デッカく行こうぜ!…最初はね 最適化のしかた

レーシングマシンを使う際の大事な作業一つが
調整です。
セッティングなんて言ったりしてますが。

エンジンやらサスペンションやら
色んなところに調整が必要です。

一口にレーシングマシンとは言っても
色んな形態があります。

市販レーサーといって
レーシングマシンとしての形で売られているものは
「吊るし」の状態でもそこそこマトモに使えたりします。
それでも各部の調整は必須ですけどね。

でも、どこか大きな変更を加えたり
もしくは手作りのマシンだったりすると
そもそもの基準がなかったりするので
その場合の調整は厄介です。

そもそも組み上がったままの状態では
まともに動く保証すら無かったりします。

そんな状態から
性能を発揮できるようにするまでのプロセスが
レースに関係しない人にも参考になるかな
と思って今回の記事を書いています。

なので、対象はエンジンでもサスペンションでも何でも良いのです。
それこそ日頃の行いでも。

さてさて
まず、何かしら調整を要するシステムがあるとして

調整する要素が複数ある場合に気をつけるべき事は

一度に複数の設定を変更しない

ということです。

というのも、それをやっちゃうと
出た結果が、どの設定による影響を受けているのか分からなくなるからです。

なので基本は
一度に一つの要素しか変更しない
です。

もうこの時点で、今からやる仕事が面倒だということの予想がつきますね。

これが我慢できなくて
一度に色々いじっちゃったりする人は
ドツボに嵌まって出られなくなって
「振り出しに戻る」を繰り返す宿命にあります。

まぁこれは基本中の基本なので
言うまでもないことかもしれませんが、念のため。

では、実際に設定を変更するときにどうするかというお話しに入りましょう。

まず現在の設定が良いかどうか

これは設定を変更してみないと分かりません。
「良い」というのは相対的なお話しなので
比較対象がないと「良い」ということにはならないからです。

なので設定を変えます。

最適な設定値を探す作業のイメージはこんな感じです。

目盛りが切ってある定規があるとして
現状は、その目盛りのどこかにいるとしましょう。

で、最適値は、同一線上のどこかにある
でも、どこかは分からない。

そんなふうに想像するとイメージが掴みやすいと思います。

さて、変更する設定値を選んだら
最初は
今の位置に対して最適値があるのは
プラスの方向なのか
マイナスの方向なのか
を調べます。

この時気をつけることは
微調整ではなく大きく変える
ということです。

今知りたいことは「方向」です。
プラスとマイナスのどちらが良いのか
です。

微調整しちゃうと
当然小さな変化しか現れないので
分かりにくいのです。

なので、そこそこ大きく値を変えること。

これで今から進むべき方向性が見えます。

せっかく定規の例を出したので
それで例えましょうか。
30センチの定規でいきましょう。
あくまでもイメージですよ。

文章だけでは分かりにくいので
手元の紙に線を引いて目盛りを書きながら読み進めてください。

ここに図を載せれば良いのかもしれませんが
見るだけでなく
実際に「やる」ことによって頭に入るので
ぜひやってみましょう!
…と手抜きの言い訳をしました。

では行きますよ。

今の位置が「15センチ」の位置だったとします。
これが良いのか悪いのかが分からない。

で、最初に試すのは
「5センチ」と「25センチ」という感じです。
プラスマイナス10センチで大きく振ります

で、最初にいた基準位置に対して
どちらの方向が良い感じかをチェックします。

方向性が見えたら
次は「範囲」を加えて
徐々に絞り込んでいきます。

最初の基準位置から25センチの方向
つまりプラス方向が良いってことになったら

次に試すのは
「25センチ」の位置に対して
プラスマイナス5センチにしてみましょうか
「20センチ」と「30センチ」ですね。

それを試すと
「25センチ」の結果に対して
「20センチ」と「30センチ」の
どちらの方向が良いかが分かります。

もしここで「20センチ」が良いということになると
最適値は25センチ未満であることは確実です。

次は「20センチ」を挟むように
「22.5センチ」と
「17.5センチ」を設定してみたりすると
同じように比較して絞り込みができます。
ここまできて、やっと細かい数字が出てきましたね。

こんなふうに方向性と範囲を考えながら試していくと
最適値が見つかるという寸法です。

最初は荒っぽく大胆に
方向性を定めて範囲を絞っていって
最終的には微調整になっていく

これを最初から細かい数字で微調整なんかしていくと
誤った方向に進み続けたりするのはもちろん
とてつもなく時間が掛かったりして
何が何だか分からないうちに時間切れになります。

このやり方は、日頃の行動や考え方にも適用できると思います。

若い頃は暴れん坊のヤンキーだったけど
社会に出てみたら意外といい仕事する
みたいな感じですかね。

え?違うって?
いや、同じでしょう(笑)

ちなみに、センチ、センチ言ってきましたが
メカ屋は基本的にセンチなんて単位を使わないので
凄く違和感がありました。
我々の世界はミリメートルです。
それしか使わないと言っても良いくらいです。

