何かあったらどうするんだ?

リスクマネージメントは大事です。

でも、勘違いしちゃいけません。
むやみにリスクを排除することがリスクマネージメントではありません。

チャレンジはリスクを取ることです。
「取る」って「排除する」という意味ではありませんよ。
リスクを選択するということです。

リスクと引き換えに得たいことこと
そうしないと得られないことがあるからです。
当たり外れのあるギャンブルとは違います。

今回に限らず、Formula SAEのチャレンジなどは、まさにリスクを取ったチャレンジと言って良いかと思います。
というか、そもそもレーシングカーを作って海外の大会に出るなんてのはリスクだらけなのです。
細かいことを上げたらきりがありません。

さて、で
リスクマネージメントですが
取るべきリスクと得たいものの
バランスを取るようことだ
と思って良いでしょう。

昨今では
「リスクは負の要因だから
できるだけ避けるのだ」
なんて考え方が支配的な気がします。

もちろん、そんな人がいても仕方ないと思いますが
そうじゃない人は絶対に必要です。

皆がやらないことをやったヤツが
皆が困っているときに
いざというときに
何とか出来るヤツだからです。

今回のオーストラリア大会へのチャレンジが成功しなかったことについて、サポートして下さった皆さんには本当に申し訳ないと思っています。
しかし、我々が取ったリスクについて理解してだささって、応援して下さったことについては、本当に感謝しています。

それは活動している学生達自身が最も良く理解しているようで、参戦中止の決定直後こそガックリきていましたが、今は今期の活動の総括や手仕舞いと、今後に向けて真剣に考えて行動を開始しています。

実は、ここが大事なところだったりもします。

うまくいっているときに調子が良いとか
そんな事は当たり前のことで

ピンチの時にどうするか
それが人の価値を決めるのです。

望まない結果が出てしまったときは、まさにピンチです。
そういう時に足が止まってしまうと、さらなる危機を呼び寄せてしまいます。
もっとピンチになります。

そういう時だからこそ動ける
少しはそういう成長ができているのだな
なんて彼らを見ながら思っています。

もちろんまだまだ十分ではありません。
ここからが勝負です。

真面目なだけでは越えられない壁

今年のフォーミュラSAEマシンの開発は
計画通りにはいきませんでした。

いわゆる失敗です。

今のメンバーは、かなり真面目な連中だと思います。

活動開始時から困難な環境・情況ではありましたが
真面目に一所懸命やっているから
ひょっとしていけるか?
とも思いました。

でも、真面目なだけでは越えられない壁に直面しました。

ただでさえ実践的な開発経験経験者や
海外遠征経験者が少ない事に加えて
コロナウイルス感染や輸送費の高騰です。

しかし、もっと工夫していたり、頑張ったりしていれば
何とかなったのかもしれません。

不可抗力もありましたが
まだ何とか出来た部分もあったはずなのです。

そこに気付いていたら
もっと頑張っていたら
まさに「たられば」ではありますが。

今まで何度が記事にしていますが
私は学生に「アレやれコレやれ」言いません。

何をどのようにやると何が起きるのか
それを身をもって知るのが勉強だと思っています。

そういう意味では、今回はかなり勉強になったはずです。

レーシングカーを自分の手で作って
海外の大会に参戦するなんてのは
誰でもできるチャレンジではありません。
特にこのご時世ならなおさらです。

結果としては希望通りにはいかなかったわけですが
残念な結果と引き換えに貴重な経験を掴みました。
この経験を今後どのように使うかは自分次第です。

もちろんこの結果そのものに対しては
全く満足いくものではありませんが

まかり間違って
労せずして海外の大会に出られてしまった
というようなことに比べれば
学びとしてはかなり大きなものになったはずです。

指導者として難しいところは
こんな時でも
学生を信じて期待する
というスタンスを崩さないことだと思います。

信じられてもいないし
期待もされていない
そんな状態では前向きにチャレンジできませんから。

もちろん現状に甘んじるというのとは全く違います。
こんな現状には全く満足できません。

オーストラリア大会キャンセル

Formula SAEのオーストラリア大会は、夢工房の学生達が過去20年において最も重視してきたイベントです。

今年も12月の遠征を目指してマシンの開発を進めてきましたが、マシンの発送に開発が間に合わないことが明確になったため、残念ながら本日遠征の中止を決定しました。

応援して下さっていた皆様、ご協力頂いた皆様には、大変申し訳ない限りです。

輸送費の大幅な値上がりによって、スポンサー獲得活動に大幅に時間を割くことになった事による開発の遅れ。土壇場になって多くのメンバーがコロナに感染したことによる開発の遅れ。
他にも色々と原因はありますが、言い訳のようになってしまいます。

この活動は学生主体でやっていますが、もちろん私の指導力不足もあります。

当事者の学生達自身が最もショックを受けているとは思いますが、遠征中止を決定した本日から、中止に伴う対応の検討と、今年の活動に対する評価、来年に向けた計画を開始しました。

もちろん今夜は評価会という名の反省会を実施したわけですが…不謹慎かもしれませんが、やっとスタートラインに立てた気もしています。
人は難しいです。