冒険して成長しよう

人は冒険することによって成長する
と思っています。

冒険のイメージそのまま
大自然の中で
アドベンチャーするのも良いでしょう。

でも、学校にいても冒険はできます。
新たなチャレンジは
ちょっと視野を広げて
自分のセンサーの感度を上げてあげれば
いくらでも見つかります。
あとは行動するために
ちょっぴりの勇気が必要かな。

チャレンジする中では
失敗も成功も経験するでしょうし
色んな意味での我慢とか
自身のコントロールも必要です。

そんな中で
自信とか勇気とか
引き際とか
リスクの正体とか回避方法とか
色んなことを学べます。

でも今の世の中は
あまり冒険を許容しないようにも見えますね。

何かあると
すぐ突き上げられちゃう…のではないか?
そんな恐れがあるのかな。
文句言われたり
ネットで拡散されちゃうとか。

そいうのがあったりして
失敗したくないとか
大変なことを回避したいとか
そういうのも強いと思います。

そういう感覚って
失敗とかリスクは「悪」だという概念というか
価値観を長い年数で刷り込まれている
というのもあるでしょうし

その価値観が
チャレンジの先にある
ワクワクする何かに対して
圧倒的に優勢になっている
ということなのでしょうね。

そうなっちゃうと
チャレンジそのものが
「悪」みたいなものなので
残念ながら
デッカイ喜びには到達できないのでしょうけど
そもそもそんなものを望んでない
と言われてしまえばそれまでです。

なので、安全と安心に帰結したがる。
こりゃ面白くないですね。
というか、もったいないなぁと思います。

例えば
自動車マニアの学生が
クルマの構造とかを
ネットや本で知ったりするのと
実際に考えて作るのは大違い。

知ってれば作れるか?
というと
もちろんそんなことは無いわけで

知るのとできるのは全く違うことだ
というのは
実際にやってみて初めて明確に分かります。

例えば
何かを固定するための
小さい部品を一つ作ってみても
たったそれだけの経験で分かることは
膨大にあります。

そこからどのくらい突っ込んでいくか
それは本人次第ですが
今や学生が実際にレーシングカーを作って
海外で戦うこともできるし
惑星探査機を作って
ロケットで打ち上げることもできます。

もちろんそういうチャレンジをするということは
相応のリスクを背負うということなのですが
腹を決めてしまえばば経験できる世界です。

近年では
レーシングカーを作って競う
フォーミュラSAEの海外大会に出ているのは
日本全国でも我々、夢工房の学生達だけ
ということになっています。

もちろん海外の大会に行くなんてことになると
クルマを作るだけではなく
色々な苦労があって
何倍も努力が必要だと思います。

でも、その先にしか無い
面白さや達成感もあるわけで
もっと多くの学生達に
それを味わって成長して欲しい
そんな風に思っています。

そうしたら
本人も、周囲の人達も
もっと面白いことになるはずです。

毎年海外大会に出ている夢工房の学生達
もちろん、うまく行かないことも多いのですが
それでも彼らは
「行って良かった」
と言います。

「行かなきゃ良かった」
という声は聞いた覚えがありません。

学生が
自分の力でマシンを作って
海外のレースで戦うなんてことは
大冒険に違いありません。

「日本でも良いんじゃない?」

はい。
国内でやっても
チャレンジだと思います。
でも
”大”冒険にしたらもっと面白いんですよ。

今年は試される

ずいぶん長いことコロナ禍続いていて
皆さん参ったと思います。

夢工房も色々大変でした。

何せ「つくってナンボ」なのに
物に触れないのですから。

でも可能な範囲でジタバタやってきました。
色々やり方も変えました。

おかげで多くが高いモチベーションを保って
頑張ることができました。

意外なことに
オンライン環境下でも
彼らは結構な成長を見せてくれました。
特にマインドの面で。
これは正直なところ想定外でした。

今年はその成果が試される年です。

どういうことかというと
100%コロナ禍の環境を通り抜けてきた4年生の就職活動と
コロナ禍の中で入学してきた1年生、2年生を含めた
開発の成果が形になる年だからです。

4年生に関して言えば
果たしてこの期間でどれだけ
精神的に
技術的に
成長することができたのか
それが企業から必要とされるのか。
これは大変興味深いところです。

そしてメンバー達は
このような環境で
どんなマシンに
どんなチームに
することができたのか
それを大会で試されます。
大会が開催されればね!

当チームが狙っているオーストラリア大会は
12月の開催なので
ひょっとするとコロナは終息してるかも!

昨年は全ての大会が中止でした。
(正確には、マシンを走らせるイベントは中止)
なので
ひょっとするとオーストラリア大会が
コロナ明け初のイベントになるかもしれません。

まだまだ思い通りに動けない部分もありますが
条件は皆同じです。
この結果によって
我々のたどってきたやり方と
その方向性がどうだったのかが見えます。

最近では
スポンサーさんにお願いしている部品が仕上がってきたり
さらに新しいメンバーが加入したり
色々と勢いづいてます。

さて
どこまで行けるかお楽しみ!

