スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の業式スピーチで語ったことよって有名になった言葉
Stay hungry, Stay foolish.
これは、同スピーチの中で紹介されたヒッピーのバイブル的な雑誌”Whole Earth Catalog”の最終号”Whole Earth Epilog”の裏表紙に掲載されていた言葉で、アメリカの思想家、デザイナー、構造家、建築家、発明家、詩人である、バックミンスター・フラーにより贈られたそうです。
このフラー自身、かなり興味深い人生を歩んだ人なのですが、とりあえずWikipediaにあるWhole Earth Catalogの記事を見てみましょう。
以下Wikipediaから引用
なお廃刊を記念して廃刊記念イベントが開催されヒッピーたちが集まったが、その場でヒッピーたちに驚きのアイディアが告げられた。カタログの売上金2万ドルを、ユニークな使い方を発表した者に譲るというアイディアだった。さっそくヒッピーたちが競い合うようにしてアイディアを提案する中、フレッド・ムーアが「お金(100ドル札)なんて燃やしてしまおう」とユニークな提案をし、ムーアに2万ドルが与えられた。しかしムーアはその金を燃やさず、その金を使って4年後の1975年にホームブリュー・コンピュータ・クラブというコンピュータの愛好家がコンピュータの情報やアイディアを無償で交換するためのクラブを立ち上げた。このクラブには、大学を中退したひとりの若者にすぎなかったスティーブ・ジョブズも参加し、ここでコンピュータに関する知識を深め、同じく会員だったエンジニアのスティーブ・ウォズニアックとともにAppleを起業した。なお、このApple社の最初の顧客もやはりホームブリュー・コンピュータ・クラブの会員だった。つまり当カタログのバタフライエフェクトは起き続けた。
スティーブ・ジョブズは全地球カタログについて、2005年6月に行われたスタンフォード大学の卒業式にゲストとして招かれ式辞を述べた際に、次のように言及した。 「若かった頃、すばらしい本に出会った。「ホールアースカタログ」。私たちの世代のバイブルだった。当時は1960年代後半で、まだDTP(パソコン編集)などできない時代だったので、このカタログは全てタイプライターとハサミとポラロイドカメラでつくられていて、いわば「紙でできたグーグル」だった。グーグルが誕生する35年前に作られたものだった。理想を掲げ、素晴らしいツールと気づきにあふれていた。」
なんとドラマチックでロマンのある話でしょう。
Whole Earth Catalogがどんな雑誌だったかは、アーカイブから確認できます。
さて
Stay hungry, stay foolish.
の解釈ですが、Wikipediaにあるように、そのまま訳せば
貪欲であれ、愚かであれ
となるでしょう。
格言っぽくて良いですよね。
その本質にあるのは
求め続ける心と行動する勇気
それらを持ち続けることが重要であるということでしょう。
しかし、それだけでは不十分な気がするので
バカで結構だよ!
という、開き直りというか、腹を決めた状態というか、勢いというか、そういったニュアンスを含めれば、より適切である気がします。
そもそも
貪欲であれ、愚かであれ
という言い回し自体が、貪欲さや愚かさを感じられません。
おとなしく、言われたことに従順であるとか、単にものをたくさん知っているとか、勉強ができるとか、そんなのが優秀だとは思えません。
一見不可能そうなこと、他人から見れば意味の無さそうなことでも、信じていることにどれだけパッションを投入できるか。
それを継続するのは馬鹿げたことに見えたりするのだけど、そこに投入される熱意が、やがて人の心を動かすことになる。
それが可能な人が優秀な人だと思うのです。
実際に手に入れたWhole Earth Catalogは、あまり読み込まれた形跡は無いものの、半世紀も前の本なので、ハードな読書には耐えられそうもありません。

創刊したスチュアート・ブランドがNASAに対して、当時公開されていなかった「地球の全体像(Earth from Space)」の写真を一般に公開せよ、という運動を起こした結果入手可能となった。
ブランドはサンフランシスコ近郊で活動するカウンターカルチャーの人物で、「人々が地球全体を一つの存在として意識すれば、環境問題や人類のつながりに対する意識が変わる」と考えていた。
