夢の正体

今回は夢についてのお話しです。

学生達には
デッカイ夢を持って
ガンガン行って欲しいものです。

他人は変えられない
と分かってはいますが
何とかきっかけを作れないかと
日々考えています。

もう何年も前になりますが
とある講習会での講演を終えて
ホテルの部屋でテレビをつけたら
マーティン・ルーサー・キング牧師の記録映像の
「私には夢がある」
と言うシーンが流れていました。

ワシントンのリンカーン記念堂の前で行われた演説で
“I Have a Dream”というシーンです。

この時
「あ!そうか!」
って気付いたんです。

夢はギャップだ!

今は満たされていないという現状を認識して
それに対する将来の理想を描いて
そのギャップが夢。
そういうことだ!

若いコに
「ハングリー精神が足らん!」
とか言ったところで
腹減ってないヤツに
「腹空かせろ!」
と言ってるようなもんで無理なんです。

もうおなかいっぱいのヤツに
「もっと食え!」
と言っても
それは拷問でしょう。

夢はギャップなのです。

今の暮らしのままでも
別に死ぬわけでなし
不便でもない。

むしろ世の中に楽しいことは
すでにたくさんあるので
それに満足していたほうが無難

欲求が無いわけでもないけど
それを口にしたところで
周囲からは
現状に対して比較されて
ギャップが大きければ
「そんなのできるわけない」
と言われ

目の前の小さい
「現実的」と言われることを
コツコツやること「だけ」を推奨される。

それができたら次へ
それができたら次へ…

この
先が見えない
どこに向かっているか分からないトンネル状態で
「ハングリーになれ!」
ですよ。

ギャップなんか見えません。

ヘタすると
失敗が許されない空気感のおまけ付きだったりするし
無難な「現実的」なことを言うと褒められたりもする。

そりゃ無理だわ。

でも同情はしない。

だって
どうするかは本人が決められることだから。
それが「自由」というヤツでしょう。

リスクを負わずにいい思いしたい
そう思うのも自由ですが
そんな虫のいい話はありません。

リスクを取りながらチャレンジするなら
ぜひ応援させてほしい。
それこそが価値だと思うから。

東京電機大学のFormula SAEやCanSatは
大学がお膳立てしたアクティビティではありません。
「やらされ感」が出てしまったら夢にならないので。

自分達の夢をどうセットするかはメンバーの自由です。

デッカイ夢を持って現実とのギャップをつくりましょう

最近のバイク CRF450Rその7

その1その2その3その4その5その6と続いてます。
今回はスイングアームです。

まぁ良くあるタイプに見えるかもしれませんね。
角パイプで構成された形状ですが…

単なる角パイプではなく
前方の付け根に向かって太くなってますね。

部材にかかる力を考えると
根元は太くして強くしたいけど
動きを考えると
先端(後端)は細くして軽くしたい。

一般的にそんな形状にするなら鋳造です。
自由に形を作れますからね。
でも重くなってしまいます。

軽くしたいならパイプ材ベースですね。
型でニューっと押し出して作るパイプ材。
でも
一般的な押出材だと一定形状の断面になってしまうので
単なる角パイプのスイングアームになってしまいます。

これをどうやって作るんだって話です。
ただそれだけです。

これ、恐らくハイドロフォーミングってヤツですね。
違いますか?

現役で設計やってた20年くらい前に
プレス業界から新技術として紹介をされた覚えがあります。
実際に製品の設計で使ったことはありませんでしたが
「へ~、凄いことができるようになったんだなぁ」
と驚いた覚えがあります。

コイツがそうか。
きっとそうに違いない。

詳しく知りたい人は調べてみて下さい。ハイドロフォーミング。

2021/01/15追記:
違いました。
ハイドロフォーミングではなく、スウェージング加工でした。
型を使って外から押し縮めて細くする加工ですね。

あと、強度が求められるアルミ合金の溶接部品ですから
恐らく材料は超々ジュラルミン「A7N01」もしくは類似のものでしょうね。

一般的に強度を求められるアルミ合金材は熱処理をして使うものですが
溶接すると熱で強度が低下してしまうのです。

が!
このA7N01材は溶接後に徐々に強度が復帰するミラクルな材料なのです。
確かこの材料、零戦の開発に伴って生み出されたはずです。

夢工房にいる連中は、ずいぶん昔から使ってます。
入手が難しいのが難点ですが。

学生のうちからこんな面白い材料と付き合えるって良いですよね。

EVの電池について

前回の投稿で
「ガソリンはバッテリーの100倍くらいエネルギー密度が大きい」
というようなことを書きました。

今回は
ガソリン自動車の燃料タンク
イコール
バッテリー
では無いのですというお話を。

どういうことかというと
燃料タンクは単に燃料の入れものですが
バッテリーは違うんですよという話です。
電気に詳しい人にとっては当たり前な内容で恐縮ですが。

バッテリーは大きさと性能によって
入れられるエネルギー量が決まるのはもちろんですが
出すときの性能も重要なのです。

つまり
超ハイパワーなモーターがあったとしても
いっぱい電気が貯められるバッテリーがあったとしても
超加速が良くて超スピードが出るクルマになる
というわけではないということです。

ガソリン自動車は単にハイパワーなエンジンで性能を上げられますが
EVの場合はモーターだけで単純に性能を上げられません。
ドーン!とたくさん電気を吐き出せるバッテリーの性能も必要になります。
バッテリーは単なる電気の入れものではないということです。

なので
エンジン+燃料タンク
イコール
モーター+バッテリー
と言った方が分かりやすいかもしれませんね。
出せるパワーはモーターとバッテリーの両方で決まる。

EVの時代がやってくると
バッテリーには色々な要求が課されます。

軽くて
小さくて
ロス無くたくさんの電気がすぐに入って
放っておいても電気がなくならず
ドカンと電気を出せて
安全で
レアな資源をあまり使わずに
寿命が長くて
しかも安い

そんな高性能なバッテリーが求められます。

でも多分、当分は無理なので
当面は使い方を変える
つまり今のクルマのあり方を変える
という方向に進まざるを得ないでしょうね。

EVによって本当に環境負荷を低減できるのは
革命的な性能を持ったバッテリーが誕生したときだと思います。

ダイソンの充電式ハンディクリーナーのバッテリーを「殻割り」してみました。
結構繊細な制御基板が入ってるんですね。

きけんなのでよいこのみんなはまねしないでね