PBL

最近、というか
ちょっと前から教育界はPBLが大流行。

大流行ってほどではないか。
学校の学びに導入したいけど、なかなか難しいってところなのかな。

PBLとは
Project Based Learningの略で、問題解決型学習ってヤツです。

学生主体で、テーマを決めてやっつけるヤツです。
なにもいわゆる「問題」を解決するばかりでなく
チームで主体的に工夫しながら目標を達成するというようなイメージで良いと思います。
工科系の大学などなら、ものづくりがテーマになることが多いですね。
皆で工夫しながら何か作るとか。

何でこれが大事なのかというと
学校での学びは、大抵があらかじめ答えが決まっていて
その正解を導き出すという形ですよね。
基本的な知識の習得という面では、そういうのは大事なのですが
でも、実際に世の中に出てやることって
そもそも答えがないものをどうするか
ということばかり。

開発業務なんかはその最たるものです。
どんな製品をつくったらお客さんが喜ぶかなんて誰にも分からないし、確証はどこにもない。
さらに、「新しい製品」は、世に無いから新しいわけで
誰もやったことが無いことをやるのは当然で
当然ながら、どうしたら良いかを教えられる人はいない。
それを何とかするのが仕事です。

学校でいくら学んでも、結局はこういう壁にぶつかっちゃうので
PBLで学びましょうってなわけです。

まぁそうですよね。
確かにそういうのをやるべきですよ。

で、夢工房でやっているFormula SAEとかCanSatは、まさにPBLなんです。授業ではないですけど。
これらは、ずいぶん昔からあるイベントで、PBLとか言い始める前からあるんだと思いますけどね。
何せFormula SAEは40年も前から、CanSatにしても20年くらいは歴史がある。
それだけ長く続いてきたのは、やはりイベントそのものに魅力があって、その効果が大きいからなのでしょうね。

これらのイベントの威力ったらないです。

だって、Formula SAEの卒業生達は、今やレース界はもちろん、世界中の自動車業界の担い手になっている。

そりゃそうでしょう。
だって、学生のうちから小型のレーシングカーとはいえど、クルマ作ってるんですから。
授業で得る知識だけでは作れませんもの。
それを自ら学んでやってしまう。

それを運用する戦略とかはもちろん、品質とか信頼性とか、人間工学的なものとか、授業では全く教えなかったり、教えたとしても実践への適用の機会がないことができるようになっちゃう。

昔は、1台の新車を作ると2年間はイベントに出られたけど、今はレギュレーションの改定に伴って、毎年新車を作らないといけない。
つまり、学部の在学中に4台もクルマ作ってるわけです。
これで会社に入って使い物にならなかったら、お前一体何してたんだ?ってな話しです。
海外の大会に行けば、本物のレーシングカーの開発者や、メーカーの技術者と話ができて、ヘタすりゃ、そういうプロフェッショナル達に技術を教える人達とも繋がりを持てる。

CanSatにしても同様です。
考えに考え抜いた惑星探査機を作って、厳しい審査を通過して、ネバダ州の砂漠まで持って行ってロケットで打ち上げ!
その後は英語でプレゼンテーション。
経験者はJAXAを含む航空宇宙産業で働くケースも結構あります。NASAで仕事している経験者もいたのではなかったかな?
夢工房の卒業生も、飛行機関係の仕事をしたり、某社で本物のロケットの設計をしてたりします。

これらの活動を経験して、何も自動車業界とか航空宇宙業界に行くことが全てでは無いのです。
その他の業界でも、みんな元気に良い仕事してます。
きっと、こういう活動していく中で、「やれば何とかなる!」って気付くんでしょうね。

さて、この手のPBLですが
教える方はどうしたら良いのでしょうね?
これが教育界の抱えている問題なのだと思います。

というのも先日、工業教育についての集まりで、お呼ばれで講演させてもらったのですが、やはり皆さん、その点の問題を抱えてらっしゃることが分かりました。

私なんぞが、そういうエキスパートの皆さんにお話しさせてもらうなんて、おこがましい感じなのですが、そこで分かったのは、こういうのって教えようとすればするほどうまくいかなくなるってことです。

「先生」なんだから、「教えなければいけない」ってやっちゃう気持ちは分かります。
でも、そうすると身も蓋も無くなっちゃうんじゃないでしょうか。

だって、教えたらゴールが定まっちゃうでしょ。
答えが決まっちゃう。
そもそも、その答えを作り出すのが学生達の役目なのに。

恐らく、お題目を先生が決めた時点で破綻しちゃってるんじゃないかな。
何をしたいかは、やる本人が考えて、自身の口から出ないと意味が無いと思うんですよ。
そうしないと、ゴールに到達するパワーは生まれてこないでしょ。
「どうしてもやりたいんだ!」ってならないとね。
人から与えられたものでは限度がありますよ。

というわけで
Formula SAEやりたい!
CanSatやりたい!
という学生は偉いなぁ。
というお話でした。

あれ?違った?

他にも
「先生!オレ、これやってみたい!」
という学生が次々に現れると盛り上がるだろうなぁ。
色んな意味で今がチャンスなんですけどね。