アメリカ遠征 8日目

打上げは今日と明日の2日間。
朝は風が弱いので、打ち上げをするなら朝イチということで、今日も4時半起床の5時出発。

現地には7時くらいに到着。
気温は10度を下回っていました。

早速走行テスト

まあまあ良い感じです。
借りのゴールを設定してのテスト走行では、ちゃんとゴールしました。
では、早速打上げを…
と思ったら

メカニカルな不具合発見。

ロケットに機体を装填して、最後にロケット先端のノーズコーンを取り付けている際に、ロケット内部で機体が動き始めてしまいました。

今回の機体は、気圧センサーを内蔵していて、気圧の変化を読み取って動作スタートとなるのですが、ノーズコーンを装着する際に、ロケット内部の気圧の上昇を地上に着地したものと判断して走行を開始してしまったのです。

よって、機体のプログラムを変更しようとロケットから取り出したら、パラシュート分離装置の不具合を発見。
急いで改修作業を行って、再度ロケットに装填。

早朝は微風でしたが、その頃にはかなり風が強くなっていました。

今度はOKです。
そして射点にロケットを運んで

発射台にセット

記念撮影をして

発射!
約6秒で高度4000mまで上昇、放出

ロケットはあっという間に雲を突き抜けて、さらに視界も悪いし風も強いしで、機体を見失ってしまいましたが、何とか発見

動いていません。

地面をよく見ると、止まった機体の風上側に2カ所ほどバウンドした痕跡があります。
どうやら強風のために凄い勢いで地面に叩きつけられて不具合が発生した模様。

我々の一発目の発射はリタイヤに終わりました。

その後はモーテルに戻って原因の解析と対策。
原因は大体分かりました。

強烈な着地衝撃で、パラシュートの分離機構が締め付けられてしまい、着地後の分離動作の祭に電気的に過負荷が掛かって、セットしておいたマイコンの安全装置が作動して動作が停止したようです。

スマホいじってサボっているわけではありません。
原因解析中のコータロー

明日は最後の打上げ日です。
コータロー、どこまで仕上げられるか。

アメリカ遠征 7日目

エライことになってきました。

今日は朝イチの打ち上げに間に合うルーチンで行動開始するはずだったのですが…
朝4時半に起きてみたら、コータローはまだトラブルシュート中でした。

そうです。トラブルは予想以上に根深いものだったのです。

内容は、長距離走行させてみて初めて分かるものだったので仕方ないものでした。
日本国内では数キロ単位の長距離を走れる場所はそうそうありませんから。
今後はそういったことも考慮して開発する必要があるというです。

トラブルも含めて、こういう「やってみて初めて分かる」ということを経験するのが最も貴重なのです。

担当教員はトラブル解決に付き合わないのか?というご意見もありましょうが
ちょっと言い訳を書いてみましょう。

私は夜は最低限寝ます。コータローを無事に砂漠に送り届けなければならないので。
片側一車線の荒野の道を時速110キロ以上で2時間走り続けるためには睡眠が必要です。

それにトラブルシュートとその解決こそが成長するチャンスなので、本人が自力でやる必要があります。
もちろん内容は適宜確認しますが、教員が必要以上に介入してしまうと、彼らは「やらされる立場」になります。そうなったら得られるものは最小限になってしまいますし、そういう立場からトラブルの根源は見えません。

こういうプロジェクトは何のためにやっているかといえば、未来のためにやっているわけで、今ここで良い成績が取れれば良いわけではありません。
もちろん、良い成績を取るためにベストを尽くすべきですが。

