悩みの根源

若い人達に
もっとハッピーになって欲しいなぁ
と思うのですが
なかなか難しいですね。

皆、色々悩んでますよ。
まぁ、それが若いって事なんでしょうけど。

何で悩むかというと
それは

大抵は
自分のことばかり考えているから
です。

自分が何かを得ることばかり考えて
そのために努力するのは良いですが
いざ、色々手に入ってしまうと
もっと色々欲しくなって
手に入らない不満を感じたり
手に入れたものを失うことが怖くなったり
自分の欲を阻害するものが目に入るようになります。

で、色々なことを恐れたり
不満を感じて文句を言ったり

それでハッピーになるかというと
ならんですよね。

不思議ですね。
不満を感じてやることの結果によって
不満が解消されないんですよ。

じゃ、何のためにそんなことするんでしょうね?

何のためかは良く分からないけど
そんな状態に陥らない方法はあります。

たとえば
「自分のことばかり考えている」
の逆をやるのはどうでしょう?

「自分のこと」
の反対は
「人のこと」

「考えてばかりいる」
の反対は
「やる」

人のためのことをやっていると
意外と悩まないものです。
嘘だと思うなら試してみたらいいです。

それにね
人のためのことをやるって
仕事の本質じゃないですか。
それによって生み出されるのが「価値」でしょう。

きれい事かもしれないけど
それは事実で
きれい事だからこそ
継続性のある価値が生み出せるんだと思います。
実行には勇気が要るでしょうけど。

きれい事じゃないことは
現実的ってことで良いのでしょうか。
それによって短期的に
お金のような価値を数値化したものを掴んで
一時的に満足したとしても
それはあまり長続きしない気がするのですが
どうなのでしょうね。

そういうことを考えていると
「技術は人なり」
という言葉が腹に落ちたりするのです。

難しいから面白い だからチャレンジするのです

なんだかんだでバイクに乗り始めてから
ずいぶん長いこと経ちます。
あと数年で40年になります。

ついこの間、バカなチャレンジに成功しましたが
給油や食事の休憩時間を除くと
15時間くらいバイクに乗ってるわけです。

自分が好きな楽しい乗り物に長時間乗ってるんだから
さぞ楽しいだろうとお思いかもしれませんが
まぁ、修行です。
ある意味楽しいという言い方もできるかもしれませんが
正直キツイですよ。
こういうのが楽しい人は変態ですね。

その間、色々考えてたりするのですが
運転以外のことを考えてると危ないので
もちろん運転のことを考えている時間がほとんどです。

で、まだまだ詰め代があるな
と思いながら
色々試してたりするんですよ。
練習しながら移動しているようなものです。

長距離の巡航とは言え
加速 減速 旋回 加速 減速 旋回…
と延々繰り返しているわけです。
その度にチマチマと色々試すのです。

さすがに1500kmも走れば
この年になっても色々気付きがあって
まだまだ伸び代があるんだなぁ
バイクっていいなぁ
なんて実感してます。

バイクに乗っていて
一番難しくて一番楽しいのは
やはりコーナリングですね。
難しいから楽しいのでしょうね。

別に高いスピードで曲がれば偉いってわけではないのです
公道ですから安全第一です。

自分が納得いくように乗れてるかどうか
ってのがとても重要。

で、今回のテーマは
腰骨の角度と丹田(腹筋)の使い方
でした。
これは減速からコーナリングにかけての
姿勢のつくり方と保持の仕方の話しなのですが。

まぁここであまり細かいことを言っても仕方ないのですが
「現役でレースやってる時に、これに気付いていたらなぁ」
なんて気付きが今頃あったりして
「たら・れば」な思いを巡らせていたりしたわけです。

と、ここまで書いて思い出したのですが
そもそも1日で長距離を走るチャレンジをしたきっかけは…

まず
学生が頑張るばかりではなく
自分も頑張らないとな
と思ったのが第一。

それと
オーストラリアの縦断に備えてのトレーニングとして
ということだったのです。

現地をのんびり走れれば別に問題はないのですが
1週間程度しかない休みの期間中に確実に走りきるためには
1日の走行距離を稼ぐ必要があって
それを可能にしておく必要があったのです。
セコい旅ですね。

大事なのはフィジカル面の耐久性はもちろんですが
もっと重要なのはメンタル面の耐久性なのです。
キツいコンディションで、メンタルが崩壊していたら
成功しません。

宗谷岬や佐多岬のチャレンジでも
大事なのは1500km走った時に
どの程度メンタルを保てているか
それが重要なところでした。

幸いなことに
走りきった途端に茫然自失
という状態にはなりませんでした。

オーストラリアに行ったら
現地では徹夜で走行するなんてことはありません。
夜はカンガルーが飛び出してきて危ないですから。

アウトバックと呼ばれる
暑くて乾燥した内陸の砂漠地帯を
毎日延々と走る必要があるのです。

計画では舗装路を行きますが
仮にオフロードを走っていれば
ガソリンか水のどちらかが切れたら死ぬ
と言われるような場所です。

舗装路でも
致命的な事故をやったら助からないでしょうね。
携帯繋がらないし
周囲数百キロの範囲に病院がない
なんてのは珍しくないですから。

前回の走行でも分かりましたが
気を抜いていたら本当に危ないです。

観光らしいことは
ほとんどできないかもしれません。
でも、それで良いのです。
現地の空気感を味わえれば満足です。
修行ですから(笑)

