステムの面倒を見る必要があります。
例えばサスペンションとか駆動系とか
エンジンなんかもそうですね。

もちろん、それらのシステムが取り付く相手もあるわけで
結構広範囲に色々やる必要があります。

もちろん、自分で企画して設計して
自分で作って組み立てて
場合によっては自分で運転する。

その他にも
広報や会計なんかもやります。

なので、学生一人の担当領域が広くて
ことによっては、クルマ1台のほとんど全てを把握する
ということになります。

もちろん一つのゴールに向かって開発をするので
チームワークなどは基本中の基本です。
(ただし仲良しクラブでは絶対にダメですが)

こういうのって
普通の授業では経験できません。

そんなことをやる時間も場所も無いですし
なにより非常に面倒だからです。
やる方も、面倒を見る方もです。

ただ、このやり方は大変重要です。

なぜかというと
テクノロジーの進歩と共に
専門領域はどんどん深化していくので
そのための教育も領域を狭めて深化していくからです。

それはもちろん必要かつ重要なことなのですが
世の中みんながディープな専門化になっちゃったら
一体誰がまとめるんですか?
ということになります。

クルマに限らず製品設計など多くは
専門性を要求される部品の集合体です。

勘違いしてはいけないのは
良い部品を集めて組み立てれば
良い製品になるわけではない
ということです。
これは話しが長くなるので
気が向いたら改めてお話ししましょう。

さて、多くの製品は色んな部品の集合体なので
それをまとめる人は
一通り全部知っている必要があります。
ただ、それぞれの専門領域において
それぞれの担当レベルに知っている必要があるかというと
決してそんなことはありません。
そりゃぁ、高いレベルの知識があれば
それに越したことはないでしょうけど
各担当者に要求レベルを求めることができる程度の
知識と経験は要るでしょうね。
(「知識」だけじゃなく「経験」がより大事です)

もちろん戦略的に考えて
何のためにどうする?
というのをマシン全体で
ことによっては、チームや参加するイベント全体
というレベルで判断することも必要になります。

一般的な大学での教育では
専門性を高めていくと
領域が狭くなっていくわけですが
その方向に行くと
システムとしてまとめる
という経験はあまりできませんし
戦略的に考えてものごとを進める
という経験もしかりです。
専門家なので当たり前です。

もちろんそういう人達は必要なのですが
それをまとめる人達も必要です。
でも、そのための教育は授業の中には無いのです。

なので、クルマや惑星探査機をチームで作っている学生達は
とても重要な存在なのです。

電気の時代がやってくる バイク編

クルマやバイクの電動化は
今や既定路線…ですかね。
将来的にどうなるかは分かりませんが
少なくともそのように見えますね。

バイク業界には数年前から
新興メーカーが色々なモデルを投入していますし
既存の大御所も電動化をやっていたり
計画していたりという状況です。

このままバイクが電動化の方向に進むと
何が変わってくるでしょうか?

クルマみたいに
そもそも大きくて重い乗り物であれば
エネルギー密度の低いバッテリーを
たんまり積んでもさほど問題はないのかもしれませんが
バイクとなるとどうなのでしょう?

バッテリーの容量はもちろん
充電時間も気になるところです。

例えば、夏休みともなれば
日本中で多くのライダーがツーリングを
楽しんだりするわけですが
同時に帰省の時期でもあって
高速道路の充電施設は満員御礼になるでしょう。
その中にバイクが入り込む余地があるのか?
特にグループでツーリングなんかしてたらどうなのかな?
何てことも気になります。

これはバイクに限ったことではなくてクルマも同様ですよね。
エネルギーのチャージに時間が掛かる乗り物が
一カ所に集結する際に起こりえる問題を
どう解決するかは課題でしょうね。

まぁ、こういう問題は考えれば誰でも分かることなので
きっと解決差を考えている人がいると思いますが。

あと、今回の佐多岬への走行中に考えていたのは
こんな走り方はEVじゃ無理かもしれないなぁ
ということです。

満充電での走行郷里が短くて
チャージのたびに数十分掛かってしまうとなると
1日で長距離を走るのは難しくなってくるのは当然ですから。
それが高い速度域だとなおさらです。

とまぁ、これから何かが変わる
となると、往々にしてデメリットばかり
考えてしまうものですが
当然メリットもあるはず。

電動モーターならではの
グイグイくる加速なんかはEV独特で
あれはあれで楽しいかもしれません。

あとは静かですしね。
意外と「音疲れ」ってあるのです。
エンジンの排気音は、アドレナリンの源ですが
疲労の源でもあります(笑)

電動で制御が使い勝手や乗り味に
及ぼす影響が大きくなるとすると
今、テスラがやっているような
制御プログラムのアップデートによる
機能の更新や変更なんかは楽しいかもしれませんね。

量産効果や技術の進歩に伴って
車体価格の大半を占める
バッテリーのコストが下がれば
車体価格は当然下がるでしょうね。

でも、世の中あれもこれも電動化
って事になってくると
現在も問題ではありますが
「銅」の価格が高騰したりして
今とは別のコスト問題が浮上するかもしれませんが。

維持費などはどうなのでしょう。
でっかいEVバイク、確か車検が無かったりしますよね。
油脂類なんかは当然負担が小さくなるでしょう。
回生ブレーキを上手に効かせれば
ブレーキの負担も小さいでしょう。

大して、EVならではの負担は?
重い車体に大きな低速トルクによるタイヤの消耗?
タイヤの技術も進化するでしょうから
一概には言えないと思いますが、どうなのでしょうね。

バッテリーの消耗に伴う交換費用は結構な
出費になるかもしれません。
同様の理由で
下取り価格が大きく下がる
なんてことは考えられるかもしれませんね。
買い手のいない乗り物は
ゴミになってしまいます。

色々興味深いところではありますが
昔からちょっと気になっていることがあります。

自動車であれば、物にもよりますが
クラッシックカーにはプレミアムが付いていたり
好んで所有や走行を楽しむ人達がいますよね。
古くても、というか、古いからこそ
価値があるようなところがあります。

それに対して
電気で動くものって
博物的な価値がある場合もありますが
時間が経つと実用に耐えなくなる場合が
多いのではないでしょうか。
世に登場した初期の頃のパソコンやラジオを
好んで使い続ける人はあまりいないでしょう?

真空管オーディオなどは
独特の味があって
それこそが価値ですから
時が経っても価値を維持していますが
本当に古い製品はどうなのでしょうね。

乗り物になってくると
その辺がどうなるかは見ものです。

環境に優しい
とか言いながら
耐用年数が短くなったりしたら
本末転倒です。

お気に入りのEVを乗り続けるために
メーカー欠品のバッテリーユニットや
制御回路を自分でレストアしたり
そんな人が登場するのでしょうか?

色々興味は尽きませんが
こういう大きな時代の変化点に自分がいる
というのは大変結構なことだとも思っています。