やはり勇気か

教員をやっていると
それはもうたくさんの学生を見るわけですけど
色々いて面白いな
と思うこともあれば
もったいないことしてるな
と思うこともあります。

「もったいないこと」
の多くは
みすみすチャンスを逃しているケースがほとんどです。

その反面
それは仕方がないことだとも思います。

というのも
チャンスに手を伸ばすのは
何かとリスクを伴うからです。

ここで言うリスクは
身体的、精神的にクリティカルな影響を及ぼすレベルのことではなく
ちょっと失敗するとか
ちょっと怒られるとか否定されるとか
そういう可能性を言っているので
かなり低レベルのリスクです。

経験が十分でなければ
本人が未知のものに対してリスクを感じることも多いでしょうし
今の世の中
若者に関わる多くが
リスクに接近したり
リスクを取ったりすることを妨げることが多いでしょう。

当然、リスクと得られるもののトレードオフなんて
経験する機会が無いまま成長してしまうでしょう。

成長の早い学生を見たりすると思うのは
その辺のトレードオフがうまくできてるな
ということです。

自分が取るべきものを定めて
それ以外を捨てられるストイックさが無いと
そういうのは難しいでしょうね。

そうそう!
何を取るか
というのは同時に
何を捨てるか
でもあるのですね。

なので、ストイックになれないタイプの欲張り君は
成長しにくいかもしれません。

成長が遅いタイプに共通するのは
受け身でアウトプットが少ない者のような気がします。

そんなタイプも社会に出れば
何かをきっかけに変わることもあるかもしれませんし
そういうやり方に適した何かを見つけるかもしれません。
(何が適しているか、私には分かりませんが)

でも
もったいないな
と思うのは
20歳前後にやったことは
その後の人生にかなり大きな影響を及ぼすはずなので
一番おいしい時期を逃しているからです。

歳を取ってからやり方を変えたり
キャラクターを変えたりするのは難しいので
仮に
「そのうちなんとか…」
なんて思っていることは
どんどん難しいことになっていって
大抵はできなくなります。

若いうちに感じるリスクの大きさは
案外大したことじゃなかったりするのです。
同じことをいい年してやると
結構な大きさのリスクになったりします。

ちょっと勇気を持てば
大抵のことはなんとかなったりしますし
なんとかならなくても
貴重な経験が手に入りますしね。

若いうちの苦労は買ってでもせよ
というのはよく言ったものです。
それが一番安上がりなのですから。
人生への先行投資で、リターンは大きいですよ。

ものづくりは人づくり まさにその通り

コロナ禍とか
情勢不安とか
色々あって
事業をやられている方は大変なんだろうな
と思います。

5月連休以降、多くの卒業生と話す機会があって
それこそ色んな話をするのですが
やはり「人」に関する懸念は出てきますね。

特にウチの研究室の場合は
ほとんどの卒業生が開発者だったり
モノに関わる仕事ですので
人がモノを作ってるんだよね
という事実を痛感させられます。

というのも
どうも、ものづくりの現場が弱体化しているような気がしてならないのです。

ものに十分に触れたことが無いエンジニアが
エンジニアリングするような時代になってきた気がします。

それは仕方ないことのかもしれませんが
仕方ないじゃ済まされません。

IT産業が盛り上がってきたころ
正直なところ、夢工房でやっている
ハードコアなものづくり路線は
このまま行って良いのだろうか?
と思ったこともありますが
今は迷いはありません。