そしてもう一つ。
ここで教員が一緒に徹夜して頑張ると何が起きるか?
冷静に客観的な判断ができる人間がいなくなって、トラブル増大のループに入っていってしまいます。

というわけで、今日の午前の打ち上げのリミットからトラブル対策と現地での動作確認を逆算すると作戦の立て直しが必要になりました。

結果、今日は無理そうなので、明日と明後日の残り2日間の打ち上げに向けたスケジュールにシフトすることにしました。
今日はトラブル解決に充てます。

徹夜明けで延々と考えて試して…

15時ごろ
「あ、わかった!」

どうも使っているマイコンの言語の処理がちょっと特殊で、その辺の見逃しがあったみたいです。
他にも色々と問題はあったようですが。
そこから色々とテストと修正をして、17時には今後の見通しがついてきました。

そして20時

モーテル裏手の空き地はガソリンスタンドに煌々と照らされています

ついに正常走行を確認しました。
まだ油断はできませんけどね。

明日は4時30分起床で5時に砂漠に向かいます。
現地で1時間ほど最終確認して朝イチで打上げの予定。

アメリカ遠征 6日目

もう6日経ちました。明日で1週間です。遠征時の時間はあっという間に過ぎます。

今日は開会式の後にいよいよ打ち上げが始まります。
モーテルから砂漠まではざっと160km。2時間くらいですね。
4時起床で5時にモーテルを出て、現地には7時くらいに着きました。

今日は怪しい天気です。
日の出は6時30分くらいなので、すでに太陽は昇っているはずなのですが、まるで日の出前のようです。
ただ、思いのほか寒くありません。
日の出頃は10度近くまで気温が下がったりするのですが、たぶん20度以上あるでしょう。

景色は立体感があっていいのですが

8時近くになってやっと晴れてきました。
雲は多めで風があります。

雲があると奥行き感が出ますね

開会式で諸注意の伝達後、集合写真の撮影です。
今回の参加は16チーム。
思いのほか多いですね。コロナ前とあまり変わらないかも。

多くが日本チームで、海外チーム少々

その後、各チームのロケットの打ち上げとなりました。
準備の整ったチームから順次打ち上げるのですが、今日は風が強くてコンディションとしてはあまり良くありません。
結局、今日打ち上げたのは1チームだけだったのではないかな。

コータローはテスト走行。
短距離のテストでは問題は起きませんでしたが、今日は1km程度の長距離テストをしてみた結果、問題を発見しました。
今回の機体は複数のマイコンを搭載していて、それらが連携して動作しているのですが、長距離を走ると処理が止まってしまう。

奥の方は砂嵐ですね
風が強いです
スカッと晴れているように見えますが、雲が多いし風が強いのです
奥の方は砂塵が上がっていて景色が不鮮明ですね
今日は短距離、長距離合わせて数本の走行テスト

このまま砂漠でトラブルシュートを続けてもらちがあかないので、15時くらいに撤収。
モーテルで続きをやることにしました。
どうせ風が強くて打上げができるコンディションではありません。砂塵も舞って視界も悪くなってきましたので、体力を消耗する砂漠に留まる理由はなし。

ちなみに、風があると乾燥した空気も相まって、結構爽やかに感じたりするのですが、コレが危ない。
というのも、汗をかかない(というか即座に蒸発してしまう)ので水分摂取を怠ると、あっという間に熱中症になります。
なので、定期的に、かつ意識的に水分を摂る必要があります。

今日のように、砂漠は意外と快適に感じたりすることがあるのですが、調子に乗って長時間活動しても思いのほかうまくいきません。
頭がちゃんと働いていないのでしょうね。

というわけで帰ります。

帰路はいつも通りの景色です。

今回は湿度が高いのか、どこへ行っても景色がスッキリしていません

帰りはルーチンワークの、レンタカーの給油とWalmartでの食料調達。

そして部屋での作業中、コータローはやりました。トラブルの原因解明。
どうやらマイコンのデータ処理上の問題とのこと。
コイツをどうにかやっつけて、明日の朝イチには打ち上げたいところ。

というのも、朝は風が弱いことが多いのです。
しかも、明日は打上げ側の都合により、午前中のみの打上げとなります。

さて、果たして明日の朝までに問題を解決できるでしょうか。