これから”も”必要とされるエンジニア像

この先、どのようなエンジニアが
世の中から必要とされるのでしょうか。
そのために学生はどのように成長すべきでしょうか。

工科系の大学で教員という仕事をやっている限り
こういうことを考えるのは重要なことです。
世から求められる人材を育成するのが仕事ですから。

端的に言ってしまうと
エンジニアは
新しい価値を作り出してナンボですよね。
そのための資質は基本的に重要です。
これは時代が変わっても普遍でしょう。

私は良いエンジニア
であったかどうかは分かりませんが
幸いにして素晴らしいエンジニア達に
囲まれて成長する運には恵まれました。
これには本当に自分でもビックリです。

自身の実力よりも人間関係に
恵まれていたので今がある
と思っています。

いろんな人がいましたが
皆さん共通していたのは
何かしらの明るさとか
強さを持っていたことだと思います。
あとはスピードですね。

「何かしらの」と表現したのは
「同じような」ではないからです。

皆さん個性的でした。
他と同化したがるようなところは
無かったと思います。
なので今でも「普通は」と
良く口にする人に接すると
違和感を感じてしまうのです。

「そこに答えは無いだろ」
と思ってしまう。

一口に明るさといっても色々ありますよね。
一見して明るい性格の人や
真面目そうなのだけど
どこか面白さを秘めたような人。
共通していたのは前向きな姿勢
だったのかもしれません。

強さは、力強いとか
ひたむきで粘り強いとか。
心の強さは重要です。
だって開発って必ず失敗したり
行き詰まったりしますからね。
そのときにどうするか
そこからどうするか
が勝負です。

スピードに関しては言うまでもありません。
前に進まずに考え込んでしまう人に
仕事ができる人はいませんでした。
これは当然ですね。
即断即決!即行動!

すぐに動けるということは
頭の回転が速い場合もありますが
自分の軸を持っているので
直感的に判断できるケースも
多いのではないかと思います。
そういう人は日頃から
色々考えているのでしょうね。

すぐに動くのは
やはり勇気でしょう。

こういった資質は生まれながらの
ものかどうかは知りません。
でも、後天的に身につけられるはずです。

自分が
そうなりたい
と願えば。

すべてではなくても
何かに特化しても良いと思います。
それは自分の戦略次第。

こういうのって外部から
「こうしろ」
と言ったところで
そうなるものではないですね。
もしそうなるのであれば
授業を受けたり本を読めば良いわけでしょう?

でも、誰でも受けられる授業や
誰でも読める本を読んだところで
皆と同じになるだけであって
そこに固有の価値は無いでしょう。

と、こういうことを言うと
よく揚げ足を取るように誤解されるのですが
なにも勉強する必要なんか無い
なんて言うつもりはありませんからね。

やはり重要なものは
色々やる経験の中から
身に付けるものなのでしょう。
これこそが経験知の一つなのかもしれません。

夢工房の連中は
レーシングカーや惑星探査機をつくる経験の中から
何かしら身に付けてくれるといいなぁ。

他の多くの学生達にも
色々なことに挑戦してほしい。

と、こんなことを昔を思い出しながら書いてみました。

海外遠征のお話

このところ12月は
ほぼ毎年オーストラリアに行ってました。
Formula SAEの大会に参加するためです。
もちろん今年はコロナ禍のために遠征は中止です。

12月のオーストラリアは真夏です。
なので、結構長いこと12月の3分の1は
日本の寒さから逃れられてたんですね。
寒いのが苦手な人間としてはラッキーでした。

オーストラリアで毎年お世話になっている
皆さんに会えないのは寂しいですね。
遠征の拠点にしていたメルボルンは
結構厳しい規制が敷かれているようで
あまり自由に移動できないような話も聞きます。
みんな元気でやってるかな。

2019 Formula SAE Australasia

遠征は旅行ではないので
お気楽で楽しいものではないです。
正直かなりしんどいです。
エキサイティングな日々ではありますが。

私は長いことあちこちの遠征に付き合ってきたので
慣れてるといえば慣れてるので良いですが
恐らく学生達にとっては
いろいろな感情がごちゃ混ぜになった
凄い体験なのだと思います。