こんなのは人から見れば
大したチャレンジではないかもしれませんが
自分なりに挑戦し続けるのが大事だな
と思うのです。

想像と現実のズレ (副題:フラフラとゲロゲロの話)

あなたは自動車酔いをしやすいタイプですか?
私は子供の頃、自動車酔いに悩まされました。
なのに後に自動車の開発を仕事にするなんて
今考えてみるとおかしいですね。
クルマの好き嫌いと
酔う酔わないは別だったのでしょうね。
もっとも、自分で運転するようになってからは
酔うことはなくなりました。

さて、なぜ自動車酔いをするのか
探せば色々な専門的な説明が出てくるとは思いますが
前職で仕事をする中で気付いたことを書いてみますね。

ある時、ドライビングシミュレーターを開発していて
気付いたことがあります。

この時のシミュレーターは
映像を投影する大きなスクリーンと
ドライバーにGを感じさせるために動作する
コックピットで構成されていました。

ドライバーが運転操作を入力すると
コンピューターで演算された結果が
スクリーンの映像と
ドライバーへの物理的なフィードバック
(操縦系統への反力やコックピットの動作)となって現れます。

しかし、コンピューターの演算能力や装置の動作の遅れが原因で
ドライバーからの入力に対する反応の遅れや
スクリーンの映像と動作のズレが生じます。
これがごく微少な時間でも
ドライバーは違和感を感じて
「酔い」が発生することが分かりました。
というか、自ら実際に経験しました。

利用者は、視覚から得る情報から
「次はこうなるだろうな」と想像しながら運転するのですが
この想像と実際(体感)にズレが生じると酔いやすいのです。

シミュレーターではなく
実際のクルマで起きる現象も興味深いですよ。
ちょっと一例を挙げてみましょう。

普通に自動車を運転している時
特に直進時に、自分がどのようにハンドル操作をしているか知っていますか?

運転初心者であれば、ほとんどの操作が意識的なので覚えているかもしれませんが
経験者の場合は反射的に、無意識にしている動作ですので
「知っているか」と言われても覚えていない可能性が大きいです。

多くの人は
恐らく無意識のうちにハンドルに微少な動作を入力しています。
例えば、ごく小さな路面の凹凸や
うねりを感じたりした時に
反射的に微少な修正舵を当てていたりします。

それがクルマの動きを修正するために
本当に必要な操作の量と速度であれば
乱れた動きは修正されますが
そうでないことも多い。

その結果、クルマの動きに現れてくるのは
フラフラする動き
「振動」です。

面白いのは
修正と思ってやった入力が
本当に必要な操作とは限らず
安定を乱していることがあるってことです。

こういうのを
PIO (Pilot Induced Oscillation:パイロット誘導振動)
と言います。

そもそもは飛行機の用語で
パイロットの入力に対して
機体の反応が遅れることによって
パイロット自らが引き起こす振動
という意味です。

MIO (Monkey Induced Oscillation:サルでも起こせる振動)
というのもありますが
これは、またの機会にお話ししましょう。

こんな例があります。

直進走行中に、ちょっとした路面の凹凸を感じて
反射的に修正舵の入力をした。

ただ、この入力は
本当に必要な量とスピードではなく
そもそも必要でもなかったかもしれない。

いずれにせよ
その操作はクルマの動きに現れます。

「フラッ」とします。

もちろん、ドライバーはこの動きに反応します。
「フラッ」と した動きに対する修正舵を入力します。

この修正舵も
入力量とスピードが適切でなかったとしたら
今後は逆側に「フラッ」と します。

もちろんドライバーは
この動きに対しても修正舵を入力…

それによって
クルマはフラフラした動きを続けます。
もちろん、修正入力と車体の動きが小さい場合は
微少にフラフラするってことになります。

ドライバー本人は
そんな入力をしていることも
クルマがフラフラしていることも
あまり意識していないことが多かったりします。

もちろん同乗者は
その意味の無い動きに違和感を感じることがあるでしょう。
シミュレーターの時と同様に
「予想」に対する「実際」のズレが違和感の正体です。
意識はしていなくても
体は違和感を感じていたりしていて
それが原因で酔ってしまうケースは多いと思います。

このフラフラは
ハンドル操作による横方向の動きですが
アクセルとブレーキによる前後方向の動きでも
似たようなことが起きます。

予測しにくいハンドル操作に
予測しにくい加速や減速が加わると
これはなかなかのものですよ。

予測しにくいものに対して
人は違和感を感じる

こういうのってクルマだけではなく
何か他のことにも通じていそうで面白いですね。

もう一つ。

この話を知ってしまったあなたは
誰かの助手席に乗ると
「フラフラ」したハンドル操作が気になるはずです。
そこから何かを発見するかもしれません。
楽しみですね。