そうなって当然…な状況を作れば良いのだ

バイクはハンドルを切って曲がるのではないですよ
というお話をしました。

どうするかというのは
人によってイメージが違うと思うのですが
私の場合は
曲がるために
バイクが曲がる状況を作ってあげて
そこへ導く
というような感じで捉えています。

バイクが曲がりたくなるようにしてあげる
みたいな感じですかね。

クルマは
ハンドル切って
えいっ!
って感じかもしれませんが
ちゃんと曲がるためには
ある程度の条件が必要です。
各輪にちゃんと荷重が掛かっているとか。

乗っている人は
自分で曲げてる
って思うかもしれませんが
それは曲がる状況を作っているだけ
という言い方もできるかと思います。

バイクは200kg超えてきますし
ものによっては300kg超え
クルマも同様ですよね。
1トン超えとかって話ですから。

これを人力で何とかしようったって
そうそううまくいきませんよ。

なので、思ったように動く状況を作っているだけ。

学習も一緒だと思うのです。

目的があって
知りたいとか、やりたいと思う
その状況があるからこそ
入ってくるわけで

そういうの無しで
知識のみを得るって
実は難しいこと
というか
無理があると思うんですよ。

中には理由無しで学べるとか
学びそのものが楽しいとか
そういった人もいるとは思いますが
恐らく大多数はそんなことはないでしょう。

学生と仕事の話をすると
「収入が…」
という話になったりしますけど
「金くれ~!金くれ~!」
といっている人にあげる人はいないわけで
そんなにお金が欲しいなら
お金が入ってくる価値と仕組みを作りなさいよ
そういう状況を作りなさいよ
という話です。

チームで何かをしているときも同様で
リーダーが
「こうしろ!」
と言っても限界があって
メンバー各人が共通の方向を向いて
「こうしたい!」
となるような状況が必要です。

状況状況言いましたが
その状況を作る元は
感情ですね。

バイクに乗ってて
「曲がるのかな~?」
なんて思ってたら
曲がるための状況は作れません。

「曲がる!」
と思うからこそ作れるのです。

結局、精神論なのか?
そうかもね。

勝ったり負けたり

グローバルなビジネスなどは
パイの奪い合い
に例えられますよね。
食べ物のパイですよ。
数が限られた麻雀パイでも良いかもしれないし
ピザでも良いかもしれませんけど。

規模の限られた環境で
ライバルがいる中で何かをやる時は
そんな状況になります。

誰かがいっぱい取ると
他は少ししか取れない
そこには競争原理が働くわけです。
強い者が取る!
というより
優れた者が取る!
と言った方が良いのかな?
微妙な違いだけど。

別にこれは特殊な環境とか
世界規模のマーケットに限られたことではなく
我々の日常にもよく見られるものです。

レースしかり
受験や就活しかりです。

レースは日常じゃないだろうって?
いえいえ、夢工房では日常です。
そのために学生達は日々過ごしてますから。

まぁ、それはともかく
パイの奪い合いみたいな状況を
鳥瞰するように理解しておくのは大事だと思うんです。

そういうのを知らないままで
パイカッター作ってもしょうがないと思うんですよね。
どんなパイを切るのかを決めないと
それに合ったカッター作れないでしょう。

今日は何を思ったかというと
多くの学校って
根本にある大事なことを教えてないんじゃないかな
ということです。
難しい理屈は沢山教えるんでしょうけど
もっと大枠の
我々の現状とか
そもそもの起源とか
そういうのをもっと知っておくと
その後の学びは違ってくるんじゃないかなぁ
と思ったのです。
本学は結構教えているのかな。
学校自体歴史ありますしね。

例えば自動車です。

我が国が世界有数の自動車大国(生産側として)
というのは
皆さん何となく知っているんじゃないかと思います。
でも、何となくですよね。

ところが
我が国の自動車産業は異常に強いわけですよ。
こんなに国土面積が狭いのに
こんなに自動車メーカーがいっぱいある国は無いですよね。
これから統廃合が進む可能性も無きにしも非ずですが
バイクメーカーもあわせれば
トヨタをはじめ
ホンダ
マツダ
日産
三菱
SUBARU
スズキ
ダイハツ
いすゞ
日野
UDトラックス
ヤマハ
カワサキ
(略称&順不同)
という感じで凄い数です。
乗用車もトラックもバイクもスクーターも
なんでも作れます。
で、安くて物が良い。

こんな国無いですよ。

というわけで
日本は自動車に関しては
圧倒的な勝者で
パイ取りまくり
なわけですよね。

自動車本体のみでなく
周辺産業まで含めたらモンスターですよ。

さらにこれは自動車に限らず
造船とか工作機械とか電子系とか材料系とか
他の業種でも似たようなことになっている分野も多いでしょう。
ついでに言うなら
鉄道車両も飛行機もロケットも戦車も潜水艦も作れるんですよ。
作れないものあるの!?

