開発は冒険だ

私もそうでしたが
大抵の学生は想定外の事象が起きるのを嫌いますよね。
でもまぁ、遅かれ早かれ社会に出ると
現実に対峙することになるわけで
そうなると好むと好まないとにかかわらず
何が起きるかわからないリアルワールドに突入です。

その状況を楽しめるかどうかは心掛け次第なのですが
当人がどういった価値観を持っているかが根底にあると思っています。
言ってみれば行動原理ってヤツですかね。
「何のために」です。

みなさん、日々の生活で色々なことをやっていると思いますが
「何のため」が多いですか?

意外と「恐怖を避けるために」
つまりリスク回避が行動原理
となっていることが意外と多かったりしませんか?

この場合の「恐怖」って
ホラーとかじゃなくて
大変なことや面倒なことに対峙することを言ってます。
リスクですね。

学生は結構リスク回避が行動原理
となっていることが多いですよ。

「〜しないと点数が…」
とかね。
外発的な動機によって
何かをすることがかなり多い。
もちろん、そんなのばっかりだと嫌になると思います。
どんどん面倒になってくると
負荷を減らしたくなります


でも外発的動機による行動は
留年とか進級とかに絡んできますので
そう簡単にやめるわけにはいかない。

仕方ないので
内発的動機によるものを削減していって
行動の多くは
外発的動機によるものになってきたりします。

すると何かをする時の考え方や姿勢が
「やらされる」時のやり方になっちゃってたりします。
もちろん無意識にです。

そうなると
余計なことは無条件にやりたくないわけですよ。
もちろん、想定外の事象ってのは
余計なことの筆頭ですね。
ヤバくてウザくてめんどくせー
なヤツです。

想定外のことが起きて欲しくないなら
安心・安定を求めるってことになります。

想定の範囲内のことが起きるなら
取るべき対処は定型的でOK。
いつも同じことをすれば安心。

でも、そういう未来をお望みなら
開発を仕事にするのはやめておいたほうが良いかもしれません。

だって開発ってことは
世に無いものを作り出す仕事なわけで
何が起きるか、やってみなければ分からないところが多分にあります。
言ってみれば冒険みたいなものです。

想定外の事が起きるたびにネガティブな気持ちになっていたら
前に進めなくなります。

なので、何が起きるか分からない状況を
むしろ楽しめるかがどうかが
開発職を選ぶべきかどうか
という別れ目になってくると思います。

あなたが20代の前半なら
その辺の価値観の書き換えは
まだ可能だと思います。
頭が柔らかい人は
ある程度年齢を重ねても可能でしょうね。

どうする?

成長の本質

本学の授業では「将来どうしたい?」
というのをレポートにする機会があります。
主に1年生の授業ですけどね。

提出されたレポートは、全て隅々まで読みます。
だって、凄く興味深い内容ですから。

「将来は、~な~になりたい
そのために~などの経験を積んで…」

みたいな内容なんですけど
読んでいて思ったのは

多くは
自分のことしか考えていない!
ってことです。
まるで昔の自分を見ているようです(笑)

若いって、そういうことですよね。
自分が得することしか考えてない!
そんなもんです。

で、経験を積むに従って
自分の欲だけ満たそうとしても
なかなかうまくいかなかったり
満たされなかったり
そんなことに気付き始めれば
徐々に視野が広がってくる。

「情けは人のためならず」
とか、そのへんの本当の意味を分かってくる
って感じでしょうか。

なので
自分のことしか考えていない段階の学生に説教したところで
何言ってるのか分からないでしょうね。

普通に学生生活を送っていくなら
就活とか
もしくは卒業して働き出せば
相手のこととか組織のこととか
周りのことを考えないと
自分のやりたいこともできないんだな~
なんてことが分かってきたりしますよね。
その辺が「大人になる」ってことなんですね。
成長の本質的な部分は、ここなんだと思います。

色々もの知ってるとか、そんなことだけじゃないんだよ~。

何か機会があって、道徳心を育むチャンスを掴めば
成長は、より早くなるかもしれませんね。

と、ここまで書いて思いましたが
「人間学」を学んで成長するって
そういうことか。

組織とか環境とか
利他心を身に付けて行動できるようになれば
自ずと成長して仕事ができるようになって
他から必要とされる(=価値が高まる)
そういうことですね。

多くの人のサポートを得て
やりたいことができている
そんな活動をしている学生達は
周囲のことを考えずして活動の継続は不可能です。
なので、マインド面での成長は早いのですね。
彼らは日々確実に成長していますよ。

