思い通りにやってみな

かつて日本が大成功していたときは、同じものをたくさん作っていました。
それをたくさん売って大成功!
いわゆる薄利多売というヤツです。

そのためには、決められた一定レベルのことができる同じような人がたくさん必要でした。

もちろん、そのためのに必要なことを考えて決める人も必要だったのですが、何せ、低い利益率で沢山作るわけですから、そういう人は相対的に少数です。

ところが、経済が発展して人件費が問題になってくると、今までとは同じやり方では成立しません。
人件費を抑えるために、発展途上国に生産拠点を移したりするわけです。

そんなふうにして経済とか産業がグローバル化していくわけですが、もちろんそういったことによる弊害というのがあるわけで…
国内の産業の空洞化とか、サプライチェーンの問題とか、その辺は良く言われることでしょう。

ところが問題はそれに留まらず、以外と着目されていないのが、ものづくりそのものに関することです。言ってみれば、ものづくりのための人づくりですかね。

例えば、学生や若い技術者が、基本的なものづくりのセンスを獲得する機会が減ってしまったがために、現実的な設計ができないとか、そんなことが問題になるでしょう。

学校での学びは、狭い専門領域の学び、特に座学に特化していて、実践的な経験ができない状態になってきています。
それに加えて、全体を考えるとか、纏めるとか、そういった経験はほとんどできないと言っても良いでしょう。

もちろん狭い領域で深掘りしていくようなテクノロジーは重要なのですが、そればかりでも困りますし、そもそも個別のテクノロジーは、ゴールとしての「全体」によって必要性が決まるのです。

勘違いしてはいけないのは、個別のテクノロジーを合体させていって全体ができあがるわけではないということです。
全体のあるべき姿や、必要な機能に対してテクノロジーが必要になるわけで、個別のテクノロジーを使うために全体があるなんてことはありません。大抵は。

なので、全体を構成するとか、全体から考えて必要なテクノロジーを決定するというようなアプローチを経験した人が必要になるわけですが、こういった経験はなかなかできません。
でも、そういうことができる人は絶対に必要です。

というわけで、夢工房でやっているようなレーシングカーとか惑星探査機をゼロから考えて作っていくというような経験は、とても重要なのです。

でも、そういった経験が無い学生がやるわけなので、どうしたら良いか分からないところからスタートするわけです。

するとどうなるかというと、彼らは今までの学校での学びでやってきたように、テストの解答のようなやりかたをしてしまいます。
「きっと正解があって、考えていけば導き出せるだろう」のような。

ところがそうはいきません。
「どうすべきか」は「どうしたいか」で決まるのですが、そもそも何が何だか分からないところから、仮定をしてトライアンドエラーをしながら限られた時間内でどうにかしないといけません。

そんなことをしていると間違いなく失敗を経験するのですが、過去の経験からは「失敗は悪いことだ」といった先入観もあって、なかなか前に進めないかもしれません。

でも、そもそも失敗も重要な経験なので、そんなものを恐れずにチャレンジすべきです。
「自分はこうしたいのだ」って。

失敗したって怒られたっていいじゃないかと思います。
ジェットコースターだって、何度も乗れば楽しくなってくるもんですよ。
そこで初めて見える景色があるのです。

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