やりまくれ

昨日の記事では
考える
決める
やる

のサイクルを回すために
「決める」というところにフォーカスしてお話ししました。

今回は
「決める」

「やる」
のお話しです。

大学に来るような若者は
考えるのが好きなのでしょうか。

「考える」
の部分が長くなりがちです。

まあ、大学に来るくらいですから
考えるのが好きな学生も多いのだと思いますが

考え方が分からない
というケースも多いと思っています。

というのも
目的が明確化できなかったりするからです。

そもそも、目的を持って何かをする
という経験が少なすぎるのではないかな。

ゴールを決めて
そこから必要な要素に落とし込んでいく
という経験がほとんど無いのでしょう。

目の前に単発の課題を出されて
それを解いていく
そんな経験ばかりなのではないかな。

なので、考えるときは
最小の要素からスタートしたりしがちですが…

そもそも、「何のため?」というのが
考えられていないので
落としどころが無いのです。

これ、何度も似たような記事を書いていますが
ものをつくるとき
そのために考えるときに
最小単位からなんてスタートしちゃイカンのですよ。

製品を作るために
構成する最小単位から
例えば
まずはボルトから
なんて設計しません。

そんなことをしてしまったら
製品の最終形態なんて
完成するまで分かりませんよね。

「やってみたら、こんなんなっちゃいました」

そんなのはありえません。
逆です。
最終的な「ありたい姿」から
そのために必要な小さなことに落とし込んでいきます。

けど、それを知らなければ仕方ないとも思います。

「基本」とか「基礎」とかいって
小さいことからやる経験しかしていなければ
そりゃぁ仕方ないでしょう。

もちろん、基本・基礎は大事ですよ。
でも、その使い方は知らないままではないかな。

全体を成立させるために
基本・基礎を使うのです。
言ってみればそれらは
製品を構成する最小単位のようなもので
何もそれを使わなきゃいけないわけでもない。

全体を形づくるために必要なら使えばいいし
他のやり方に変えてもいいし
不要なら使わなくてもいいのです。
自由です。
自分で決めていいのです。

長くなってしまいましたが
そもそも考え方が逆なので
どうしたらいいか分からない
なんてことがよく起きます。

なので「決める」というプロセスに行けない。
そりゃそうでしょう。

失敗を恐れるから
なんてのもあるかもしれませんがね。

ものごとの上流、全体から判断して
そのために必要なことを決めてしまいましょう。

さて、その後はやるだけです。

ただ、スピードを重視しましょう。
時間を軽視すると
経験の数が最低限になってしまうのはもちろん
ヘタすると、やっている事自体に意味が無くなって
そもそもなんでやってるのか?
なんてことになってしまったり
やる事自体に飽きてしまったりすることもありますので。

もちろんそれは
考える
決める
やる

の全てのプロセスにおいても同様です。

個人的には
やりもしないことをいつまでも考えていても
分からないものは分からなかったりするので
「やる」
を最優先に
ものごとを組み立てていくことをお勧めします。

どうしたらいいかよく分からなかったら
まず何かやってみる
というのもアリです。

その結果から分かったことをベースにして考える
そういうやり方は決して間違ってはいません。

授業の「実験」なんてのは
本来そういうプロセスの一部のはずなのですが
どうも実践には役立てられる気がしないでしょう?
現実と教育が乖離しちゃってるのでしょうね。

見えるようにしよう

「見える化」なんて言いますね。
普通の学生はあまり気にしないかな。

でも、ものづくりをやってる学生達は
結構こういうのを大事にしていると思います。

もちろん、夢工房の学生達にとっても大事なことです。

たぶん普通の学生では理解しにくいと思うのだけど
頭の中で考えていることって
凄く曖昧で
それを整理するとか
構築していくとか
思いのほか難しいのです。

それらを見るようにしてあげると
途端に明確になって
うまくいったりします。

こういうのを

「頭で考えたって紙に書いたって同じでしょ?」

なんて思いがちですが
さにあらず。

頭から出して紙に書き出す
ということは
記憶領域の拡張をしていることにくわえて
掴み所の無いイメージを
見える形まで具体化しているので
ハンドリングしやすくなるのです。

ボヤーッとした掴み所の無いイメージ
つまり見えないものなんて
とてもハンドリングできません。

ものをつくる
というのは
頭の中の掴み所の無いイメージを
最終的な物体にすることです。

イメージから物体へ
急激に移行することはできないので

徐々に具体化、具現化していく必要があります。
その最初のプロセスが
(というか、作る直前までのプロセス)
書く(描く)
ということです。

そうそう
「徐々に」
というのがポイントで

アイデアから突然物体を作れないように

アイデアから急に図面にする
というのも難しいことで
まずはアイデアのスケッチをするとか
曖昧さをある程度許す
中間のプロセスが大事だったりします。

というわけで
面倒でも書く
というのを習慣づけると良いと思います。

私が気をつけているのは
その書き方です。

文章ならば
箇条書きにしない

なぜかというと
箇条書き
という形にした途端に
書いたものの順番とか関係が固定化されて
自由度が無くなってしまうからです。

なので、ブロック状に空間にバラバラと配置したりして
書いた後に関係を変えられるような書き方をします。

ポストイットにネタを書いてブレインストーミングする
なんてのはそういうことですね。

あと、技術関係ならイラストを多用するでしょう。

その際は
大きく描くこと。

小さく描くと分かりにくいだけでなく
発展が制限されますから。

色々付け加えたり
注釈を付けたり
そういう発展性が大事です。

アイデアが浮かんだ状態とか
タスクが発生した状態とか
最初は見えない状態のものを
何とかするのは難しいけど

見えるようにしちゃえば何とかなるかもよ
というお話しでした。