遠征に行っているおよそ10日間は
心も体も早朝から深夜までフルパワー
アドレナリン出まくりです。

では、そんな遠征は嫌なのかと言われれば
決してそんなことはありません。
私も学生達も。

大変なことの裏側には
常にやりがいとか充実感とかがありますからね。

大変な思いをすればするだけ得られるのもは大きいです。
彼らの成長ぶりも遠征の前後では見違えるようです。
本人達は気付いていないかもしれませんが(笑)

異なる文化の地で
どうしたら良いか分からないことの連続で
それらが一々避けて通れないことです。
何が何でもやるしかない。

とはいえ
語学が苦手な学生でも
普段は消極的な学生でも
いざとなったらやるもんです。
大抵は何とかしちゃう。
これには感心してしまいます。

例えば
大会中に部品が壊れてスペアが無い。
仕方ないので手書きで図面描いて
近所の工場に飛び込んで作ってもらう
とかね。
しかもタダでやってもらうとか(笑)

現地の学生と一緒に
バイクの解体屋さんを探して
スペアパーツを探して買ってくるとか。

重要な部品を日本から持ってくるのを忘れて
現地で専門業者を探して
ゼロから作ってもらうとか
そもそも忘れんなよ!って話なんですが
それでも、その状況を期限内になんかすることに
意義があるのです。

他にも
「おいおいマジかー!」
っていうような
凄いことをやってのけることもあります。

こんな遠征を経験した学生達は
得体の知れない自信を身につけます。
天狗になるという意味ではないですよ。
やればなんとかなるって実感するんでしょうね。
その感覚を体で習得する感じかな。

遠征が終わるたびに
「もっとみんながこういうことすれば良いのにな」
と思います。
Formula SAEとか惑星探査機CanSatの遠征に限らず。

でも、みんなは無理だな。
大変だもん。

こんな凄い経験をさせてくれている
大学や支援者の皆さんには感謝することしきりです。
学生達は、いつかこの恩を返せるようにと
日々頑張っています。

明日からはオンラインでのオーストラリア大会が
スタートします。
授業やら何やらで
準備が十分できなかったようにも見えるけど
ベストを尽くしてもらいましょう。

電気の時代がやってくる 本質編

EVについて色々考えていたら
何か分かった気がしたので備忘録。

EVが良いだの悪いだの
好きだの嫌いだの
という話ではない

EV化は手段(道具)に過ぎない
本質はもっと根底の部分にあって
手段にフォーカスしていると見えなくなる

クルマがが電気で走ることの本質は
これから世の中が大きく変わるということ
EVはそのきっかけで一部に過ぎない

どのくらい大きな変化が起きるだろうか

本来火を恐れるはずの人類の祖先が
火を手に入れて
生き方が変わったように

石器や土器をつくりだして
金属器をつくりだして
生活が変わったように

エネルギー密度の高い燃料である
石炭を手に入れて
蒸気機関車や巨大な蒸気船を
動かすようになったように

よりエネルギー密度の高い
石油を手に入れて
空を飛ぶようになったように

原爆を手に入れて
戦争が変わったように

今回はどのくらいのスケールの変化なのか
どのように変わっていくか
それは考えてもわかるはずはない
だって、これから起きることだから

正しい対応は
先を見通すことではなく
変化そのものをつくっていくこと

考えてもどのように変わるかはわからない
であればどうするか
いろいろやってみてるしかない
やりながら考えてつくり上げるしかないだろう

どうなるか
ではなく
どうするかだ

チャレンジする心が重要になる
まずは電気自動車に対応できるか
で試されるかもしれない
変化に対するリスクを取れないと終わり

テクノロジーは大事だが
最も重要なのはそれを駆動する心
チャレンジする心が明暗を分ける

正しい答えしか言っちゃダメ
という価値観から抜け出せなければ
前に進めなくなる

先がわからないのだから
正しい答えなんて
そもそも無いのだ

勇気ある馬鹿野郎が必要になる