なのにパイの全体像を見ようとしないで
細かいところを学んでるとしたら
大変もったいない気がするんです。

だって、この状況を分かっていれば
夢を持って色々妄想をしながら学べるし
少なくとも誇りを持って学べるんじゃないかと思うのです。
そうしたら、状況は変わってくるんじゃないかな。

国にしても学校にしても
「我々はあそこに行くべきだ!」
という方向性が見えないですよね。

こういうこと言うと
「何やろうと個人の勝手じゃん!」
とか言う人がいますが
そう、勝手なんですけど
大方針として大筋が決まってなければ
みんなバラバラの個人の力でやることになるでしょう?
それで、デッカいパイを取りに来たヤツにどう対処するんですか?
と言いたいのですよ。
巨人に対して個人で闘うんですか?
別に社会主義とか全体主義にしたいわけではないのです。
そんな環境では私は生きていけませんから。

企業は強い方針を持っています。
だから強いし生き残っていけてるんですよね。
社員が
「何やっても勝手じゃん!」
で組織が生き残っていける訳ないです。
何で組織でやってるかというと
一人じゃできないことを皆で力を合わせて達成するためです。
超シンプルです。

何も、ガチガチに縛り付けろ
ということではなく
もうちょっとみんな同じ方を向こうよ
と言いたいのです。
緩くて大きな流れのような感じでも良いから。

世の中の状況は
若者の心を形作る鋳型みたいなものです。

力を合わせることができる若者がいなくなっちゃったら…
レース勝てないじゃんか!!

結局そこかよって?
そうですよ。

まぁ、ウチは何とかしちゃいますけどね。

今年は、F1でレッドブル・ホンダが好調なので大変嬉しいです。
みなさん、頑張ってください。
MotoGPも頑張ってね。

エコランで燃える

夢工房の今年一発目の勝負
エコランのもてぎ大会が終わりました。

50ccのエンジンを積んだ
手作りマシンでの燃費競技です。

これは、夢工房で活動している
理工学部自動車部の活動です。
私は顧問をやってます。

やっぱり勝負事
ことにチーム戦ってのは難しいなぁ
と実感しました。
毎度のことですけどね。
難しいからこそ、やるんですけどね。

大会では、終始雨が降っていて
サバイバルレースの様相を呈していました。
こんなにひどい状況は久しぶりです。
結果としては、大学生クラスで2位と3位を獲得したのですが
完走はわずか3台です。
3位なのにビリッケツです。

エコランといえども
立派なモータースポーツです。
嘘だと思うならやってみたらいいです。
手作りマシンで一発勝負
超シビアな世界です。

よく考えたら
手作りのマシンでレースができるなんて
貴重なイベントなんですよね。
フォーミュラSAEもそうですが。

雨のレースでの勝敗は
色んなものに起因します。

まずは気力。
雨に負けて萎えていたら勝負になりません。
絶対に諦めてはいけません!
雨のレースは何が起きるか分かりませんから。
今回は、クルーもドライバーも良い働きを見せてくれました。
まだまだいけますけどね。

人の実力とマシンのパフォーマンスも重要です。
クルーとして頑張ってくれた1、2年生達
初めてのイベントとしては良くやりました。

当チームのマシンは、完成から時間が経っていて
性能面ではまだ詰め代があるのですが
基本的なパッケージがそこそこイケてるのと
信頼性がボチボチあるので
その辺が功を奏したのかもしれません。

なんと言っても
レーシングカーを設計している連中がパッケージングしてますから。
安定性と運動性能は密接な関係があるので
その辺をそこそこ分かっていて設計すれば
路面のミューが低い状態でも運動が破綻しにくいはずです。

何とか走り切れたのは
その辺が要因かなと思います。
でも、まだまだ頑張らないと。

幸いにも、チームメンバーは今回を機に
さらに燃えはじめたので今後が楽しみですね。

レースは、勝者がいれば敗者もいるわけで
みんなでお手々繋いで一緒にゴール
というわけにはいかないリアルワールドです。
で、結果が明確なので
教育には最適だと思うのです。

その証拠に、近年では高校生のみならず
中学生までエコランに参加しています。
良い傾向ですね。

中学生や高校生が、エコランカーとはいえども
車を自分で作って走るんですよ。
さぞかし楽しいんだろうなぁ。
そして上位チームは
さぞかし大変な目にあっていることでしょう。
いいぞいいぞ!

そんな彼らが成長して
良いエンジニアになってくれるのでしょうね。
将来が楽しみです。

次は10月23日の全国大会です。
今年はコロナ禍のために
従来の2日開催を1日に短縮して
一般クラス(社会人)と二輪車クラス(市販バイク)の
2クラスは実施しないそうです。

夢工房の多くのメンバーは
自動車部としてエコラン
プロジェクト活動メンバーで研究室の卒研生としてフォーミュラSAE
と、2つの活動を掛け持ちして全力疾走です。

4年間なんてあっという間なので
できることをできる限り頑張ってみてもらいたいものです。

技術は人なり

撮影のために一時的にマスクを外しています