技術は人なり

止まったら負けだ

キャリアデザインって聞きますよね。
私、そういうの考えたことないんですよ。

仕事していて、たまに
「この仕事していると偉くなれんのかなー?」
なんて思うことも以前はありましたが
それはいわゆる「偉い人」になりたかったわけではなく
ふと思っただけです。

今さらながら考えてみれば
今に至るまで
やりたい事や、やるべき事を
好きなようにやってきたらこうなった
みたいな感じですからね。
無計画な人生と言う人もいるかもしれませんが
それなりに意味は感じてるので
結構、満足感はあるんですよ。

今まで色んな事をやってこられたのも
色んな人のお導きのおかげですから
そうれはもう、沢山の人に感謝しています。

いわゆる「偉い人」に自分は向いてないんじゃないかな
と思ったのは
前職で、ある日ボスに呼び出されて
「小平、おまえ係長な」
と言われたときに
うれしさよりも寂しさを感じてしまったときでしょうか。

それまでは、班長とかグループリーダーとか
やらせてもらっていましたが
それは現場へばりつきのエンジニアだったわけですよ。
でも、係長となると、ちょっぴり管理側で
ちょっぴり現場の実務から離れるわけですね。
図面描くより見る側で
マネージメント側の立ち位置に変わってくる。
この辺は会社によっても違うでしょうけど。
それがとてつもなく寂しく感じたんですね。
だって現場大好きだったから。

まぁ、結果としては
ボスが新しい部署を作ってくれてハッピーな日々が始まりました。

その部署は
自分で図面描いて
自分で部品作って
自分で組んで
車を走らせることができるという
まるで今の夢工房のような組織でした。
少人数で構成した、その「特殊部隊」を回せ
それが私にアサインされた仕事です。

「特殊部隊」では、入社間もない新人設計者数名と
ベテランの試作のエキスパートが
私の部下に付きました。
変態野郎ばかりで最高でした。

こういう部署があると
超短納期かつ低コストで試作車を作れるので都合が良いんですよね。
でも、普通の人にはかなりキツイんじゃないかな。
そう簡単に「できない」とか言えないし。
変な仕事ばかりだし。
でも、変態野郎達のチームは、毎日がお祭りでした。

あるとき、試作車の改修作業をやっていて
「こりゃ、締切までに終わらんわ」
ということになって、ボスに
「絶対終わらせたいから徹夜させて欲しい」
って頼んだら、労働組合と交渉しなきゃいけないし
徹夜なんて認められるわけないって言うので
「じゃ、組合辞めます」
って啖呵切ったら何とかしてくれたりしたのは良い思い出だなぁ。
今、そこそこ色んな事ができるようになっているのは
無茶言って無茶やっても
フォローしてくれた周囲の人達のおかげです。

ちなみに
当時、労働組合には専従(組合の仕事だけしてる人)に
幼稚園~高校まで一緒だった友達がいたんですね。
で、組合事務所に乗り込んで行って
「組合費を巻き上げておいて、やりたいことをやらせないのか?オレは組合辞めるぞ!」
なんて言いに行って喧嘩したのも良い思い出。
その後、なぜか社則が変更になって
「従業員は労働組合に所属していること」
という一文が追加されましたとさ。
「オレのための社則だ!」
と喜んでいた私は、やはり馬鹿野郎です。
やっぱり、キャリアデザインなんてどうでも良かったんです。

そういうの、考えたい人は考えれば良いけど
考えてる暇があったら進んじゃうのも手ですよ。

最近の会社では、とてもこういうことはできないでしょうけど
夢工房の学生達には
ムチャクチャでドタバタでヒーヒー言いながらも
凄い流れに乗っているような感覚で突き進む
そんな経験をさせてあげたいのです。

あの歳でそんなことやってたら凄いヤツになれるはず。
普通の物差しでは測れないから
いわゆる「優秀」ってことにはならないかもしれないけど
希少価値はありますよね(笑)

技術は人なり

…でいいのかな。