昔の日本を知らないと 日本精神通義 読了

安岡正篤先生著の「日本精神通義」という本を読んでみました。
昭和11年の著作なので、実に85年前の本の復刻版です。
太平洋戦争の開戦5年前ですよ。

本当に日本精神が地球上の全人類に求められているかどうかは別として
役には立つと思います

日本人のものの考え方は
どういうもので、どういう所から来ているのか
というのを宗教上とか、地理的なものとか
西洋文明や中国との比較など
さまざまな観点で論じている本です。
で、どうしたらいいのか?と。

以前書いたと思いますが
日本人が古くから持っている価値観とか考え方とかを発掘して
今現在に再利用して強みを構築できないかと思っているので
こういう本に興味を引かれるのです。

最近も「日本精神~」とタイトルにある本は結構あると思います。
日本を賛美する内容とか、ちょっぴり過激なヤツ。
それらとはちょっと毛色が違うというか
そういうのを求めているなら期待外れかもしれません。
いかんせん85年前ですから。

面白いのは明治から昭和になった直後の昭和11年でも
懸念していることが今と大して変わらないという点です。

人と人の心の距離が離れているとか
学校はただ教えているだけで
そんな面白くないやり方じゃダメだとか。

興味を引かれたのは
日本人の集団主義的な物の考え方をかなりポジティブに捉えていて
西洋的な考え方に対するアドバンテージとしているところです。
今だと懸命に批判されそうですけどね。

本の内容からは
当時の日本の様子が何となく掴めるのですが
太平洋戦争前は、独裁の軍国主義ではなかったんだなぁ
というのが分かります。
日本で独裁政治をやったら、みんな暴れるからダメだ
というようなことも書かれていますし
みんな良くも悪くも世の中エンジョイしていて
そういうことに対する懸念も書かれています。

あとは、日本ならではの混沌としたもののあり方と考え方に対しては
ポジティブな捉え方をしていて大変参考になりました。
こういうのは、現在ではかなり西洋化された考え方に
変化してきているのが良く分かります。

こういった変化は
戦後に日本的なものの考え方への否定が入って
今に至るまで継続されていることが原因だと思いますが
我々が西洋的なものの考え方をすると
本家本元の彼らには敵わないのは当然なわけで
「じゃぁ、どうすんの?」
という答えの片鱗が見えた気がします。
何せ、昔はどうだったかなんて今や分かりませんからね。

という感じで、色々勉強になったわけですが
いかんせん古い本なので読みづらいのです。
読んだ内容は、しばらく頭の中で遊ばせておいて
アイデアがポコっと浮かび上がってくるのを待つか
ダメなら再度読み直さないといかんかなぁと思ってます。

一応言っておきますが
私はそもそも読書好きの人間ではなかったのです。
でも、本心から「情報が必要!」となれば読みます。読みまくります。
自分で言うのも何ですが
ここ20年で結構読んでますよ。
やっぱり勝ちたいですからね。

強いチームを作りましょう

しょっちゅう組織の理想形を考えたりしてます。
私の場合は夢工房の中のチームについてですが。

当方の学生チームの成り立ちと
その後の彼らの活動内容から考えても
教員の指示に従って
トップダウンで動くのは理想的ではありません。

学生が自発的に動くことの凄さを知っている身としては
今さら「普通のやり方」に軌道修正する選択はありえません。
そんなことするくらいならやめちゃった方が良い
というのは言い過ぎかな。

なので、基本的な方向性はこのまま
より強化・進化していきたいところです。

では、どうしたら良いか

我々はコンパクトな組織なので
大人数で豊かなリソースを持つチームに
真っ向勝負しても玉砕するのがオチです。

何せライバル達は
レーシングカーの実車が入る風洞実験設備とか
カーボンコンポジットの部品製作に特化した環境とか
マシンを組み上げたらすぐにキャンパス内でテスト走行できる駐車場とか
レース経験豊富なドライバーとか
工科系以外の多様な知識を持つメンバーの採用とか
とても我々には持てないリソースを活用して
パワフルな開発をしています。

対して我々の持っているリソースは
普通に考えたら
「それ無かったらダメじゃん」
という環境なのかもしれません。

でも彼ら、諦めたくないそうです。

なので取るべき道は一つ。

物量を生かした消耗戦のようなこと
つまり、通常考えられる常識的な戦略で
パフォーマンスを向上させるのではない。
真っ向勝負を避けることです。

ゲリラ戦が得意な特殊部隊のような感じかな。
食糧が尽きたら蛇を捕まえて食っちゃうような…
いや、それは違う。

風洞実験設備の例などは分かりやすいかもしれませんね。
そういうのを持っている連中は
ウイングなどの空力デバイスを
かなり高いレベルで作り込むことができます。

設備が無いのに
そういった連中が採用する方法に
一歩足を踏み入れたら
負けが決定します。
シミュレーション止まりのチームでは到底敵いません。

なので
ライバル達が心理的に採用しにくい戦略を採用して
優位性を確保する必要があります。

そのためには何が必要か?

カネや物ではなくて
「人」に尽きます。

まずは、常識にとらわれない自由なマインドとか
強烈なチャレンジ精神かな。
この辺があると強いですね。
というか、これらは必須かな。

あとは、もっともっと学生各自の自律性を高めて
それそれが分散して機動力を発揮しながらも
強いネットワークで結ばれているようなチームとか。

いわゆる優秀な大学の強いチームは
形式知を利用した戦略が得意なので
暗黙知の部分を大幅に強化するとか。

あれ?
結局、ゲリラ戦が得意な特殊部隊ですかね。

まあ、そんなのが理想だと思っています。
言うは易しなのですけどね。

こういうネタを学生と話して擦り合わせて
試行して最適化していきたいですね。
彼らも色々考えてネタを持っているでしょうから。

教員からのトップダウンはダメ
学生に丸投げの放置でもダメ
こういう二元論的な選択はうまくいかないと思います。

教員も学生も
互いに未経験の領域に入っていくのですから
力を合わせて頑張らないとね。

まあ結局は
私ができるのはアドバイス程度で
活動自体は彼らが回すんですけどね。

変化を武器に!

なにをもって自分の強みとすべきか
これは自分自身にとっても
学生に対しても重要なことです。

特定の何かを
例えば特定の技術的なことなどが
強みであって良いと思いますし
そういったものがあるべきだと思います。

しかし最も重要なのが

変化できるマインド
を持っていること

これが強みになると思っています。

というのも
人の成長とはつまり
現状から変化することですよね。
もし今のままで変化しないなら
それは成長しているとは言えません。

今現在、これが強みになっていて
それは十分なのか?
と問われれば
決してそんなことはないと思いますが

重要なのは
不十分な現状を把握して
「ではどうするのか」
を決めて実行すること。

それにチャレンジする人にとって大事なのは
スピード感だと思っています。
チャレンジするということは
失敗のリスクを含んだ
「やってみないと分からないこと」
をやるということですよね。

で、やってダメなら
その経験を活かして
何かを変えた上で再チャレンジすることになります。
だって、何も変えずにもう一回やっても
同じ結果が出るだけですから。

限られた時間内で成果を得るには
トライの数を増やすしかありません。

そのためにスピードが必要なのです。

以前にも投稿しましたが
じっくり考えて一発で決める
というわけには行かないのです。
だって「やらないとわからない」から。

十分できているというわけではない私が言うのもなんですが
若い頃はこういうのが難しかったりします。

生存本能に根ざす
無意識に変化を避ける行動をしてしまう
ということが原因なのだと思います。

いかにこれを
変化したい!
にスイッチするか
これがここ最近のテーマです。