変われるかどうかがカギなのよ

向上心って大事ですよね。
何かを今より良くしたい
ってね。

でも
なかなかうまくいかないことも多いですよね。

当たり前ですが
現状より良くなる
ってのは
現状ではなくなる
ってことです。
今のままのやり方では
結果は変わらないのですから当然です。

なので
うまくいかないときは
現状から変われていないことが原因です。
もちろん自分がね。

これ、言うのは簡単ですが
なかなか手強い。

自分が自分のことを一番よく分かっていて
自分のことは自分でできる
と思いがちですが
なかなか思い通りにいかなかったりします。

意外なことですが
成功を望む人でさえ変わりたくない
と思っている場合が多いのです。

現状が成功していないのであれば
現状を変えなければいけないのにね。

だって
現状は成功していないわけでしょう?
変わらなければいけないのは当たり前ではないですか。

でも、ついつい
現状のままで良くならないか
なんて思ってしまう。

いや
思ってすらいないのに
自動的にそうなってしまう
といった方が良いかもしれません。

実はこれ
生存本能が原因にあるそうです。

今、自分が生きているのはなぜか?
それは昨日の行動があったから。

であれば、昨日と同じことを繰り返せば
生き残ってける可能性が高い
ということです。

なので
考え無しで自動的に同じことを実行してしまう。

「癖」ってそういうことでしょう?
凄いシステムになってますね。
生き残るためのことを
自動的に繰り返しちゃうんですよ。

「あー!自分は成功したいのに
何で同じこと繰り返しちゃうんだろう!」

と気付ける人はまだ幸せで
それをなんとかできるチャンスがあります。
だって気付いているんだから。

あとは色々と多くを試して
これだ!
と思ったら
「恥の上塗り」
じゃなくて
考えて 行動して 繰り返す
「癖の上書き」
をすれば良いのですよ。

すぐには結果は表れないかもしれませんが
変わる面白さを実感できれば色々うまくいくと思いますよ。

と、こういうことを
バイクのレースやってるときに考えたりしていました。

なかなかラップタイムが良くならない時って
そもそもダメなやり方してるのに
それをもっと頑張ることによって
何とかしようとしていることがあるんです。

そういうとき
今までと違うアプローチで何かを試すって
すごく勇気が要るんですよね。

物事の本質って
結構共通していて面白いですね。

やはり「技術は人なり」だ

お付き合いのある
とある会社の社長さんが
我が夢工房に来てくれました。
F1とかMotoGPなどの
トップカテゴリーのマシンの部品はもちろん
ジェットエンジンとかロケットとか
とにかく最先端の部品を
世界最高の精度と品質で作る
凄い会社の社長さんです。

世界中の(「日本中の」ではありません)トップカテゴリーの
ほとんどのチームがその会社に部品を発注しているので
どのチームが勝っても嬉しいという凄い仕事をしてます。

レーシングマシンの仕事しかしていないわけでないけど
こんな表現ならレベルの高さが分かりやすいのではないかな。

本学の卒業生もその会社で良い仕事をしてますし
仕事をオーダーしているチーム側の設計者も
私の研究室の卒業生だったりします。

嬉しいやらありがたいやら。

今まで何度も工場を見せてもらって
話を聞かせてもらっていますが
そのたびにビックリしたり納得したり。

話を伺っていて
エンジンからEVにシフトするとか
自動車そのものの形態が変わっちゃうとか
これから色んなことが大きく変わるだろうけど
高いレベルにチャレンジできる組織は生き残っていくんだな
と感じました。

「これからはEVだ」
と聞くとすぐ動いちゃったり
フラフラすると生き残っていけないみたいですね。
トレンドに追従したくなる気持ちは分からなくはないけど。

チャレンジして強みを作って磨いていく
本筋はこれだな。

やっぱり「人」だな。
と思いました。

チャレンジする人が
高い技術を必要とする
高い技術を生み出す

「技術は人なり」
ですよ。

結局は本人次第なんだけど
背中を押すことはできるはず。

夢工房では
せめて原石を割って
宝石が見えるくらいのところまでは持っていきたいものです。

Hの話 後編

前回の続きです。

さて
この水素燃料電池
もちろん水素を燃料としているわけですが
今回は
この水素ってヤツが重要なのですよ
というお話です。
いやー、前置きが長かった!

燃料の分子構造式はこんな風になっています。
おお!なんか授業みたい!

色々並べてみました。

一番上の水素分子以外
水素(H)と炭素(C)でできてます。
こういう炭素と水素でできた燃料を炭化水素といいます。
ハイドロカーボンってヤツですね。

燃料を燃やすってことは
大気中の酸素(O)と結合するってことです。
すると燃料は
水(H2O)と二酸化炭素(CO2)になります。
ちなみに燃料電池も水素と酸素が反応して水になります。

Hがいっぱい付いている燃料が調子良いヤツです。
でも
Cがいっぱい付いてるので
燃やすとCO2がいっぱい出てしまいます。
おお、なんてことでしょう!