もちろん、ここでは同じことを繰り返しているわけではなく
日々変化を遂げてはいますが
基本路線はこのままで良いと確信しています。

ものづくり
というと、単に手を動かして
ろくに頭を使わずに
ものばっかりむやみに作っている
と勘違いしている人もいるかもしれません。

恐らく学校の先生でも
そう思っている人が多いのではないかとも思います。

クルマとか模擬惑星探査機とか
そういうものを開発していくというのが
いかに大変なことをやっているか
理解できない人も多いのでしょうね。

もっとも、自分でものをつくったことが無いのであれば
それは仕方ないことだと思います。

人がつくるものは
つくった人以上にはなりません。
つくった人そのものと言えるでしょう。

なので、良いものをつくろうと思ったら
人そのものを成長させるしか方法はありません。

ものづくりは人づくり
とはよく言ったものです。
まさにその通りですね。

我が大学では
技術は人なり
です。

何度も言っていますが
定型的な知識だけでは良いものはできませんので
心の部分を何とかする必要があるのです。

経験の無い若者が
良いものをつくろうと思ったら
知識や手作業の練習みたいなことをしたって十分でありません。

どうしたらいいか
というのをここで表現したいとも思うのですが
それができないのが経験知とか心のお話しなわけで
こればかりはやってみないとどうにもならんのですね。

誰かこの現状を何とかしようとしているのでしょうか?
しているのかもしれませんが
よく分かりませんね。

ま、どうにせよ
夢工房はガンガン行かせてもらいますけどね。

アウトプットは何かを変える

言ったりやったり
何かをする
というのはアウトプットです。
アウトプットしたものは
自分の外の世界に対しての働きかけです。

それは、いつになるか、どの程度になるかは分かりませんが
必ず何かしらの変化に繋がります。

アマゾンで蝶が羽ばたくとハリケーンが起きる
でしたっけ?
そんな理屈がありましたよね。
そういうものだと思います。

で、今日思ったのは
「感謝」も同様にアウトプットの一つで
これ、結構大事だぞ
ということ。

感謝することの重要性は
若いうちは分かりにくいことの一つだと思います。

というのも
若いうちは他から無償で提供されることが多いはず。
なので、もらって当然ということが多いのですね。
感謝なんてしなくても
一方的に提供されることが多いってことです。

自分から何かを発して
その価値に対して何かを頂く
という経験が少ないわけですね。

さて、で
感謝を示すというのは
相手の存在価値を認めるとか
相手のアウトプットに対して高い評価をするとか
結果として、そういう対価的なアウトプットになると思うのですが

その良い評価は相手のモチベーションを上げて
次のアウトプットの質を上げる根源を作ります。

それに対して、また感謝したり
今度は自分が感謝されるようなことをしたり
そんなことを繰り返していると
高い価値のループが完成して
複数人の価値が相乗的に向上する
なんてことになるんじゃないかな。

そういうのを若いうちからできていると
結果として、成長するチャンスを
たくさん得られるんじゃないかな。
今日は、そんなことを考えていました。

まだあります。

生きていれば
難しいことがあったり失敗したり
嫌なものを目にしたり
自身が嫌な目に遭ったり
色んなことがあります。

そんなことに遭遇すると
普通は嫌な気持ちになるだろうし
文句を言ったり
時として報復的なリアクションをすることもあるかもしれません。

しかし、思うのです。

それで何か良くなるのか?
と。

大抵は良くならないのではないかな。

では、どうしたら良いのでしょう。

これ、難しいのですが
そういったことに感謝したらどうでしょう。

そういったことも
自分を成長させるためのネタなのだ、と。

で、自分にできる前向きなことを
ちょっとでもいいのでやってみる。

そうすれば
少なくともネガティブなループを
自分のところで断ち切ることができますし
恐らく、ちょっぴり成長できます。

こんな世の中なので
文句を言いたくなることもあると思います。

でも、それで良くなることはほとんど無いし
たぶん言った本人も気持ちよくはなくて
誰も全く得してない。

だったらネガティブなループの再生産に
力を使ってもしょうがないでしょう。

代わりにポジティブなものを
ちょっとでいいのでアウトプットしてみる
そんなことをしていったら
少しは世の中良くなるのではないでしょうか。

分かってます。
そんなの偉そうに言ってる自分も
難しいと思ってるんです。

でも、そんなことで
何かがちょっぴり良くなったら嬉しいし
人生、修行ですから(笑)

念のために言っておきますが
このネタは国際情勢にも適用できるとは思っていません。
ウクライナとロシアとか。
国際関係は難しい世界ですね。
うまく収まってくれるのを願っていますが
そこから我々が他山の石として学ぶことはできるでしょう。