「価値をつくる」という価値

そう、彼らは
「価値をつくり出せる」
という価値を身に付けるために
日々頑張っているわけです。

で、その価値を形づくるものは何なのか?

エンジニアリングをするなら
他に提供する「もの」です。
それは物体かもしれないし
ソフトウェアのような
形の無いものかもしれない。

「もの」
と、平仮名で書くのはそういうことです。
物体とは限らないってこと。

ともかく
良い「もの」を提供できるように頑張るのだけど

実は、相手が求めるものは「もの」そのものではなく
それを受け取った時の「感情」だったりします。
それを得るために「もの」を求める。

とまぁ、その辺の細かいところはともかく
要点は
相手が求めるもの
相手が感じること
その辺を想像できないと
何をどうしたら良いか分からないということ。

ということは
想像力とか
視座とか
そんなことが大事なのだということです。

知識やらスキルやら
さらに言うなら
メンタルとかマインドは
それを実現するために必要な手段です。

もちろんそれらは
実践しながら得られるなら
それが一番。

やってみて
不足を感じて
そのギャップを埋める
それが学びではないかな。

彼らは、なぜものを作るのか

夢工房の学生たちは何をしているかというと

企画する
設計する
加工する
組み立てる
走らせる
壊す
直す
また走らせる
そして遠征に行き、競い、帰ってくる

そんなことの繰り返しです。
それは何のためなのか。

クルマを完成させるためなのか
大会で勝つためなのか

技術を身につけるためなのか

就職に役立てるためなのか

それらは全部正しい。

でも、もっと先にある
メンバー共通のゴールは
自身の価値を向上させること。

日々ものを作るのは
そのための手段です。

恐らく学生に
自身の価値を問う
みたいなことは
普通はアンタッチャブルなのかもしれません。
アプローチによっては
人格否定みたいな捉え方をされるかもしれない。

でも、それはとても大事なことなのです。
だって、そもそも彼らは
自身の価値を高めるために大学に来ているのですから。

難しい理論を理解したり覚えたり
問題を解けるようになったり
それは数ある「手段」のごく一部であって
本質ではないのです。

やっていることは
何のためなのか
誰のためなのか
価値があるか無いか
それはどれだけのものなのか

そういったことは
定量化はできませんが
ものを作るなら

見れば分かる
触れば分かる
走らせれば分かる

それによって何が起きるか
誰がどれだけ驚き、喜ぶか
勝つか、負けるか

そんな結果の中に
彼らの価値の断片が現れるのです。

なので、「もの」を作ること本質ではない。
作られた「もの」も本質ではない。
その「もの」がもたらす価値
いかにその価値を作り出せるようになるか
それこそが本質なのです。

学び方について

例えば
大学の機械科というと
理工系の中でもかなり絞られた専門的な内容を学ぶような印象がありますが
結構幅広く、機械全般に関して学びます。

最近では、4力(よんりき)が大事だとか言います。
「材料力学」
「流体力学」
「熱力学」
「機械力学」
の4つの力学のことです。

ちなみに、私が学生の頃には、そんなことを聞いたことはありませんでした。
アホだったから記憶に残らなかったのか?

疑問に思うのは
それら全部をバランス良くできなければいけないのか?
ということです。

もちろんそれでも良いでしょうし
そうしたければすれば良い。

でも、もっと絞り込んで先鋭化しても良い気がします。
というか、そういうやり方があっても良いのでは?

というのも
「4力をバランス良く…」
というのは、今やあまりに汎用的で
いくらバランス良くても
特に何かができるようには思えないからです。

色々な分野で潰しが利くのかもしれません…
いや、どうかな。

勉強ができても仕事ができるとは限らない
というか
勉強ができるイコール仕事ができる
じゃないからなぁ。

正直なところ
大学のテストをクリアできるレベルの学力を
バランス良く維持し続けているエンジニアは
ほとんどいないと言っても良いでしょう。

なので
もっと何かに特化しても良い気がします。

だって、社会に出れば
色んな分野の専門家がいて
相互に力を提供しあうのは当然だからです。

それに
仮に、もっと何かに特化したら
他の分野に対応できないのかというと
そうでもなかったりするのではないかと思います。

何かに特化して
自ら学べるようになっていれば
同じように必要な周辺知識は自分で獲得できるでしょう。

社会人はそうやって学ぶのですから。

自分が本当に専門としたいところを押さえたら
他は概念だけ分かっていれば良い
そんなやり方があっても良いと思うのです。

それよりもむしろ
実際に手を動かして
創出のプロセスの経験とか
チャレンジの経験とか
改善の経験とか

そういったことに絡めて色々学べば
定型的なもの以外にも経験知とか
それこと考え方、受け止め方
などなど
色んな事が手に入るのですけどね。

色々できないと心配だ
というなら
リソースを広く分散したやり方をすれば良い。

本当にやりたいことを仕事にしたいなら
本当に必要なことにリソースを集中できる環境があっても良いのでは?
と思うのです。