色々あるうち
水素だけCが無いですよね。
当たり前ですが、これを使えばCO2が出ないわけです。

水素を燃料としてエンジンで燃やすと
結構クリーンだと思いますが
熱効率が問題になってくるでしょう。
恐らく効率は40%以下になっちゃうんじゃないかな。
燃焼によって得たエネルギーの半分以上は
熱として捨ててしまうことになります。
あとは
高温の燃焼によって大気の主成分である窒素(N)と反応して
有害な窒素酸化物(NOX)が出ちゃったりするとも思います。

結局何が言いたいのかというと

結局、Hが欲しいのだ!

ということです。
乗りものも生きものも。

生きものも!?

そうです。
人間の燃料である食べ物に含まれているタンパク質
これはアミノ酸で構成されていて
その構造を見ると多くの水素を含んでいます。
もちろん水素だけではないので
水素だけ摂取してれば良いってわけではありませんが。

こういう話をすると
日本政府が打ち出した
「これからは水素社会だよ」
ってのも合点がいきますね。

そうか!水素か!
じゃ、水素ガンガンゲットしよう!
と思っても
水素は天然資源としては存在しないのです。
あら残念。

じゃ、水素バンバン作ろう!!

それがすんなりできればハッピーなのですが
色々と課題はあります。

製鉄など、工場で何かを作るときの
副産物として得られる場合があるので
それを利用するってのはアリです。
でも、それで多くのクルマを走らせるのは無理でしょう。
そもそも副産物の生産量は主生産物によるわけで
コントロールは難しい。

あとは皆さんご存じの水の電気分解ですね。
太陽光発電や風力発電などが
いわゆる再生可能なヤツで電気を起こすのが理想的です。

でも、再生可能なヤツは
天気が悪かったり風が吹かなかったりすることもあるので
常にゴキゲンなわけではありません。

ところで
発電機で電気を作って
その電気で水を電気分解して水素を作って
その水素を使って燃料電池で電気を作る
なんか変ですね。
こんなふうに変換が多いのは効率悪そうです。
でも再生可能な方法ならいっか!
ってなるかもしれません。

そもそも
電気エネルギーは高密度で貯めておけないので
水素を使うのですから
まぁしょうがない。

現在日本が頼っている
火力発電所の電力を使って電気分解…
なんてのはお勧めできません。
だってそもそも燃料燃やしちゃってるじゃん!

それに加えて火力発電では
燃料燃やす-蒸気起こす-タービン回すー発電機で発電
となるわけですが
熱エネルギー 運動エネルギー 電気エネルギー
というようにエネルギーの変換が複数起きていて
そのたびにロスが出ます。

ちなみに
火力発電所で使う燃料は
天然ガス、石油、石炭
といったところです。

原発の基本原理は火力発電所と同じで
熱源が化石燃料の燃焼ではなく
核分裂の時に出る熱という違いです。
発電時にCO2は出ません。
嫌われていますが
燃費は超良いです。

このように
どうやって水素を作るか
という問題が一つ。

では、水素ができたとします。
でも、単に水素で燃料タンクを満たしても
大したエネルギー量にはなりません。
なのでガンガンに圧縮して
いっぱい詰め込む必要があります。
それでやっとクルマが長距離走れるようになります。
もちろん圧縮するのにエネルギーが必要です。

もちろんタンクの安全面は重要なので
すごく丈夫で、さらに軽い方が良いので
金属や樹脂の容器をカーボンファイバーで覆ったりした構造です。
クルマに搭載した状態で燃やしてみたり
試験の時は銃をぶっ放して(銃弾は徹甲弾)
貫通しても良いけど破裂しちゃダメ
とか、すごい試験をします。

他にも色々とありますよ。

そんなもんで
高圧の水素を安全に貯めておくためのタンクはお高いとか
それを供給するためのインフラ(水素ステーション)もお高いとか
金属は水素を吸収するともろくなってしまうとか
水素は分子が小さいので物質を通り抜けてしまうとか
大気中に逃げた水素は成層圏を突き抜けて宇宙に逃げてしまうとか
まぁ大変。

こんなふうに書いてしまうと

水素ダメじゃん!

って見えますが
何ごともメリットとデメリットがあって
それらのトレードオフが必要なのです。
完璧な方法なんてありません。

ガソリンをはじめとする液体燃料は
「採掘」で入手ができて
エネルギー密度が高く
貯めたり移動したりのハンドリングがしやすい
まさに理想的な燃料ですが
反面
埋蔵量の限界とか
環境負荷とか
やはりデメリットがあるわけです。

これは水素はもちろん
原発や太陽光発電、風力発電でも同様です。
あらゆるものにメリットとデメリットがあります。

その時の状況に応じて
何を取るかが大事になるのでしょうね。

どうしてもデメリットを取りたくなければ
メリットもろとも捨て去るしかないでしょう。

先のことなんて
やってみなければ分からないことばかり。
勇気が必要ですね。